人気の理由は?ドイツ車の特徴
1886年 ドイツの技術者によりガソリンエンジン搭載の三輪車が発明され、この特許を持ち「世界初の自動車」の誕生となりました。
ドイツは自動車が誕生した国でもあり、現在でも世界一の自動車大国として知られています。
昨今、日本でも多くの外車を見かけますが、その中でもドイツ車が占める割合は多いのではないでしょうか。
ドイツ車が日本、そして世界でも高い人気を誇る理由としては、高速走行中における抜群の安定感、高速走行に耐える車体の頑丈さ、高級感を感じられるインテリアとエクステリア。
そして、運転している楽しさを感じられる操縦性。
こういった様々な理由からドイツ車は日本のみならず世界中でも高い人気を得ています。
■ドイツ車の日本車の違い
日本の車とドイツの車は、どういった点に違いがあるのでしょうか。
まず大きな違いとしては、高速走行に関して明確に現れています。
日本車は高速道路でも走行速度は100km/h程度なのに対し、ドイツの高速道路ではアウトバーンという制限速度が存在しない区域があるのです。そこでは、200km/hに近い速度で走る車もあります。
故に、ドイツ車の安全性についての考え方は、加速性能やサスペンションの稼働、ブレーキの効きなど高速走行に関わる部分に着眼されています。
またボディを構成する鉄板の厚さの違いも顕著です。
日本車は薄い鉄板を加工しており、衝突時の衝撃を変形する事で吸収します。
対して、ドイツ車は厚い鉄板で頑強に保護する構造になっています。
デザインに関しては感じる方次第にはなりますが、一般的なイメージとして日本車と比較しドイツ車はシンプルながらラグジュアリーな印象を受けるでしょう。
その高級感に比例し、車両の価格も日本車より高く設定されています。
ドイツ車と日本車の違いを大別すると、このようになります。
ドイツ車 人気ブランドと代表車種
「ベンツ」、そして「ポルシェ」。
車に詳しくない方でも、ほとんどの方が耳にしたことのあるメーカーでしょう。
ドイツ車をご紹介するにあたり、まずはこの代表的な2つの高級ブランドの代表車種をご紹介いたします。
■ポルシェ
創業者は「フェルディナント・ポルシェ」。
1931年に創業された時は、自動車メーカーではなく車のデザイン事務所でした。
乗用車だけでなく戦車のデザインなども手掛ける中、1948年から自社で高級スポーツカーの製造をスタートします。空気を裂くような流線型のデザイン。ストレート、コーナー問わず高い走行性能が特徴的です。
1950年には、息子のフェリー・ポルシェにより名車356の量産が開始され、1964年には高級スポーツカーの代表格として現代まで販売が続けられている”ポルシェ911”が誕生します。
現在、ポルシェは本業ではない株式ビジネスに失敗し、フォルクスワーゲンの子会社に位置していますが、それでもなお、ポルシェの自動車メーカーとしての人気は変わることなく、憧れの車の一台とされています。
■メルセデス・ベンツ
ベンツの歴史を遡ると、自動車の誕生にたどり着きます。
一般的に世界で初めて自動車が誕生したのは1886年1月29日、ドイツ政府により製作されたとされています。自動車とは言っても、それは原動機付きの三輪車です。
この原動機付き三輪車を作り上げたのが、ドイツの技術者 カール・ベンツです。
そして、それと同じ頃、ゴットリープ・ダイムラーという技術者もまた、自動車を完成させていました。しかし、カール・ベンツが先に特許を出していたため、世界初の原動機付き自動車製作の栄誉は彼のものとなりました。
カール・ベンツとゴットリープ・ダイムラー。
この二人の技術者、それぞれの会社が合併されたのがメルセデス・ベンツのルーツです。
現代では「ベンツ」と聞けば「高級車」とイメージする程、高級車の代名詞的な存在となっています。
そんなベンツの中で最も代表的な車種がCクラスです。高い走行性能と軽量高剛性ボディ。そして、最先端の運転支援システムが備わっています。価格は441〜1,438万円。
Cクラスはやはり高級車らしい価格ではありますが、最近では300万円以下のモデル(Aクラス)も販売されており購入もしやすくなっています。
■アウディ
アウディは1909年、ベンツの技術者であった「アウグスト・ホルヒ」によって創業されました。
当時、第一次世界大戦に敗れ、世界恐慌による絶望的な不況に煽られる中、アウディ含む4社(アウディ/ホルヒ/DKW/ヴァンダラー)が統合され「Auto Union(アウトウニオン)」が結成されました。
アウディの「フォーシルバーリングス」と呼ばれる4つのリングが連なったエンブレムは、この4社を表しているのです。
そして、現在はフォルクスワーゲンのグループに属しており、ベンツ/BMWと並んでドイツ車の御三家と呼ばれています。
スポーティとシンプルの中立をさせた、機能美を追求したスマートなモデルが多く、日本でも高い人気を得ています。
アウディを代表する車種は「A3セダン」と「A3スポーツバック」の2種類です
アウディらしいスマートでシンプルな外見と、スムーズでコンパンクトな走行が高い人気を博しています。
■フォルクスワーゲン
1937年、ドイツの中心地 ニーダーザクセン州ヴォルフスブルクで創設されました。
この街は現在では”アウトシュタット(自動車の街)”と呼ばれ、フォルクスワーゲンを生産するために作られた計画都市でした。
創業当時、ドイツは他国と比較すると道路行政は遅れており、また自動車の保有台数も少なかったのです。
そこで一家に一台、国民が自動車を保有できるように国策として打ち出され、創設されたのがフォルクスワーゲンだったのです。
今でこそ、世界中で人気の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンですが、「フォルクスワーゲン(Volks-Wagen)」の元々の意味は「国民車」。まさに、国が国民のために作った大衆車メーカーです。
本来、大衆車だった名残りからか、フォルクスワーゲンは気取らず、愛らしいデザインが特徴的です。
中でも人気の車種は「ゴルフ」。
お手頃な価格なドイツ車として世界中で高い評価を受けています。
フォルクスワーゲン「ゴルフ」は過去に外国車として初の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」も受賞しています。
■BMW
1916年に航空機エンジン製造メーカーとして創業されました。
本拠はドイツのバイエルン州ミュンヘン。
そして、1922年。オートバイや四輪自動車の製造を開始します。
「BMW」という社名は「Bayerische Motoren Werke(バイエルンの発動機工場)」の頭文字を取ったものです。
航空機のエンジン製造で培った高性能なエンジンとラグジュアリーな内装を魅力とし、現代では”駆け抜ける喜び”を提供する自動車メーカーとして高く支持を得ています。
「キドニーグリル」と呼ばれる特徴的なフロントグリルと、ブルーとホワイトが特徴的なエンブレムがBMWの存在感をアピールします。
一部のモデルを覗いてFR(後輪駆動)に統一するなど、走行性能への強いこだわりも感じられる車です。
代表車は、最も販売台数の多い3シリーズ。
手が届きやすい価格帯でありながら、BMWらしいドライビングの快適さとラグジュアリーを兼ね備え、かつ日本でも乗り廻しやすいサイズ感である事が人気の理由になっています。
3シリーズの中にも、セダン、ツーリング、グランツーリスモの3モデルに分かれており、インテリアやエクステリア、そしてエンジンなど豊富なラインナップから選択できる事も大きな魅力です。
■他ドイツ車メーカー一覧
ここまでで紹介した以外にも、魅力的なドイツ車は枚挙に暇がありません。
少しだけ紹介させていただきます。
【MINI】
1959年、BMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)から誕生したスモールカーのMINI。
長く愛された当モデルの製造終了後、BMWがプレミアムスモールとして2001年に設立したのが現在のMINIです。
レトロな可愛らしさを感じるデザインが人気を集めています。
【メルセデスAMG】
スポーツ/レース系モデルを販売するメルセデス・ベンツのサブブランドです。
「究極のハイパフォーマンスを通級するモデル」と位置付けられており、通常のベンツよりハードでハイパワーな走行が特徴的です。素材もより高級なものを使用し、質感は大きく向上しています。
【メルセデスマイバッハ】
AMGと同じくメルセデス・ベンツのサブブランドですが、超高級車としてAMGとは対極の存在として位置しています。
通常のベンツでの最上級クラスであるSクラスをベースモデルとしており、後部座席の快適性を向上させるために車体が大きく作られているのが特徴です。
【スマート】
同じくメルセデス傘下のスマートは、シティユースに適したコンパクトで可愛らしいデザインのコンパクトカーです。
知らなければメルセデス傘下とは分からないようなポップな雰囲気ですが、見た目とは裏腹にメルセデス・ベンツの最先端技術が盛り込まれています。
【アルピナ】
BMWのファンだった人物が立ち上げた自動車メーカー。
BMWをベースとしながら、独自の内外装やメカニズムでドレスアップ、チューニングされた車はコアなファンも多く、「BMWを超えたBMW」とも言われています。
【オペル】
《画像提供:Response》オペル・コルサ
【イエス!】
《画像提供:Response》子供にもてる楽しみ…YES! ロードスター
2020年に日本市場への再参入が発表された、知る人ぞ知るドイツの自動車メーカー、「オペル」。1862年にドイツで誕生し、1899年から自動車製造を開始した歴史ある会社です。ドイツ車らしい卓越した走りと、消費者に身近な価格帯を特徴としています。
長らくアメリカのゼネラルモーターズ(GM)の傘下として、イギリスのボクスホールとともに、ヨーロッパにおけるゼネラルモーターズのビジネスを担ってきたが、その後フランスの自動車会社グループPSAの一員となり、さらに2021年1月のグループ統合に伴い、以降はステランティスの傘下になっています。
日本ではヤナセがフォルクスワーゲンの輸入販売権を失った直後から、オペルの小型車を数多く手掛け、アストラやヴィータといった車種を数多く見かける時代がありました。しかし2000年にヤナセの手を離れるとオペルの売り上げは減少し、2006年には日本市場を撤退しています。
そして、前述のとおり2020年に日本市場への再参入が発表されましたが、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響と、自動車用半導体備品の不足などを理由に延期に。2022年上半期のディーラーオープンと販売開始が予告されている状態ですが、2022年11月時点では、近日発売予定のモデルはあるものの、販売は開始されていません。
ドレスデン郊外のザクセン州グローセンハインにファクトリーを構え、少量生産のライトウェイトのスポーツカーを手掛けている「イエス!(Young Engineers Sportscar)」は、「フンケ&ヴィル社」によるコンパクトスポーツカーブランドです。
代表モデルの「ロードスター 3.2ターボ」は、軽量かつ強度に優れたアルミスペースフレームを採用し、車両重量930kgを実現。搭載される3.2L V型6気筒ターボチャージャーは最高出力261kW(355ps)、最大トルク485N・m(49.5kg・m)というハイパーチューンユニットです。トランスミッションは6速マニュアルのみで、サスペンションは独立懸架式ダブルウィッシュボーンとなっています。
輸送手段や関税は?
ドイツ車は国産の車と比べると高額です。
なぜ、ドイツ車はこんなにも高いのでしょうか。
大きく理由は2つあります。
まず、そもそもドイツ車が高いという点が挙げられます。
ドイツ車はドイツで購入しても変わらず高額なものなのです。
そして、最大の理由は輸送コストの問題です。
ドイツ車は2つの手段で日本に輸送されてきます。
想像に容易いかと思いますが、海外から日本へ車を輸送する手段は”飛行機”か”船”の2択です。
船の方が輸送費は安いですが、とても長い時間を要します。
ですが、やはりコストの問題から、お店に並んでいる車は基本的に船で運ばれる場合が大半でしょう。
飛行機で輸送される場合であれば、船より断然早いスパンで輸送されますが、輸送コストはさらに跳ね上がります。
また輸送時には車両価格に対して10%ほどの保険をかける必要もあります。
ただでさえ高額なドイツ車の10%の金額となると、保険料だけでも大きな金額になります。
関税の問題はどうでしょう。
ドイツ車は輸入品なので、当然、関税がかかると思われるかもしれません。
しかし、実は日本では車の輸入に対しては関税はかからないのです。
もちろん通常の税金はかかりますが、関税は免除されています。
元からドイツ車は高額という点。
輸送コストの問題。
この2つの理由により、ドイツ車は国産の車と比べて高い金額になっているのです。
まとめ
皆さん、一度はドイツ車に憧れた経験があるのではないでしょうか。
ドイツ車は車としての性能はもちろん、所有する事で幸福感も得られる、一種のステータス的な存在でもあります。
人生の目標の一つとしてドイツ車を掲げてみてはいかがでしょうか。
よくある質問
■ドイツの有名車メーカーは?
日本市場での売り上げなどを加味すると、メルセデスベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、アウディといったところが、知名度の高いドイツ車メーカーといえるでしょう。
さらにモータースポーツや映像分野での活躍もあり、ポルシェやBMW ミニなども高い知名度を誇ります。
■ドイツ御三家 どれがいい?
一般に「ドイツ御三家」といわれるのは、メルセデスベンツ、BMW、アウディの3ブランドです。
どのブランドを選んでも満足度が高く、完成された走りを楽しめますが、それぞれ違う強みやスローガンを持っているので、それらをポイントに考えると選びやすいかもしれません。
メルセデスベンツと聞いてまずイメージされるのは高級感ではないでしょうか。乗り心地、ハンドリング、耐久性、安全性など、どれをとっても世界トップクラスの出来栄えで、ステータスと世界基準の完成度を感じたいならメルセデスベンツがおすすめです。
BMWは「駆けぬける歓び」をスローガンとして掲げています。比類なきドライビング体験をブランド全体で追及しており、エンジンや走行性能を重視したい方にはBMWがおすすめです。
アウディの魅力を語るうえで欠かせないのは、デザイン性の高さ。アウディのチーフデザイナーであるマーク・リヒテは「アウディのデザインはタイムレスでなければならない」と述べており、機能性を損なうことなく、シンプルで美しいデザインを追求しています。もしアウディのデザインが好みであれば、細部までこだわり抜いた造形美を堪能できるでしょう。
■ドイツ車にはどんなメーカーがある?
日本自動車輸入組合(JAIA)が出している「外国メーカー車新規登録台数」によれば、2021年度におけるランキング1位・メルセデスベンツ、2位・フォルクスワーゲン、3位・BMW、4位・アウディ、5位・BMW MINIという結果でした。このトップ5すべてがドイツ車メーカーです。
このほか、この記事で取り上げているメーカーはすべてドイツ車メーカーです。