日本では見ることが少ない韓国車
日本ではあまり見かける事のない韓国メーカーの自動車ですが全く売れていないということはありません。韓国車メーカーが主に力を入れている販売国はアメリカや、母国の韓国です。
2018年上半期のヒュンダイ自動車(大韓民国で最大手の自動車メーカーです)の世界新車販売台数は224万2900台と決して低い数字ではありません。そのうち、海外市場での販売台数は約188万となり、韓国国内の販売は35万台ほどとなっています。同時期の販売台数を見るとホンダの世界販売台数が226万3159台、国内販売台数が約38万台ですので、比較をしても引けを取る数字ではないことがわかると思います。
■世界シェアにおいてもトヨタ、GMにつぎ5位に位置
直近のデータでも世界販売シェアにおいてヒュンダイ自動車は5位に位置しています。
順位 | メーカー | 台数 | |||
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1位(1) | フォルクスワーゲン(VW) | 1083万台(1%) | |||
2位(2) | ルノー日産三菱 | 1076万台(2%) | |||
3位(3) | トヨタ | 1059万台(2%) | |||
4位(4) | ゼネラルモーターズ(GM) | 838万台(▲13%) | |||
5位(5) | ヒュンダイ | 740万台(2%) |
この順位を見てもわかる通り、ヒュンダイ自動車といった韓国車は日本でこそあまり見かけることもありませんが世界を見れば売れているのがわかると思います。
韓国車が日本で売れない理由とは
韓国車は世界で「売れている」といっても過言ではありませんが、何故日本では売れないのでしょうか。ヒュンダイ自動車は2000年に中型セダン・ソナタを中心に日本市場に進出してきましたが、ほとんど売れずに2009年には商用車以外を残して撤退しています。その理由は様々ありますので紹介していきます。
■日本人の購入動機を把握できていなかった
日本人の購入動機で重要視する部分は「購入後のアフターサービスが楽に受けられる」ことです。海外の販売店は「購入までが大事」であり、その後は購入者の自己責任となる事が多いですが、日本では購入後の付き合いも重要視されています。
また、中型車よりも小型車の方が好む事が多いのでヒュンダイ自動車の販売戦略では日本の自動車購入動機を正確に把握する事ができていなかったからです。
■価格は日本車とほぼ同じだが品質が低いと言われている
日本からでなく自国のネットユーザーからも「日本は細かいところまで精密に作るからそれと比べられたらかなうはずがない」や「日本の品質に勝てるわけがない」と品質の違いを指摘する声が多くありました。また、日本車とほぼ同じ値段で売られていて値引きを視野に入れるなら韓国車の方が高くなります。品質が低く、日本車より高ければメリットも感じませんので購入する側としては韓国車を買う理由がなくなります。
■韓国に対するイメージが良くない人もいる
韓国の製品について「品質が悪い」や「粗悪品を売っている」というネットユーザーの声や「韓国車は雨漏りする」という悪い話を耳にする機会もあり、韓国の商品に対して信頼していない日本人が少なからずいるということが売れない理由の一つといえます。
■韓国車は品質が低いと揶揄されるが実際は?
ネットのユーザーだけに焦点を当てると安全性能の低い車には乗りたくない声が見受けられます。車を買うなら確かに安全面において非常に重要視されるのは当たり前ですが、韓国車は本当に品質が低いのでしょうか。
欧州で唯一、公的な衝突テストを行うユーロNCAPコンソーシアムは11月末、ヒュンダイの“プリウスハンター”こと、『アイオニック』の衝突安全テストの結果を公表した。最高評価の5つ星と認定している。
米国IIHS(道路安全保険協会)は9月29日、韓国キアモーターズ(起亜自動車。以下、キア)のミニバン、『セドナ』の2017年型の衝突安全テストの結果を公表した。最高評価の「トップセーフティピック+」に認定している。
グローバルNCAPは5月17日、韓国のヒュンダイがインドで販売している小型車、『イオン』の衝突安全テストの結果を公表した。成人乗員保護性能は最高5つ星のところ、星ゼロの最低評価だった。
(中略)今回、グローバルNCAPが公表したヒュンダイ イオンの衝突安全テストの結果は、成人乗員保護性能が最高5つ星のところ、星ゼロの最低評価。インド向けのイオンには、エアバッグ、前席シートベルトプリテンショナー、ABSなどの安全アイテムが装備されておらず、これが響いた形。
車種によって評価が異なっています。
例えば、ヒュンダイ自動車が販売しているプリウスハンターと言われる「アイオニック」の衝突安全テストに関しましてはユーロNCAPで最高評価の5つ星と認定されています。また韓国キアモーターズのミニバンセドナ(2017年型)の衝突安全テストは米国IIHSで(道路安全保険協会)最高評価の「トップセーフティピック+)に認定されています。この指定を受けるには各耐衝撃性能試験(前面衝突、側面衝突、追突想定、スモールオーバーラップ衝突、ロールオーバー)の全ての内容で「GOOD」と評価される事、前面衝突予防評価で3段階評価の2番目「アドバンス」または最高評価の「スーペリア」を獲得する事を求められています。
決して安全性能面において低い評価を受けているものばかりではありませんが前述のイメージが先行してしまっている感じは否めません。
韓国車の世界での評価とは
日本では韓国車の評価は高くは無いですが、世界の評価は高いです。2019年北米カーオブザイヤーではファイナルリストして「ホンダ・インサイト」と「ボルボS60/V60」が残っている中、それらを抑えてヒュンダイ自動車の高級車ブランド「G70」が獲得しています。この車種はアウディ「A4」やBMWの「3シリーズ」などをライバル視しています。また北米トラックオブザイヤーではフィアット・クライスラー・オートモビルズの「ラム1500」を獲得し北米カーオブザイヤーの2冠は韓国メーカー初の出来事となりました。
北米カーオブザイヤーでの2冠は、韓国メーカー初の出来事となった。
韓国車の試乗評価
前述の通り、世界では高い評価を受けている韓国車ですが試乗の評価はどうなのでしょうか。
アルファロメオ・ステルヴィオ
背の高さなど関係なく、ジュリアそのままの操縦特性を披露するのがステルヴィオ。必要最小限のステアリング操作でほとんどロールを伴わずに俊敏に走り、曲がり過ぎるほど曲がり、止まる、スポーツSUVの極み!! 日本のアルフィエスタのメガネに叶うSUVに違いない。
ヒュンダイ・コナ
アメリカンもコンパクトハッチのハイト版を欲するようになった。ココでもヒュンダイとキア「Niro/Rio」の韓国勢が旬。コナは最強の1.6リットルターボに乗ると、ガサツなエンジンノイズこそ耳につくが、内外装デザインは、ヒトを振り向かせる吸引力あり。走りは操作に対して、過敏、ではなく自然に滑らかに応答する大人の味付けが素晴らしい。いまやチープな印象はどこにも無い。と言う点は日本車が見習うべきポイントで、完全に“逆転現象”!!
ヒュンダイ・コナに関して言えば「日本車が見習うべきポイント」とあり、韓国車の完成度は高いと言えます。
韓国車メーカー一覧と代表車種を紹介
韓国車は日本で売れていなくても世界では高い評価を受けている事がわかったと思います。それでは、次は韓国車メーカーと代表車種を紹介していきます。
■ヒュンダイ(現代自動車)
ヒュンダイは韓国でも最大手と言われている自動車メーカーです。傘下には起亜自動車があり現代自動車グループを構成しています。世界販売台数はホンダと同規模を誇る450万台でグループの販売台数を817万台とゼネラルモーターズ(GM)を抜いて4位となります。
車種としてはサブコンパクトカーの「TB」があり2002年に生産・発売されました。世界戦略車として位置づけられたモデルとなっています。日本車同様右側ハンドルを装備していたり、レギュラーガソリン仕様である事から輸入車としては珍しい仕様となっていました。
傘下の起亜では軽トールワゴンの「キア・レイ」を販売しています。英語で光やかがやきの意味しており2011年に発表を行い12月20日に発売をスタートしました。操作性や使い勝手に配慮しており、またヒルアシストコントロール、カーテンシールドエアバッグなど、クラスを超えた安全性をアピールしているのが特徴と言えます。
■韓国GM
韓国GMはゼネラルモーターズ子会社の自動車メーカーです。元は大宇自動車という名前でしたが2000年に経営破綻するとアメリカのゼネラルモーターズが大宇自動車の大部分を買い取り後に「GMDAT」と呼ばれるようになり2011年には「韓国GM」として社名が変更しました。
車種は「シボレースパーク」セグメント級の小型車となっています。元々はマティスという名前でしたが社名変更に伴いシボレーブランドに置換されました。韓国国内では軽車(キョンチャ)というカテゴリーに属する。
■ルノーサムスン自動車
韓国・ソウルに本社を置く自動車メーカーです。サムスンと名称はついていますが実質的にはルノーグループの一員でサムスングループから見ると関連企業の一つとなっています。エンブレムは台風の目をイメージしており「先んじた考えの下でのクルマ造り」という原動力をエンブレムにこめています。
車種は「SM3」の小型セダンです。2002年に発表・発売され「安全・品質・パフォーマンス」と「スタイリングと経済性」のコンセプトに作られました。またこの車種の2代目をベースとした電気自動車「SM3.Z.E.」もあります。
■雙龍(サンヨン)自動車
双龍自動車は韓国の準大手自動車メーカです。日本語では「双竜」とも表記されています。国内、輸出向けでも「雙龍」ブランドを名乗っていますが自国ではSをモチーフにしたCIマークを使っていますが、輸出向けにはトナカイや鹿の角をイメージさせるCIマークを使っており、これは世界的に見ても珍しいとされています。
車種は「カイロン」で双龍の代表車種だったムッソーの後継車です。7人乗りの中型SUVとなっていますがグレートにより5人乗りも可能となっています。
韓国車は日本でも購入可能?価格は?
現在、新車の韓国車を手に入れる事ができる乗用車は販売から撤退しているので普通に買う事はできませんが個人輸入であれば100万円の手数料を支払えば購入する事ができます。
また中古車であれば数は少ないですがヒュンダイのメーカーは買う事ができます。例えば前述のTBであれば「相場32万」もあれば購入可能ですし、日本でも注目を浴びた「ソナタ」も30万前後で購入可能となっています。個人輸入にお金がかかるのはもったいないが、韓国車に乗ってみたいのであれば「中古販売店」で購入するのも検討してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。日本では目にすることが少ない韓国車ですが、日本人が思っている程性能が悪いわけではなく世界では高い評価を受けています。今、日本で韓国車を買うには多くの手間がかかるかもしれませんが、将来的にはまた韓国の自動車メーカーが日本に進出してきて日本でも韓国車を見る事があるかもしれません。