駐車禁止違反(駐禁)とは?
一言で駐車禁止違反といっても、2種類あるのはご存じでしょうか?
それは「放置駐車違反」と「駐停車違反」です。
それぞれの違いについて詳しく説明していきます。
道路交通法第2条第18号によれば、
車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、又は車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。
と記載されています。
駐車、放置駐車ともに駐車時間が、(時と場合にもよりますが)5分ほどで違反として処理されてしまう可能性もあります。
上記を頭に入れておけば、「放置駐車違反」と「駐停車違反」の違いが理解しやすいと思います。
■放置駐車違反とは?
ドライバーが車から離れて、車をすぐに移動できない状態の違反になります。そして、駐車違反のほとんどがこの放置駐車違反といわれています。
駐車が禁止されている場所に停車して、トイレに行った場合や荷物の配達のために車両を離れてしまう場合などが代表例として挙げられます。
放置駐車違反が警察官や民間の駐車監視員によって発見されると、確認標章(駐禁シール)が取り付けられます。
■駐停車違反とは?
駐車禁止、もしくは、駐停車禁止場所に車両が断続的に停車をし、ドライバーがすぐに車を移動できる状態が駐停車違反に分類されます。
運転手が車内にいる状態で電話していたりすると駐停車違反でキップを切られることがあります。
また、下記の駐停車が禁止されている場所で停車をした場合も、駐停車違反となる場合があります。
第四十四条 車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。
一 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
二 交差点の側端又は道路の曲がり角から五メートル以内の部分
三 横断歩道又は自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に五メートル以内の部分
四 安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分及び当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
五 乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から十メートル以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。)
六 踏切の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
警察官に注意をされた場合でも、すぐに車を動かせばほとんどの場合、違反として処理されることはありません。
【注意】標識や標示がなくても駐車してはいけない場所
駐車禁止の場所は、標識や標示で示されている場所だけではないことは、教習所で習ったはずですが意外と忘れてしまっている方もいらっしゃるかも。
自動車は駐車してしまうと持ち主以外が容易に動かせず、駐車した場所によっては、人命に関わるような迷惑をかけてしまう場合もあります。
道路交通法には、前述の第四十四条「停車及び駐車を禁止する場所」と、第四十五条「駐車を禁止する場所」という項目があり、詳しく場所が定められているので、紹介します。
第四十五条 車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない。ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。
一 人の乗降、貨物の積卸し、駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口から三メートル以内の部分
二 道路工事が行なわれている場合における当該工事区域の側端から五メートル以内の部分
三 消防用機械器具の置場若しくは消防用防火水槽そうの側端又はこれらの道路に接する出入口から五メートル以内の部分
四 消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置又は消防用防火水槽そうの吸水口若しくは吸管投入孔から五メートル以内の部分
五 火災報知機から一メートル以内の部分
どれも駐車してはいけないと納得できる場所ばかりですが、すべてを暗記するのはちょっと難しいかもしれませんね。
交差点や横断歩道、踏切はわかりやすいですが、車が出入りする場所や、消火設備の周辺も駐車はNG。ここに停めて誰かに迷惑をかけないかな、と周りを観察することが大事です。また、定められた駐車場やパーキングメーターのある場所でのみ駐車するよう心がければ、これらに違反することもないでしょう。
【放置駐車違反と駐停車違反】反則金・交通違反点数・行政処分は?
反則金は車両の大きさによって異なります。駐停車違反の場合の反則金、交通違反点数は下記の通りになります。
■駐車禁止場所の反則金
放置駐車違反
普通車:15,000円
二輪車・原付:9,000円
大型車:21,000円
駐停車違反
普通車:10,000円
二輪車・原付:6,000円
大型車:12,000円
■駐車禁止場所の交通違反点数
放置駐車違反:2点
駐停車違反:1点
■駐停車禁止場所の反則金
放置駐車違反
普通車:18,000円
二輪車・原付:10,000円
大型車等:25,000円
駐停車違反
普通車:12,000円
二輪車・原付:7,000円
大型車:15,000円
■駐停車禁止場所の交通違反点数
放置駐車違反:3点
駐停車違反:1点
なお、一般車両が高齢者や妊婦などの専用駐車区間に駐車した場合は、上記の金額より2,000円高い反則金が課されます。
駐車禁止のステッカーを貼られたらどうする?
駐車禁止のステッカー(正式名称:確認標章)を貼られた場合の対処法を2つ紹介します。
■警察に出頭する
まずひとつ目は、警察への出頭です。
交通違反をして支払うのが「反則金」ですが、実は、反則金は自主的に支払うものであり必ず支払わなければならない、と義務付けられているわけではありません。
しかし、支払いを拒否し続けると、最悪の場合刑事罰に問われる場合があります。
反則金を支払わないでいると、次に「通告書」が届き、それにも対応しないと、略式裁判となる可能性があります。
交通違反時の”罰金”と”反則金”の違い|交通反則通告制度についても説明
https://matome.response.jp/articles/1310反則金と、罰金の違いから略式裁判などの説明も含め解説しています。
■放置違反金を支払う
駐車違反をした場合の点数や反則金は、車両の大きさや停めた場所によって変わってきます。一般的に、駐車違反で検挙された場合は違反点数も加算されます。
実は、この反則金を支払うときに、点数が加算されないことがあるのはご存じでしょうか?
駐車違反をして警察署に出頭した場合、反則金を支払い違反点数も加算されます。しかし、駐停車違反は「運転手への罰則」になるので、誰が運転していたかは警察官もわかりません。
そこで、2006年に道交法が改正され、駐車違反をした車両の運転手がわからない場合は、出頭してこない限り「車の所有者」が反則金を支払うことになりました。
駐車違反で出頭しなかった場合、車の所有者に請求書が送られてきます。例えば、レンタカーであればレンタカー会社に届く仕組みで、放置違反金は駐車違反したときの反則金と同額です。
ただし、いくら点数が加算されないからといって、駐車違反を繰り返すと車の使用が制限されます。
埼玉県警のホームページには、
その納付命令の原因となる違反が行われた日前(放置車両確認標章取付日)を起算日として6ヶ月以内に同一車両について3回以上納付命令を受けている場合に、公安委員会は、その車両について3ヶ月以内の期間を定めて運転禁止を命ずることができます。
との記載があります。つまり「半年以内に同じ車で3回以上放置駐車違反をした車は、使用禁止にできる」という内容です。
最後に
「駐禁の反則金は支払わなくても大丈夫」という都市伝説もありますが、先述の通り、支払いをしなければ刑事罰に課せられる可能性があります。
また、駐車違反でシールを貼られたら、場合によっては出頭しなくてはいけないこともありますが、慌てて警察署に出頭しない方が違反点数は加算されずに済みます。
そのため、免許の点数が少なくなっている方やゴールド免許をなくしたくない!という方は、後から送付される放置違反金で支払うようにしましょう。
よくある質問
■駐禁で貼られた黄色いステッカー、自分ではがしていいの?
ひと昔前までは、駐車禁止で取り締まりを受けた際はカギつきの確認標章が車に取り付けられ、警察署に出頭しないと取り外しができませんでした。しかし、2006年の道路交通法改正以降、黄色の「放置車両確認標章」ステッカーが貼られるようになり、自分ではがせるようになりました。むしろ標章に「運転前に取り除いてください」と明記されているほどで、運転する際に視界を遮る場合もあるので忘れずにはがしましょう。
■誰かが乗っていれば駐車禁止にはならないの?
誰かが乗っていれば「停車」扱いだから駐車禁止にはならない、と考える方もいるようです。乗員がいる場合は駐車監視員による取り締まりの範囲外とされていますが、場合によっては警察による取り締まりを受けて反則金と違反点数がつく可能性があります。