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2019年の「ながら運転」厳罰化|その効果と取り締まり基準を解説!

2019年の「ながら運転」厳罰化|その効果と取り締まり基準を解説!

2019年に罰則が強化された「ながら運転」。この改正で、罰則はどのように変わったのでしょうか?また、その効果はありましたか?今回は、どんな行為が「ながら運転」に該当するのか、具体例を取り上げながら、まとめました。

⏳この記事は約3~4分で読めます。


「ながら運転」とは?

《写真提供:ぱくたそ》手に持ってスマホの画面を見るのも違反になります。

ながら運転とは、自動車やオートバイを運転中に、「スマートフォン(携帯電話)」「タブレット端末」「カーナビ」などを、注視したり操作したりすることをいいます。

ながら運転は2021年10月現在、「道路交通法第71条第5号の5」により禁止されている行為です。道路交通法第71条は、「運転者の遵守事項」を定めており、「5の5」には、

自動車又は原動機付自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置(その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。第百十八条第一項第三号の二において「無線通話装置」という。)を通話(傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行うものを除く。同号において同じ。)のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置(道路運送車両法第四十一条第一項第十六号若しくは第十七号又は第四十四条第十一号に規定する装置であるものを除く。第百十八条第一項第三号の二において同じ。)に表示された画像を注視しないこと。

と述べられています。内容を簡単にまとめると、「停車しているとき」「急病人の救護や緊急事態」を除いては、

・スマートフォン(携帯電話)などを手に持って通話する行為
・スマートフォン(携帯電話)、タブレット端末、携帯型ゲーム機などを手にもって画面を注視する行為
・カーナビやカーテレビなど車内に固定した画像表示装置の画面を注視する行為

を禁止しています。

「ながら運転」の規制は、いつから始まった?

当時は、「ながら運転」という言葉は使われていなかったかもしれませんが、自動車運転中の携帯電話使用に関する規制が始まったのは1999年(平成11年)でした。内容は、携帯電話等を手に持って通話したり、携帯電話等に表示された画像を注視したりすることで、交通事故などの「交通の危険」を生じさせた場合の罰則規定です。

1999年というと、docomoが「iモードサービス」を開始した年であり、電話番号が10桁から11桁になった年でもあります。そう考えると、早い段階から携帯電話を起因とする交通事故への対策が取り組まれていました。

しかし、こうした取り組みに反して、運転中の携帯電話使用を原因とする事故が急増したため、5年後の2004年(平成16年)に罰則が強化されました。今度は、運転中に携帯電話を保持しているだけで罰則が科せられるようになったのです。そのため、携帯電話を手に持たずに通話できる「ハンズフリー通話」のアクセサリーが注目を集めました。

そして、2019年(令和元年)12月1日から、さらに罰則が強化されることになりました。

どうして「ながら運転」の罰則が強化されたのか?

《出典元》警視庁ウェブサイト

「ながら運転」の罰則が強化された背景には、運転中のスマートフォンやタブレット端末の使用による事故発生件数の増加があげられます。

自動車運転では、わずかな時間でもスマートフォンに気を取られれば、前方確認がおろそかになり、悲惨な交通事故につながる危険性があります。例えば、時速40kmで走行する自動車は1秒間に約11m、2秒間で約22m進みます。時速60kmであれば1秒間に約17m、2秒間で約33mむ計算です。当然、この間に起きる信号の変化や歩行者・自転車による飛び出しに対処するのは難しく、重大な事故に至りかねません。

スマートフォンやタブレット端末の普及とともに、この種の事故が増えてきました。警視庁によると、「ながら運転」を原因とする人身事故件数は、2013年(平成25年)が2,038件だったのに対し、2018年(平成30年)には1.4倍の2,790件へと大きく増加。こうした社会問題に対応するため、厳罰強化が図られることになりました。

「ながら運転」の反則金と点数

《写真提供:ぱくたそ》交通反則告知書

2019年12月に「ながら運転」に罰則が強化されました。禁止事項に変更はなく、罰則がそのまま重くなっています。

では、どのような内容に改正されたのでしょうか。ここでは、改正前の罰則と、改正後の罰則を比較してみたいと思います。

改正前

■携帯電話の使用等(保持)

これには、通話(保持)・画面の注視(保持)が関係します。

・罰則:50,000円以下の罰金
・反則金:大型車7,000円/普通車6,000円/二輪車6,000円/原付車5,000円
・点数:1点

■携帯電話の使用等(交通の危険)

これには、通話(保持)・画面の注視(保持)のほか、画像注視(非保持)が関係します。

・罰則:3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
・反則金:大型車12,000千円/普通車9,000円/二輪車7,000円/原付車6,000円
・点数:2点

改正後

■携帯電話の使用等(保持)

これには、通話(保持)・画面の注視(保持)が関係します。

・罰則:6ヵ月以下の懲役又は100,000円以下の罰金
・反則金:大型車25,000円/普通車18,000円/二輪車15,000円/原付車12,000円
・点数:3点

■携帯電話の使用等(交通の危険)

これには、通話(保持)・画面の注視(保持)のほか、画像注視(非保持)が関係します。

・罰則:1年以下の懲役又は300,000円以下の罰金
・反則金:適用なし
・点数:6点

改正前と改正後を比較してみると…

改正後の罰則では、運転中にスマートフォン(携帯電話)で通話したり、タブレット端末の画面を注視したりする、つまり「携帯電話の使用等(保持)」に該当すると、「6ヵ月以下の懲役又は100,000円以下の罰金」が科されるようになりました。改正前と比べると、新たに「懲役」が加わり、さらに罰金は「50,000円以下」から「100,000円以下」になって、金額が2倍になっています。

さらに、「ながら運転」によって事故などの「交通の危険」を生じさせた場合、改正後は「1年以下の懲役又は300,000円以下の罰金」となり、反則金の適用がなくなりました。点数も改正前の2点から、3倍の6点になり、免許停止となります。

この反則金がなくなったという部分は、かなりの罰則強化です。反則金は、交通反則通告制度に基づいた「行政処分」ですが、懲役や罰金は「刑事処分」です。刑事処分となれば、検察庁などへ任意出頭が通知され、通常の刑事事件として扱われます。裁判で有罪となれば、「前科」がつくことになります。

罰則強化で事故率は変化した?

《写真提供:イラストAC》DOWN!_シンプル

では、こうして罰則が強化された結果、交通事故の減少など、効果はあったのでしょうか?発表されているデータを基に見てみましょう。

施行後、最初の3ヵ月はどうだったか?

厳罰化が実施された2019年12月から2020年2月までの3ヵ月間について、警察庁が発表した数字に注目してみましょう。

■取り締まり件数

2019年12月から2020年2月までの3ヵ月間における、ながら運転の取り締まり件数は「6万4,617件」でした。前年同期には「17万2,465件」でしたから、比べると実に62.5%も減少したことになります。

■交通事故件数

ながら運転による交通事故の件数は「363件」で、これは前年同期の「660件」と比べて、45%減少したことになります。死亡事故は7件、重傷事故は34件で、それぞれ前年同期よりも減少しました。

なお、都道府県別でみると、363件のうち、福岡県が最多の40件、東京都と埼玉県が28件で続き、兵庫県が23件となっています。

こうして比較してみると、取り締まり件数が63%減、交通事故件数が45%減ですから、「ながら運転」の厳罰化に伴う、取り締まりの強化や危険性の周知は、ひとまず非常に大きな効果をもたらしたといえるでしょう。

厳罰化の効果は、どうやら最初だけではなさそう!

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉もあるように、こうした罰則強化も一時的な効果しかない、という懸念もあったかもしれません。しかし、その後に発表されたデータを見ても、「ながら運転」の厳罰化は、ドライバーの意識そのものに変化をもたらしているようです。

2020年7月に警察庁が発表した、2020年1月~6月(上半期)の道路交通法違反取締り状況では、携帯電話の使用などによる違反が、前年比60.2%減の「15万3,001件」となり、大幅に減少しました。

もちろん、この時期は新型コロナウイルス(COVID‑19)の蔓延に伴う交通量の減少がありましたから、単純な比較は難しくなります。とはいえ、前述にある「2019年12月から2020年2月までの3ヵ月間」とほぼ同じ減少幅がその後も続いていると考えれば、罰則強化によるものと言えそうです。

どんな行為が「ながら運転」に該当するのか?その罰則基準とは?

では、何を、どこまですると「ながら運転」になるといえるのでしょうか?具体例を挙げて、まとめていきたいと思います。

その前に、道路交通法にある「注視」の意味について、まとめてみたいと思います。

「注視」とは?

《写真提供:photoAC》道がわからなくなり、スマホのカーナビを眺める男性

「ながら運転」に関する道路交通法には、スマートフォン(携帯電話)などを手に持って通話する行為を禁じているほかに、スマートフォンやタブレット端末、携帯型ゲーム機などの画面を注視する行為を禁じています。この注視とは、どれくらいの時間、画面を見ることなのでしょうか?チラッと見るのは、注視なのでしょうか?

結論から述べると、2021年10月現在の道路交通法に、何秒以上画面を見たら注視にあたるのか、具体的で定義はありません。

辞書を調べると「注意してじっと見ること」といった定義がなされています。そのまま解釈すれば、一瞬チラッと見る程度であれば、注視には該当しないと考えるかもしれませんが、画面を見ていた秒数にかかわらず、注意して見ていたのであれば、それは注視にあたると解釈される可能性も十分にあります。

調べてみると、いくつかのメディアでは注視を「2秒以上のことを言う」と定義しています。出典を深堀りしていくと、20年近く前に国家公安委員会がカーナビ事業者向けに告示した「国家公安員会告示第12号」にたどり着きました。そこには、「走行中の運転者への情報提供」の項目に「注視(おおむね2秒を超えて画面を見続けることをいう。)」という一文を見つけられます。

しかしこの告示は、ながら運転の注視を定義した文書ではなく、解釈の参考になるものにすぎません。実際、あるメディアがながら運転について警視庁に問い合わせをしたところ、「取り締まりの統一された基準はない」との回答を得ています。

そもそも、自動車運転には道路交通法第70条第1項で「安全運転義務」が明示されており、注視の秒数にかかわらず、安全運転義務違反で取り締まり対象となる可能性があります。こうしたわけで、秒数を基に、取り締まりの対象なのか否かを判断するのは難しいようです。

ハンズフリーでの通話は大丈夫?

道路交通法の条文には、スマートフォンや携帯電話などの無線機器について、「手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る」と述べられています。つまり、手に持たない状態での通話使用は、この規制の対象外と考えられます。

ただし、これは道路交通法で対象外なだけで、各都道府県の条例に違反する可能性があります。というのも、多くの都道府県では、安全な運転に支障をきたすため、周囲の交通の音が聞こえなくなるようなイヤホンの使用を禁止しているからです。ハンズフリーのアクセサリーがその取り締まりの対象になるかは判断の難しいところですが、用心するに越したことはないでしょう。

信号待ちで停車中は?

道路交通法の条文には、「自動車等が停止しているときを除き」とあります。信号待ちの停車中や待ち合わせなどで路肩に停車しているときは、たとえエンジンをかけている状態であっても、「停車」していますので、「ながら運転」では規制の対象外となります。

渋滞中のノロノロ運転中にスマートフォンの操作をしたら?

渋滞時のノロノロ運転は、止まったり動いたりを繰り返している状態ですが、わずかでも車が動いていれば「停止」にはあたりませんので、その時点で規制の対象となります。

タクシーの無線機は?

タクシーに乗ると、無線機でドライバーに連絡が入ってくるのを目にするでしょう。あの無線機の通信は、「ながら運転」の規制対象なのでしょうか?

道路交通法の条文には、無線通話装置について、「その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る」とあります。タクシーなどで使われている車載型無線機は、マイクと本体部分が分離しているものであるため、手に保持しなくても受信できるものであり、この規制の対象外となります。

速度計・走行距離計などのデジタル表示は?

最近では、速度計や走行距離計などをデジタル表示したり、車載モニターにさまざまな機能を追加したマルチインフォメーション・ディスプレイを搭載した車両も増えています。現時点で、これらは「画像表示用装置」には含まれないとされているようです。

まとめ

《写真提供:photoAC》自動車 運転 スマートフォン

今回は、「ながら運転」をまとめました。

スマートフォンや携帯電話、タブレット端末はたいへん便利で、生活に欠かすことのできないものになっています。一方で、運転中にそれらを使用してしまうことで、交通事故の増加がみられ、取り締まりが強化されました。いつ何時かかってくるか分からないため、反射的に手が伸びてしまうかもしれません。

あらかじめ、「ながら運転」をしない対策をたてる共に、今回の記事を頭の片隅において、そうした際に思い出していただけたら幸いです。

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