SEMAショーとは
《写真提供:response》《写真撮影 後藤竜甫》 SEMAショー2021
SEMAショーは、米国自動車用品工業会(Specialty Equipment Market Association=略してSEMA)が主催する自動車関係者をターゲットとした自動車アフターマーケット見本市で、当初はロサンゼルスで開催されていましたが、現在はラスベガスのコンベンションセンターで開催されています。
自動車アフターマーケットとは、車を購入した後に購入するカスタムパーツやドレスアップ、チューニングなどを提供する市場のこと。モーターショーは車やモビリティそのものを中心に展示する見本市に対し、SEMAショーはカスタムパーツやドレスアップ、チューニングといったアフターマーケット市場で販売されるパーツやサービスが主役です。
自動車アフターマーケットの見本市としては、日本の東京オートサロンやドイツのエッセンモーターショーが有名ですが、その中でもSEMAショーは世界最大規模を誇り、東京オートサロンとエッセンモーターショーは一般の方も入場可能ですが、SEMAショーは自動車関係者しか入場できないビジネス的な見本市という特徴を持っています。
また、東京オートサロンやエッセンモーターショーはカスタムカーやレーシングカーなど車体の展示が中心ですが、SEMAショーは業者向けの見本市なので、マニアックなパーツやツール、教育展示などが多いのも特徴です。
さらに、SEMAショーの第1回開催は1967年で50年以上の歴史を持ち、東京オートサロン第1回開催の1983年よりも歴史があり、それまで世界最大規模だったエッセンモーターショーを上回る規模の見本市で、アメリカにおける自動車アフターマーケットの歴史の深さと裾野産業の広さが伝わってきます。
アメリカには元々「ホットロッド(HOT ROD)」という車のカスタム文化があり、フォード Fシリーズやダッジ ラムといったピックアップトラックのカスタム、マスタングやコルベットなどのマッスルカーチューニングに熱狂していました。そのためアメリカには、アフターパーツを生産するメーカーが数多くあり、有名ブランドだけでも数百、小規模メーカーを含めると数えきれないほど存在しています。
SEMAショーは、アメリカにある数多くのアフターパーツメーカーやチューニングメーカーはもちろん、日本や欧州といった世界各国の企業が多数参加し、全世界のアフターパーツやカスタムカーに出会える見本市です。
SEMAショー2024の見どころと開催概要
《写真提供:response》《写真撮影 後藤竜甫》 SEMAショー2021
SEMAショー2024の公式サイトによると2024年10月27日現在、ショーの特徴に関する詳細は近日公開予定となっており、公式での発表はまだありませんでした。しかし、わかっていることもいくつかあるので、紹介していきます。
SEMAショーは、出展ブランドが2,400を超え、開催ごとに増加しており、今回のSEMAショー2024では数百ブランドが初参加となるようです。
また、出展者と車両の展示、新製品の紹介、ライブアクションデモンストレーション、教育イベントやセミナー、カスタムカー市場の最新トレンドとイノベーションを紹介する特別セクションなど、合計で数百万平方フィートのスペースが予定されています。
SEMAショー2024では、オープニング日となる11月5日(火)の夜に「インダストリーナイト」という音楽、エンターテインメント、業界の親睦を楽しめる業界パーティーが初めて開催されます。
SEMAショーには毎年、著名人・有名人が登場しますが、SEMAショー2024では11月5日(火)と6日(水)に国内レースやYouTubeで有名なレーサーの織戸学・茉彩親子が出演予定です。
■開催概要
開催展名 | SEMA SHOW 2024 |
開催期間 | 2024年11月5日(火)〜8日(金) |
開催時間 | 9:00~17:00(11月8日のみ9:00~16:00) |
開催会場 | ラスベガス・コンベンションセンター(Las Vegas Convention Center,LVCC) 住所:3150 Paradise Rd, Las Vegas, NV 89109 アメリカ合衆国 |
主催者 | 米国自動車用品工業会(Specialty Equipment Market Association(SEMA)) |
出展対象品目 | リスタイリングおよびカーケアアクセサリー、モバイルエレクトロニクスおよびテクノロジー、修理・補修、レースおよびパフォーマンス製品、トラック向け製品、SUVおよびオフロード向け製品、パワースポーツおよびユーティリティービークル向け製品、ビジネスサービス、ホイールおよびタイヤ、アクセサリー、オートバイ向け製品など |
開催周期 | 毎年 |
過去の実績 | 出展社数:2,200社以上 来場者数:160,000人(推定) |
■入場資格と入場方法
自動車アフターマーケット事業など自動車関係のビジネス関係者であること。勤務している会社に現在雇用されているか、その会社を所有していることを証明する以下の書類を提出する必要があります。
●現在有効な営業許可証
※現在有効な納税登録証明書または事業登録証。
●最近の給与明細
※自動給与計算システムからのもので、手書きの会社小切手は受付けてくれません。
●会社発行のバッジ
※会社名、役職名、登録者名を記載する必要があります。
※名刺は雇用証明としては使えません。
ちなみに、昨年のショーに登録して承認され、会社、役職、または連絡先情報 (電話番号、住所、メール アドレスなど) を変更していない場合は、自動車アフターマーケット業界への関与の証明を再度提示する必要はありません。
上記の資格を満たしていない場合、「SEMA Friday Experience」バッジを購入して、11月8日(金)のみSEMAショー2024に入場できます。
SEMAショー2024ではどのような企業が参加するのか?
《写真提供:response》《写真撮影 後藤竜甫》 SEMA.SHOW 2021
毎年、数多くのアフターマーケット市場を賑わすパーツメーカーやチューニングショップなどが集うSEMAショーですが、SEMAショー2024ではどのような企業が参加するのでしょうか。ここでは、2024年10月9日現在でエントリーされている企業の一部をご紹介します。
■米国トヨタ&EvasiveMotorsports
トヨタ自動車の米国部門は、GR86にGRカローラのパワートレインを移植した車両を出品する予定です。2024年6月25日にlarry chen氏がカスタマイズの様子を収めたティザー映像をYouTubeに公開し、プロジェクトの進行具合を見せています。
このプロジェクトは、米国トヨタとEvasiveMotorsportsが共同で進めているもので、FRのGR86に4WDのGRカローラのパワートレインを移植し、かつて存在していたセリカGT-FOURの再来を目指すというものです。
ティザー映像では、GR86 トレノエディションをベースに、エンジンや内装が外され、カスタマイズに取り組む様子が紹介されています。
■KUHL JAPAN(クールジャパン)
《写真提供:response》《写真撮影 豊崎淳》 HUHL 3 …60プリウス
国産車を中心に、外装のカスタムパーツをメインに手掛けているKUHL JAPAN(クールジャパン)が、SEMAショー2024への出展を2024年10月4日に発表しました。
出展品は、トヨタ プリウス(60系)のレーシングワイドボディキット&ハーフタイプエアロを装着したフルカスタムコンプリートカーを予定しているとのことです。RACING 60R-GTW WIDEBODYは、6本出しマフラーが強烈なインパクトを与えています。
さらに、D1GP出場車両のスタイルのGR SUPRA WIDEBODY SPEC-Dも出展を予定しており、市販化も予定されているので注目です。
■TotalEnergies(トタルエナジーズ)
《写真提供:response》 reproducible 【WRCスウェディッシュラリー】安定の3車が上位に
TotalEnergies(トタルエナジーズ)は、フランスのパリ近郊ラ・デファンスに本社を置く多国籍企業で、過去には全日本ツーリングカー選手権(JTC)に参戦していたカルソニック・スカイラインや、F1のウィリアムズなどをスポンサーし、現在でも数多くのモータースポーツのスポンサーをしています。日本ではオイルメーカーとして有名です。
■Sonnax(ソナックス)
Sonnax(ソナックス)は、自動車のトランスミッションやトルクコンバーター、ドライブラインなどのアフターマーケット用部品を設計・開発・製造するメーカーです。トルクコンバーター部品の分野では世界最大級の供給者で、世界中の部品ディストリビューターを通じてトランスミッションやドライブラインの部品を販売しています。
■AC Hydraulic(ACハイドロリック)
AC Hydraulic(ACハイドロリック)は、ラリー用ハイリフトジャッキなどを製造するデンマークの企業です。WRCのサービスパークでは、ワークスチームやプライベーターチームなど多くのチームがAC Hydraulic製のジャッキを使用しており、通称「WRCジャッキ」と呼ばれています。
■Kenda(ケンダ)
《写真提供:response》 《画像:奥伊吹観光》 フォーミュラドリフトジャパン
ケンダ(KENDA)は、台湾に本社を置くタイヤメーカーで、車や自転車、バイク向けのタイヤを生産しています。俗にいう「アジアンタイヤ」の一つで、国産や欧州のブランドタイヤに比べて、安価なのが特徴です。
しかし、 創業は1962年と60年以上の歴史ある老舗のメーカーで、全世界150ヶ国で販売されているメジャーなタイヤメーカーです。また、KENDA KR20A(X)タイヤで2024年Formula Driftに参戦するドライバーがいるなど、モータースポーツでも活躍しています。
■Snap-on(スナップオン)
《写真提供:response》《撮影 諸星陽一》 スナップオン ブース(東京オートサロン14)
Snap-on(スナップオン)は、1920年にアメリカのウィスコンシン州ミルウォーキーで設立された工具メーカーで、ソケットレンチを発明したことで有名です。レンチのハンドルとソケットを分離させる画期的なアイデアで、自動車整備現場から工具を圧倒的に減らしました。
また、Snap-onの大きな特徴として、工具(一部の消耗品など除く)が無期限保証であることも有名です。それだけSnap-onは自社の製品に対する自信があり、ユーザーからも大きな信頼を寄せられている証です。
■CUSCO(クスコ)
《写真提供:response》《写真撮影 土屋勇人》 クスコ GR 86コンセプト
CUSCO(クスコ)は、本社を群馬県高崎市に置く自動車部品製造・チューニング会社であり、レーシングコンストラクターである株式会社キャロッセのブランドで、レースなどのモータースポーツ活動を行っています。
自動車用パーツとしては、車高調整サスペンションやLSD(リミテッドスリップデフ)、クラッチなどの足回りや駆動系が主で、ストリートでのスポーツ走行からレースやラリーといった競技向けまでラインアップしています。
■Dakota Digital(ダコタデジタル)
Dakota Digital(ダコタデジタル)は、アメリカンやネイキッドバイク用の汎用メーターゲージやカスタムパーツを扱うブランドです。外装カスタムパーツとして、ハウジングにもこだわったメーターを扱っています。
また、スピードメーターやタコメーターの正常性を計測し、正確な値が表示されるように調整する機器や、クルーズコントロールキット、リモコン、アクセサリー電子機器コントローラーなどもリリースしています。
■Dynojet(ダイノジェット)
Dynojet(ダイノジェット)は、ハーレーダビッドソンをはじめとするオートバイのインジェクションコントローラーや診断機器を開発・販売するアメリカのメーカーです。40年以上の商品開発実績があり、業界内では世界的リーダーとして知られています。
製品としては、ECM書き換えデバイスとして人気が高いパワービジョンや、各部のギア比を読み込ませることで各ギア・各気筒ごとのセッティングを行うこともできる小型のパワーコマンダーなど、100種類以上の製品をリリースしています。
■Goodridge(グッドリッジ)
《写真提供:response》《写真提供 アクティブ》 新型ハヤブサ用ビルドアラインブレーキ/クラッチホース
Goodridge(グッドリッジ)は、1969年に創立したイギリスのフィッティングパーツメーカーで、ブレーキホースやバンジョーボルト、ブレーキキャリパーステーなど数多くのカスタムパーツを取り扱っており、ステンメッシュのブレーキホースなどが有名です。
Goodridgeの品質は世界的に認められており、ブレーキホースなどはハーレーダビッドソンなどの二輪車をはじめ、自動車やモータースポーツ全般まで幅広いフィールドで愛用されています。
SEMAショー2023で注目された商品を紹介!
《写真提供:response》《写真撮影 土屋勇人》 テインブース…東京オートサロン2024
TEIN(テイン)の「EDFC5」および「Endura Pro PLUS」は、SEMAショー2023において、現地を訪れているメディア関係者の投票によって選ばれる注目のチューニングパーツに与えられる「Global Media Awards」を受賞しました。
EDFC5は、遠隔自動減衰力調整機構である同社の「EDFC」の最新バージョンで、スピードや前後左右のGに応じて減衰力を自動制御する機構を持ち、最新モデルのEDFC5ではジャーク制御が追加されました。
ジャーク制御とは、車がロールしていく最中は減衰力を高めて車の動きをしっとりと抑えますが、ロールが安定すると減衰力をソフトにできる制御のことで、これによりコーナーでは安定した走りを、直線では乗り心地の良い走りが楽しめるようになります。
Endura Pro PLUSは、純正交換式のサスペンションでスプリングもバンプラバーも純正を使用し、ダンパーだけを交換するタイプですが、乗り心地はノーマルを上回る質感を実現しています。そして、最大の特徴は減衰力調整が備わっていることです。
テインの車高調と同じく1WAYの16段階調整機構が備わり、ノーマルと同じ車高でスプリングもノーマルのまま、減衰力調整ができるようになります。さらに、その減衰力調整にEDFC5が対応できるため、走り方やタイヤ、乗車人数などに合わせて減衰力自動調整が可能となり、ジャーク制御もできるという優れもの。
対応車種はすでに1,000車種ほどで、2030年までには国内外3,000車種へ対応させる予定とのことなので、愛車が対応していれば装着を検討してみてもいいでしょう、
テインは、神奈川県横浜市に本社を置く乗用自動車及びモータースポーツ用自動車のサスペンション製造販売会社です。日本の企業が世界最大の見本市で、関係者に高く評価されたことは喜ばしいことです。
SEMAショー2023の様子
こちらは、SEMAショー2023の1日目に撮影された動画で、カスタムされた車とトラックを紹介しています。動画からでもSEMAショーの雰囲気や規模の大きさ、そして充実度を感じることができます。車好き、それもカスタムするのが大好きな人にとっては、この動画を眺めているだけでも楽しい気持ちになれるでしょう。
まとめ
《写真提供:response》《写真撮影 後藤竜甫》 SEMA.SHOW 2021
今回は、現地時間の2024年11月5日(火)~8日(金)で開催されるSEMAショー2024について、見どころ概要、そして出展する企業などについてまとめました。世界最大規模の自動車アフターマーケット見本市だけあって、プロ向けの充実した内容で他のモーターショーと異なる雰囲気が特徴のショーです。
SEMAショーは、自動車関係のビジネス関係者しか参加できない見本市ですが、SEMAショー2024では最終日のみ、「SEMA Friday Experience」バッジを購入すれば入場できるので、興味がある方は現地へ行ってみてはいかがでしょうか。
SEMAショーについてよくある質問
《写真提供:response》《写真撮影 後藤竜甫》 SEMA.SHOW 2021
■SEMAショーは個人でも入場できますか?
SEMAショーは、自動車関係のビジネス関係者向けの自動車アフターマーケット見本市のため、一般の方は入場できません。しかし、SEMAショー2024は最終日に限り「SEMA Friday Experience」バッジを購入することで、一般の方も入場可能です。
■SEMAショーはどんなショーですか?
自動車関係のビジネス関係者をターゲットとした、世界最大規模の自動車アフターマーケットショーです。SEMAショーには、世界各国の大手自動車メーカーだけでなく、比較的規模の小さなカスタムパーツメーカーやツールメーカーも多数参加し、その数は増えてきています。