ホームドアの普及と課題
国土交通省の発表によると2016年3月末時点で、全国665駅に設置がされているそうで、2015年に比べると新たに50駅に設置が行われました。
山手線のホームドア
駅のホームドアは転落事故などの防止に高い効果が期待できるものの、コストやドア位置の異なる車両に対応できない点や、重量が重いためホームの補強が必要な場合がある事や、工事期間の長さなどが普及への課題となっています。
新しいタイプのホームドア
近年、コストやドア位置の異なる車両に対応できない点などの問題に対応した新タイプの実証試験が国交省の鉄道技術開発費補助金による支援で行われており、様々な駅で新しいタイプのホームドアが実験されています。
■間口の広いホームドア
様々なタイプの車両が止まる駅では、ドアの位置や大きさが異なることがあり、ホームドアの設置が困難になります。そういった駅で設置が進められているのが「間口の広いホームドア」です。
JR東海が在来線に導入するホームドアのイメージ
東海道本線の名古屋地区では、車体側面にドアが3カ所設けられている311系電車と313系電車が運用されているが、ドアの位置は若干異なる。同じ形式の編成でも、先頭車と中間車では車両の長さが異なるため、車両の連結の仕方によってもドアの位置が変わる。このため、従来型のホームドアを導入するのは難しいという課題があり、JR東海は、ドア部分の幅を4m強に拡大したホームドアの試作を決定。メーカーの工場などで動作試験を行った後、金山駅で実証試験を行うことにしました。
東西線九段下駅のホームドア
東京メトロ東西線では実証実験のため、間口の広いホームドアが東西線九段下駅のホームに設置されています。
■軽量化されたホームドア
JR横浜線の町田駅(東京都町田市)で、実験が行われている新しいタイプのホームドアが「スマートホームドア」です。2016年12月17日ら実証実験がおこなれました。
スマートホームドアは、JR東日本メカトロニクスが開発した新タイプのホームドア。フレーム構造のドアを採用するなど構造の簡素化を図った。これにより整備コストの圧縮や設置にかかる時間の短縮が可能になるそうです。
フレーム構造の採用により軽量化
JR東日本の横浜支社は実証実験の結果をふまえ「品質向上に向けた改善」を行うとし、開口部のバーを下部にも追加。バーが出入りする部分にもカバーを追加する。このほか、上部のバーの色を黄色に変更するなどの改善を行うことを発表しています。
スマートホームドアの改良イメージ。バーの追加などを行う。
■昇降式のホームドア
JR東日本拝島駅の八高線ホームで試験運用が行われているのが「昇降式ホームドア」です。
3本のバーが上方へとスライドし、最終的にはバーの架台ごと上方に持ち上がる仕組み。
この昇降式ホームドアは、強化プラスチック(FRP)製のバー(棒)3本を昇降させる。
開発行った「高見沢サイバネティックス」によると、バーを使用する利点は「たわみ量が少ないこと」。万が一車椅子などが衝突した場合でも、強度の高いバーの場合はたわんで列車側に張り出す危険がなく、ホームの端ぎりぎりに設置可能なため狭いホームにも向いているという。
ドア数や位置の異なる車両には、開口幅の異なる柵を組み合わせることで対応できる。また、筐体が軽量で現地組み立てが可能なため、駅のエレベーターなどを使っての搬入が可能という。