53個の貝殻パーツでハチドリを表現。妻への思いを込めた特別なファントム
《画像提供:Response》《Photo by Rolls-Royce Motor Cars》 ロールスロイス『ファントム・ハミングバード』
ロールス・ロイスは2026年9月15日、ビスポークモデル「ファントム ハミングバード」を英国で発表しました。長いホイールベースを持つ「ファントム エクステンデッド」をベースに、顧客が妻への敬意を込めて注文したワンオフの1台です。
制作の窓口となったのは、ブランドの「プライベート・オフィス・ドバイ」。ハミングバード、つまりハチドリの姿を、上質な木材と貝殻の輝きで室内に表現しました。なかでも注目は、ロールス・ロイスとして初めて採用したアワビ貝の象嵌です。
《画像提供:Response》《Photo by Rolls-Royce Motor Cars》 ロールスロイス『ファントム・ハミングバード』
象嵌とは、異なる素材を表面にはめ込んで模様を描く技法です。今回は青や緑にきらめくアワビ貝と白蝶貝を組み合わせ、光の角度によって表情が変わるハチドリと植物を表現。塗料だけでは得られない素材そのものの色合いを生かしています。
左右のピクニックテーブルには、それぞれ53個の貝殻パーツを使用。そのうち18個が翼を形づくります。後席の間にあるウォーターフォールパネルにも84個のパーツで植物を描き、乗員を囲むように繊細な装飾を配置しました。
美しい仕上がりを支えているのは、気の遠くなるような調整です。薄く割れやすい素材を扱うため、技法の開発には9か月以上をかけ、6回の試作を重ねています。パーツは仕上がり寸法より0.06mm大きく切り出し、職人が手作業で調整。3枚のパネルの象嵌を完成させるだけで、45時間を要しました。
《画像提供:Response》《Photo by Rolls-Royce Motor Cars》 ロールスロイス『ファントム・ハミングバード』
外装は、深みのあるワイルドベリーを下部に、ホワイト・サンズを上部に配したツートーン。手描きのコーチラインにもハチドリのモチーフを添え、室内のテーマを外観へとつなげています。
インテリアにはクリームライトのレザーを使い、モカシンとタンのアクセントや星空を思わせるスターライト・ヘッドライナーを組み合わせました。華やかな象嵌を主役に据えながら、ファントムらしい落ち着いた空間にまとめています。
「ファントム ハミングバード」は、一般販売向けの新グレードではなく、1人の顧客のために仕立てた特別注文車です。性能や装備の追加とは異なる軸で、家族への思いを素材と職人技に置き換えた、ビスポークならではの作品となっています。


