クルマの買い替えにはタイミングが重要!
《写真提供:photoAC》お得に買い替えるためには、タイミングが重要!
クルマの買い替えには、ベストなタイミングがあります。しっかりとタイミングを見極めれば、お得に買い替えられます。そこで重要になってくるのが、いま乗っているクルマの寿命を知ることです。
クルマの寿命の目安にされるのは、「購入からの年数」と「走行距離」です。
ひと昔前まで、クルマは新車購入から10年、走行距離は10万kmが、寿命の目安とされてきました。しかし技術の進歩と共に、今では新車購入から10年以上経っても、走行距離が10万kmを超えても、まだまだ元気に走れるクルマが増えています。
では、一般的なクルマの寿命とはどの程度でしょうか?
■平均的なクルマの寿命とは?
一般社団法人日本自動車工業会が発表した、2019年度「乗用車市場動向調査」では、自動車の平均保有期間は「7.1年」でした。つまり、1度取得したクルマを7~8年で手放す人が多いということです。つまり、そのタイミングが、平均的な買い替えタイミングと言えるでしょう。ただし、これはクルマに寿命が来たから買い替えたとばかりは言えないようです。
一般財団法人自動車検査登録情報協会が公表したデータによれば、2020年3月末の乗用車(軽自動車を除く)の「平均使用年数」は13.51年でした。これは5年連続の増加です。この「平均使用年数」とは、クルマを新車で登録してから抹消登録手続きをするまでの年数を言います。ですから、このデータによればクルマの寿命は13~14年が平均値だと読み取れます。ただし、この抹消登録には永久抹消登録だけではなく、一時抹消登録も含まれているので注意も必要です。
さらに、同じく一般財団法人自動車検査登録情報協会が公表している乗用車(軽自動車を除く)の「平均車齢」は、8.72年でした。「平均車齢」とは、ナンバープレートを付けている自動車が初度登録してから経過した年数の平均で、人間に例えるなら平均年齢に相当します。そして、この数値は28年連続して伸びています。ということは、日本全体で自動車の高齢化が進んでおり、「なるべく買い替えず、少しでも長く乗ろう」とする傾向が強くなっていると分析できます。
■法律面から見たクルマの寿命とは?
法律面から考えるクルマの寿命は、もっとシビアです。
事業用として新車購入したクルマは経費として計上できますが、減価償却の法定耐用年数は、「普通自動車で6年」、「軽自動車で4年」と定められています。この法定耐用年数とは、国によって定められた利用に耐える年数を指します。平たくいうと、普通自動車であれば新車登録から6年、軽自動車で4年は資産として認めます、ということです。裏を返すと税法上は最大6年で資産価値がゼロ、つまり資産としては寿命を迎えたことになります。
もちろん、普通の使い方をしていれば、クルマが6年で使い物にならなくなってしまうことはないでしょう。新車登録から6年以上が経過したクルマでも、まだまだ高値で取引されます。とはいえ、税法上は6年が寿命というわけです。
自分のクルマを基準に考える買い替えタイミング
《写真提供:photoAC》いま乗っているクルマのどこを見ると、タイミングが分かる?
■走行距離
走行距離は、クルマ買い替えを判断する大きな要因です。一般的には、走行距離が10万kmになるタイミングで買い替えを検討される方が多いようです。
というのも、クルマの主要部品の中には、走行距離10万kmごとに定期交換が必要なものがあるからです。代表的なのは「タイミングベルト」と呼ばれる部品です。エンジンのクランクシャフトの回転を、カムシャフト・バルブに伝えて同期させる働きをする部品で、多くのメーカーでは10万km前後での交換が推奨されています。もし運転中に切れてしまうと、勢いでバルブやピストンにぶつかって、エンジン自体を損傷させてしまう危険があります。
他にも、「ブレーキホース」も10万kmでの交換がすすめられる部品です。大量に漏れが発生すれば、ブレーキが効かなくなってしまう恐れもあり、事故に直結します。さらに、冷却水をエンジン内で循環させる「ウォーターポンプ」、冷却水の循環をコントロールする役割も担う「サーモスタット」など、多くの部品が10万km前後には交換を必要とします。
こうした修理費がかさんでしまうくらいなら、その分を新車購入の代金に充てたほうがよいと考える人も多いようです。
■購入から10年
新車購入からの年数で、買い替えタイミングを判断する方法もあります。10年をひとつの目安にしておられる方も多いようです。
中古車業界では「10年落ち」つまり新車購入から10年経ったクルマをひとくくりにして、査定する言葉が存在します。10年が経過すると、クルマの価値が一段と低くなってしまうようです。
走行距離はさほど多くなくても、10年が経過すると、どうしても各パーツに劣化が生じてきます。そうなると、エンジンにも不具合が目立つようになり、故障や修理のリスクも増加します。まだまだ走るかもしれませんが、いきなり故障してクルマが使えないといった事態は避けたい事柄です。こうした面からも、10年をひとつの買い替えタイミングにできます。
■車検
車検のタイミングで、クルマの買い替えを考慮される方は多いでしょう。
新車購入の場合、車検は最初が3年目、以降は2年ごとに5年目、7年目と続いていきます。買い替えタイミングとして、3年目、5年目、7年目、13年目は、節目といえるタイミングです。
3年目
新車購入から3年目は、メーカーの「一般保証」が切れるタイミングにあたります。
新車保証とも呼ばれるこのメーカー保証は、一般保証と特別保証の2つで構成されており、消耗部品などを除きほとんどの部品を保証している一般保証は3年で切れてしまいます(ただし、走行距離6万km以内)。そのため、新車購入から3年目の車検を買い替えの目安にしている方が多いようです。
3年目は中古車市場でも高い値が期待できるタイミングなので、少しでも高く売って、新しいクルマの足しにしたいと考える場合、有効なタイミングとなるでしょう。
5年目
新車購入から5年目は、メーカー保証のうち、エンジンやステアリング、エアバッグなど、走行や安全に関わる重要な部品を保証する「特別保証」が切れるタイミングです(ただし、走行距離10万km以内)。
今後は、重要な部品でも壊れた場合には保証がなく、かなり高額な修理となる可能性が高いため、まだ売却価格を見込めるうちに買い替えようと考えるタイミングです。
7年目
新車購入から7年目は、一般社団法人日本自動車工業会が発表した、2019年度「乗用車市場動向調査」で示された自動車の平均保有期間「7.1年」に合致するタイミングです。新車購入から3度目の車検を受けるタイミングであり、これからは市場価格がどんどん下がっていきます。
13年目
ガソリン車であれば、新車購入から13年目は毎年納める自動車税(軽自動車税)と、車検時に納める自動車重量税が増すタイミングです。この時の自動車税は、重課率が約15%(軽自動車税は約20%)にも及びます。自動車重量税は一律ではありませんが、13年経過で約40%増(軽自動車は13年経過で約24%増)です。
13年目の車検を境に、毎年あるいは2年ごとに、大きな出費となることを考え、買い替えを判断される方も多いようです。
これから購入するクルマを基準に考える買い替えタイミング
《写真提供:photoAC》新しく取得するクルマを基準に考えると?
■決算時期の前
これから購入する新しいクルマをお得にGETできるタイミングで買い替えるのも良い方法です。
そのために、決算期をねらう方法があります。決算期は、販売店側が1台でも多くクルマを売りたい時期なので、特別なキャンペーンや値引きに力を入れています。一般的に、クルマを購入するなら3月と9月の決算期前をねらうと有利です。
一方、買い替えにはいま乗っているクルマを売ることも関係します。いま乗っているクルマを高く売れれば、お得に買い替えたことになるでしょう。ですから、高く売れる時期を見定めることも良い方法です。その場合、クルマの需要が高まる3月に向けての12月~2月くらいの時期が買取が強化されており、高値で売れる期待が持てるねらい目です。
■モデルチェンジ期
購入の視点から見ると、まもなくモデルチェンジが行われる、もしくは新モデルが発表されたというタイミングは、買い替え時期にお得な時期です。古いモデルとなってしまうクルマは、安く売りだされるからです。もし新型にこだわらないのであれば、充実した装備のグレードをお得に手にするチャンスです。
売却の視点から見ると、新型モデルが発表されるなら、いま乗っているクルマは1代前のクルマになり、それだけ市場価値が下がります。ですから、いま現行モデルに乗っており、まもなくモデルチェンジが行われるのなら、買い替えを検討する良いタイミングでしょう。
クルマの買い替えをする前に準備するべきこと
《写真提供:photoAC》買い替え前に準備すること
■ローンの有無の確認
買い替えにクルマの売却が関係する場合、ローンが残っていないか、確認する必要があります。
ローンが残っているとクルマの所有権は、ローン会社やディーラーになっており、そのままではクルマを売却できません。そのためローンが残っていないか事前に確認して、もし残っている場合には一括返済して、所有権を取得しておく必要があります。
■下取りに出すか、買取に出すかを決める
クルマを手放す場合、主に2つの方法があります。「下取り」と「買取」です。
「下取り」とは、いま乗っているクルマをディーラーや自動車販売店に引き取ってもらい、その代金を新しく買うクルマの費用に充てる方法です。同じディーラーや自動車販売店で手続きが行えるので、手間もかからず便利です。一方、価格はあまり高くなりません。
「買取」とは、クルマ買取業者に査定してもらい、売却する方法です。下取り価格と比べて高値が付くことが多く、しかも純正装備やオプション装備などを有利な要素として判断してもらえます。デメリットは、下取りと比べて手続きが面倒になります。購入と買取のタイミングを計ったり、書類を用意したりと、自分で行わなければならない手間は確実に増えます。
買い替え時の注意点
《写真提供:photoAC》買い替え時の注意点とは?
■必要書類の準備
クルマの買い替えに必要な書類も、可能な範囲で事前に準備しておくとよいでしょう。注意点は、普通車と軽自動車で、必要な書類が異なることです。
購入に際して必要な書類関連は、
・印鑑証明書(市区町村の役所で取得。軽自動車の場合は不要)
・実印(軽自動車の場合は認印でもOK)
・自動車検査証(販売店が用意)
・自賠責保険証(販売店が用意)
・委任状(販売店が用意)
・自賠責保険証
・車庫証明書(軽自動車では、一定の条件にあてはまる地域で必要)
となります。
一方、売却時に必要な書類関連は、
・印鑑証明書(市区町村の役所で取得。軽自動車の場合は不要)
・実印(軽自動車の場合は認印でもOK)
・自動車検査証
・自賠責保険証
・自動車税納税証明書
・リサイクル券
・委任状(軽自動車の場合は不要)
・譲渡証明書(軽自動車の場合は不要)
です。
■任意保険の切り替え
クルマの買い替えが決まったら、自動車保険の任意保険会社に「車両入替の手続き」の連絡が必要です。任意保険は、契約するクルマを対象に補償するものなので、買い替えても手続きをしなければ有効に働きません。
任意保険は、1台のクルマに同時に2つの契約を付けられないため、入替前のクルマの売却や譲渡が完了しているか、新しいクルマの車検証が交付されているかなど、幾つかの条件やステップを確認します。
運転に慣れていない新しくクルマですから、事故の可能性はいつもよりも高くなります。いざという時に保険が使えないようでは困りますから、車両入替の連絡は早めに行い、手続きの手順などを確認しておくことをおすすめします。
まとめ
《写真提供:photoAC》買い替えにベストなタイミングを見極めよう!
今回は、クルマの買い替えのタイミングと、お得に買い替えられる時期について解説しました。クルマの買い替えはタイミングを見極めると、お得にカーライフを過ごせます。ぜひ事情に合ったベストなタイミングを探ってみてください。