全国交通安全運動とは
全国交通安全運動は、内閣府を初めとして警察庁や国土交通省、地方自治体や自動車関連の業界団体などが、交通事故防止の徹底を図ることを目的として行うキャンペーンです。
交通安全思想の普及・浸透,交通ルールの遵守と正しい交通マナーの実践を習慣付け、道路交通環境の改善に向けた取組を推進するために、様々な取り組みを行っています。
原則的に「春の交通安全運動」「秋の交通安全運動」と言う形で年に2回開催され、2017年は4月6~15日に実施されます。
春の交通安全運動では,次代を担う子供のかけがえのない命を社会全体で交通事故から守ることが重要であるにもかかわらず,通学中の児童が死傷する交通事故が発生するなど,依然として道路において子供が危険にさらされていること,また,高齢者の交通事故死者数が,交通事故死者数全体の半数以上を占め,その減少が強く求められていること,高齢運転者による重大交通事故の発生など,これらの交通事故情勢に的確に対処するため,「子供と高齢者の交通事故防止~事故にあわない、おこさない~」を運動の基本とする。
2016年の実績
2016年の春の全国交通安全運動は、4月6日から15日までの10日間、「子どもと高齢者の交通事故防止」を運動の基本として実施されています。
警察庁交通局は春の全国交通安全運動期間中の交通事故による死者数は110人と発表しており、前年同期と比べ1人(+0.9%)増、期間中の死者数としては4年ぶりに増加という結果に終わりました。
事故発生件数は1万3051件と前年比16.3%減、負傷者数は1万6051人でこちらも前年比16.6%減と言うことで事故そのものは減少しているようです。
2016年度春の交通安全運動ポスター
■ポリス・ランナーでの呼びかけ
ユニークな取り組みとしては、警視庁戸塚署の「警察官ランナー」などがあります。
警察官がランニングウェアに着替え担当する地域を走って巡回。すれ違う歩行者1人ひとりに交通ルールの順守を呼びかけるというもので、2016年に初めて開催されました。
警察官ランナー「戸塚TSR(=Traffic Safty Runner)」
これは、歩行者目線からの呼びかけることにより、より効果的な交通ルールの徹底ができるという考えから企画されたそうです。
「パトカーや白バイからでは一方通行の呼びかけしかできない。ランナーとなって歩行者目線に立つことで、相互交流の交通安全をしたい」(同課交通総務担当)
この取り組みには戸塚署の男性警察官12人、女性警察官8人の20人が参加し、出動式後にそのまま新宿区西早稲田の明治通り馬場口交差点まで走り、高齢者やベビーカーを押す親子連れに事故防止を訴えたり、直接、高齢者の靴に反射シールを貼り付けるなどの活動を行っています。
この活動では戸塚TSRが車両の侵入が難しい商店街や生活道路を走ることを通じて「交通問題点の把握」という別の役割も帯びており、交通事故防止の新たな貢献が期待されています。
■MEGA WEBで体験型イベント「交通安全。アクション2016」
自動車関連業界団体である「一般社団法人 日本自動車会議所」は春の交通安全運動の一環としてMEGA WEBにて、家族で一緒に交通安全の大切さやルールを楽しく学べる体験型交通安全啓発イベント「交通安全。アクション2016」を開催している。
交通安全。アクション2016
2016年は「家族で広げよう 交通安全」をテーマに、家族と一緒に交通安全の大切さやルールを楽しく学べる体験型ブースを用意し、各ブースをまわってスタンプを5個以上集めた参加者に、協力団体・企業のノベルティー・グッズなどの景品をプレゼントする「スタンプラリ―」などを実施している。
また、交通安全ビンゴ大会や盲導犬ふれあい教室、交通安全の歌とアトラクションなどのステージプログラムなど、小さな子どもからお年寄りまで楽しめる数多くの企画や、飲酒運転根絶を訴えるパネル展示コーナー、自動車に関係するさまざまな相談に対応する「自動車なんでも相談」コーナーも開設した。
2017年に予定されている「春の交通安全運動」の取り組み
2017年の「春の交通安全運動」は、歩行中・自転車乗用中の関心が高まっていること、自動車乗車中における後部座席シートベルトの着用率やチャイルドシートの使用率がいまだに低調であること、重大事故の原因となる飲酒運転による悲惨な交通事故が依然として後を絶たないことなどから、次の3点を全国重点として設定しています。
(1)歩行中・自転車乗用中の交通事故防止
(2)後部座席を含めた全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底
(3)飲酒運転の根絶
■新宿で開催「交通安全。アクション2017」
日本自動車会議所は、体験型交通安全啓発イベント「交通安全。アクション2017 新宿」を4月8日・9日の両日、新宿駅西口広場イベントコーナーで警視庁新宿警察署とともに開催します。なお参加費は無料となります。
交通安全。アクション2017新宿
「交通安全。アクション」は、例年、春の全国交通安全運動期間中に年1回、東京・お台場のMEGA WEBで開催されていたましたが、昨年秋、幅広い年齢層への訴求を狙いに、ターミナル駅である新宿でも開催したところ、約6,300人と多くの人が訪れた結果を受け、2017年度は春の開催を新宿で行うこととになりました。
昨年の交通安全。アクション2016新宿
昨年の交通事故死者数は3904人で、67年ぶりとなる3000人台に減少しましたが、一方で高齢者の占める割合は54.8%にも達し、その対策は社会問題ともなっています。
今回のイベントは、高齢者や家族を対象に体験を通じて交通社会のルールや安全行動の大切さを啓発することを目的に開催されます。
交通安全の大切さやルールを楽しく学べる体験型ブースやステージショー、昨年に引き続き行われる各ブースをまわってスタンプを5個以上集めた参加者に、協力団体・企業のノベルティー・グッズなどの景品をプレゼントする「スタンプラリー」も実施されます。
このほか、飲酒運転根絶を訴えるパネル展示コーナーなども設置されます。
■トヨタ「幼児の飛び出し事故防止」重点テーマに絵本配布
トヨタ自動車は「春の全国交通安全運動」に呼応し、全国の車両販売店と共同で、2017年4月1日から30日まで、春の「トヨタ交通安全キャンペーン」を実施します。
今年の重点テーマは、「幼児の飛び出し事故防止」で、交通安全教材としての絵本約262万部を全国の幼稚園・保育所・認定こども園の新入園児に、交通安全紙芝居約4万6000部を全国の幼稚園・保育所・認定こども園・図書館・児童館等へ贈呈するそうです。
2017年度 トヨタ交通安全キャンペーン
これらは家庭での交通安全教育などに、広く役立てられるよう、ホームページにも掲載されます。さらに、ホームページから申込んだ人の中から抽選で20名にトヨタ純正のチャイルドシート、ジュニアシートをプレゼントするキャンペーンも実施します。
このトヨタ交通安全キャンペーンは1969年より毎年実施しており、なんと今年で49年目となるそうです。交通安全絵本と交通安全紙芝居の累計発行部数は、それぞれ約1億4141万部と約161万部になります。