125ccに大進化!大きくなって帰ってきた「ホンダ モンキー」
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー125
まるでおもちゃを大きくしたかのような愛らしいスタイルで人気を博した小型バイク「ホンダ モンキー」は、きっと一目見たら忘れられないインパクのある存在です。
もともとは50ccの原動機付自転車として長年販売が続けられていたのですが、折りからのバイクユーザー人口の減少と、どんどん厳しくなる環境規制の影響もあって、一度生産を終了。しかしそんなモンキーが、125ccの原付二種にちょっぴり大きくなって、日本のユーザーのもとへ再び現れてくれました。
ここ数年、原付二種がブームとなっていることも加わって、往年の人気を感じさせるような話題の高まりのあるモンキー125。詳しくチェックしていきましょう。
■もともとは遊園地の遊具だった?!モンキー創造記
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー「Z50M」(右)
フレームにエンジンとタイヤ2個が付いている点ではバイクそのものながら、それぞれのパーツが縮小されたかのようなデフォルメ感がかわいいモンキー。なんともともとは遊園地の遊具として生まれたものだったというのですから、そのファンキーな見た目にも納得ですよね。
本田技研工業が当時経営していた「多摩テック」の遊具として1961年に登場した「Z100」は、近年のモンキーよりもさらに小径な5インチタイヤに、スーパーカブのエンジンを組み合わせており、見た目のかわいさや軽快な操縦感覚はまさにモンキーを思わせるもの。
とはいえ、ただの遊具ではなく、子どもでも乗れるバイクとして、多摩テックを訪れた子どもたちに交通ルールを知ってもらう入り口としての役割を担っていました。
このZ100が特に海外で大きな反響を呼んだことから、公道向けに細かくブラッシュアップしたモデルが海外市場で先行して1963年に市販され、日本国内向けにも1967年には「Z50M」が発売。当初は車に積載できるレジャーバイクとして大きな話題を呼びました。
■超・活発なアフターマーケットシーン!モンキーはイジってナンボ
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー(東京モーターサイクルショー2017 出展車両)
国内向けの初代モデルとなるZ50Mは、なんと前後ともにサスペンションを持たなかったほか、5インチタイヤは路面の不整にも弱く、走行安定性は低め。もともと短距離のお散歩程度の用途しか考慮されていなかったことがうかがえます。
しかし市場の反応は意外なもので、モンキーのかわいさはそのままに、もっとガンガン走らせたいという声も大きかったそう。その結果、1969年にはフロントサスペンションと8インチタイヤを備えたZ50A型が、1974年のZ50J型ではリヤもスイングアーム式となるなど、バイクとしての完成度を高めていきました。
それと同時に、オーナーが感じるモンキーの未完成な部分を自ら改良していく「カスタム」の文化が着々と醸成されていきます。もとよりサイズが小さくパーツ価格も低めに抑えられることから、モンキー関連のカスタムパーツは非常に人気となっていきます。
もともとはお子さま向けの遊具だったモンキーが、1970年代以降は段々と大人向けの実物大おもちゃへと変貌していきました。
■排ガス規制で販売終了するも… 125ccの最新エンジンで復活!
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー125
50ccエンジンのモンキーとはいえ、近年の厳しさを増す排ガス規制からは逃れられません。1978年登場のモンキーは、電装系の現代化などの改良は続けられたものの同様のモデルが30年も生産が続けられたモデルですが、2008年に一度生産終了。2009年には新たにインジェクション仕様となって復活を遂げます。
販売を継続するためにメカ面の新設計までやり切ったホンダには拍手なのですが、車体側の変更もあったことでカスタムパーツの互換性が薄れたことや、車両価格が大きく上昇したことで、ユーザーの敷居が上がってしまったことも事実でしょう。
また50ccのバイクは事実上国内専売という面もあり、グローバル化が進むバイクの世界の中ではモンキーは浮いた存在になってしまっていたという面も。このような難問を抱えつつ、それでも1代のバイクとしては長期間にわたる9年もの間生産が続けられましたが、50ccモンキーとしては、国内でZ50Mがデビューした1967年からちょうど50年目の2017年で幕を閉じました。
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー125
しかし、近年バイクの趣味化が進む東南アジアなど、世界的に125ccクラスの需要が急増しており、趣味性の強いモンキーのデザインを活用したニューモデルを発売することが決定。2018年には新たに「モンキー125」として、堂々復活を果たしたというわけです。
そもそも、125cc「原付二種」ってどんなバイク?
《画像提供:Response 》スズキ スウィッシュ
モンキーがクラスアップしたことでも話題の原付二種は、もともとは通勤用スクーターなどで人気が高かったジャンルではありますが、近年ではファーストバイク需要をも満たす万能なモデルが勢揃いしている人気のバイク。
50cc超125cc以下のエンジンを搭載することで、50ccエンジンの原付一種よりも余裕のある性能を実現しつつ、取り回し性能は原付一種とほぼ同等と、バイクライダーデビューにもぴったりなジャンルとなっています。
■メリット満載で選ばない理由がない?!原付二種でバイクを始めよう
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー125
原付一種といえば、たとえ幹線道路を通る際でも最高速度は時速30km/h、三車線以上ある交差点では基本的に二段階右折が必須、1人乗りしかできないなど、制度として非常にたくさんの制限がかけられている乗り物。価格の安さや扱いやすさから一定の人気はあるものの、近年ではその現実世界に沿っていない制度を問題視する声も少なくありません。
翻って原付二種は、最高速度は時速60km/hまで引き上げられているので流れにも乗りやすく、二段階右折は不要、2人乗りも車種によっては可能と、普段使いで実感できる原付的な扱いやすさはそのままに、制度的に大幅に現実的となっている点が特徴的。
これだけメリットがありながら、車をお持ちの方ならファミリーバイク特約で任意保険もお得にかけられるなど、維持費の面でもバッチリ節約。原付二種は、普段の移動手段として最強クラスの競争力があるのです。
近年では免許の取得も簡単になっており、今回ご紹介していくモンキー125はMT仕様なので乗れないものの、普通自動車免許などをお持ちの方ならAT限定免許が最短2日で教習完了できるほか、MT仕様でも1日伸びた最短3日での取得が可能。
車両価格としても廉価に抑えられたモデルも多くラインナップされており、コロナ禍で公共交通機関移動を避けたい方などからも熱い視線が注がれる、今最も注目度の高い排気量帯のひとつでしょう。
最新型 ホンダ モンキー125の魅力を徹底解剖!
■ベースは人気125ccのグロム!力強い走りで低燃費
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー125
モンキー125は、同じく125ccクラスで先行して登場していたスポーツバイク「ホンダ グロム」をベースとしており、それぞれを見ているだけでは同じ車種とは思えないほど差別化されているのですが、モンキー125とグロムとを並べてみると、共通する部分も見出せます。
グロムといえば、アグレッシブなスタイリングも人気ですが、そのエンジンの使い切れるパワー感と、圧倒的すぎる低燃費が話題のモデル。モンキー125でもそれらの特徴は引き継いでいますが、エンジンの出力特性がキャラクターに合わせてファインチューンされており、グロムよりもトコトコと軽快に走っていく印象の加速フィールがたまりません。
モンキー125でもWMTCモード燃費で67.1km/L(クラス1)というケタ違いの低燃費はそのままで、実燃費でもリッター40キロはカタいそう。おもちゃのような見かけにも関わらず、遠くまでワンタンクで走っていける実力の持ち主です。
■特製の「らしい」エクステリアデザインがニクい
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー125
ライダーが乗っていたり、横に人が立っていたりすれば大きさが実感できるモンキー125は、50cc時代のモンキーに比べると格段に大型化しているのは事実。しかし、デザインの妙なのか、単体で見ている限りはモンキーとしか見えない愛らしさがきちんと備わっていますよね。
細やかな部分にまで手が入れられたモンキー125は、どこを見てもきちんとモンキーを感じさせるデザインの塊。剛性感のあるバックボーンフレームにラウンドシェイプとして美観にも気を配ったシートフレーム、丸みを帯びたガソリンタンク形状など、見惚れるほどの完成度です。
■唯一無二の存在感、その分お値段はちょっぴり強気
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー125
デザインにとことんこだわっただけに、モンキー125のもつ存在感は唯一無二の高みに到達しています。走っている姿も様になるし、停まっている時でも絵になる。見ているだけでワクワクさせてくれるような魔力があるデザインですよね。
そんなデザインもあって、モンキー125の車両価格はちょっぴりお高め。2021年モデルとして新設計エンジンに5段トランスミッションにABS標準装備と大改良を施されたグロムと比較すると、モンキー125のABSモデルは税抜価格で5万円高い40.0万円に設定されています。
グロムも2021年モデルでは前年モデルに比べて2万円の値上げとなっており、この2021年型グロムに準じた改良がモンキー125にも施されることが予想されていますが、その際はもっと価格上昇してしまいそう。
車などに比べればもとより廉価な部類ではあるとはいえ、おしゃれにはお金がかかるものですね。
ホンダ モンキー125のスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 1,710mm×755mm×1,030mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 1,155mm | |
最大乗車定員 | 1名 | |
車両重量 | 105kg | |
燃費 | WMTCモード:67.1km/L(クラス1、1名乗車時) | |
エンジン種類 | 単気筒ガソリン 124cc | |
エンジン最高出力 | 6.9kW(9.4PS)/7,000rpm | |
エンジン最大トルク | 11N・m(1.1kgf・m)/5,250rpm | |
トランスミッション | 常時噛合式4段リターン(MT) | |
新車価格 | 370,000円(消費税抜) |
【2021年最新】ホンダ モンキー 価格まとめ
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー125
先ほども軽くご紹介しましたが、モンキー125の新車価格をより詳しくご紹介していきます。
2021年4月現在、モンキー125には2バリエーションが設定されており、よりベーシックなモンキー125に対して、ABSを標準装備したモンキー125<ABS>も設定されています。
それぞれ税抜新車価格としては、モンキー125が37.0万円、モンキー125<ABS>が40.0万円となっており、ABSをリーズナブルな価格差で追加できることはうれしいポイントですね。
この価格帯をどう見るかですが、同じホンダの原付二種のラインナップなら、最も廉価なものではDio110の22.0万円から、最も高価なものではCB125Rの43.0万円まで価格帯が幅広く、モンキーは真ん中よりもやや上といった印象でしょうか。
通勤用のアシとしてではなく、遊び心満点の趣味バイクとして考えれば、ややプレミアムのついた価格も納得できるかもしれませんね。
モンキーといえば豊富なカラバリ!目を引く特殊モデルもご紹介
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー(2016年、ハーベストベージュ)
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー リミテッド(2006年)
モデルライフの長かった50cc時代のモンキーは、数々の限定仕様や限定カラーが設定されてきたことでも話題でした。
近年に近いモデルでは、2016年にはアウトドアテイストなハーベストベージュ仕様が話題に。ブラックアウトされたホイールも相まって、ちょっとワルっぽさも感じさせますね。
また、全身金メッキ仕様や銀メッキ仕様など、もはや普段乗れないでしょ!と思うような奇抜なカラーリングでも着こなしてしまうのがモンキーのすごいところ。
50cc時代のモンキーは総じて高い人気を維持していますが、これらの限定仕様となるともはや手が出せないほどのプレミア価格となっている場合も。お探しの際は、根気強く待ち続ける必要がありそうです。
まとめ
《画像提供:Response 》ホンダ モンキー125
125ccに成長して大復活を遂げたホンダのアイコン、モンキー125についてご紹介してきました。
見た目のかわいさで選んでも後悔のないその作り込みはさすがホンダといったところ。あらゆる部分で完成度が高められていて、大型バイクオーナーがセカンドバイクとして手に入れても、モンキー125にばかり夢中になってしまうこともありそうですね。
モンキー125にもこれから限定色などのバリエーション展開が期待されますので、そちらも要チェックですね。