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「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」で紹介された注目技術をピックアップ

「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」で紹介された注目技術をピックアップ

「人とくるまのテクノロジー展」は、自動車技術にスポットを当て、第一線で活躍する技術者や研究者の発表と交流の場です。2023年5月開催の横浜展示会で紹介された技術をピックアップして紹介します。

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人とくるまのテクノロジー展とは

《写真提供:response》《写真撮影 高木啓》 人とくるまのテクノロジー展2022

「人とくるまのテクノロジー展」は、公益社団法人 自動車技術会が主催する自動車技術にスポットを当てた展示会です。

1992年の初開催以来、自動車業界で活躍する技術者たちはもとより、業界の枠を超えた技術者や研究者が交流する場となり、新たな価値やテクノロジーの創出をサポートしてきました。

2022年にはリアル展示会のほか、オンライン展示会も常設されるハイブリッド方式となり、IT業界やAI産業といったさらなる新しい技術者や研究者たちとのつながりも試みられています。

この「人とくるまのテクノロジー展」は、会場を別にして年に2回開催されています。2020年と2021年は新型コロナウイルスまん延防止に伴う調整がありましたが、これまでは毎年5月頃に横浜市、7月頃に名古屋市で開催されてきました。

2023年は、リアル開催が30回の節目となる、横浜展示会(人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA)が5月24日(金)~5月26日(日)の日程で開催されました。

来場登録者数は、初日となる5月24日が17,757名、5月25日が20,890名、最終日の5月26日が25,163名で、合計63,810名もの来場者をもって閉幕。なお、オンライン展示会(人とくるまのテクノロジー展2023 ONLINE STAGE1)は、6月7日(水)まで開催されます。

そして7月5日(水)~7日(金)には、名古屋展示会となる「人とくるまのテクノロジー展 2023 NAGOYA」が、初会場のAichi Sky Expoで開催されます。

オンライン展示会「人とくるまのテクノロジー展2023 ONLINE STAGE2」は、6月28日(水)~7月19日(水)の日程で開催予定です。

人とくるまのテクノロジー展2023で注目された技術をピックアップ

ここからは、実際に「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」で展示された各社の注目技術をピックアップします。

ジヤトコ株式会社:超小型でトルクアップした新開発のe-Axle

《写真提供:response》《写真撮影 山内潤也》ジヤトコブース(人とくるまのテクノロジー展2023)


「ジヤトコ」の前身となる会社のひとつは日本自動変速機株式会社で、創業以来50年以上にわたり、自動車用オートマチックトランスミッションの専門メーカーとして、さまざまなAT、CVT、ハイブリッド車用トランスミッションを製造してきました。

今回は世界初出展となる研究開発中の2つのeアクスル(e-Axle)を展示しています。ひとつは「電動車両用 e-Axle (平行軸/コンセプトモデル)」。軽電気自動車(EV)を想定したモーター駆動ユニットで、高回転モーターとコンパクトなギアにより、寸法を15インチパソコンほどのサイズに実現。超小型ながら最大出力は60kWと、軽自動車からコンパクトカーまで幅広く対応できます。

2つめは「電動車両用 e-Axle(変速機能付き/コンセプトモデル)」で、ピックアップトラックや商用車など、高い駆動力が求められる車両を想定。牽引や登坂といった大きなトルクが求められる場面で力を発揮し、トルクアップを実現させます。また変速機を使うのでユニットの小型化を成し遂げています。

トヨタ紡織株式会社:自動運転レベル4を想定した極上空間の設計とリラックスシート

《写真提供:response》《写真提供:トヨタ紡織》 トヨタ紡織 ブースイメージ

「トヨタ紡織」はトヨタグループの創始者である豊田佐吉により創業された自動車部品メーカーで、自動車用シート、自動車用内外装品、フィルター製品や燃料電池など、さまざまな自動車用ユニット部品を展開する会社です。

今回の展示会では、「こころ豊かな暮らし」に貢献という考えのもと、インテリアスペースクリエイターとして、快適で上質な空間とそのためのコア技術を紹介しました。

ひとつは、MaaSライドシェア空間コンセプトシート「MX Prime」の初展示です。自動運転レベル4を想定し、極上の移動空間の実現のため、快適な仮眠に誘導するシステムやリフレッシュ機能などを搭載しています。

もうひとつは、タッチセラピーのように優しくさする繊細な力加減を再現させたリラックスシート「Remote Touch Therapy」。遠隔で触感を伝送できる「リアルハプティクスⓇ」により、記憶させた働きをダウンロードして再現できるリラックスシートです。

パナソニック インダストリー株式会社:新開発の高熱伝導性多層基板用フィルムとHUD遮熱フィルム

《写真提供:response》《写真撮影 土田康弘》パナソニックインダストリーの「高熱伝導性 多層基板用フィルム R-2400」(左)

2022年4月にパナソニックから分社化して誕生した「パナソニック インダストリー」は、車載用リレー、スイッチ、コネクタ、電源、タッチパネルなどを開発・生産しており、今回の展示会では「高熱伝導性多層基板用フィルム R-2400」や空冷ソリューションなどを出展しました。

高熱伝導性多層基板用フィルム R-2400は、高い熱伝導性を実現させたフィルムで、熱源と熱源の間に電気的な絶縁層を構築しながら熱を伝えられます。熱伝導性が高いメリットを活かし、パワー半導体といった熱を発するものを利用するときに、冷却ユニットの小型化が可能になります。

ほかにも、温度変化が激しく、細かな振動が生じる自動車特有の過酷な環境で、半導体と基板の接合部のクラックを防止する対策品や、車速やカーナビ情報を映し出すのに利用されるHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)の遮熱フィルムなどの展示がありました。

株式会社アイシン:小型で高電費効率を誇るe-Axleと幼児置き去りなどに対応する検知システム

《写真提供:response》《写真撮影 豊崎淳》アイシン(人とくるまのテクノロジー展2023)

「アイシン」は世界トップクラスの自動車部品メーカーで、自動車ボディからブレーキやシャシー、エンジン関連に至るまで、幅広い部品を製造しています。以前はアイシン精機という社名でしたが、子会社のアイシン・エィ・ダブリュ株式会社を吸収合併し、現在の社名になりました。トヨタグループの自動車部品メーカーではありますが、日産自動車などの競合他社にも部品を供給しています。

今回の展示では、アイシンの強みである車の電動化に向けた取り組みを活かし、移動の「安心・快適・利便」をテーマにしています。電動ユニットでは、デンソーと共同で設立した「BLUE NEXUS」によって開発された、小型かつトップクラスの電費効率を持つ電動駆動モジュール「e-Axle」を展示。

さらに、社会問題ともなった幼児置き去りを解決する「車両放置検知システム」や、からくり機構の活用により電気を使わないユニバーサルステップなどが出展されました。

株式会社ヴァレオジャパン:AIを活用し、交通整理なども理解するナビゲーションとドライバーチェック

《写真提供:response》《写真提供 ヴァレオジャパン》 ヴァレオジャパンの48V低電圧ソリューション

世界的な自動車部品サプライヤーの日本法人である「ヴァレオジャパン」。自動車関連システムや部品などの研究開発・製造・販売を手掛け、空調システム、オルタネータ、コンプレッサ、フロントエンドモジュール、スタータなどを世界中の自動車メーカーに提供しています。

ヴァレオは今回の展示で、今注目のAI(人工頭脳)知識を活用したパントマイムのデモを日本で初めて実演。道路工事などによる交通整理の動作を理解し、その指示に従った動きを自動車が行うソリューションです。交通整理員に扮したスタッフの動きの認識や、交通弱者の動きを予測し、安全なナビゲーションを実施します。

また、AIを使ったドライバーモニタリングシステムの展示では、赤外線カメラとAIアルゴリズムでドライバーの眠気や注意散漫な状態をチェック。こうした情報をもとに、運転モードを安全に移行させます。

豊田合成株式会社:AIを活用した、交通整理なども理解するナビゲーションとドライバーチェック

《写真提供:response》《写真提供 豊田合成》 豊田合成 ブースイメージ

「豊田合成」は、トヨタ自動車工業のゴム研究部門を母体として1949年に設立され、ゴム・樹脂系の自動車部品を開発・生産しています。ドアや窓枠の隙間を埋めるウェザストリップ製品、インストルメントパネルやラジエータグリルなどの内外装部品、エアバッグなどのセーフティシステム製品が主力商品です。

今回の出展では、温室効果ガスの排出と吸収を全体として差し引きゼロにするカーボンニュートラルへの取り組みや、自動車の電動化技術に対応する製品を紹介しました。

カーボンニュートラルへの対応は、バイオ素材やリサイクル樹脂材を使った自動車部品のほか、独自のゴム・リサイクル技術の展示となっています。

電動化技術では、水素を約700気圧で圧縮し効率的に貯蔵できる、商用車向け燃料電池自動車(FCEV)用の「大型高圧水素タンク」や、カスタマイズ要素にも対応した100%電気自動車(BEV)対応の樹脂製フロントパネルの初展示をしました。

トヨタ車体株式会社:バイオ由来のプラスチック材料とオール植物由来の樹脂パーツを使用した超小型BEV

《写真提供:response》《写真撮影 山内潤也》トヨタ車体 「PLANT COM(プラン コム)」

「トヨタ車体」はその名称から自動車のボディに関するメーカーと思われがちですが、実はトヨタ車の開発・製造を手がける完成車両メーカーです。アルファード・ヴェルファイア、ヴォクシー・ノア、ランドクルーザー200といった、ミニバン・SUVの車種のほか、海外向けのハイエースなどを開発・製造しています。

トヨタ車体では、植物由来の材料と超小型BEV(100%電気自動車)を展示しました。バイオ由来のプラスチック材料「TABWD(タブウッド)」の展示のほか、植物由来の材料が作られる工程やリサイクル過程、新しいアイデアなどが出展されています。

また、内装も外装もオール植物由来の樹脂パーツが使われた超小型BEVは、カーボンニュートラルへの貢献と利便性を両立させた提案となっています。

株式会社クラレ:100%再生中間膜のPVBフィルムと新開発の熱膨張固定シート

《写真提供:response》クラレのブースイメージ

「クラレ」は日本を代表する化学メーカーで、人工皮革クラリーノ、高機能エラストマー セプトン、合成繊維ビニロンなどを生み出し、面ファスナー「マジックテープ」の登録商標などでも有名な企業です。自動車関連では、自動車を構成する約3万部品のうち約3分の1を占める数多くの樹脂製品を提供しています。

今回の展示会では、「サステナビリティ・エレクトリック・スマート」をテーマに、合わせガラスメーカーから回収されたPVBトリムを使用して、100%再生中間膜のPVBフィルム〈Butacite™〉GおよびPVBフィルム〈トロシフォル®〉Color Greyを展示。

熱膨張固定シートは、加熱による膨張性能を活用し、自動車部材の短時間による固定を可能にした開発中の製品が出展されました。

日産自動車株式会社:プロパイロット2.0に代表される知能化技術と電動化への取り組み

《写真提供:response》《写真提供:日産自動車》 日産自動車 ブースイメージ

言わずと知れた日本を代表する自動車メーカー「日産自動車」も、知能化技術と電動化技術を展示しました。

日産は長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」で、「数多くのワクワクする電動車とイノベーションを提供し、グローバルに事業を拡大する」という目標を掲げており、そのキーとなるのが電動化技術と知能化技術であると位置づけています。

新型セレナやフラッグシップEV車のアリアが実際に展示され、知能化技術の代表例として、高速道路における同一車線内のハンズオフ走行(手放し運転)サポートする、「プロパイロット 2.0」を体験できるデモンストレーションが行われました。

また、アリアのカットモデルが展示され、構造と電動化のメリットを理解し、視覚的に理解できるコーナーを設けています。さらにAR ルーペを使ってさまざまな説明を楽しめる仕掛けも用意されていました。

日野自動車株式会社:新開発のBEV車両と人手不足の物流業界への新たなスキームの構築

《写真提供:response》《写真提供:日野自動車》 BEVシースルー車両

主にトラックやバスといった大型商用車を製造する「日野自動車」は、各社が力を入れているカーボンニュートラルのほかに、日野自動車らしい「物流業界の人手不足といった社会課題の解決」に取り組んだ展示を行いました。

日野デュトロ Z EVの展示では、物流現場での使い勝手を追求し、荷物の積み下ろしや乗降がしやすい超低床構造を可能にしたBEV専用シャシーや前輪駆動モジュールを出展。

また、物流業界の人手不足という社会課題の解決に向けて、日野自動車としての対応や、積載率の向上や輸送品質の向上による高効率な幹線輸送スキームの構築を紹介しています。

NTN株式会社:e-Axleを念頭に置いた高機能ベアリングとドライブシャフト

《写真提供:response》《写真撮影 石川徹》NTNブース(人とくるまのテクノロジー展2023)

「NTN」は、あらゆる自動車に欠かせないベアリング(軸受)や、ドライブシャフト(CVJ)などの研究・開発から生産・販売を行う精密機器メーカで、100年以上の歴史があります。主力のベアリングは、自動車はもちろん、鉄道車両や風力発電装置など、幅広い機械に使用されています。

今回の展示会では、「『Nameraka』×『Solution』-ひと・くるま・社会の未来づくりに貢献する-」をテーマに、EV駆動源として使用されるe-Axle向け商品を紹介。世界最高水準の高速回転性能を持つ高速深溝玉軸受や絶縁体を使用した耐電食軸受のほか、クリープの停止を業界で初めて実現させたクリープレス軸受などが展示されました。

主力商品のハブベアリングとドライブシャフトの展示では、エンジンやモーターから生み出されるトルクをロスなくタイヤに伝達する、効率を追求した高機能製品を展示しています。

まとめ

《写真提供:response》《写真撮影 高木啓》 人とくるまのテクノロジー展2022

今回は「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」について、開催された日程や来場者数、注目の技術をピックアップしました。

7月にはリアル開催が名古屋 Aichi Sky Expoで開かれます。またこちらのオンライン展示会も6月28日から開催予定です。興味がある方は、足を運んでみてはいかがでしょうか?

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