1969年に発足 日本自動車研究所(JARI)
財団法人日本自動車研究所(JARI)は1969年に自動車に関する総合的な研究を行う組織として発足しした組織です。
2003年には日本電動車両協会(JEVA)と財団法人自動車走行電子技術協会(JSK)とを統合して、新生JARIとなりました。
現在は、東京と茨城県つくば市(研究所)、城里町(テストコース)の3カ所に拠点をもち、自動車に関する研究のほか、規格化・標準化へ向けた協力や提言、調査業務などをおこなっています。
Webサイト
JARIは中立機関として、自主研究の他に、各自動車メーカー/部品メーカーなどからの委託された調査・研究、国や外郭団体(NEDOなど)からの依頼を受けた調査業務などを中心におこなっています。
つくば研究所
現在、つくばには「衝突試験場」「HYGE衝撃試験装置」「ダイナモメーター設備」「全方位視野ドライビングシミュレータ」、そして「模擬市街路」という5つの設備がある。これらの多くは2005年以降、新たに導入された評価機をそろえており、日本でも有数の実験施設だ。
衝突試験
2005年4月に完成した衝突試験場は、日米欧で安全基準が大幅に強化されるなか、多様な衝突安全評価のニーズに対応すべく建設された。4ヶ所の衝突エリアを持ち、上空から見ると助走路が放射状に伸びていることが確認できる。乗用車、二輪車、トラックなどの衝突試験をはじめ、ムービング・デフォーマブル・バリア(MDB)などを用いた衝突試験および交通事故の再現試験などがおこなわれる。
実車両を用いた衝突実験
コンピュータモデルによる衝突シミュレーション
車載フルHDカメラ搭載、シミュレーター機能を持つ試験車両 JARI-ARV(拡張現実 実験車)
日本自動車研究所(JARI)は、実際の車両にドライビングシミュレーターの機能を持たせた「JARI-ARV(拡張現実 実験車)」という車両を開発しています。
JARI-ARV。ドライビングシミュレーターとしても使える実車として開発された。
JARI-ARVはスバル『レガシィ』をベースとしており、ボンネット上に搭載されたフルHDのビデオカメラを設置。このカメラが撮影した映像をフロントガラス前方に配置した3台の42インチにモニターへリアルタイムで映し出すようになっており、運転者はこの映像を見ながら走行することになる。
3枚の大型モニターによって、運転者の前方視界は完全に確保されている。
モニターから流れる映像にはCG(コンピューターグラフィックス)による車両や歩行者を重ねて表示することが可能で、これによって交通事故に発展しやすいシチュエーションを実車で、実際のテストコースを走行しながら体験することができることが最大の特徴となっている。
実際の映像だけでなく、CGを重ねて表示させることも可能
こうした機能を持つ試験車両は世界的にも例が無く、JARIではこの車両を用い、交通事故を未然に防ぐための予防安全技術の研究に役立てていくとしている。
国内初となる自動運転車両の評価拠点「Jtown」を開設
日本自動車研究所(JARI)は、自動運転車両の評価拠点となる「Jtown」を茨城県つくば市内に開設した。雨や霧などの悪天候を再現できる屋内施設(特異環境試験場)を新設。既存の市街路も自動運転のテストに使えるようにしている。
次世代技術として注目されている自動運転車両だが、これまでは日本国内にその機能を試せるようなテストコースはなく、自動車メーカーや部品のサプライヤーからは「公道へ出す以前にテストコースで自動運転車両の安全性を確認したい」とか、「テスト中に明らかになった課題をテストコースで再現し、対策の検討を行ないたい」といった要望が高まっていた。
屋内試験場では雨天環境を作り出すことができる。
濃霧の状況も再現可能。
このためJARIでは「実際の交通環境で起きうる様々な状況を再現できる、自動運転車両用テストコース」の設置を計画。経済産業省から「自動運転評価拠点整備事業」として補助金を得て、悪天候の再現を目的とした屋内試験施設を新設したほか、従来は交通事故の研究に用いてきた市街路を模した屋外テストコースも自動運転車両に対応させた。
柱となるのは「特異環境試験場」と呼ばれる屋内試験施設で、雨や霧を再現できるほか、夜間や日の出/日の入り時の逆光環境などを作り出し、安定した状態で反復したテストが行えるようになっている。