ドイツ国際モーターショー(IAA) TRANSPORTATIONとは
《写真提供:response》《写真撮影 宮崎壮人》 メルセデスベンツトラック 欧州・北米責任者のカリン・ラドストローム氏
「ドイツ国際モーターショー(IAA) TRANSPORTATION」は、ドイツ・ハノーファーで開催される商用車に特化した世界最大級の国際モーターショーです。
興味深いことに、ドイツ国際モーターショー(Internationale Automobil-Ausstellun)には、2つの顔があります。ひとつは乗用モビリティに特化した「IAA MOBILITY」、もうひとつは運送や輸送といった商用モビリティに特化した「IAA TRANSPORTATION」です。
ドイツ国際モーターショー(IAA)はこの2つの異なる企画で構成されており、それぞれが隔年で開催される仕組みになっています。昨年、2023年はドイツ・ミュンヘンで「IAA MOBILITY 2023」が開催されました。それで今年2024年は、ドイツ・ハノーファーで「IAA TRANSPORTATION 2024」が開催される順番というわけです。
「IAA TRANSPORTATION」の公式ホームページを見ると、ワンクリックで「IAA MOBILITY」へと切り替わるスイッチ状のリンクが用意されています。開催年も、開催都市も異なるモーターショーでありながら、”ひとつのモーターショー”としてデザインされていると伝わってきます。
とはいえ、「IAA TRANSPORTATION」は商用車に特化したモーターショーなので、「IAA MOBILITY」と比べると、派手さや華やかさはいくぶん抑え気味です。シンポジウムやカンファレンスといったプログラムがメインとなる、ビジネス色の強いモーターショーといえるでしょう。
IAA TRANSPORTATION 2024開催概要
《写真提供:response》《写真撮影 宮崎壮人》 三菱ふそう『eキャンター』欧州仕様(IAAトランスポーテーション2022)
開催展名
IAA TRANSPORTATION 2024
開催日時
2024/9/17(火)~2024/9/22(日) 9:00~18:00
※9/16(月)は認定された報道関係者のみ入場できる「プレスデー」です。プレスデーの入場時間は、8:00~18:00となります。
会場
Messegelände Hannover(ハノーファー国際見本市会場)
住所
Messegelände, 30521 Hannover, ドイツ
アクセス方法・駐車場
■車の場合
ハノーファー空港から車で約30分
■電車の場合
「ハノーバーメッセ/ラッツェン(Hannover Messe/Laatzen)駅」より徒歩で約3分
■駐車場
会場の「Messegelände Hannover(ハノーファー国際見本市会場)」には、約8,800台の収容が可能な駐車場が完備されており、料金は15ユーロです。
主催者
German Association of the Automotive Industry(VDA)
出展対象品目
トラック、バス、自動運転技術、電池や充電設備、燃料電池、水素関連技術、次世代モビリティ、輸送システム、IT技術など
■チケット購入方法
チケットは、IAA TRANSPORTATIONの公式ホームページから購入できます。
■オンラインで購入可能なチケット
・1日券:28ユーロ
・午後券(13:00~):13ユーロ
・週末1日券:10ユーロ
・9/17(火)~9/22(日)の開催期間チケット:74ユーロ
・9/16(水) 13:00~プレスデー限定チケット:69ユーロ
※5歳以下の子どもは入場無料
■現地チケット売り場限定のチケット
・学校団体1日券:5ユーロ/1人あたり
・週末ファミリーアドベンチャーパス(大人2名と子供3名まで):20ユーロ
・トラックおよびバスドライバーチケット:8ユーロ
※5歳以下の子どもは入場無料
Ticketshop IAA TRANSPORTATION 2024 - 17 - 22 September 2024
IAA TRANSPORTATION 2024で発表予定の車両をピックアップ
■トヨタ PROACE MAX
《写真提供:response》《photo by Toyota》 トヨタ・プロエース・マックス・エレクトリック
トヨタ自動車は「IAA TRANSPORTATION 2024」において、「トヨタ PROACE MAX」を出展します。PROACE MAXは、トヨタがヨーロッパの大型バン市場に初めて投入する車種で、すでにコンパクトバンや中型バン市場で力を示してきたことから、新たな市場の開拓が期待されています。
PROACE MAXにはEVバージョンが用意されているほか、用途に応じたさまざまな改造オプションがあります。工場出荷時に、ドロップサイド、シャシーバージョン、ティッパー加工などが可能で、ニーズに合わせた車両提供を行います。
■KIA PV5ハイルーフコンセプト
《写真提供:response》《photo by KIA》 キアのPBV
韓国ヒョンデ傘下のKIA(起亜自動車)は「IAA TRANSPORTATION 2024」において、「KIA PV5ハイルーフコンセプト」を出展します。ブースでは、PBV(プラットフォーム・ビヨンド・ビークル)と名づけられた、軽商用車(LCV)市場向けのコンセプトカーが並ぶようです。
PV5ハイルーフコンセプトを含め、PBVはすべて電動車で、EVへと急速にシフトしているヨーロッパ市場を意識した出展といえるでしょう。
■BYD E-VALI
《写真提供:response》《photo by BYD》 BYDの電動商用車ラインナップ
中国に本社を置くBYDは「IAA TRANSPORTATION 2024」において、新型の電動商用車「BYD E-VALI」を世界で初めて公開します。
BYDの世界最大級のEVメーカーである強みを活かし、E-VALIはヨーロッパ市場を意識した完全電動商用車。ユーザーまでの最終配送を担うラストワンマイル使用を想定した車両となっています。
■ボルボ・トラック VNL
《写真提供:response》《photo by Volvo》 ボルボVNL
ボルボ・トラックは「IAA TRANSPORTATION 2024」において、大型トラック「ボルボ VNL」を出展します。
ボルボ VNLは、特に北アメリカ市場に向けて販売されているモデル。新型VNLはバッテリー電気駆動、燃料電池、水素などの再生可能燃料による内燃エンジンなどの新技術を盛り込み、更なる持続可能な輸送技術を提案します。
■MAN eTruck
《写真提供:response》《photo by MAN》 MANのEVトラック『eTGX』
ドイツ フォルクスワーゲングループ傘下のMANは、「IAA TRANSPORTATION 2024」において、新型EVトラック「MAN eTruck」を出展します。
既存の設計にカスタマイズ性を加えた「モジュラー型バッテリーコンセプト」を採用することで、多様なニーズに応えるバリエーションを用意。最大1,000kWのメガワット充電(Megawatt Charging System,MCS)に対応し、1回の航続は最大800kmを誇ります。
IAA TRANSPORTATION 2022の様子
こちらは「IAA TRANSPORTATION 2022」の様子です。
商用車と一括りにいっても、さまざまな大きさ、種類があり、それぞれがとても魅力的であることがよく伝わってきます。
通常、その種の仕事につかない限り、なかなか乗ったり触れたりできない商用車を、こうして間近で楽しめるのは貴重な機会でしょう。
まとめ
《写真提供:response》《写真撮影 宮崎壮人》 メルセデスベンツトラックの電気大型トラック『eアクトロス ロングホール』(IAAトランスポーテーション2022)
今回は、「IAA TRANSPORTATION 2024」の開催概要や、展示が予定されている注目車両のいくつかをピックアップしました。
ドイツ国際モーターショー(IAA)は、2つの顔を持つ興味深いモーターショーです。特に今回紹介した「IAA TRANSPORTATION」は国際モーターショーでありながら商用車に特化しているという面で、特異な存在といえるかもしれません。
ぜひこの機会に、最新の”働く車たち”を見に行ってみませんか?