交通違反件数は減少傾向だが、歩行者妨害は増加
交通違反件数は減少傾向だが、歩行者妨害は増加
警視庁が公表している交通違反摘発件数(放置違反金納付命令を含む)によると、2022年一年間の総数は614万1,535件となり、前年の2021年と比較すると63万4,285件減少しました。
交通違反を種別で見ると、それぞれが減少しているなか、歩行者妨害の違反に関しては2021年と比べて1万708件増加しています。この数字は5年間で約2.3倍と連続して増加傾向にあり、春・秋の年2回実施されている全国交通安全運動の重点としてあげられ、毎年取り締まりが強化されています。
最も多かった交通違反は「一時不停止」
最も多かった交通違反は「一時不停止」
前述の増加傾向にある歩行者妨害も全体の交通違反から見ると5位。一番多く摘発されている交通違反というと、過度なスピード違反や飲酒運転などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
実際には、スピード違反や飲酒運転より「一時不停止」が多く146万6,131件。二番目に多いスピード違反(最高速度違反)の93万2,260件より年間で50万件ほど多い結果でした。
一時不停止自体は昨年より12万2,497件減少していますが、歩行者妨害の増加とも関連する部分もあり、上位に位置していることも推察されます。
2022年 交通違反摘発件数ランキング(TOP15)
2022年 交通違反摘発件数ランキング(TOP15)
JAF(日本自動車連盟)が2016年から毎年実施している「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」の2022年調査結果によると、「信号機のない横断歩道で歩行者がわたろうとしているのに一時停止しない車が多い」とアンケートに答えた方は86.2%という結果に。
実際に信号機が設置されていない横断歩道を通過する車(7,540台)を対象に、一時停止の有無を調査したところ、歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車は全体の39.8%に留まりました。
2022年 信号機のない横断歩道における車の一時停止率(全国平均)
JAF/信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査(2022年調査結果)
一時停止への意識が薄くなる理由の一つは「日常的な行動の慣れ」によるものです。一時停止の場所を日々通過することで、「ここはいつも誰もいないから大丈夫」という安心感から、適切な一時停止を怠ってしまいがちです。
また、交通量が少ない場所や見通しが良い交差点で一時停止を省略してしまうことも。しかし、一時停止は「誰もいないから大丈夫」という安全な状況が保証された時だけでなく、すべての状況で必要な行動です。安全運転の一環として、一時停止の意識を常に持つことが重要です。
一時停止の基準とは?
一時停止の基準とは?
「一時停止」とは一時停止の標識や信号がある交差点や歩道で、車を完全に停止させること。一時停止の標識は左右の見通しが悪い交差点に設置されていますので、きちんと「停止」して安全確認をすることが事故防止につながります。
ゆっくりと速度を落とすことは停止にはあたりません。停止線がある場所では、停止線の直前(=車の先端が停止線より手前になる場所)に、停止線のない場所では交差点の直前で、タイヤの回転を完全に停止しましょう。
停止している時間については定められていませんが、安全確認の動作が十分にできる3秒ほどが推奨されています。教習所では一時停止が必要な場所では、車を止めてから「右を見て、左を見て、また右を見て」それから発車と習うように、安全確認が十分に行える適切な停止時間を意識することが大切です。
一時不停止違反の反則金は?
一時不停止違反の反則金は?
一時不停止違反をした場合の反則金は、大型車で9,000円、普通車で7,000円、二輪車で6,000円(原付の場合は5,000円)となり、違反点数が2点加算されます。
なお、踏切等での不停止違反については、違反点数は一緒ですが、反則金が異なり、大型車で12,000円、普通車で9,000円、二輪車で7,000円(原付の場合は6,000円)に。
また、一時停止を怠ったことで歩行者への接触など事故を起こした場合は、より重い罰則が科せられる可能性があります。走り慣れている道ほど油断から起こりがちな一時不停止ですが、罰則があるからという理由だけでなく事故を未然に防ぐためにも、基準をしっかりと理解し適切に遵守しましょう。
まとめ
まとめ
交通ルールは、私たち自身と他者の安全を確保するためにあるものです。特に一時停止は交通事故を未然に防ぐ重要なルールであり、その遵守が求められます。
適切な一時停止の行い方と違反した際の罰則を理解することで、運転マナーを見直し、より安全な運転を心がけることが重要です。
交通ルールは生活の一部であり、それを遵守することが社会全体の安全につながります。今一度、ご自身の運転を見直し、安全運転に努めていきましょう。