テスラのライバル、ニコラ社が水素燃料トラック800台を受注
テスラのライバルとされる、ニコラ社がアメリカのビール製造大手であるアンハイザー・ブッシュ社から水素燃料電池を搭載するトラック800台を受注したと発表しました。このニュースで初めてニコラ社の名前を知ったという方も多いのではないでしょうか?
本記事ではニコラ社についてご紹介すると共に、2社が販売予定のセミトレーラートラックについてもご紹介します。
■今回の水素燃料トラックを発注したアンバイザー・ブッシュ社って?
トップ画像の真っ赤なトラック、ニコラ「ワン」を800台も発注したアンバイザー・ブッシュ社について少しだけご紹介します。
アンハイザー・ブッシュ社はミズーリ州に本拠をおく、「バドワイザー」を主力商品とするビール会社です。
この真っ赤なカラーリングはアンハイザー・ブッシュのコーポレートカラーですが、「バドワイザー」を連想した方も多いのではないでしょうか?
ちなみに2008年にはベルギーに本拠をおくビール会社、インベブ社に買収されたことで、親会社がアンハイザー・ブッシュ・インベブ社となりました。
アンハイザー・ブッシュ・インベブ社は、「コロナ」などを保有する世界最大のビール会社です。
そもそもニコラ社って?テスラの関連会社なの?
イーロン・マスクを創業者とすることで有名なEVメーカーのテスラモーターズですが、輸送業態におけるライバルと目されるニコラ社についてはあまり知られていません。こちらではニコラ社についてご紹介します。
ニコラ社は2014年10月にユタ州ソルトレイクシティで設立されたに本拠をおく会社です。創業者のとレバー・ミルトン氏は、ユタ州で天然ガスの供給や大型トラックの供給を行っていたdHybrid社で約4年働いた後に1社の経験を経てニコラ社を創業しました。
ニコラ社とテスラ社に資本関係はなく、無関係なようです。
Transform the transportation industry while improving our employees' lives and leaving the world a better place.
ニコラ社のモットーは、「従業員の生活の向上と世界をより良い場所にする一方で、交通(輸送)業界を変革する」とあります。
ニコラ社、テスラ社の社名の由来は1人の天才発明家から
資本関係はない両社ですが、実はテスラ社もニコラ社もある人物の名前が社名の由来になっています。
その名はニコラ・テスラです(ニコラが名前、テスラが名字)。ニコラ・テスラはオーストリア出身のセルビア人発明家で、エジソンと並ぶ天才と称されています。
ニコラ・テスラはラジオ、X線、蛍光灯、リモコン、電気モーター、交流送電などを発明しました。1880年代後半に、送電方法を巡りトーマス・エジソンと対立したことは「電流戦争」と呼ばれています。
ニコラ・テスラが電気モーターを発明したことが、現在の電気自動車(EV)につながっているため、テスラ社とニコラ社は社名に採用したのでしょう
ちなみに、2016年にはテスラ日本法人の社長としてニコラ・ヴィレジェ氏が就任しています。
ニコラ社「ワン」のデザイン特許侵害でテスラを提訴!
同じ発明家を社名にもつ両社ですが、2018年5月1日にはニコラ社がテスラ社に対して『テスラ社の「セミ」がニコラ社の「ワン」に酷似している』としてデザインの特許侵害でテスラを提訴しています。
■ニコラ「ワン」詳細
ニコラ社は「ワン」を2016年12月1日に発表され、2019〜2020年の出荷を目指している2人乗り牽引型トラック(セミトレーラー)です。
ニコラ「ワン」
ニコラ「ワン」
ニコラ「ワン」
燃料には水素を使用し、今後拡充予定の水素ステーションで充電をすることができます。ボッシュと共同開発した、パワートレインを使用し、最大出力が1000hp以上、最大トルクが276kgm以上を実現しています。最長航続距離は水素仕様で最高約1200km、EV仕様で最高約1600kmの走行が可能です。
ニコラ「ワン」の価格は未定ですが、購入にはリースまたは一括購入を選択することが可能です。リースプログラムを利用すれば、水素燃料代金と定期点検がリース代金に含まれます。水素燃料は1人運転であれば12874km(8000マイル)まで、2人運転であれば25749(16000マイル)まではニコラ社が負担し、さらに7年ごとに新しいニコラ「ワン」に交換することができます。
ニコラでは予約を受け付けており、予約に料金は不要です。
発表 | 2016年12月1日 | |
---|---|---|
販売開始予定 | 2021年 | |
燃料方式 | 水素または電気自動車から選択 | |
最大乗車定員 | 2名 | |
車両重量 | 水素仕様 約8.6トン〜10.4トン、EV仕様 約8.1トン〜9.5トン | |
最高馬力 | 水素仕様500馬力、EV仕様1000馬力 | |
最大トルク(ft・lb) | 水素仕様1,650(ft・lb)、EV仕様2,000(ft・lb) | |
荷物積載時の0-60マイルまでの加速に要する時間 | 水素仕様60秒、EV仕様30秒 | |
最長後続可能距離 | 水素仕様 約800km〜約1200km、EV仕様 約800km〜約1600km |
■テスラ「セミ」詳細
テスラ「セミ」は2017年11月16日に発表され、2019年の発売を予定している1人乗り牽引型トラック(セミトレーラー)です。
テスラ「セミ」
テスラ「セミ」
燃料には他のテスラ車と同じく電気を使用し、テスラメガチャージャーを利用すると30分でフル充電ができます。最長航続距離は480km(380マイル)のモデルと、800km(500マイル)のモデルがラインナップされる予定です。
価格は480km(380マイル)のモデルで約1500万円(15万ドル)、800km(500マイル)のモデルが約1800万円(18万ドル)です。また初期ロット1000台の「ファウンダー・シリーズ」モデルはさらに高価な約2000万円(20万ドル)で販売を予定しています。
テスラUSAでは予約を受け付けており、予約には約200万円(2万ドル)が必要となります。
発表 | 2017年11月16日 | |
---|---|---|
販売開始予定 | 2019年 | |
燃料方式 | 電気自動車 | |
最大乗車定員 | 1名 | |
荷物(8万ポンド)積載時の0-60マイルまでの加速に要する時間 | 20秒 | |
最長航続可能距離 | 300マイル(480km)または500マイル(800km) |
まとめ
いかがでしたか?テスラ社とニコラ社は名前の由来も同じですが、資本関係はないことが伝われば幸いです。テスラ社は電気自動車、ニコラ社は水素自動車で長距離トラック市場のシェアを奪い合う形になります。今後の両社の動きにぜひ注目していきましょう。