どんな車種が盗まれている?また意外な犯行場所も!

トヨタ・ランドクルーザー
日本損害保険協会によると、2020年2月の調査結果では車名別盗難状況が1位ランドクルーザー、2位プリウス、3位レクサス(LX)、4位アルファード、5位レクサス(LS)でした。
ほかにはヴェルファイア、ハイエースなどが毎年ランクインしています。
盗難被害車、5台に1台は『ランドクルーザー』…プリウスやレクサスも狙われる

日本損害保険協会による車両本体盗難の車名別盗難状況

日本損害保険協会より:盗難発生場所の割合
車両の盗難場所としては、契約駐車場や通勤先駐車場でも被害が発生していますが、「自宅(屋外)」での発生率がなんと51.3%という結果に。つまり2台に1台は自宅で被害に遭っているということになります。
「まさか自宅から…」と思う方もいるでしょう。しかも自宅からの盗難率は年々増えているのです。近年では、自宅だから安心ということではないのです。
自宅に車を停めている場合、もしその周辺を犯人が数日にわたり見張っていたら誰がどの時間に出入りするなど、行動パターンもわかってしまうという点が懸念されます。
カーセキュリティーグッズをかいくぐる?!犯人の手口を知る!

自動車の車上荒らし・盗難などの犯行手口には下記のようなものがあります。
・車のカギ穴を破壊して侵入する
・窓ガラスを破壊して開錠する
・窓など車のすきまから針金などを差し込み開錠する
・磁石などを用いて車のカギを探す
・駐車場からレッカー車やクレーン車を用いて盗難する
・家に侵入して車のカギを盗む
・カギを預ける施設などで本人になりすまして車のカギを受け取る
・イモビライザーの仕組みを使って車を盗難する
・イモビカッター、リレーアタックで車を盗難する
「車のカギを盗む」「車の一部を破壊する」「車ごとレッカー車などで盗難する」といった昔からの手口のほかに、「イモビライザー」「リレーアタック」という単語が出てきました。
これについては次項で説明します。
■イモビライザーは万能か?効果的に犯行防止につなげるポイントは?

スズキ・スイフトのキーレススタートシステム概要図
21世紀に入ってから今までの物理的なカギのほかに電子キーが使われるようになってきました。この電子キーがいわゆる「イモビライザー」です。
イモビライザーは電気信号で固有IDを車に送信します。車側がそれを受信し、設定されているIDと一致すればエンジンがかけられるという仕組みになっています。
同じ電子キーを複製することは不可能に近く、車両盗難対策として絶大な効果を持つとされてきました。
しかし、2010年あたりからイモビライザー付きの車両でも大量に盗難されるという事態に。
それは「イモビカッター」という装置による盗難でした。
イモビカッターはその車のイモビライザーを制御するコンピューターにアクセス、その固有IDをリセットしてしまいます。そして犯人は新たに別の固有IDをセットします。
そうすれば犯人側のIDがその車のカギとなるので複製電子キーなどなくても盗めるようになってしまったのです。
ですが現在ではほとんどのメーカーが対抗措置を実施し、新型の車では「イモビカッター」ができないようになっています。

イモビライザーと併用可能な電子式防犯システム
ところが、現在も続く新たな手口がイモビライザーを持った車両を襲います。それが「リレーアタック」。
車のオーナーのスマートキー(電子キー)は常に微弱な電波信号を発しています。
犯人がそれをキャッチして電波信号を増幅させて送信すると、車のセキュリティシステムはその信号が正しいと認識してロック解除、エンジン始動が可能になるのです。
オーナーの近くに犯人が1人、また少し離れたところに受信・送信役が1人、さらに1人、と「オーナーから車」の間にリレーのように存在して犯行を行うため、「リレーアタック」と呼ばれているのです。
オーナーとスマートキーが家の中にあってもリレーアタックができてしまうというのですから恐ろしいですね。

ケンウッド リレーアタック防止用スマートキーケース CAX-SC1
その対策としては、スマートキーの電波信号を遮断することです。
ブリキ缶に入れてふたをするという方法もありますが、電波信号を遮断するキーケースなども販売されています。いずれにせよ、ふたを閉め忘れないことが大切です。
ですが、イモビライザーは車上荒らしや車ごと盗むような犯行手口には効果は全くありません。
カーセキュリティーグッズはどのようなものがある?
カー用品の店に行くと、防犯グッズが多く取りそろえてあると思います。
「店のおすすめ商品だから…」「ネットで多く検索されていたから…」となんとなく買って安心してしまうことはないでしょうか。
カーセキュリティーグッズにはいくつかの種類があり、目的別に使用しないと効果がないこともあるのです。以下に目的別に挙げていきます。
■威嚇タイプ
ダッシュボードなどに置き、ソーラー電池などで充電し、夜間LEDランプを発光させる威嚇タイプのグッズです(ダミーセキュリティ)。
値段もグッズの中で最も安価で誰でも簡単に設置できます。
ダミーセキュリティという名前の元は、本物のセキュリティーグッズなら付いている録画・通報機能がなく「見た目だけ」のグッズだからです。
しかし車上荒らし・車盗難の常習犯にはダミーと気づかれることがあるので注意が必要です。
■固定器具タイプ
ハンドル・ペダル・タイヤホイールなどをロックする器具を取り付けるグッズです。
ぱっと見にも「この車はセキュリティー対策がされている」「盗難(車上荒らし)する時間が長くかかり、だれかに見つかる恐れがある」などと思わせる効果があります。
これもイモビライザーと同じく車上荒らしや車ごと盗むような犯行手口には効果は全くありません。
■警報タイプ
車に振動や音を感知すると大音量の警報音が鳴ったり、光を点滅させたりしてまわりに知らせます。
このタイプは少々お値段が高くても本格的なものを設置することをおすすめします。
安価なものだと、センサーの質が悪くちょっとしたことでも誤作動で大音量の警報が鳴ってしまうことも。
また、警報音が鳴ったらオーナーが駆けつけられる距離にいることも望ましいでしょう。
■追跡、通報ができるタイプ
車内に不審者が侵入したり、車が盗難されたりすると通知が来たり、盗まれてどこに車があるのかGPSで調べることができます。
それを警察に通報することはできるのですが…
車が破壊、分解されてしまうと元の愛車の姿で戻ってくることがないかもしれないので、威嚇音を出す警報タイプグッズと合わせてまず「破壊されないようにする」「盗まれないようにする」ということが大事かもしれません。
カーセキュリティーグッズの組み合わせ方

組み合わせ方もある?
車の盗難が多い地域の住宅街で自宅に車を停めているオーナーはイモビライザーが付いていることが望ましいでしょう。
リレーアタックの危険性はあるものの、イモビライザー付き車両は盗んだあとの処理に手間がかかるので、抑止効果が高まります。
そして警報タイプグッズと合わせて使用します。簡単に破壊されたり分解されないようなバッテリー内蔵型がおすすめです。
一方、自宅から駐車場が離れている場合では「追跡・通報ができるタイプ」でいつでも異常があったら通知がくるグッズと、時間稼ぎのために「固定器具タイプ」を合わせて使いましょう。
そしてここでもイモビライザー付き車両は効果を発揮します。
カーセキュリティーグッズ、自分で設置はできる?
「ダミーセキュリティ」タイプの威嚇タイプグッズまたは固定器具タイプであれば自分でも可能です。
しかしイモビライザーの後付けや、複雑で高価な警報タイプのグッズなどは機械の知識が必要です。無理をせず業者さんに頼むのがおすすめです。
まとめ

ハンガリー国境の検問でVWの商用バンの荷台から発見されたBMW X6
防犯システムと車上荒らし・盗難を防ぐ商品と犯人との戦いはいたちごっことなっています。
今はイモビライザー(電子キー)システムがメジャーですが、今後はそれとは違う新しいシステムが開発されるかもしれません。
自分の愛車を守るために日頃から防犯意識を高く持ち、新しい情報を収集し目的別にカーセキュリティーグッズを利用して安心のカーライフを送りましょう。