バイクの盗難保険とは【早見表】
補償の中身や条件は商品ごとに違いますが、共通する枠組みはこうなっています。
| 補償の対象 | バイク本体の盗難。商品によりパーツ盗難、カギ穴のいたずらも |
| 支払われる金額 | 購入価格・契約した補償額・定額など、商品による |
| 任意保険との関係 | 任意保険は対人・対物が中心。盗難が対象かどうかは契約内容次第 |
| 加入のタイミング | 商品による。購入後でも加入できる商品あり。ただし、被害が起きた後の加入は対象外 |
| 必要な書類 | 商品による。購入明細、自賠責保険証明書、車両写真など |
| 主な加入先 | 専用サービス型/車両保険型/販売店型/定額補償型 |
盗難保険の仕組みはシンプルで、盗まれたときにあらかじめ決めた金額を上限に保険金が支払われるというものです。同等の車両を買い直せるだけの金額が出る商品もあれば、一律で数万円という定額型もあります。
ここで一点、確認しておきたいことがあります。バイクの任意保険は、事故の相手方への賠償が中心です。
四輪でいう車両保険にあたる補償は、標準では含まれていない商品もあれば、オプションとして用意している保険会社もあります。まずは自分の契約で盗難が対象になっているかどうかを、証券や約款で確かめてみてください。
「保険には入っているから大丈夫」と思っていたのに何も出なかった、という事態はここで防げます。
では、そもそも盗難はどれくらい起きているのでしょうか。
バイクの盗難はどれくらい起きているのか
警察庁の資料によると、2025年(令和7年)のオートバイ盗の認知件数は1万4,552件。前年から2,911件、25%増えています。1日あたりおよそ40台が盗まれている計算です。
同じ資料では、自動車盗が6,386件(前年比5%増)。台数でみるとオートバイの被害は自動車の2倍以上です。
盗難対策のロックやアラームは、もちろん有効です。ただ、対策をしていても持ち去られる例はあり、そのとき車両の価値をどう埋めるかという話は別に残ります。そこを引き受けるのが盗難保険、という位置づけです。
とはいえ、全員が入るべきかというと話は変わります。
盗難保険は必要?加入を判断する3つの条件
保険料を払う以上、見合うかどうかは冷静に考えたいところ。判断の材料は3つです。
■1. 車両の価格
これが一番大きな要素です。
盗まれたときに失う金額が大きいほど、保険で備える意味は増します。逆に、車両価格が10万円台の原付なら、数年分の保険料と補償額を並べたときに、割に合わないと感じることもあるでしょう。
目安としては、買い直すのに大きな負担がかかる金額かどうか。もう一台同じものを現金で買えるなら保険の優先度は下がりますし、ローンが残っている車両なら、盗まれても支払いだけが続く事態を避けたいところです。
■2. 保管場所
同じバイクでも、保管場所でリスクは変わります。
《屋外・道路に面した場所》
ロックなどの物理対策と、盗難時の再購入負担をあわせて考える
《集合住宅の共用駐車場(駐輪場)》
出入りの制限、防犯カメラの有無、地球ロックが使えるかを確認
《屋内・シャッター付きガレージ》
物理的な対策を踏まえ、車両価格と保険料のバランスで判断
自宅がマンションで、部屋の窓から車両が見えない。こうした環境なら、物理的な対策だけで安心しきるのは難しいところです。
■3. 車種・パーツを含めた再購入コスト
同じ排気量でも、車種や年式、カスタムの内容によって買い直しに必要な金額は変わります。
見落とされがちなのがパーツです。マフラーやサスペンション、ホイールなどに手を入れている場合、車両本体の価格だけで補償額を決めると足りなくなります。パーツ単体が盗まれるケースもあるため、パーツ盗難の補償があるかどうかも判断材料になります。
■3つの条件を組み合わせて判断する
| 再購入コストが高い・屋外保管 | 加入がおすすめ |
| 再購入コストが高い・屋内保管 | 加入を検討。補償額を抑えたプランも選択肢 |
| 再購入コストが中程度・共用駐車場(駐輪場) | 加入を検討。少額でも備えがあると負担が減る |
| 再購入コストが低い・屋内保管 | 優先度は低め。まず物理的な対策から |
ローンが残っているかどうかも、忘れずに加えてください。車両が消えても支払い義務は消えません。ここが盗難保険を検討する最も現実的な理由になる方も多いはずです。
自分に必要そうだと思えたら、次はどこで入るかです。
盗難保険の4タイプを比較
加入先は大きく4つに分かれます。それぞれ性格がかなり違うので、並べて見ておきましょう。
| 専用サービス型 | ZuttoRide Club | 補償額に応じてプランを選ぶ。パーツ盗難・カギ穴いたずらも対象 | 購入金額を証明する書類が必要 | 補償を厚くしたい人。ロードサービスもまとめたい人 |
| 車両保険型 | みんなのバイク保険(SBI日本少額短期保険) | 盗難に加え、交通事故による全損・半損や水災を組み合わせられる。単独でも加入できる | 126cc以上が対象。新車・中古車を問わない | 盗難に加えて事故による車両損害にも備えたい人 |
| 販売店型 | レッドバロン | 販売店の会員向け制度 | 会員であること。指定の盗難防止装置の装着が必要 | レッドバロンの会員制度を利用する人 |
| 定額補償型 | Tokio Marine X バイク盗難保険 | 一律の金額を補償 | オンラインで完結 | 低価格帯の車両。まず最低限だけ備えたい人 |
選ぶときの軸を、もう少し具体的にします。
補償額を厚くしたいなら専用サービス型
買い直せるだけの金額を用意したい場合、選べるプランの幅が広いのはこのタイプです。
盗難以外の車両損害にも備えたいなら車両保険型
みんなのバイク保険は126cc以上が対象で、新車・中古車を問わず加入できます。盗難に加え、交通事故による全損・半損や水災などを組み合わせて備えられます(全損・半損の補償は被保険者25歳以上が対象)。
販売店型は条件を確認してから
レッドバロンの盗難保険は会員向けの制度で、指定の盗難防止装置を購入・装着することが加入条件です。他店で購入した車両でも、会員になれば対象になる場合があります。装置代が別途かかる点は、総額を比べるときに見落とせません。
定額補償型は金額とのバランスで
Tokio Marine Xのバイク盗難保険は月270円で、盗難保険金は一律8万円です。手軽ではありますが、50万円のバイクが消えたときの穴を埋めるものではない、と割り切って考える必要があります。
どのタイプでも、補償の条件は商品ごとに違います。気になるものが見つかったら、必ずその商品の約款や重要事項説明で確認してください。
4タイプの性格が見えたところで、補償を厚くしたい場合の代表格を詳しく見ていきます。
ZuttoRide Clubの補償内容と料金
バイク専門のサービスとして20年の実績があり、会員数は24万人を超えています。ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4メーカーに対して、ロードサービスと盗難保険をOEM提供しているオフィシャルパートナーでもあります。
■3つの補償
《バイク盗難》
最大300万円
《パーツ盗難》
最大300万円
《カギ穴いたずら》
最大5万円
※2026年8月現在。車両盗難とパーツ盗難の引受保険会社は三井住友海上火災保険
車両本体だけでなく、パーツ単体の盗難にも備えられるのがこのサービスの特徴です。マフラーやサスペンションなど、後付けした高額パーツが狙われるケースはバイク特有のもの。カギ穴を壊されて盗難には至らなかった、という被害まで対象に含まれています。
購入金額を証明する書類がある新車・中古車が対象です。ただし、個人間売買の車両は加入できません。ネットオークションで手に入れた車両でも、販売元が店舗で購入明細があれば加入できます。なお、一部加入対象外の車両もあるため、見積もりの段階で確認してください。
■料金は補償額で決まる
盗難保険の年会費は4,400円から。補償額に応じて全27種類のプランがあり、料金は公式サイトの一覧表で確認できます。主なプランを抜き出すと、こうなります。
| 盗難5 | 4,400円 | 5万円 | 2万円 | 2万円 |
| 盗難20 | 8,600円 | 20万円 | 2万円 | 2万円 |
| 盗難50 | 19,000円 | 50万円 | 5万円 | 3万円 |
| 盗難80 | 28,400円 | 80万円 | 10万円 | 3万円 |
| 盗難100 | 34,700円 | 100万円 | 20万円 | 5万円 |
| 盗難200 | 63,000円 | 200万円 | 20万円 | 5万円 |
| 盗難300 | 94,400円 | 300万円 | 20万円 | 5万円 |
表を見て気づいた方もいるかもしれませんが、パーツ盗難とカギ穴いたずらの補償額は、プランによって変わります。パーツ盗難が最大20万円になるのは盗難100以上のプラン。低価格帯のプランでは2万円までです。高額なパーツを装着しているなら、ここも見比べてから選んでください。
そしてもう一点、金額に直結する条件があります。
車両盗難時は、プラン上限または補償対象額のいずれか低い方の5%が自己負担になります。 全27プラン共通の設定です。100万円のプランで満額の補償を受ける場合、5万円は自分で負担する計算になります。
補償対象額は購入金額をもとに算出され、購入・納車から1年経過するごとに5%ずつ減額されます。実際に自分の車両にいくらの補償がつくのかは、公式サイトの見積もりフォームで確認できます。バイクの情報を入れれば1分ほどで出るので、まず見積もりだけ取ってみるのが早道です。
■プランは3つの構成から選ぶ
《盗難保険プラン》
盗難の補償のみ
《ロードサービスプラン》
レッカー、現場応急対応、カギ開け、ガス欠、バッテリー上がりなど
《フルサポートプラン》
盗難保険プランとロードサービスプランをまとめたもの
任意保険にロードサービスが付いているなら盗難保険プラン単体で、ツーリングが多いならフルサポートで、という選び方ができます。
ロードサービスは全国6,000店以上のネットワークで、会員向けの出動件数は年間2万件以上(同社実績)。24時間対応のレスキューセンターが窓口になります。
フルサポートプランには、バックアップサポートが付きます。自走できない状態で、かつ自宅から直線距離で100kmを超える場所からロードサービスを依頼した場合に、帰宅費用・宿泊費用・レンタカー費用のいずれか1つを規定上限まで補償するというもの。遠方でのツーリング中にバイクが動かなくなったとき、自分の帰り方まで面倒を見てくれる設計です。
■複数年でまとめると安くなる
加入期間は1年・2年・3年から選べ、まとめるほど年会費が下がります。公式サイトに掲載されている例では、ロード無制限と盗難100を組み合わせたフルサポートプランで次のようになります。
| 1年 | 43,490円 | ─ |
| 2年 | 82,660円 | 4,320円お得 |
| 3年 | 121,910円 | 8,560円お得 |
年会費は加入時に一括払いです。長く乗る前提なら複数年、まず1年試したいなら単年、という選び方ができます。
会員特典としては、国内外20万ヶ所以上の宿泊・レジャー施設が割引になる「ZuttoRide クラブオフ」、毎月のプレゼント抽選、イベント優待、バイク陸送の10%割引などが用意されています。バイク乗車中の事故で10日以上入院した場合には、一律3万円の入院お見舞金も出ます(公道走行中の事故に限る)。
ここまで補償内容を見てきましたが、補償を受けるための条件も確認が必要です。
加入前に確認したい補償対象外・加入条件
契約する前に必ず目を通しておきたい部分です。ここを知らないまま入ると、いざというときに「対象外です」と言われかねません。
■施錠の条件は商品ごとに違う
保険によっては、施錠していることや、指定の盗難防止装置を使っていることが補償の条件になっています。
例えば、レッドバロンの盗難保険は、ハンドルロックなどで施錠しキーを抜いた状態であること、そして指定の盗難防止装置を装着していることを条件としています。条件付きの商品は、それを満たしていなければ補償を受けられません。
また、商品によっては「故意」や「重大な過失」が補償対象外とされています。何をもって重大な過失とするかは商品ごとの判断になりますが、鍵を挿したまま離れる、施錠せずに停めるといった状態は、少なくともリスクを高めます。「停めたら必ず施錠する」、これは補償の有無にかかわらず、習慣にしておきたいところです。
自分が検討している商品でどこまでが条件なのか、約款や重要事項説明で確かめておきましょう。
■警察への届け出
盗難に気づいたら、まず警察へ届け出ます。商品によっては、警察への盗難届が保険金支払いの条件になっています。Tokio Marine Xのバイク盗難保険では、警察への盗難被害届と車両の抹消手続きが条件として定められています。
いずれにせよ、届け出は早いほど手続きがスムーズです。保険会社への連絡より先に済ませておくのが基本になります。
■購入金額を証明する書類
ZuttoRide Clubでは、購入金額を証明する書類がある車両が加入の対象です。購入明細がない場合は加入できません。個人売買で買った車両や、書類を紛失している場合は、申し込む前に確認しておきましょう。
■被害が起きた後の加入
当然ではありますが、盗難や故障が発生してから加入しても対象になりません。ZuttoRide Clubも「トラブル発生前に加入いただくサービス」と明記しています。
逆に言えば、購入時に限らず、今乗っているバイクでいつでも加入できます。「買うときに入らなかったからもう無理」ということはありません。
条件が見えたら、あとは手続きの流れです。
加入から保険金請求までの流れ
商品によって細かな手続きは異なりますが、大まかな流れは次のとおりです。
■加入するとき
1.見積もりを取る
バイクのメーカー、排気量、車種、年式、購入金額、購入日などを入力
2.プランを選ぶ
補償額と年会費を見比べて決める
3.必要書類を用意する
購入明細書、自賠責保険証明書、車両写真など、商品が指定するもの
4.申し込み・支払い
商品所定の方法で申し込み、保険料を支払う
支払い方法も商品によって違います。ZuttoRide Clubはクレジットカード、コンビニ、銀行振込に対応。一方、Tokio Marine Xのようにクレジットカードのみという商品もあります。
申し込み後は、登録したメールアドレスに契約内容の確認が届きます。補償の開始日はここで確認しておきましょう。
■盗難に遭ってしまったとき
1. 警察に届け出る(最優先)
2. 保険会社・サービス提供元に連絡する
3. 商品ごとに指定された必要書類を提出する(届け出の受理番号、購入明細書、鍵など。商品によっては車両の抹消手続きも)
4.審査を経て保険金が支払われる
鍵の提出を求められることがあるため、スペアキーを含めて保管場所を把握しておくと手続きがスムーズです。盗まれた直後は動揺しますが、やることの順番さえ分かっていれば落ち着いて動けます。
バイクの盗難保険に関するよくある質問(FAQ)
■バイクの任意保険に盗難補償はついていますか?
契約内容によります。任意保険は事故の相手方への賠償が中心で、車両の盗難が対象外という商品もあれば、車両保険を用意している保険会社もあります。まず自分の証券や約款で確認してください。対象外なら、盗難保険や車両保険を別途検討することになります。
■盗難保険の保険料はいくらですか?
商品と補償額によって幅があります。ZuttoRide Clubの盗難保険は補償額に応じて年4,400円(補償5万円)から94,400円(補償300万円)まで。定額補償型のTokio Marine Xは月270円で、盗難保険金は一律8万円です。
■中古車や古いバイクでも加入できますか?
商品によります。ZuttoRide Clubは、販売店で購入し購入金額を証明できる新車・中古車が対象です(一部対象外車両あり。個人間売買の車両は加入できません)。みんなのバイク保険も新車・中古車を問わず加入できます。ただし補償額は経過年数で変わることがあるため、見積もりの段階で確認してください。
■原付にも盗難保険は必要ですか?
車両価格と保管場所で判断してください。低価格帯なら、保険料と補償額のバランスを見て、まず物理的な盗難対策を優先する考え方もあります。なお、みんなのバイク保険は126cc以上が対象です。
■鍵をかけ忘れて盗まれた場合は補償されますか?
商品ごとの条件によります。施錠やキーを抜いた状態であることを補償の条件としている商品(レッドバロンなど)では、条件を満たさなければ対象になりません。また、商品によっては「故意」や「重大な過失」が補償対象外とされています。契約する商品の約款で確認してください。
■車両盗難のとき、自己負担はありますか?
ZuttoRide Clubの場合、プラン上限または補償対象額のいずれか低い方の5%が自己負担になります。全27プラン共通です。自己負担の有無や割合は商品によって違うため、比較するときの重要な項目になります。
■パーツだけ盗まれた場合は補償されますか?
商品によります。ZuttoRide Clubにはパーツ盗難の補償があり、上限はプランごとに2万円から20万円まで。カギ穴のいたずらにも2万円から5万円まで対応しています。マフラーやサスペンションなど高額パーツを付けている場合は、この補償額で選ぶ価値があります。
■バイクを買ってから時間が経っていても加入できますか?
加入できます。ZuttoRide Clubも、購入時に限らずいつでも加入可能としています。ただし盗難や故障が発生した後の加入は対象外です。
まとめ
バイクの任意保険に入っていても、車両盗難まで補償されるとは限りません。まずは契約中の保険で盗難が対象かどうかを確かめるところから始めてください。
対象外だった場合、判断の軸は、車両の価格・保管場所・パーツを含めた再購入コストの3つ。特にローンが残っている車両は、盗まれても支払いだけが残るため、優先して検討したいところです。
加入先は、補償を厚くしたいなら専用サービス型、事故による車両損害まで含めたいなら車両保険型、販売店独自の制度を利用できるなら販売店型、最低限で構わないなら定額補償型。ZuttoRide Clubは年4,400円から、補償額に応じた全27プランが用意されています。ただし車両盗難時は5%の自己負担がある点も、あわせて計算に入れておきましょう。
そして商品選びと同じくらい大事なのが、補償の条件を読んでおくこと。施錠や指定装置の装着が条件になっている商品もあります。停めたら必ず施錠する習慣は、補償の有無にかかわらず持っておきたいものです。
2025年のオートバイ盗は約1万4,500件。盗難時の経済的な負担を自分で負えるかどうかを基準に、必要性を判断してみてください。


