新型カムリ 発売以来セダンとしては異例の大健闘

2017年9月度の販売速報が自販連より発表されました。だれもが注目するのが全体トップとなったフルモデルチェンジした「N-BOX」でしたが、もう一つ注目したいのが30位にランクインした「カムリ」です。登録台数は3,324台でしかありませんが、前年同月比はなんと765.9%、しかも9月単月だけのことではなく、フルモデルチェンジした後の7月から三か月連続での700%超えなのです。
ちなみに、3,324台というのは、同じトヨタのLサイズミニバン「ヴェルファイア」や「アルファード」と並ぶ台数であり、計画販売台数は月間2,400台となっています。
■新型カムリ人気の理由

新型「カムリ」が好評な理由としては、ワイド&ローフォルムによるスポーティかつ美しいスタイリングがあげられています。たしかに、これまでの小さい「クラウン」、北米向けの大柄なファミリーカーというイメージから、スポーティーでスタイリッシュな「今」の日本人好みのスタイリングは、「セダンもいいじゃないか?」と思わせるカッコ良さがあります。
■他のセダン勢は?

SUBARU インプレッサG4

マツダ アクセラセダン
セダンが売れなくなってもうずいぶんと時間が経過し、車種別販売ランキングを見ると、上位には軽自動車、コンパクトハッチバック、ミニバン、そしてSUVだらけ。14位にやっと「カローラ」がランクインしますが、前年比で68.4%止まりと苦戦中。「クラウン」もベスト30には見られません。
他にセダンをラインナップしている車種としても、ベスト30圏内には19位の「インプレッサ」、26位の「アクセラ」があるだけです。しかも「インプレッサ」の販売構成比は、80:20とハッチバックのスポーツがセダンのG4を圧倒しており、「アクセラ」も同様だと考えられます。
そんな状況の中での「カムリ」の躍進は、いよいよセダンの復活を感じざるを得ません。
セダンはもう必要ないのか?

カムリG“レザーパッケージ” (内装色:ベージュ) 〈オプション装着車〉
少子高齢化と若者のクルマ離れによる自動車市場の縮小は今に始まったわけではありません。そして、高齢ドライバーの免許返納など、明るいニュースはなさそうな自動車業界ですが、運転免許の取得件数は順調に伸びているなど、若者を含め、魅力的な車種さえあれば大ヒットする可能性は常にあります。
先進運転車支援システム、自動運転、EV、今これらのキーワードをからめた車種には熱い視線が集まっています。これまで絶対条件だった低燃費はやや後退してますが、むしろ低燃費なのは当たり前と考えても良いでしょう。
ようするに優れたデザインのセダンであれば売れるはず。セダンが必要なくなったのではなく、デザイン的に熟成しきったセダンは個性を出すのが難しいからと、流行り始めたハッチバックやミニバンに注力し、セダンの開発をしなかったメーカーが原因なのかも知れないのです。
そして、かつてのセダンのように、ハッチバックやミニバンがどれも同じに見える今こそ、セダンが復活する時なのです。
■高齢ドライバーが欲しいのは今でもセダン

カムリG“レザーパッケージ” (エモーショナルレッド)〈オプション装着車〉
ボディタイプとしては相変わらずミニバンとSUVに人気が集まりますが、ミニバンはそろそろブームが終わりそう。なんせ少子化なのですから。そして、かつてクルマといえばセダンが当たり前だった時代からハンドルを握り続けてきた高齢ドライバーが直面するのが、軽自動車、コンパクトハッチバック、ミニバン、そしてSUVという醜い車たち(彼らの美意識にとって)しかない現状。
家族のために選んだミニバン、平日に運転する奥様のための軽自動車やコンパクトハッチバックではなく、自分がハンドルを奪い返したなら、やっぱりセダンが欲しい。そう思っている先輩諸氏は多いはず。いや、確実に増え続けているのです。
中にはアグレシップな方がSUVを選ぶかもしれませんが、奥様の理解を得るにはゆったりと助手席でくつろいでもらえるセダンが一番なのです。
まとめ
新型「カムリ」を見て、若い時に乗っていて、かつて一世を風靡した「マークⅡ」を思い起こす方もいるのではないでしょうか?
「レクサス」だとえぐすぎる、「クラウン」は遠慮したい。そう思うトヨタ信者の先輩諸氏は「カローラアクシオ」から買い換える車種は、「マークⅡ」を彷彿とさせる「カムリ」しかないはず。今のところ、浮気したくなる国産セダンもないのですから。
