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スズキ マイティボーイ|一代限りの幻の名車のすべて

スズキ マイティボーイ|一代限りの幻の名車のすべて

「マー坊」の愛称で親しまれたスタイリッシュピックアップ、「マイティボーイ」の魅力から中古価格やスペック、カスタムなどについてご紹介していきます。


知ってる?スズキのマイティボーイとは?

マイティボーイとはスズキ(当時の鈴木自動車工業)が1983年2月~1988年1月までのわずか5年ほどの期間に販売していた軽自動車です。

2人乗りのピックアップトラック型で軽自動車としては非常に特異なボディを持っていました。
そのためすでに30年以上が経過した現在でもファンは多く、マイティボーイは当時から「マー坊」と呼ばれ人気でした。

スズキ セルボ(1985年)

スズキ セルボ(1985年)

元々は同年代の2代目SS40型セルボがベースとなった派生車種として誕生しています。
セルボはファストバッククーペスタイルの流麗なデザインが特徴の軽乗用車でしたが、そのBピラー以後のルーフをいさぎよくカットした形状で生まれたのがマイティボーイです。

しかし実際にセルボをカットして作られたわけではなく専用ボディとして新規設計されました。
荷台とキャビンはきちんと隔壁により分離され、荷台もタイヤハウスの出っ張りはありますが普通のトラックの様にプレスラインのある仕上げになっています。

リヤゲートも下ヒンジタイプの折り下げ式のものが装備され、荷物の積み下ろし性は悪くありません。
ただし最大積載量は200kgで荷台も全長は66cmほどしかありませんでした。

セルボは女性向けのスタイリッシュが外観で人気を博し、一方でマイティボーイは力強さとやんちゃなイメージで若い男性をターゲットに販売されました。

マイティ(MIGHTY)は力強いという意味でボーイ(BOY)は少年という意味を持ち、それを組み合わせてマイティボーイと命名されています。

販売当時は残念ながら大ヒットとはならず最終的に約2万3000台が生産されました。
軽自動車の販売台数としては、特異性が強すぎたことなども影響し思うように台数が伸びず一代限りで姿を消しました。

マイティボーイのスペック

マイティボーイは2代目セルボの登場の翌年に追加されました。
ドア後端の柱(Bピラー)より前はベース車のセルボのメカニズムと外装をほぼそのまま使用しています。

最大の特徴はトランクスペースを大胆にカットしたピックアップトラックスタイルになっていることです。

これにより乗車定員も4名→2名となっています。
エンジンはF5A型の543ccシングルカム直列3気筒NAエンジンを搭載し28PS/4.2kgf・m(M/C前)を発生していました。

駆動方式はFFで、トランスミッションは2AT、4MT、5MT(M/C後 PS-L)となっています。
530~550kgの軽量でコンパクトな車体であったため、現代では非力と思われるエンジンでも空荷の場合は軽快に走行出来ました。

マイティボーイの基本データ
全長:3,195mm
全幅:1,395mm
全高:1,290mm
ホイールベース:2,150mm
最小回転半径:4.4m

初代SS40T型について

最初で最後の代となるSS40T型は、マイティボーイ唯一の型式となります。
マイティボーイは登場時は丸目のシールドビームをヘッドライトに採用していましたが、登場から2年後に内外装の変更を加えたマイナーチェンジを受け角目のヘッドライトへ変更されています。
後期型になってもボディの基本形状などに大きな変更はありません。

グレードはベーシックなPS-Aと上級モデルのPS-Lの2グレードとなっています。
後期型にはタコメーターやトリップメーターの標準装備化や、エンジンも31PS/4.4kgf・mへとパワーアップしました。

また前期型にあったデッキカバーは廃止され荷台まで伸びるルーフレールが設定されよりアクティブな印象になりました。
特に上級グレードのPS-Lではフロントにディスクブレーキが採用されタイヤホイールも12インチのラジアルへ、ミッションも5MTへとアップグレードしています。

マー坊と呼ばれる由来

マイティボーイには「マー坊」という愛称で呼ばれることが多いですが、そのルーツはどこにあるのでしょうか。

実はデビュー時のロックバンド「東京JAP」が演じるテレビCMで「スズキのマー坊とでも呼んでくれ」とスズキ自身が発信したことに由来しています。
低価格かつ遊び心のあるパッケージングで、スズキとしても親しき相棒として愛されることを願っていたのかもしれません。

現在でも「マー坊」といえば40代から50代の世代はマイティボーイのことを思い出す方が多いようです。

マイティボーイのカスタムについて

マイティボーイは登場当時から特殊ともいえる乗用車ベースのピックアップボディを与えられ、特別な存在でした。
しかしそのベース車両はあくまでも大衆乗用軽自動車のひとつであるセルボであり、エンジンパワーだけでなくサスペンションやブレーキなどもとてもハイパフォーマンスとは言えないものでした。

現在でもマイティボーイの愛好家は多く、非常に様々な形にカスタム(改造)がなされています。
今回はその中でも代表的な「流用カスタム」と「ジムニーボーイ」についてご紹介します。

流用カスタム

流用カスタムとは読んで字のごとく他車種のパーツを流用するカスタムのことです。
プラットフォームを共用するフロンテ、アルト、セルボなどからの流用やその後に発売されたワゴンRからの流用など、様々な流用チューンカスタムが存在します。

スズキ車はコストパフォーマンスの高い実用的な車を多く販売していますが、その背景には多くの部品を共用化して各部品のコストを徹底的に下げることから車両価格を低く抑えることに成功しています。

これは現在だけでなく昔から行われており、特にこのマイティボーイの様に派生車種が次々と登場したころから顕著になりました。

例えば同じFFで同世代の車であれば上位モデルのF5A/F5Bなどのターボエンジンへ換装することも比較的簡単に行えます。

サスペンションをアルトワークスのものへ換装し、ブレーキやハブ廻りも総移植するなど熱心な流用カスタムが多数行われています。
その最大の魅力は低価格に信頼性の高いチューニングが行えることと、基本的にボルトオンで部品交換が行えることからDIYでのカスタムを楽しむことが出来る点にあります。

ジムニーボーイ

衝撃的なカスタムとしてマイティボーイにジムニーの4WDシステムとラダーフレームを組み合わせるというものがあります。
その名も「ジムニーボーイ」と呼ばれ、見た目は非常にファニーですがワイルドさとかわいさが融合した独特なものでした。
これも流用カスタムの延長といえば延長ですが、根本的にエンジンも含めたシャーシを丸ごと換装してしまう大掛かりなものです。
もはやジムニーにマイティボーイのボディを載せると言った方がより正確かもしれません。
車としてのコンポーネンツの大半はジムニーとなり、そもそもマイティボーイではないのかもしれませんが見た目はマイティボーイです。

そのルーツはスズキが1983年、第25回東京モーターショーにおいてジムニー1000のシャーシにマイティボーイのボディを載せ大径タイヤを履かせた市販化には至らなかったコンセプトカーを出品したことにあります。
意外とバランスの良いその姿に触発された熱心なファンやショップが様々なジムニーにマイティボーイを架装するカスタムを行っています。

マイティボーイの燃費性能について

マイティボーイは今から30年以上も前の車なので当時の正確な燃費の記録は60km/h定地燃費と呼ばれるものです。

これは単純に60㎞/hで平らな真っすぐの舗装路を走行した場合の燃費で現在よりもかなりシンプルな燃費テストといえます。

高効率な走行条件となるため、その数値は29.7km/Lと驚異的な数値となっていました。

実際には加減速や停止などの様々な要因が加わりますがそれでも実燃費として17km/L程度の燃費は実現していたようです。

マイティボーイの中古車相場について

マイティボーイは当時のメーカー希望小売価格が45万円と軽自動車のなかでも最も廉価でした。
中古車市場には現在でも流通しており価格も数十万円と手ごろです。
しかしマイティボーイは趣味性が高く、現在では唯一無二のピックアップトラックの軽自動車として価格も高水準を維持しています。
状態の良いものでは新車価格を超えることも珍しくありません。

中古車を探す場合に注意すべき点は改造車が多いため、どこがどのように改造されていて安全性が保たれていつのかを慎重に見極める必要があります。
大手中古車情報サイトでは最も高いものがオリジナルに近いコンディションで走行4.8万kmの個体が158万円の値をつけています。
多くは改造車であり、価格の高いものではツインカムターボエンジン換装車なども多数流通しています。
最も価格の安いものは走行距離不明で26万円でした。
古い車ですので交換可能な部品はまだ良いのですが、簡単に交換できないモノコックフレームやボディそのものなどの劣化具合とエンジンの調子を良く確認することをお勧めします。

マイティボーイまとめ

一代限りの幻の名車としてマイティボーイをご紹介しました。
当時のスズキは様々な趣向の車を多数企画して販売することで多くの市場を獲得して成長したという実績があります。

そんな時代背景の中で誕生したのがこの車でした。
販売台数としては伸び悩み2代目が誕生することなく消えて行ってしまいました。
しかしながら多くのカスタムを施されながら現在でも多数の車両が走り楽しまれています。
2015年にはコンセプトカーとしてマイティデッキと呼ばれるマイティボーイの後継車のような車が発表されました。

残念ながら市販化には至っていませんが、ハスラーのヒットやジムニーのヒットなど勢いのあるスズキなので何らかの形で復活する可能性はゼロではないと思います。
トヨタのように普通車ですが一度国内から姿を消したハイラックスピックアップを新たに市場に投入した例もあります。

当時のような500kg台の車重とはいきませんが、遊び心のあるピックアップトラックの軽自動車の登場が待ち望まれます。

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