はじめに
ホンダは5月31日、「ステップワゴン」「フリード」「フリード+」の計3車種のブレーキマスターシリンダーに不具合があるとして、国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出ました。
該当は20万台。不具合は142件発生、物損事故が2件起きているとのことで該当車種の可能性のある方はできるだけ早めに対応しましょう
今回はリコールに関してタカタ製エアバックのリコール情報も含めてまとめました。
リコール(回収・無償修理)内容
■不具合の部位(部品名)
今回の不具合の場所は「制動装置(ブレーキマスターシリンダー)」になります。
ブレーキマスターシリンダーにおいて、セカンダリーカップの材質と形状が不適切なため、カップがリザーバータンクホースからブレーキ液中に溶け出した可塑剤により膨潤し、また、走行中のエンジンからの熱影響により膨張すると、変形することがあります。
そのため、シール性能が低下して、ブレーキペダルをゆっくり踏むとシール部からブレーキ液が漏れ、最悪の場合、制動距離が長くなるおそれがあります。
簡単にまとめるとブレーキ液が漏れ、制動距離が伸びるためドライバーの想定以上にブレーキが止まりづらくなり追突などの事故が起こる可能性がでてきます。
■通知方法&改善措置の内容
ユーザーへ通知に関してはダイレクトメール等で通知。
自動車分解整備事業者へは日整連発行の機関誌に掲載。
改善内容は、ブレーキマスターシリンダーアッセンブリーを対策品と交換するそうです。
対応後の改善実施済車には、識別としては運転席ドア下側ヒンジ上側ボルト頭部に黄色ペイント・№4274のステッカーを貼付するとのことです。
リコール(回収・無償修理)対象モデルの型式、車体番号、製造年月日
該当車種は「ステップワゴン」「FREED」「FREED+」の3モデルで型式や車体番号、製造年月日は上記の通りになります。
2015年4月1日から2018年2月19日に製造された該当車種は20万9060台ということでそれなりに大規模な該当台数かと思います。
不具合は142件発生、物損事故が2件と実際に事故も起こっており、市場からの情報により届け出たとのことで、不具合発生のクレームや実際に物損事故も発生し急いで国土交通省に届け出たと思われます。
今回のリコール対応について作業時間は2時間程度となりますが、交換台数も多く部品が不足気味のようなので気になる方はお早めにディーラーに相談すると良いでしょう。
タカタ製エアバックリコール問題
タカタ製エアバックのリコール問題は、国産車、輸入車問わず非常に大規模な範囲でリコールが発生しているのは皆様の周知のとおりと思います。
ちなみに国土交通省のタカタ製エアバッグのリコール改修状況によると、2018年3月末現在の改修率は88.4%となるようです。
だいぶ改修も進んできていますが残りの未改修は12%弱あります。
内訳は改修率は原因が特定されたリコールが96.4%、予防的リコールが87.2%、合計が88.4%となっています。
統計情報は2018年2月までに届け出たタカタ製エアバッグのリコール対象台数は、原因が特定されたリコールが254万0756台、予防的リコールが1653万8018台で、合計1907万8774台。
改修を実施したのは原因が特定されたリコールが245万0156台、予防的リコールが1441万8326台で、合計1686万8482台となっています。
エアバックのリコール対応に関して改修率も頭打ちになってきたので国土交通省ではタカタ製エアバッグのリコール改修促進のため、異常破裂する危険性が高い未改修車両(自動車メーカー9社、97車種、約130万台(2017年10月末時点))について、平成30年5月より、車検で通さない措置を講じてきました。
下記のような動画も作成されています。
タカタ製の欠陥エアバッグは異常破裂し、金属片が飛び散って乗員が死傷する可能性があるため、当リコールについては非常に緊急性も高く、海外では死傷事故も起きています。そのまま乗っていると、大変危険なのでできるだけ早い改修をおすすめします。
自分のクルマが対象者なのか気づいていない方もまだ多いのではということで国土交通省も若干強引ではありますが、こういった対策をしてきたのだと思います。
車検が通らないということでSNS上では否定的な意見も散見されましたが、筆者としては命に関わることなので致し方ないと思います。しかし、該当車種が車検を通らない際に、交換のエアバックが足りない状況というのもありえますので、そういった場合は代車費用なども負担するなども考慮すると反発も少なかったのではと考えます。
ちなみにホンダ車でタカタ製エアバックのリコール対象車種は以下の画像のとおりです。
対象の車種は昔のモデルが多いく、エディックス、ザッツ、ストリート、ゼストなど懐かしい名前の車種が多いですね。
最後に
大規模リコールの場合部品が不足気味になるので、改修に時間がかかることがあります。
気になる方はディーラやDMでの通知を待つ前に購入されたディーラーに確認し、早めにリコール対応してもらうのが良いでしょう。
今回のステップワゴンやフリードのリコールは、ブレーキの制動距離が伸びるということで緊急性が高いとは言えないため、点検や車検時のついでに交換という流れになる方もいらっしゃると思いますが、知っていると知らないでは”いざという時”の対処が変わってきますので対応車種のドライバーの方々は気をつけて運転するようにして下さい。
また、前述したように該当台数も多く部品が不足気味となっているようなので、なるべく早めに交換することをおすすめします。
タカタ製エアバックについても過去最大規模のリコールで、交換エアバックが不足気味のため車検まで余裕があっても、直前まで未交換だった場合交換部品が無く車検が通らないということにもなりかねませんのでご注意ください。
リコールについてはユーザー側からなかなか自発的に気づくというのは難しいので、自動車メーカーやディーラーにはユーザーに早く確実に連絡がとれるような働きかけを引き続き進めていただけるとありがたいですね。