物流業界における深刻な人材不足
現在、物流業界では深刻なドライバー不足と高齢化という問題が発生しています。
背景にはガソリン価格の高騰による物流業界の業績悪化や法改正による規制強化や、インターネット通販などによる少量多品種化、対照的に好景気な建築業界への若年労働者が流出していること等が上げられています。
石井啓一国土交通相
この状況を受け石井啓一国土交通相も「今後とも物流業界がきちっと役割を果たしていくためには担い手を確保する」ことが必要だと語り、危機感を表している。
日本の物流をめぐる環境は、人口減少・少子高齢化に伴う労働力不足の顕在化、国際競争激化、情報通信技術(ICT)などの技術革新など、様々な変化が生じているため、国土交通省は新たに今後の物流施策の在り方について検討を行っている。
ダブル連結トラック
その対策のひとつとして、トラック輸送の省人化を促進し生産性向上を図るために、国交省が検討を進めているのが、1台で通常の大型トラック2台分の輸送が可能な「ダブル連結トラック」の導入です。
ダブル連結トラックは2016年11月22日から、新東名を中心とするフィールドで実証実験を実施されている。
現在試験に参加しているのは「日本梱包運輸倉庫」で、長さ21mのダブル連結トラック6台を、埼玉県狭山市~愛知県豊田市間、群馬県太田市~三重県鈴鹿市間で走行させている。
「ヤマト運輸」と「福山通運」も3月17日から実験に参加します。ヤマト運輸は、車両長21mのダブル連結トラック2台を使って、神奈川県愛甲郡愛川町~愛知県豊田市で実験する。福山通運は車両長21mのダブル連結トラック1台を、静岡県裾野市~愛知県北名古屋市(岐阜県岐阜市経由)に走行させる。
国交省は実験により、将来の自動運転・隊列走行も見据えつつ、省人化の効果、安全性などを検証した上で、2018年度以降の本格導入を目指す。
実験に際して、特殊車両通行許可の基準について安全性を十分確保しながら現行21mの車両長を25mまで緩和する特例を設けることも検討しています。
大型トラックの隊列走行
トラックの隊列走行は、先頭車両をドライバーが運転し、後続のトラックを電子的に連結して隊列を形成する。3台目以降も電子的に連結し、2台目以降の後続車両は自動走行システムを使って無人走行するもの。国土交通省や経済産業省、警察庁、民間などが協調して実現を目指しています。
2020年度に新東名高速道路での後続無人隊列走行の実現に向けて、2018年1月から後続のトラックにドライバーが乗車した状態で実証実験を行う。協調型車間距離維持支援システムや社会的な受容性を検証する。2019年度1月からはドライバーが乗車した状態で、後続車両無人隊列システムの実証実験を行う。
政府は2022年度以降、東京=大阪間での後続無人隊列走行の実現を目指している。