マツダのスポーツカーが歩んできた道のり
2002年にマツダのフラッグシップ・ピュアスポーツ『RX-7』、2012年6月に『RX-8』が生産終了となりました。その後2015年に東京モーターショーで『RX-VISION』が公開されたが、マツダ社長の小飼雅道氏は今後『ロードスター(MX-5)』以上のスポーツカーを投入することは考えていないとメディアに公表していたのです。
マツダ RX-7(FD型)
RX-8
『ロードスター(MX-5)』とは、米国の自動車メディア協会で “Best for the Buck”、日本語に訳すと「出費に見合う価値がある」と高く評価されたマツダのスポーツカーです。エンジンの搭載位置を多くの車種にある位置より下へ、後ろへ移動させて重量配分をして走行性能を上げ、同時に低く造り込んだ着座位置によって快適性能も向上させるなどの様々な細かい工夫がされています。
歴代ロードスター
本来ここまでしっかりと設計された車種は高価格のイメージですが、驚いたことにこの『ロードスター』は3万1555ドル(日本円で凡そ352万円)とスポーツカーとしては求め易い価格が設定されています。このコストパフォーマンスの良さと性能の良さによって表彰され、今でも多くのユーザーに愛され続けている車種なのです。
RX-7,RX-8の後継モデルRX-9とは??
最近、2017年10月に開催される東京モーターショーでマツダから新型の2ドア・コンセプトカーが公開されるという噂が広まっています。
ロータリーエンジン50周年ということもあり、新開発のロータリーエンジン「SKYACTIVE-R」が採用される可能性が高いとされていて、これらの特徴から世界中のメディアが『ロードスター』以上の性能を持つ、『RX-9』 がついに『RX-7』と『RX-8』の後継者モデルとして発表されるのではないかと注目され始めました。
RX-7, RX-8ってどんな車なの?〜詳細説明〜
■1978年発売!「RX-7」の性能と魅力
『RX-9』の発表と公開が予想されていますが、過去に生産されていた大先輩モデルである『RX-7』と『RX-8』ついても今回は紹介します。
マツダ サバンナ RX-7(1978年)
まず、『RX-7』は1978年3月に初代モデルSA22Cの誕生から始まったシリーズです。小型ロータリーエンジンの実現に成功したことで、第二次オイルショックと 排ガス規制の影響で自由にガゾリンを使うことができなかった時代に登場したこのスポーツカーは、日本だけでなく世界中を驚かせました。
RX-7
理由は スポーツカーを開発しようとする考えさえ存在しなかった時期に低重心で運動性を高めた車種が登場したことだと言われています。
RX-7
2002年に『RX-7』シリーズはマツダが新たな時代に向けての開発を進めるために幕を閉じたが、世界を圧倒させたスポーツカーのエンジンは 受け継がれていきます。マイナーチェンジは何度も行われ、簡素な構造によって車に高い性能を持たせ且つ手頃な価格を実現させてきたロータリーエンジンと化して、現在も多くのモータースポーツ愛好家達を喜ばせています。
ロータリーエンジン
■2003年発売!RX-7の後継者「RX-8」
『RX-8』はマツダが“4ドア4シーターの本格スポーツカー”と定義して『RX-7』の後継モデルとして開発したスポーツカーです。前世代のモデルと異なり、搭乗可能人数が4人になったこと、当時新開発だったロータリーエンジンの「レネシス」が搭載されたことから多くの注目を浴びました。
RX-8
このロータリーエンジンは654cc x2ローターで210PSまたは250PSの選択肢があり 、マツダの40年以上に及ぶロータリー技術の歴史を結実したと言われたほどのスペックを備えたエンジンでした。
ロータリーエンジン
また、デザイン開発をまとめたチーフデザイナーの前田育男氏は、マツダにしかできないデザイン、スポーツカーの新しい姿を追求したと述べました。そのこだわりによって、あの有名なシリーズ「X-MEN 2」で『RX-8 X-MEN Car』というブルーのエクステリアを持ったバリエーションとして登場し、2003年のオートサロンで公開された当時は凄い反響だったようです。
しかしこの車は単なるスポーツカーではなく、家族向けにも利用ができるようにフリースタイルドアの採用でチャイルドシートを早着し易くすることや、後席シートバック付近にチャイルドシートをより強固に固定するためのトップテザーという金具止めを設置するなどの工夫もされてました。
商品化したのはマツダが世界初!ロータリーエンジンの歴史
マツダが開発し、『RX-9』にも搭載されると言われているロータリーエンジンは2017年で50周年を迎えました。初めてこのエンジンを搭載した車種は1967年の5月30日に148万円という価格で発売され始めた『コスモスポーツ』でした。
コスモスポーツ
高回転までスムーズに吹き上がるエンジンの特徴と飛翔しそうな未来的デザインがもたらした印象によって「乗るというより、飛ぶ感じ」というキャッチコピーを添えるほどのスペックを持たせたこのエンジンは、今も進化をもたらして世界中の注目を浴びています。
ヴァンケル・スパイダー
実はロータリーエンジンを初めて搭載した市販車はマツダの車種ではなく、NSUという車会社が1963年に発売した『ヴァンケル・スパイダー』でした。しかしこれに採用していたエンジンは既にあった600cの並列2気筒空冷エンジンをシングルロータリーに変換した物、つまりシャシーはロータリーエンジン搭載を前提に設計した物ではない実験モデルだったのです。
よって、ロータリーの搭載を前提とした車体を開発して、商品化したのはマツダが世界初ということになります。
2002年の『RX-7』、2012年の『RX-8』の生産終了からしばらくマツダのラインアップにロータリーエンジンを搭載したモデルは存在しなかったのです。ところが2013年に『デミオ』をベースにした『REレンジエクステンダー』に新型のシングルロータリーエンジンを搭載します。
REレンジエクステンダー
2015年の東京モーターショーでは次世代ロータリーエンジンと言われた「SKYACTIV-R」を搭載した『RX-VISION』が発表され、発売されました。これらの出来事により、この最新ロータリーエンジンが次の『RX-9』にも採用される可能性は高いと想う人は多いでしょう。
ロータリースポーツコンセプトのRX-VISION
■RX-VISIONの概要
『RX-7』と『RX-8』の発売中止後2015年にマツダは『RX-9』との名を持つ車種ではなく、ロータリースポーツコンセプトの『RX-VISION』を世界初公開しました。
今まで マツダがスポーツカーのデザインに用いてきた歴史のあるこだわりを再びスタイリングに活かし、動力性能と環境性能の向上を目的に次世代ロータリーエンジンがパワートレインとして搭載されたモデルです。
RX-VISION
■RX-VISIONのデザインや性能
まず、デザインではリフレクションによって「鼓動デザイン」が追求し続けてきた「動き」を表現し、エレガント且つ生命感が溢れたような造形を実現しました。そしてボディーカラーでエネルギッシュな印象を与えそうなマツダ特有の赤色を採用し、光と陰のコントラストを丁寧に描くことでマツダのスポーツカーに対する情熱をエクステリアデザインによって表現しています。
RX-VISION
走行性能に関しては、マツダが開発してきたロータリーエンジンの新型である『SKYACTIV-R』が採用されています。マツダによると、「常識を打破する志と最新技術をもって、課題解決に取り組む」という意味がこのエンジンの名前に込められているそうです。
■開発者の思いとは?
「こういう(RX-VISION)ような真剣なスポーツカーを作るのは僕のライフワーク。死ぬまでには絶対作り上げたいし、そもそもこのクルマのターゲットユーザーは私。夢で終わらせるつもりはありません」とデザイン担当執行役員の前田育男氏が2015年東京モーターショーで想いを語りました。
この車には優れた最新技術だけでなく、様々な開発者の想いも含まれています。その想いは『RX-VISION』に備われている一つ一つの機能や性能に含まれるこだわりによって伝わってくるはずです。このような『RX-VISION』の次の世代の車種として誕生するとの噂の『RX-9』は果たしてどこまでスペックが高くなるのでしょうか。
2017年東京モーターショーで公開の噂!
今年開催される2017年東京モーターショーでは、かつて多くのスポーツカー愛好家達を驚かせてきた『RX-7』と『RX-8』に続く、世界で唯一無二のエンジンを搭載した市販車として『RX-9』が発表され、シリーズが復活するのではないかという期待が大きいです。
マツダ RX-9 予想CG
Spyder7では『RX-9』の見た目と搭載される技術などを欧州からの最新情報を元に予想しており、2015年に公開された『RX-VISION』からインスピレーションをえたマツダ独特のライン形状と押出の強いフロントエンドを特徴とした随所にメッキパーツを採用したエクステリアが期待できるのではないかと述べています。
RX-VISION
そして『RX-9』のパワートレインとしては、新開発のロータリーエンジン「SKYACTIV-R」を採用し、最高出力は450ps程度、駆動方式はFRと予想されています。またボディサイズは全長4440mm、全幅1190mm、全高1180mm、重量は1300kgから1350kgとなる可能性が高いです。価格は最低でも800万円、1千万円超えと予想されます。
ロードスターRF
更に上記のスペックを持ち、『ロードスターRF』のノウハウを活かした電動アクティブトップモデルが投入されて発売されるとの噂もあり、今年のモーターショーは今まで以上に注目を浴びるに違いないかと思われます。2019年にはオープンモデルが初公開されて2019年内にクーペが発売される可能性が高いと言われていることで、『RX-7』から始まったRXシリーズ最新モデルの『RX-9』がついに実現されるのではないかと楽しみにしているファンは多いでしょう。
2017年10月に開催される東京モーターショー、本当にRX-9が発表されるのか否か、今から楽しみですね。