自動車保険の補償内容を比較する
自動車保険の補償内容を比較してみましょう
任意で加入する自動車保険の補償内容は、次の3つに大きく分ける事ができます。
1.賠償責任保険
2.傷害保険
3.車両保険
このうち、賠償責任保険には「対人賠償保険」と「対物賠償保険」の2項目が含まれ、傷害保険には「人身傷害補償保険」「搭乗者傷害保険」「自損事故保険」「無保険車傷害保険」の4項目が含まれます。
これに車両保険を加えた7つの保険が、自動車保険の基本補償内容となります。任意自動車保険を比較検討する場合、この7つの基本補償内容と補償の範囲を理解しておくとよいでしょう。
それでは、それぞれの補償内容と、補償範囲の目安を解説していきます。
■対人賠償保険
この場合の「対人」とは「他人」の事なので、自分の家族は含まれません。
対人賠償保険は、運転中の事故などにより、相手にケガをさせたり死亡させてしまった場合に、相手への賠償金額を補償する保険です。この保険の補償は、自賠責保険の補償を越えた金額からになります。
対人賠償保険は、補償が高額になる場合があるので、無制限に設定するのが一般的です。
なお、自賠責保険の補償は、ケガで120万円、後遺障害で4,000万円、死亡で3,000万円が限度額となっています。
■対物賠償保険
対物賠償保険は、他人の「物」に損害を与えてしまった場合の、賠償金額を補償する保険です。
対物の損害賠償金額も、高額な補償に備えて、対人賠償保険と同様に無制限に設定する事をおすすめします。
■人身傷害保険
人身傷害保険は、自動車事故により、搭乗者がケガをしたり死亡してしまった場合に、予め決められた補償金額が補償される保険です。運転者も含む、契約車の搭乗者が補償の対象になります。
自分の過失に関係なく、予め決められた金額を上限に、ケガの場合は治療費を全額、死亡の場合には保険金を全額補償される保険です。
この人身傷害保険は一般に、範囲が狭い補償と、広い補償の2つがあります。
範囲の狭い補償:契約車に乗っている時のみの自動車事故に限定した補償
範囲の広い補償:契約車以外の車に乗っている時や、車に乗っていない時の自動車事故まで補償
2台目以降の車がある場合には、1台目を範囲の広い補償にして、2台目以降は狭い補償にするなど、補償内容が重複しないように工夫する事がポイントです。なお、保険金額の上限(死亡保険金)は、3,000万円〜5,000万円で設定する場合が一般的です。
■搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険は、自動車事故により搭乗者が死傷した場合に、入院日数や症状別など、契約時に設定した定額の保険金が支払われます。こちらも、契約車の搭乗者が補償の対象になります。
人身傷害保険と内容は似ていますが、治療にかかった費用が全額支払われる人身傷害保険とは違い、搭乗者傷害保険の場合は、負傷部位や症状別に、決められた治療金額が支払われます。この搭乗者傷害保険の死亡保険金の設定は、1,000万円に設定する場合が多いようです。
保険の内容が重複するため、搭乗者傷害保険には入らないケースも多く、最近では基本補償ではなく特約として設定されている場合もあります。保険料を抑えたい方は、外してもよいかもしれません。
■自損事故保険
自損事故保険は、契約車を運転中にその車のみの単独事故によって、ケガや死亡した時に保険金を受け取れる保険です。自損事故保険も、契約車の搭乗者が補償の対象になります。
自損事故保険は、対人賠償保険に自動的に付帯される事も多く、人身傷害保険や搭乗者傷害保険とも補償内容が重複しているため、必ず入ったほうがよいというわけではありません。
保険会社によって、自損事故保険がない事もあるので、念のため確認しておきましょう
■無保険車傷害保険
任意保険に加入していない車との事故で、補償内容が不十分だった場合に保険金を受け取れる保険です。ひき逃げなどで相手がわからない場合にも、補償されます。
ただ、この保険の限度額は、死亡と後遺障害のみの4,000円までで、ケガの場合には自賠責保険によって補償されます。
また、契約車運転中の事故の場合には、搭乗者全員が補償の対象になりますが、契約車以外の車に乗っていた場合や、車に乗っていない時の事故の場合には、補償の対象は本人と家族までになります。
この保険は、自動車保険に自動的に付帯される事が多い保険ですが、重要な保険のため必ず確認しておきましょう。
■車両保険
車両保険は、契約車に対する損害を補償する保険です。車本体の損害は、さまざまなケースが考えられ、その補償条件は非常に広くなります。
そのため、車両保険の補償内容は、次の3つに大きく分けられます。
1.一般補償
車と車の事故、台風や落下物、盗難、自損事故、自転車との事故など。
2.車対車+α
車と車の事故に加えて、台風や落下物や盗難などまで。
3.車対車のみ
車と車の事故のみ。
この車両保険含め自動車保険は、利用すれば(ノーカウント事故を除く)次年度から等級がダウンします。
そのため、修理費用と保険の等級がダウンした事による保険の増額分を照らし合わせて、車両保険を使うのかどうかを判断しなければいけません。一般的には、10年落ちの車になると車両保険に入らない選択をする方が多いようです。
自分の車には車両保険が必要なのかどうか、よく検討してみる必要があります。また、車によって保険料のクラス分けがされているので、契約する車のクラスを調べてみるとよいでしょう。
自動車保険の特約を比較する
自動車保険の特約を比較してみましょう
自動車保険は、基本補償にプラスして、補償をより充実させるために「特約」を付帯できます。
■弁護士費用特約
弁護士費用特約は、ほぼすべての保険会社にある特約です。
一般的に、自分に過失のない事故の場合には、保険会社が示談交渉を行う事ができません。この場合に弁護士費用特約を付けておけば、示談交渉を依頼する事ができます。
また、弁護士費用特約を使っても、保険の等級に影響しないため、弁護士費用特約は、付けておいた方がよい特約といわれています。
■個人賠償責任保険特約
個人賠償責任保険特約は、契約者本人とその家族が日常生活において、他人や物に損害を与えてしまった場合の補償になります。
子供がいる方や、犬を飼っている方におすすめの特約です。保険会社によって、特約の条件は違いますので、確認しておきましょう。
■その他の特約
この他にも、125cc以下の原付バイクが対象の「ファミリーバイク特約」や、前述の7つの基本補償内の、無保険車傷害保険や搭乗者傷害保険などは、特約として設定されている場合も多くなってきています。
保険会社の特約の種類は、さまざまなので、こちらもよく確認しておく必要があります。
自動車保険の運転者の条件で比較する
自動車保険の特約を比較してみましょう
運転する人を限定したり、運転者の年齢を限定したりする事でも、保険料は違ってきます。運転者の条件を変更した時に、保険料がどう変わるのか、調べてみましょう。
この運転者の条件に関しては、「運転者限定特約」として、設定されている場合もあります。
■運転者の範囲を限定する
運転する人の範囲を限定する事ができます。
運転者を「契約者本人限定」「本人と配偶者のみに限定」「本人と配偶者と、その家族までに限定」または「限定しない」など、家族構成によって運転者を限定でき、運転者を限定するほど保険料が安くなります。
■2.運転者の年齢を限定する
運転者の年齢も限定する事ができます。
運転者を「年齢制限なし」「21歳以上に限定」「26歳以上に限定」「35歳以上に限定」など、運転者の年齢も限定でき、限定する年齢が上がるほど保険料が安くなります。
まとめ
自動車保険の補償内容をしっかり理解しましょう
自動車保険を扱う保険会社は多くありますが、補償の内容に関しては、どの自動車保険もそれほど大きな差はありません。大切な事は、自動車保険の補償内容をしっかり理解する事です。
保険の補償内容と、保険料を、適切なバランスで設定するのは、なかなか難しい事ですが、自分に必要のない補償内容を判断し、特約の付帯などを工夫すれば、より良い保険内容にカスタマイズすることができます。
もしもの時のために加入する自動車保険なので、できるだけ、納得のいく保険内容で契約する事が大切です。