ハイドロプレーニング現象が起きるとどうなるの?

ハイドロプレーニング現象について知ろう
「ハイドロプレーニング現象」とは、濡れた路面を高速で走行した際にタイヤと路面との間に水膜ができることによって浮いた状態になり、ハンドルやブレーキがコントロールできなくなる現象のことをいいます。
ハイドロプレーニング現象が起こるとタイヤと路面の摩擦がなくなり、ツルツルの氷の上を滑るのと同じような状態に。
大雨の日に高速道路を走行している時にハイドロプレーニング現象が発生すると、ブレーキやハンドル操作が効かなくなって重大事故を起こす恐れがあります。
ハイドロプレーニング現象はどうして起こるの?

ハイドロプレーニング現象
ハイドロプレーニング現象は、低速走行時とは異なり、道路が冠水していても車のタイヤが水の上に浮いてしまう現象です。
具体的には、自動車が濡れた路面を高速で走行する際、タイヤが路面の水を取り込みます。通常ならば、タイヤの溝がこの水を排水する役割を果たし、タイヤと路面との接地状態が保たれます。
しかし、タイヤの溝がすり減ったり、車の速度が早すぎると、タイヤの溝が水を十分に排水できず、結果としてタイヤと路面の間に水の膜が形成されてしまうのです。これがハイドロプレーニング現象の発生につながります。
たとえば、雨の日に高速道路を走行する車を想像してみてください。前の車が立てる水しぶきが見えるでしょう。それがタイヤと路面との間にできた水の膜です。この状態だと、ブレーキを踏んでもタイヤが水の上を滑ってしまい、車が思うように止まらなくなります。
このハイドロプレーニング現象は、特定の条件が重なったときにのみ発生します。したがって、同じ日に同じ場所を走行するすべての車で起こるわけではありません。場合によっては、前輪だけ、後輪だけで起こることもありますし、四輪すべてで発生することもあります。
■ハイドロプレーニングが起きやすいのは、雨の日の高速道路!
ハイドロプレーニング現象は特に、雨の日に道路が冠水している状態で高速運転する際に発生しやすいとされています。具体的には、雨の日に時速約80km以上での走行で起きやすくなるといわれています。
高速走行時、タイヤと路面の間に水が溜まり、その排水能力が追いつかなくなることで、水の膜が形成されやすくなります。
水の性質を理解すると、この現象がより明瞭になります。水は通常、流動性があり、簡単に形を変えます。しかし、水が高速で物体と衝突すると、水の粘性抵抗が増し、形を変えにくくなるのです。
したがって、高速走行時にタイヤの下に入り込んだ水は、形状の変化が困難となります。この結果、水の排水が間に合わず、ハイドロプレーニング現象が引き起こされ、タイヤがスリップすることになります。
道路に大きな水たまりができている場合や、道路が冠水している場合など、水分が多く存在する状況では、ハイドロプレーニング現象が起こりやすくなります。そのため、これらの状況では特に注意が必要です。
ハイドロプレーニング現象が起きた時の対処方法は?

ハイドロプレーニング現象
先述したように、雨の日に高速道路などを走行すると、ハイドロプレーニング現象が発生する可能性があります。
もしもこのような現象が起こってしまった場合は、事故を起こさないようにするために適切に対処することが大切です。
■急ブレーキやアクセル操作に注意
ハイドロプレーニング現象が発生すると、タイヤが空転するので速度計やエンジン回転数のメーターが変化します。
車体がスリップを起こすので、車の動きでも判断することができます。走行中にハイドロプレーニング現象に気づくことができた場合、ブレーキ操作やアクセル操作を避けてタイヤが路面と接地した状態を回復するまで待つことが大切です。
接地が回復するまでの間はブレーキやアクセルペダルから足を離して、MT車であればクラッチを切るようにします。何もしなければ車体は空気の抵抗で自然に減速し、速度が下がれば駆動力が回復していきます。
スリップ中は急ハンドルを避けて、減速操作が必要になった際は軽くポンピングブレーキをするように心がけましょう。
タイヤの溝をこまめに点検!それが自分自身を守る!

タイヤの溝もチェック
ハイドロプレーニング現象を避けるためには、常日頃からタイヤの状態を注意深くチェックすることが重要です。タイヤの溝がすり減ってしまっていたり、空気圧が不十分な状態だと、雨天時にハイドロプレーニング現象が発生しやすくなります。
タイヤの排水能力はその溝の深さに比例します。溝が半分になった場合、その排水能力も半分になってしまうのです。また、溝が浅いタイヤは、低速走行でも危険です。タイヤにスリップサインが現れている場合は、溝が大幅にすり減っている証拠なので、すぐにタイヤを交換する必要があります。
また、空気圧が不足していると、地面とタイヤの接地面が広くなることで、排水能力が低下します。空気圧の調整は月に一度が目安とされており、ガソリンスタンドでの給油時に空気圧チェックを依頼すると効率的です。
タイヤの溝の深さや空気圧は見落としやすい部分ですが、これらを日々確認することが車の安全運転につながります。ハイドロプレーニング現象の予防には、このような日頃のチェックが非常に大切となるのです。
まとめ

雨天時の運転に注意
雨の日に高速道路などを走行する場合は、ハイドロプレーニング現象に注意を払うようにしましょう。
ハイドロプレーニング現象を防ぐためには、タイヤやブレーキなどの日常点検が必要不可欠です。タイヤの溝や空気圧は見落とされがちですが、こまめにチェックするように心がけましょう。
よくある質問
■ハイドロプレーニング現象はどうして危険なの?
ハイドロプレーニング現象とは、濡れた路面を高速で走行した際にタイヤと路面との間に水膜ができることによって浮いた状態になり、ハンドルやブレーキがコントロールできなくなる現象を指します。
ハイドロプレーニング現象が起こると、タイヤが水の上を滑る状態となり、ハンドルがまったくきかなくなって、クルマをコントロール出来なくなってしまうため、大変危険なのです。
■ハイドロプレーニング現象が起きたら、どうすればいいの?
ハイドロプレーニング現象が起こってしまったら、タイヤが全くグリップしていないのでクルマのコントロールが出来なくなってしまいます。ハイドロプレーニング現象から回復するには、タイヤのグリップが回復するのを待つしかありません。難しいかもしれませんが、パニックにならずに落ち着いて、ハンドル切ったり、ブレーキを踏んだりしないで、タイヤが自然にグリップを回復するのを待ちましょう。
■ハイドロプレーニング現象を防ぐにはどうすればいいの?
雨の日、タイヤは、溝を通して水を排水することで路面を掴む事でグリップを発生しています。そのため、タイヤの溝の深さは雨の日のタイヤのグリップに直結します。タイヤが減って溝が浅くなると、タイヤの排水能力が落ちてハイドロプレーニング現象が起きやすくなります。
ハイドロプレーニング現象を防ぐには、溝が浅くなっていないか、適切な空気圧が入っているかなど、こまめにタイヤを点検する事が重要です。