移動式オービスは何キロオーバーで光るのか
| 何キロオーバーで光るか | 今回確認した警察庁・都道府県警察の公表資料では、可搬式に共通する撮影基準は確認できない。反則金の区分は「15km/h未満」の超過から定められている |
| 光ったらどうなるか | 撮影された写真をもとに、後日、取締り場所を管轄する警察署などから車の所有者宛に電話や封書で出頭要請が来る。その場で警察官が停止を求める運用もある |
| どこに置かれるか | 通学路・生活道路・ゾーン30など、違反車を止める場所を確保できない道路が中心。高速道路でも可搬式の実施予定を公表している県警がある |
| 事前に知る方法 | 都道府県警察が速度取締りの実施路線や可搬式オービスの実施予定をウェブサイトやSNSで公開している。ただし公表は計画の一部で、変更もある |
| 罰則 | 普通車は超過15km/h未満で反則金9,000円・1点から。一般道30km/h以上、高速道路40km/h以上の超過は反則金の対象外で、6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金の刑事手続き |
撮影される速度の基準と、反則金の区分は別の話で、反則金は15km/h未満の超過から定められています。数字の噂に頼らず、標識・標示の速度を守り、走る地域の県警が公開している取締り予定を確認するのが現実的な対策です。
移動式オービスとは何か
移動式オービスは、走行する車両の速度を測定し、一定の速度以上で走った車を速度違反車両として自動で撮影・記録する「速度違反自動取締装置」のうち、持ち運びできる小型のタイプの通称で、警察は「可搬式速度違反自動取締装置」と呼びます。三脚に載せて路肩に置ける大きさのため、通学路や住宅街のように違反車を停止させる場所を確保できない道路でも使えます。
警察庁は2016年3月、海外で導入実績のある小型の速度違反取締装置を埼玉県と岐阜県に試行配備し、取締り効果と運用方法の検証結果を踏まえて全都道府県警察への導入を図る方針を示しました。
2024年6月公表の行政事業レビュー資料では、可搬式の導入台数は2023年度末で累計149台、耐用年数は13年で、2027年度までに200台を整備する計画でした。
オービスという名称の由来や、固定式を含む各方式の違いはこちらで詳しく解説しています。
何キロオーバーで取り締まられるのか
警察の公表資料では、可搬式オービスに共通する具体的な撮影基準は確認できません。個別の検挙事例や体験談に超過速度が示されていても、それを全ての装置・場所に当てはめることはできません。
公表資料から分かるのは、反則金の区分です。速度超過は「15km/h未満」から反則行為として定められており、普通車なら反則金9,000円・違反点数1点です。
参考として、令和7年(2025年)の最高速度違反の取締り件数を次の表に示しますが、これは可搬式だけでなく取締り全体の統計で、装置別の内訳がないため、可搬式の撮影基準はこの表からは判断できません。
| 50km/h以上 | 11,618件 | 10,555件 | +10.1% |
| 30km/h以上50km/h未満 | 112,156件 | 117,488件 | −4.5% |
| 25km/h以上30km/h未満 | 193,728件 | 180,209件 | +7.5% |
| 20km/h以上25km/h未満 | 276,101件 | 271,308件 | +1.8% |
| 15km/h以上20km/h未満 | 272,049件 | 267,322件 | +1.8% |
| 15km/h未満 | 39件 | 61件 | −36.1% |
| 合計 | 865,691件 | 846,943件 | +2.2% |
出典:警察庁「令和7年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」道路交通法違反の取締り状況(e-Stat、2026年2月26日公表)
令和7年の最高速度違反は86万5,691件で、前年より増えたのは15km/h以上20km/h未満、20km/h以上25km/h未満、25km/h以上30km/h未満、50km/h以上の4区分で、増加率が特に高かったのは50km/h以上(+10.1%)と25km/h以上30km/h未満(+7.5%)です。
15km/h未満の取締り件数は39件で全体の約0.005%ですが、この39件に可搬式による取締りが含まれるかは、この統計では確認できません。
光ったらどうなるのか|撮影から出頭までの流れ
可搬式オービスが速度超過を検知すると、その車両の速度を測定し、車両と運転者を撮影します。
警察官がその場で車を止める運用と、止めずに撮影だけ行う運用の両方があり、止められなかった場合は後日、取締り場所を管轄する警察署などから車の所有者宛に電話や封書で出頭要請が来ます。所有者と違反当日の運転者が違うときは、運転者本人が出頭します。
撮影から連絡までの日数は、警察の公表資料では全国共通の目安を確認できません。連絡があった場合は、出頭の日時・場所・持参物を確認し、指定日に行けない場合や違反に心当たりがない場合は、要請をした警察署の担当部署へ問い合わせてください。
出頭後は超過した速度で手続きが分かれ、一般道で30km/h未満、高速道路で40km/h未満の速度超過は、原則として交通反則通告制度の対象で、所定の期限内に反則金を納めると、その違反について刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けずに処理されます。
ただし、無免許運転や酒気帯び運転などでは、同制度が適用されない場合があります。青切符による告知後の仮納付期限を過ぎた場合は、通告を受けて納付する手続きがあります。
通告後も所定の期限までに反則金を納付しなかった場合は、本来の刑事手続きの対象になります。一方、一般道30km/h以上、高速道路40km/h以上の超過は最初から反則金の対象外で、道路交通法118条の罰則(6月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金)が適用される刑事手続きになります。
反則金と違反点数
速度超過の反則金と点数は、超過速度と道路の種類で決まり、移動式オービスで撮影されたか、その場で止められたかによる違いはありません。普通車の反則金と基礎点数は次のとおりで、酒気帯び運転の場合や事故に伴う付加点数は含みません。
| 15km/h未満 | 9,000円 | 1点 |
| 15km/h以上20km/h未満 | 12,000円 | 1点 |
| 20km/h以上25km/h未満 | 15,000円 | 2点 |
| 25km/h以上30km/h未満 | 18,000円 | 3点 |
| 高速道路 30km/h以上35km/h未満 | 25,000円 | 3点 |
| 高速道路 35km/h以上40km/h未満 | 35,000円 | 3点 |
| 一般道 30km/h以上50km/h未満 | 反則金の対象外(刑事手続き) | 6点 |
| 高速道路 40km/h以上50km/h未満 | 反則金の対象外(刑事手続き) | 6点 |
| 50km/h以上 | 反則金の対象外(刑事手続き) | 12点 |
大型車の反則金は12,000円(15km/h未満)から40,000円(高速道路35km/h以上40km/h未満)、二輪車は7,000円から30,000円で、反則金の納付と、点数による運転免許の行政処分は別に進みます。
行政処分の前歴がない場合、1回の速度超過で6点に達すると原則30日間の免許停止の対象で、累積15点以上は免許取消しの基準です。基礎点数3点以下の軽微な違反の累積で6点になった場合は、違反者講習を受講すると免許停止処分が課されない制度があります。
どこに置かれるのか、事前に知る方法はあるのか
可搬式が置かれるのは、取締りのスペースを確保しにくい生活道路や通学路、渋滞を避ける抜け道、交通量の多い幹線道路です。
警察庁は子供の通行が多い生活道路やゾーン30での活用を進めており、奈良県警のように「生活道路を中心に実施」と明示して実施予定を公開している県警もあります。
高速道路も対象外ではなく、富山県警は北陸自動車道・東海北陸自動車道・能越自動車道で可搬式オービスを使った速度取締りの実施予定を公表しています。高速道路では、通信と電源を備えた複数の拠点に撮影部を移して使う半固定式も導入されています。
取締り予定を調べる手がかりは都道府県警察の公式サイトで、警察は速度取締りを重点的に行う路線や時間帯を指針として公表しています。
公開の仕方は県警ごとに違い、警視庁は毎月の速度取締実施場所一覧をPDFで公開し、奈良県警は可搬式オービスの実施予定を、富山県警は可搬式オービスを使う期間と管内を公表しています。佐賀県警はXで取締り日と場所を事前に周知する方針です。
ただし、一般の速度取締り予定が全て可搬式によるものとは限りません。公表される計画は取締りの一部で、事件事故の発生などで中止や変更もあり、警視庁は一覧以外でもゾーン30や学校周辺の生活道路でランダムな取締りを行います。
調べる際は、走行する都道府県警察の公式サイトで「可搬式オービス」「公開交通取締り」「速度取締り指針」を検索し、情報の更新日と対象期間を確認してください。
レーダー探知機で事前に分かるかは、装置の方式と探知機の対応で変わり、可搬式にはレーザー式とレーダー式があり、レーダー式の一例であるMSSSは複数の周波数を使う装置で、探知機メーカーのユピテルは、従来のレーダー探知機では警報できない場合があるとして2023年に対応機種を発売しました。
探知機を選ぶときは、対応する取締機の種類を製品ごとに確認し、「レーザー対応」の表示だけで全ての可搬式に対応すると判断せず、対応製品でも車のガラスの種類や取付位置、周辺の環境によって受信できない場合があることも踏まえて選んでください。
可搬式が導入される理由と、2026年9月の法定速度変更
警察庁が2024年6月の行政事業レビューで示した速度違反自動取締装置の利点は4つで、道路構造や天候の制約がある場所でも取締りができること、警察官の街頭活動が薄くなる深夜・早朝に効果があること、取締り時に警察官が受傷する危険が少ないこと、違反車を現場で止めないため交通の流れを妨げないことです。
可搬式が想定するのは、従来の定置式(いわゆるネズミ捕り)では取締りができなかった道路で、定置式は相当数の警察官と違反車の停止場所が必要なため、狭い通学路や生活道路では実施が難しく、可搬式は装置の管理だけなので1か所2名程度で足り、停止場所も要りません。同資料の積算では、全国約4,000か所のゾーン30で毎月2回、朝夕に取締りを行うために200式が必要で、これが200台計画の根拠です。
2021年6月に千葉県八街市で下校中の小学生の列にトラックが衝突して5人が死傷した事故のあと、警察は通学路の合同点検と、可搬式を使った子供の通行が多い生活道路での取締りを進めており、最高速度30km/hの区域規制を行うゾーン30は2025年度末で全国4,457か所、物理的デバイスと組み合わせたゾーン30プラスは249か所です。
2026年9月1日から、中央線や車両通行帯がなく、道路構造や柵などによって通行が往復の方向別に分離されていない一般道路では、自動車の法定速度が60km/hから30km/hになりました。
自動車専用道路などは対象外で、道路標識・道路標示で最高速度が指定されている道路ではその速度に従います。道幅だけでは判断できず、最高速度30km/hの道路では30km/hを超えると速度違反になるため、法定速度が下がった道路では従来と同じ速度で走っていても違反になる場合があり、可搬式の設置予定とは別に、その道路に適用される最高速度を確認する必要があります。
固定式・半固定式との違い
(ループ式の例) |
(移動式オービス) |
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|---|---|---|---|
| 主な道路 | 高速道路・幹線道路 | 高速道路(2021年度以降は原則こちらを導入) | 通学路・生活道路など。高速道路での実施予定も公表されている |
| 撮影場所 | 1か所に固定 | 複数の拠点に撮影部を移して運用(警察庁の2024年資料では1基3拠点の整備例) | 設置場所を自由に変えられる |
| 設置工事 | 路面にループコイルを埋設 | ループコイルの埋設工事は不要。電源・通信を備えた拠点が必要 | 不要 |
| 違反車の現場停止 | 停止させない | 停止させない | 停止させず後日連絡する運用と、その場で停止を求める運用がある |
警察庁の2024年6月公表資料では、高速道路の速度違反自動取締装置は約200基あり、その多くが耐用年数の13年を超えているため、固定式の更新に合わせて半固定式に切り替え、毎年3〜5基(9〜15拠点)を目安に整備する計画です。
整備費用の例として、ループ式の固定式は1拠点で1億円程度、半固定式は1基3拠点で6,000万円程度が示されています。Nシステムとオービスの違いは下の記事で確認できます。
移動式オービスについてのよくある質問
■光ったのに通知が来ないことはありますか?
今回確認した警察の公表資料では、運転者が撮影の有無を確かめる共通の方法や、撮影後に通知が来ない事例の割合は確認できません。可搬式は速度超過を検知した車両を撮影して記録する装置で、撮影されていれば所有者宛に出頭要請が来る流れです。要請が届いたら、日時・場所・持参物を確認して対応してください。
■10キロオーバーでも光りますか?
公表資料では、可搬式に共通する撮影基準を確認できないため、光る・光らないのどちらも断定できません。10km/hの速度超過は「15km/h未満」の区分に当たり、普通車では原則として反則金9,000円・基礎点数1点です。ただし、反則金の区分から可搬式の撮影基準を判断することはできません。
■夜や雨の日でも作動しますか?
警察庁は速度違反自動取締装置の利点として、道路構造や天候の制約がある場所でも取締りができること、深夜・早朝の取締りに効果があることを挙げているので、時間帯や天候を理由に安心はできません。
■レーダー探知機で移動式オービスは分かりますか?
可搬式にはレーザー式とレーダー式があり、MSSSはレーダー式の一例で、探知機が対応する取締機の種類は製品ごとに異なります。対応製品でもガラスの種類や取付位置などで受信できない場合があるため、県警が公開している取締り予定と標識の速度の確認を基本に、探知機は補助と考えてください。
■家族の車や社用車で撮られたら、誰に連絡が来ますか?
出頭要請は車の所有者宛に届きます。所有者と違反当日の運転者が違う場合は、運転者本人が出頭します。
■出頭要請を無視したらどうなりますか?
撮影後の出頭要請と、反則金の納付を求める告知・通告は別の手続きで、出頭要請を放置した場合の対応を一律に説明した資料は、今回確認した範囲にはありません。指定日に行けない場合や違反に心当たりがない場合は、要請をした警察署の担当部署へ連絡してください。
まとめ
移動式オービスは、通学路や生活道路のように違反車を止める場所がない道路で使うために2016年から配備が進んだ可搬式速度違反自動取締装置で、高速道路で実施予定を公表している警察もあります。
何キロ超過で撮影されるかは、公表資料では共通の基準を確認できず、確かなのは反則金の区分が15km/h未満の超過から始まることです。
撮影されると後日、所有者宛に出頭要請が来て、超過が一般道30km/h未満・高速道路40km/h未満なら原則として反則金、それ以上は刑事手続きになります。
2026年9月1日から、一定の条件に当てはまる一般道路では自動車の法定速度が30km/hになり、対象かどうかは道幅の狭さだけでは判断できません。
中央線・車両通行帯や方向別の分離の有無、道路の区分、標識・標示による指定を確認して適用される最高速度を守る運転を心がけましょう。


