日本車離れしたコンパクトカー
スズキ、ハイブリッドRS
スズキが6年ぶりに刷新した新型『スイフト』は、まさに日本車離れしたコンパクトカー と言っていい。
ここで試乗したのは欧州仕様の足回りを奢る「ハイブリッドRS」。『バレーノ』のプラットフォームを用い、『ソリオ』から受け継いだ1.2リットルエンジン+モーター=マイルドハイブリッドのパワーパッケージ を採用。モード燃費最高27.4km/リットルを誇るメーングレードだ。
そもそもスイフトはある意味玄人受けする国産コンパクトカーであり続けているが 、運転席に乗り込んでまず感動できたのが、ライバルを一気に古臭く見せるほどのメーター回りの洗練度だった。
クロノグラフを思わせる2連メーター中央のフルカラー液晶インフォメーションは美しいだけでなく、多彩な機能を呼び出せ、例えば時計、外気温、平均燃費、航続可 能距離が同時に表示できるのだから便利!! このクラスであるようでない超実用機能さえ持ち合わせているのだ。
ドライバーメインのコクピットデザイン、シートのかけ心地&ホールド性もまた文句なし。ただし後席はホンダ『フィット』のようには広くない。ライバル車でもあるVW『ポロ』とまったく同じ頭上、ひざ回り空間(最小限の居住性)ではあるものの、乗降性もあまり褒められたものではない。
ただそれは、狙いでもあるそうだ。つまり、新型スイフトは前席優先のカップルズカーとしてのキャラクターを強めているというわけだ。それができたのはもちろん、今では同クラスのセダンタイプのバレーノがラインアップとしてあるから。
気になる走りはどうか
走りだすと「軽い」感じはしない。むしろ国産コンパクトにはなかなかない VWポロを思わせるような重厚感ある乗り味に支配される。乗り心地は硬めながらフィットと比べると、はるかに洗練された硬さ、タッチを示してくれる。段差などでボディに大きな入力を受けても、安っぽい振動、ショックは皆無に近い。ボディ剛性、足回り剛性の高さがそう感じさせるのだろう。
スイフト以外の軽やか・爽(さわ)やか走り系の国産コンパクトカーに乗り慣れたユーザーにとって、新型スイフトの走りはやはり「重い」と感じる可能性がある。それは比較的低めのギアを使って、常時加速スタンバイ的に走らせているからでもある。例えばVWポロの方が軽やかに滑らかに走ってくれるのだ。
が、スイフトを高速道路や山道で走らせれば、ビシリとしたステアリング、ドシリと落ち着いた走行感覚、安定感の高さに納得し、多くの国産コンパクトとは異次元の走りっぷりに感動できるに違いない。ブレーキにしても手抜き一切なしで、吸いつくようなペダルフィール、安心感ある制動力に満足できること必至である。
乗り味も予想通り。想像以上のどっしり感を保ちつつ、シャープでキレッキレのハンドリング性能を示す。ここまでやられると他の同セグメントのライバルたちは結構差を付けられた印象になる。今のところBセグメントでこれに対抗しうる勢力は、国産ではマツダ『デミオ』だけ。さすがに海外に目を移すと上を行くライバルがいるが、まあ国産車の中では秀逸である。