車両通行帯とは?
車両通行帯とは、道路交通法で「車が通行する部分として、道路標示(白線など)で区切られていると法律で決まっている部分」のことです。単に道路にペイントされた区切り線がある、というだけでは足りません。
道路交通法では、車両通行帯を次のように定めています。
「車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう」(道路交通法第2条1項7号)
つまり車両通行帯とは、「ここを走ってください」という指定が道路標示によって示されている、法律上の区分そのものを指します。
■「車線」との違い
日常的に使う「車線」という言葉は、見た目の区切り(レーン)を指す一般的な呼び方。一方「車両通行帯」は、法律上の指定を受けた区分だけを指す用語です。似ているようで、意味の範囲が違います。
ここでもう一つ、見落とされがちなポイントがあります。道路に白線が引かれていて、見た目には複数の車線があるように見えても、それだけでは法律上の車両通行帯とは扱われません。
警察庁が定める「交通規制基準」では、車線境界線がすでに設置されている道路であっても、車両通行帯として設定するには公安委員会の意思決定を得ることが必要だと明記されています。
単に道路に白線が引かれているだけでは足りず、公安委員会が正式に意思決定を行い、規制標示「車両通行帯」(標識令109)として位置づけられてはじめて、法律上の車両通行帯として扱われるということです。
出典:警察庁「交通規制基準」第15 車両通行帯
判断の分かれ目は「白線で複数のコースに分かれているかどうか」ではなく、「公安委員会が指定し、正式な道路標示を設置しているかどうか」。見た目だけで決めつけないよう注意しましょう。
■車両通行帯とセンターラインの違い
車両通行帯の区分線と、道路の中央を分けるセンターラインは、見た目が似ていても役割が異なります。線の種類によって意味も変わるため、以下に整理します。
| 線の種類 | 主な役割 | できること・できないこと |
|---|---|---|
| 白の破線 | 車両通行帯の区分線/センターライン | 周囲の安全を確認したうえでの車線変更・はみ出しての追い越しが可能 |
| 白の実線 | 車両通行帯の区分線 | 車線変更自体を禁止するものではないが、その区間での車線変更は避けるのが望ましい |
| 黄色の実線 | センターライン | 追い越しのために対向車線へはみ出すことは禁止(右折など追い越し以外の目的で中央線を横切ることまで一律に禁止するものではない) |
車両通行帯の区分線は基本的に白線で引かれ、車線変更そのものを禁止するものではありません。一方センターラインが黄色の実線になっている区間は、追い越し目的で対向車線にはみ出すことが禁止されています。同じ「線」でも意味がまったく違う、という点を押さえておくと、現場での判断ミスを減らせます。
なお、中央線をまたぐ運転操作としては転回(Uターン)もあります。
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車両通行帯のない道路の走り方
車両通行帯のない道路とは、多くの場合、片側1車線しかない道路のことです。センターラインで対向車線と区切られているだけで、進行方向側には車線の区分がありません。
このような道路では「キープレフト」、つまり道路の左側に寄って通行することが原則になります。
道路交通法では、車両通行帯のない道路を通行するとき、自動車や一般原動機付自転車は道路の左側に寄って通行しなければならないと定めています。自転車などの軽車両や、特定小型原動機付自転車(電動キックボードなど)は、これよりもさらに道路の左側端に寄ることが求められます(道路交通法第18条1項)。これがいわゆるキープレフトの原則です。
出典:e-Gov法令検索「道路交通法」第18条
車両通行帯のない道路を走るときのポイントは次の通りです。
1. 追い越しをするとき以外は、道路の左寄りを走行する
2. 対向車線にはみ出しての追い越しは、センターラインの種類(黄色の実線かどうか)を確認してから判断する
3. 駐停車車両を避けるときなど、やむを得ず中央寄りに出る場合も、通過後は速やかに左側に戻る
「車両通行帯がないなら、どこを走っても自由なのでは」と思うかもしれませんが、そうではありません。片側1車線であっても、キープレフトの原則は変わらず適用されます。
■車両通行帯のない道路はどんなところ?
車両通行帯のない道路とは、片側1車線の道路をいいます。
車両通行帯とは走行レーンが区分されてコースのある道路を指すので、片側2車線以上の道路に限定されます。つまり、片側1車線道路に車両通行帯は存在しないということになります。
■車両通行帯のない道路でのルール
では片側1車線の道路を車が走行する場合、センターラインから左側ならどこを走ってもOKなのでしょうか?実は、どこを走ってもよいというわけではありません。車両通行帯のない道路では、左端に寄って通行すること(キープレフト)がルールになっています。
キープレフトは左側通行の原則とも呼ばれ、対向車との接触を防いだり、追い越しや右折などをスムーズにするためのものです。この目的からもわかるように、車両通行帯のない場合はもちろん、車両通行帯のある場合でも、キープレフトの原則は適用されます。
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車両通行帯がある道路の走り方
車両通行帯が設けられている道路では、原則として一番左の車両通行帯(第一通行帯)を走行しなければなりません。
道路交通法第20条1項では、車両通行帯が設けられた道路において、車両は道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならないと定めています。
出典:e-Gov法令検索「道路交通法」第20条
ただし、これには例外があります。第20条1項のただし書きでは、道路の左側部分に3つ以上の車両通行帯があるときは、自動車(小型特殊自動車などを除く)は、政令で定めるところにより、速度に応じて一番右側以外の車両通行帯を通行できるとされています。つまり、3車線以上の道路であれば、走行速度によっては真ん中の車線を走ることも認められているわけです。
一方で、一番右側の車両通行帯は、追い越しや右折のためのスペースとして空けておくのが基本です。追い越し車線を目的なく走り続けると、通行帯違反として取り締まりの対象になり得るため注意が必要です。
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トンネル・交差点での車両通行帯の注意点
追い越しが禁止される場所は、道路交通法第30条にまとめて定められています。車両通行帯に関わる部分を中心に見ていきましょう。
出典:e-Gov法令検索「道路交通法」第30条
道路交通法第30条では、次のような場所での追い越しを禁止しています。
・道路の曲がり角付近、上り坂の頂上付近、勾配の急な下り坂(1号)
・トンネル。ただし車両通行帯が設けられた道路以外の道路の部分に限る(2号)
・交差点(優先道路上の交差点を除く)、踏切、横断歩道、自転車横断帯、およびこれらの手前の側端から前に30メートル以内の部分(3号)
ここで押さえておきたいのが、トンネル内の追い越しに関する条文の書き方です。
禁止対象となるのは「車両通行帯の設けられた道路以外」のトンネルに限られています。つまり条文の文言どおりに読めば、車両通行帯があるトンネル内での追い越しは、一律には禁止されていないことになります。
ただし、これは「車両通行帯があるトンネルなら必ず追い越してよい」という意味ではありません。
実際には、高速道路のトンネルの多くに、区間ごとの追い越し禁止標識・標示が個別に設けられています。条文上の原則と、現場の標識による個別規制は別物だと考えておきましょう。走行中に追い越し禁止の標識・標示を見かけたら、条文の原則にかかわらずその指定が優先されます。
もう一つ見落としやすいのが、交差点・踏切・横断歩道・自転車横断帯とその手前30メートル以内も追い越し禁止の対象になるという点。トンネルばかりに注目しがちですが、市街地を走るときはこちらのほうが遭遇する頻度が高いかもしれません。
車両通行帯違反の反則金・違反点数一覧
車両通行帯のルールを守らずに通行した場合、「通行帯違反」(道路交通法第20条違反)として取り締まりの対象になります。
ここで注意したいのが、似た名前の違反との混同です。道路交通法第17条が定める「通行区分違反」(歩道通行・逆走などの違反)とは、根拠条文も違反の内容もまったく異なります。この記事で扱っているのは、あくまで車両通行帯のルールを守らない「通行帯違反」(第20条違反)です。
通行帯違反の反則金・違反点数は、以下の通りです(2026年8月時点)。
| 車両区分 | 反則金 | 違反点数 |
|---|---|---|
| 大型車 | 7,000円 | 1点 |
| 普通車 | 6,000円 | 1点 |
| 二輪車 | 6,000円 | 1点 |
| 小型特殊車・原付 | 5,000円 | 1点 |
※反則金額は道路交通法施行令にもとづく全国共通の金額で、警視庁公表データにより確認しています。確認日:2026年8月20日。反則金は法令改正により変更される場合があるため、最新の金額は必ず出典元でご確認ください。
出典:警視庁「反則行為の種別及び反則金一覧表」/警視庁「交通違反の点数一覧表」
警察庁の統計によれば、令和6年(2024年)中における車両等の道路交通法違反(点数告知に係る違反を除く)の取締り件数は420万4,155件でした。このうち高速道路では、車両通行帯違反が4万4,197件と、最高速度違反に次いで多く、高速道路上の違反全体の12.4%を占めています。
出典:内閣府「令和7年交通安全白書」第1部第1章第2節第5
よくある質問(FAQ)
■車両通行帯とは?車線と同じ意味ですか?
いいえ、同じではありません。車線は見た目の区切りを指す一般的な呼び方ですが、車両通行帯は道路交通法上の用語で、公安委員会が指定し、道路標示で示されている区分だけを指します(道路交通法第2条1項7号)。見た目に複数のコースがあっても、指定・標示がなければ法律上の車両通行帯にはなりません。
■車両通行帯のない道路とは、どんな道路ですか?
多くの場合、片側1車線の道路を指します。進行方向側に車線の区分がなく、センターラインで対向車線と分かれているだけの道路です。
■車両通行帯があるトンネルで追い越しはできますか?
道路交通法第30条2号の条文上は、追い越し禁止の対象が「車両通行帯の設けられた道路以外」のトンネルに限られているため、車両通行帯があるトンネルは一律の禁止対象ではありません。ただし実際には、高速道路のトンネルの多くが個別に追い越し禁止の標識・標示で規制されています。標識・標示の確認を優先してください。
■車両通行帯のない道路では、どこを走ればいいですか?
道路の左側寄り(キープレフト)が原則です。追い越しをするとき以外は、道路の左側に寄って通行してください。自転車などの軽車両は、さらに道路の左側端に寄ることが求められます。
まとめ
車両通行帯は、見た目に複数の車線があるかどうかではなく、公安委員会の指定と道路標示によって決まる法律上の区分です。車両通行帯のない道路(多くは片側1車線)ではキープレフトが原則。車両通行帯がある道路なら、一番左の通行帯を走るのが基本になります。3車線以上では速度に応じて右側以外の通行帯も走行できますが、一番右は追い越し・右折のためのスペースとして空けておきましょう。
トンネル内の追い越しは、車両通行帯がある区間なら条文上は一律禁止ではないものの、実際には標識による個別規制が多いため注意してください。交差点・踏切・横断歩道の手前30メートル以内も追い越し禁止の対象です。
ルールを守らず車両通行帯を走行した場合は「通行帯違反」として反則金・違反点数の対象になります。似た名前の「通行区分違反」と混同しないよう、この記事で紹介した数字を確認しておきましょう。
※本記事の情報は2026年8月時点のものです。法令・反則金等は改正される場合がありますので、最新の情報は各出典元でご確認ください。


