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移動式オービスによる取り締まり|運用が広がっている理由とは?

移動式オービスによる取り締まり|運用が広がっている理由とは?

高速道路などを走行中、オービスがピカッと光ってしまい、心配になった経験をお持ちの方は少なくないかもしれません。近年、オービスの新たな形として「移動式オービス」が運用の幅を広げています。これまでのオービスと何が違うのでしょうか?今回は、移動式オービスについてまとめました。

⏳この記事は約3~4分で読めます。


オービスとは?

《写真提供:photoAC》速度自動監視機設置路線

オービスは、「速度違反自動取締装置」とも言われ、道路を走行する車両のスピード違反を取り締まる目的で設置される装置です。スピード測定器とカメラが組み合わされており、一定速度以上のスピード違反を検知すると、自動的に写真撮影がおこなわれます。この写真には、車両・ナンバープレート・ドライバーなどが記録され、後日通知書が届き、出頭するという流れになります。

なお、「オービス(ORBIS)」という名称は、アメリカ・ボーイング社の商標です。ラテン語で「眼」を意味する言葉から取られました。それがいつしか、速度違反の自動取締装置全体を意味する言葉になりました。セロテープ、オセロ、シャープペンシルなど、もともと商標だったものが、いつしかそのジャンルの代名詞になった例と同じといえます。

通知書の中身は?いつ届くの?

《写真提供:photoAC》通知書ってどんな内容?

通知書は、地域によって書式が異なりますが、一般に「速度違反の疑いがある知らせ」「出頭日時」「出頭場所」「携行品」「注意事項」「問い合わせ先」などが記されています。

ちなみに必要とされる携行品は、「届いた出頭通知書」「運転免許証」「車検証」「印鑑」に加えて、外国籍の方は「パスポートもしくは在留カード」となっているのが一般的です。

通知書が届くまでの期間には、かなりの開きがあります。早ければ数日程度、遅いケースでは1~2か月かかる場合もあります。通知書が早く届くケースは、オービスがデジタル方式で、撮影された画像データが回線を通じて警察へ転送される場合です。一方、オービスがフィルムを使った撮影している方式であれば、担当警察官がフィルムを回収して、写真を現像し、その後発送となるため、通知書が届くまでにかなりの時間を要することがあります。

なお通知書は、ドライバー本人にではなく、車両所有者に届きます。写真撮影されたデータにあるクルマのナンバーから所有者を調べて発送するためです。ですから、クルマを貸していた、家族が運転していたなどの場合でも、所有者宛に届きます。

その場合、身に覚えがない、知らないということもあると思いますが、それでも出頭する必要があります。無視し続けると、逮捕状が請求され、逮捕される可能性さえあります。ですから身に覚えがなくても、無視せず、まずは出頭しましょう。通知書に記載のある連絡先に問い合わせて、指示を仰ぐこともできるでしょう。

ネズミ捕りとの違い

《写真提供:response》ねずみのスー

スピード違反の取り締まりで、オービスと共に代表的なのは、通称「ネズミ捕り」といわれる方法です。

定置式速度取締りともいわれるこの方法には、「レーダー式」と「光電管式」の2種類があり、いずれもスピード違反を検知すると、その先で待機している警察官に連絡が入り、車両停止が求められ、その場で反則切符などが切られます。

オービスを用いる方法との明確な違いは、オービスが「後日」警察署などへ出頭して対応する方法なのに対し、ネズミ捕りはその場で反則切符などの対応がおこなわれるということです。

オービスの主な種類とは?

《写真提供:photoAC》主なオービスにはどんなものがある?

ひと口にオービスと言っても、いくつもの種類があり、速度の測定や撮影方法、フラッシュの位置などが異なっています。主なオービスとして6種類を説明します。

レーダー式オービス

レーダー式オービスは、その名のとおり、レーダーを照射することで走行中のクルマのスピードを検知し、一定以上の速度違反と認めた場合に撮影する方式です。フィルム式カメラが使用されています。

昔から使用されている方式ですが、フィルム式による違反車両の記録は、フィルム切れや故障など信頼性が低いため、デジタルカメラ仕様にアップグレードされたり、オービスとして機能していないものの構造物だけはダミーとして残されている場合もあります。

レーダー式オービスは、市販のレーダー探知機で検知が可能とされています。ストロボは路肩に設置されており、フラッシュの際は赤色に光ります。

ループコイル式オービス

ループコイル式オービスとは、道路上に埋め込まれたコイルを使い、磁場の変化を利用して車速を検知する方式です。

この方式の大きな特徴は、スピード測定が2度おこなわれること。合計3つのループコイルが路面に埋め込まれており、1つ目から2つ目間に1回、2つ目から3つ目間にもう1回、スピード測定します。そして、この2回でいずれも一定以上のスピード違反であった場合に、その先にあるカメラが撮影をおこないます。

こちらもフィルム式による記録がされていましたが、デジタルカメラ仕様にアップグレードされる例が多くなっています。

ループコイル式は、市販のレーダー探知機での検知は難しいとされています。ストロボは路肩に設置されており、フラッシュの際は赤色に光ります。

Hシステムオービス

Hシステムオービスは、レーダーによる車速計測をおこない、デジタル式カメラで撮影する方式です。

阪神高速道路に多く設置されていたことから、その頭文字「H」をとって名付けられたといわれています。従来のレーダー式オービスとは異なり、レーダーの照射パターンを変えることで、市販のレーダー探知機による検知が難しくなっています。また、デジタル式カメラのため、フィルム切れも心配もなく、その点でも従来のシステムよりバージョンアップしたオービスといえるでしょう。

四角いレーダーとカメラが車線上部にあり、赤外線ストロボも道路上に設置されています。フラッシュの際は頭上で赤く光ります。

LHシステムオービス

LHシステムオービスとは、先に挙げたループコイル式とHシステムの2つが合わせた方式です。

ループコイル式で車速を検知しますが、Hシステム式と同様、デジタル式カメラで撮影しデータ送信されます。お気づきのとおり、ループコイル式の「L」と、Hシステムの「H」から、「LHシステムオービス」と呼ばれています。

レーダー照射ではないので市販のレーダー探知機による検知が難しく、外観はNシステムと見分けが付きにくいという特徴もあります。カメラは車線上部にあり、ストロボも同じく上にあります。フラッシュの際は赤色に光ります。

新型小型オービス

新型小型オービスは、小型・軽量で、道幅の狭い生活道路などに設置されることが多いオービスです。

レーザー照射によって車速を測定し撮影をおこないますが、大掛かりなレーダー装置などを必要としないので、幹線道路の抜け道として使われるようなところにも設置できます。実際、電柱と並んで立てられていることも多く、目視だけでは気が付きにくいでしょう。

スピード違反が検知されて撮影された場合、フラッシュの点灯があります。市販のレーダー探知機による検知は、可能なものもありますが、難しいタイプのものも登場しているようです。

移動式オービス

移動式オービスは、名前のとおり、ある場所に固定設置して速度を取り締まるのではなく、場所を移動できるタイプのオービスです。

ハイエースなどのワンボックスカーの後部に搭載された機器から照射するレーダーによって速度測定し、スピード違反の取り締まりをおこなう「車載式」と、軽量かつコンパクトで1人でも持ち運びが可能な「三脚タイプ」があります。

移動式は、車載式でも三脚タイプでも、設置場所は路肩になります。市販のレーダー探知機による検知は、可能なものと不可能なものが存在します。

車載式も三脚タイプも、フラッシュは赤色がほとんどでしたが、最近登場している小型の移動式オービスでは、白色のフラッシュもあるようです。

移動式オービスはこれまでと具体的にどのように違うのか?

《写真提供:photoAC》幹線道路(新川通)に設置された移動式オービス

移動式オービスは、これまでの固定タイプのオービスと、具体的にどこが異なるでしょうか。さらに深堀りしてみたいと思います。

移動式オービス配備の歴史

移動式オービスは、2016年にモデル事業として、埼玉県警と岐阜県警で運用が始まり、それ以来、全国の都道府県警察で配備が進められてきました。

4年が経過した2020年4月時点で、40都道府県に導入。そして2021年9月以降、移動式オービスを最後まで導入してこなかった新潟県での試験運用が開始されます。これにより、47都道府県すべてで、移動式オービスによる取り締まりがおこなわれることになります。

移動式オービスが、固定式オービスと違う部分!

《写真提供:photoAC》速度注意

移動式オービスの最大の特徴は、ズバリ「移動」できることです。当たり前ながら、固定式オービスには絶対にまねのできない特徴であり、移動できることに伴う運用の幅広さが扱う側の魅力のようです。

固定式オービスは、その位置が覚えられてしまうと、当然効果が下がります。スピードを出していたクルマがその区間だけ注意して走行し、通過するとまたスピードオーバーといったことも珍しくありません。インターネット上にはオービスの位置情報も散見されますから、こうした情報に通じている人には、効果が乏しくなります。

一方、移動式オービスは神出鬼没、場所を選ばずに取り締まりがおこなえます。幹線道路の路肩にクルマ1台分のスペースがあれば、車載式のオービスを稼働させられますし、三脚タイプであれば畳一畳分のスペースがあれば設置可能です。

これまで、オービス以外でスピード違反の取り締まりをおこなおうとすると、ネズミ捕りが主な手段でした。そのためには、警察もある程度の人員を用意する必要がありました。ところが、移動式オービスでは1~2名の監視人員だけで事が足り、人手不足といわれている警察側にはメリットが大きいようです。

コロナ禍における移動式オービスの活用拡大

《写真提供:photoAC》マスクをつけた女性

移動式オービスが積極的に運用されつつある状況には、新型コロナウイルスの影響も見え隠れします。

外出自粛などに伴い、クルマの交通量自体は減りましたが、その分、首都高速や阪神高速における暴走車両が急増しているようです。この取り締まりのために、移動式オービスが活躍の場を広げています。本来、幹線道路や生活道路を想定していた移動式オービスが、都市高速道路の取り締まりにまで進出してきているのです。

固定式オービスの場所は、暴走するルーレット族にはよく知られた情報ですが、移動式オービスとなると、どこで取り締まりを実施しているか分かりません。また、2~3時間程度で移動しながら取り締まりをおこなっている場合もあり、警察側も情報共有されない対策を立てているようです。

移動式オービスQ&A

《写真提供:photoAC》可搬式オービス(カメラ本体) 道路背景

移動式オービスに情報について、前述の補足も含めて、Q&Aでお伝えいたします。

移動式オービスは光るのか?

移動式オービスもフラッシュによるサポートを必要とするため、基本的に光ります。ただし、従来通りの赤色なこともあれば、白色な場合もあるようです。

YouTubeなどの動画共有サイトやTwitterなどに投稿されている動画を見る限り、東京航空計器株式会社製の「LSM-300」はハッキリと赤く光っていますが、Sensys Gatso Groupの「センシスMSSS」は白く光っているように見えます。

移動式オービスは何キロオーバーで光るのか?

各都道府県警察は、何キロ以上のスピード違反を、オービスの取り締まり対象にしているか公表していないので、何キロ以上でオービスが光ると断言することはできません。

いくつかのサイトでは、オービスが光る=免停級の速度違反、と解説しているところもあります。ただし、交通事故への社会的懸念が増している現在、速度違反の取り締まりも強化されています。これまでは「赤切符」を対象に取り締まっていたとしても、速度違反基準が下げられていく可能性はあります。

ちなみに、警察庁の公式ホームページにある「令和2年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」という統計資料には、「最高速度違反」についての記載があります。それによると、

・速度50キロ以上:1万1,313件
・速度50キロ未満:14万7,554件
・速度30キロ未満:23万9,883件
・速度25キロ未満:40万6,262件
・速度20キロ未満:35万7,209件
・速度15キロ未満:199件

となっています。

もちろん、この数字にはオービスによる取り締まりだけでなく、速度違反の取り締まりすべてが含まれていますが、全体の30%ほどは「20キロ未満のスピード違反」であることが読み取れます。この数字を考えると、免停級の大幅なスピード違反だけでなく、「これくらいは…」と思うようなスピード超過でも、注意しておいたほうが得策といえるでしょう。なにしろ、1キロオーバーでも、法律上は速度違反になるわけですから。

移動式オービスは、市販のレーダー探知機は効果がある?

市販のレーダー探知機で、検知が可能な移動式オービスもありますが、すべてではないようです。

新たに採用されつつある移動式オービスの「LSM-310」や、光電管式は、市販のレーダー探知機による検知は難しいとされています。

移動式オービスは、どんなところに設置されている?

移動式オービスは、事実上、ほぼどこにでも設置が可能です。そのため、設置場所を絞ることは困難です。クルマ1台分の路肩があれば車載タイプを設置できますし、三脚タイプはさらに小さなスペースで設置可能です。

2021年6月には、埼玉県警によって「光電管式」と「小型移動式オービス」の2段構えによる取り締まりが実施されました。光電管式を超えて油断し、再びスピードを上げたクルマを取り締まる形です。これからは、固定式オービスとの2段構え、といった運用も想定されるかもしれません。

都市高速道路にも、移動式オービスが配置されることはある?

あります。

移動式オービスの活用が増えてくると考えられます。また、「半固定式移動オービス」とよばれるオービスの活用もされているようです。移動式オービスはバッテリーの問題があり、長時間の運用には不向きでしたが、半固定式移動オービスは電源が備わった土台を路肩に設置する形なので、長時間の運用に耐える仕様となっています。

スピード違反による反則金と点数

《写真提供:photoAC》固定式オービス Hシステム(北海道芦別市)

一般道路と高速道路におけるスピード違反の点数と反則金は異なります。2021年9月現在、普通車の場合における違反点数と反則金は、以下のとおりです。

一般道路

・時速50キロ以上:6ヶ月以下の懲役、又は10万円以下の罰金/点数12点
・時速30キロ以上50キロ未満:6ヶ月以下の懲役、又は10万円以下の罰金/点数6点
・時速25キロ以上30キロ未満:反則金18,000円/点数3点
・時速20キロ以上25キロ未満:反則金15,000円/点数2点
・時速15キロ以上20キロ未満:反則金12,000円/点数1点
・時速15キロ未満:反則金9,000円/点数1点

高速道路

・時速50キロ以上:6ヶ月以下の懲役、又は10万円以下の罰金/点数12点
・時速40キロ以上50キロ未満:6ヶ月以下の懲役、又は10万円以下の罰金/点数6点
・時速35キロ以上40キロ未満:反則金35,000円/点数3点
・時速30キロ以上35キロ未満:反則金25,000円/点数3点
・時速25キロ以上30キロ未満:反則金18,000円/点数3点
・時速20キロ以上25キロ未満:反則金15,000円/点数2点
・時速15キロ以上20キロ未満:反則金12,000円/点数1点
・時速15キロ未満:反則金9,000円/点数1点

反則金のうちに払っておこう…罰金はたいへん

《写真提供:photoAC》移動式オービスの特徴は?

交通違反をした場合に支払わなければならない違反金には、「反則金」と「罰金」の2種類があります。この2種類は似ているようですが、まったく異なるものです。

反則金は、軽微な交通違反に該当するものが対象です。一方、罰金は刑事責任を問う刑事罰に相当し、懲役刑や禁固刑と同様の位置付けになります。

もし、反則金の通告を受けても納付しないでいると、道路交通法違反事件として刑事手続きに移行します。過去には、交通違反長期未出頭者に対して、一斉に逮捕状が請求された例もあり、甘く見てはいけません。反則金のうちに払っておいたほうが賢明でしょう。

まとめ

今回は、移動式オービスについて取り上げました。登校中の児童の列にクルマが突っ込む、ブレーキとアクセルを間違えて暴走した車両が人を巻き込んだ、など交通事故にかかわるニュースは社会的な関心が高く、警察も取り締まりを強化しています。その一環で、スピード違反の取り締まりも強化されている印象があります。

前方のクルマにイライラしたり、渋滞で焦ったりした結果、ついスピードオーバーしてしまう、という経験は誰もが1度はあるかもしれませんが、ぜひそんなときこそ、安全運転を心がけたいものです。

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