免許取り消し:一番多い飲酒運転
免許取り消しになる一番の理由としては、交通違反の飲酒運転によるものです。では、なぜ飲酒運転が一番多くなってしまったのでしょうか。
それは、飲酒運転を軽く考えてしまっているからなのではないかと思われます。
飲酒運転は、判断力や理性を失ってしまうだけではなく動体視力も落ちてしまい、視野が狭まります。そうなると、一瞬の過ちでさえ反応が遅れてしまい死亡事故になる可能性が高まります。
飲酒が毎日の人は、特に翌日の朝に注意することが大切で、まだ体の中にアルコールが残っているかもしれません。
ビール1本には約20グラムのアルコールが含まれており、そのアルコールを分解できる時間は男性で4時間、女性で5時間ほどだと言われています。
しかし、もちろん個人差があるようで、年齢や体調によっても異なります。
また、飲酒運転の罪に関して意識が薄く、飲酒する前から運転して帰ると決めている方が少なからずいるようでその言い訳に「酔ってないから大丈夫だと思った」「酔っていても運転に自信がある」など言う方がいますが、そんな言い訳は通用しません。
人身事故や障害事故になった場合は今後の人生に大きな影響を与えます。飲酒運転について意識を高めましょう。
■免許取り消しの欠格期間の病気と障害の関係
道路交通法103条では、「免許試験を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなった時、公安委員会は政令で定める基準に従い、その者の免許取り消しや免許停止を決定することができます」と明記されており、次の通りにその欠格理由が決められています。
1.幻覚を見てしまうほどの症状である精神障害(政令で定めるもの)
2.発作により意識障害や運動機能障害がある病気で政令が定めるもの(てんかんなど)
3.他に運転に支障を与えてしまう可能性がある病気(政令が定めるもの)
4.認知症と判断された場合
5.アルコール依存症、薬物、覚せい剤など中毒性があるものの使用者ということが判断された場合
これらの検査を受け、病気や障害において特定の病気である者と判断された時は「相対的欠格」と見なされ、欠格期間や免許取り消しの処分を下されるのです。
しかし、事故を起こした後の後遺症が残ってしまった場合でも同様に欠格期間が与えられてしまいます。具体的に言うと、違反点数にもよりますが免許停止や免許取り消しにもなり、被害者に慰謝料や損害賠償の支払いが求められる場合も。
■居眠り運転による免許取り消し「加害者の責任」とは
居眠り運転で事故を起こした場合は、加害者に1〜2割程度の過失割合が加重されます。
しかし、過労運転と判断された場合は罰金だけではなく、点数にも影響し、刑事罰まで与えられる可能性があります。
過労運転と聞くと、仕事などで疲れている状態を思い浮かべますが、それ以外にも病気や薬などによって運転をするのが危険な状態にある場合も過労運転とみなします。(道路交通法第66条)
もし、居眠り運転で過労運転と見なされた場合は違反点数が25点となり一発で免許取り消しとなってしまいます。
それと重なって、道路交通法第117条2項の2によっても「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と決まっており、過労運転がどれだけ重い罪かを認識しておいた方が良いかもしれません。
場合によっては人生までも変えてしまう可能性もありますので、しっかりと責任を把握した上で安全な運転をするように心がけましょう。
免許取り消しになる点数の関係
一発で免許取り消しになる違反もあれば、他の違反で点数が加点されたものによって免許取り消しまでつながる場合もあります。
さまざまな場合の免許取り消しに関してご紹介します。
一般的な免許取り消しになる行為
・酒気帯び(0.25未満)、速度超過25km以上30km未満(高速は40km)未満・・・加点15
・酒気帯び(0.25未満)、速度超過30km以上45km未満(高速は50km)未満・・・加点16
・酒気帯び(0.25未満)、速度超過50km以上 ・・・加点19
・無免許運転、酒気帯び運転(0.25以上)、過労運転 ・・・加点25
特定違反行為
・酒酔い運転、麻薬等運転又は救護義務違反 ・・・加点35
・運転傷害、建造物破損、又は危険運転致傷等(治療期間15日未満) ・・・加点45
・運転傷害等、又は危険運転致傷等(治療期間15日以上) ・・・加点48
・運転傷害等、又は危険運転致傷等(治療期間30日以上) ・・・加点51
・運転傷害等、又は危険運転致傷等(治療期間3ヶ月以上、後遺障害) ・・・加点55
・運転殺人等、又は危険運転致死等 ・・・加点62
例えば、免許の取り消しを言い渡される点数として欠格期間が1年の場合は15点〜24点までですから、15点以上を加点されるこれらは一発免許取り消しの対象となります。
■点数が少なくても免許取り消しになる可能性
過去1年間で無事故、無違反の場合はこの通りの違反点数が加算されますが、過去1年間で交通事故や違反の経歴があるのであれば加算されます。
そのため、結果的には欠格期間が増えてしまいます。違反経験のある方は特に気を付けなければなりませんが、それ以前に普段から安全運転を行うようにしましょう。
免許取り消しに対する講習とは
運転免許証を過去に取り消された方は、取消処分者講習を受けなければ運転免許証を取得することができません。だからといって、取消処分者講習を受けただけで免許証が戻ってくると言うわけでもなく、もう一度自動車教習所に通わなければなりません。
違反点数や回数によって欠格期間が決まってくるものですが、自分の違反による欠格期間はどのくらいなのかということを把握してから取消処分者講習を受けるようにして下さい。
免許停止・取り消しが軽減される条件と回避
過去1年間で違反点数が免許停止や取り消しなどの基準を達した場合に、悪質である違反行為や事故でなければ軽減される可能性があります。
取り扱いや運用基準が定められており、その基準に当てはまるかが検討された後に行政処分の出頭命令が通知書でお住いの住所に届きます。その通知書を確認できたら必ず指定日に出頭して下さい。
しかし、基準に該当していたとしても軽減されるわけではありません。文書にも「軽減することができる」と記載されているだけですので、最終的にお決めになるのは公安委員会や警察の判断で処分の軽減が決定されます。
意見の聴取で発言した内容にも影響されるようですが、飲酒運転やひき逃げ、無免許運転などの悪質な違反は、軽減されることがないに等しいので処分に関して知識を高めておいた方が良いかもしれません。
スピード違反による免許取り消し
超加速度による免許取り消しはありませんが、50km/h以上のスピード違反は一般道や高速道路でも一発で免許停止になってしまいます。例として、最低でも一般道では30km/hから免許停止になり、高速道路では40km/hから免許停止になります。
しかし、これは前歴がない方の場合で過去3年間に前歴がある方の場合は、免許取り消しはないものの少ない加点でも免許停止になり期間も増えてしまいます。
また、違反にも気を付けなければなりません。過去1年間に違反歴がある場合、たった1点加点されただけでも免許停止や免許取り消しになることがありますので、十分に注意をして安全運転を心がける必要があります。
免許取消の期間から再取得までの流れ
先ほどもお話したように、免許取消の処分が決定した後、まずは欠格期間が終わるまで待たなければなりません。欠格期間が終わると取消処分者講習を受けられる権利が与えられます。取消処分者講習は、免許取消などの処分を受けた方に二度と同じ過ちをしないように教育するための勉強会です。
運転適性検査や性格に対する運転の学習、危険予知運転の知識を高める解説や実際に運転するなどの講習を2日間で13時間行われます。取消処分者講習を終えると、取消処分者講習受講修了証が渡されて、運転免許の試験資格が与えられます。
取消処分者講習は有効期限があり、修了証を受け取ったら自動車教習所に通い1年以内で免許を再取得する必要があります。免許を再取得するには、一発試験で再取得する方法ともう一度自動車教習所に通い再取得する方法の2つ選択肢がありますので紹介していきます。
■免許取り消しは、いつから実施されるのか
違反をした当日は、悪質な場合そのままパトカーに乗せられて近くの警察署で取り調べ室に入りいろいろな質問をされます。ですから、すぐ帰されることは難しく写真や指紋なども撮られる場合がありますし、身元引受人が必要となり親や同居人を呼ばなくてはなりません。
この時点ですぐ免許取り消しになるのではなく、検挙された日から数えて早くて1週間~遅くても2ヶ月前後に公安委員会からハガキが届きます。その指定日に公安に行って免許証が取り上げられます。(その日は自分で運転することはできません。)
それまでは免許証はある状態ですが、簡易裁判所で罰金を払ったり弁護士も必要となりますのでしっかりと対応できるように準備を行いましょう。
免許取り消しからの再取得までの一発合格への道
必ずしも再び自動車教習所に通う必要はなく、一発試験を受ける方法もあります。SNSや取消処分者講習では「免許取り消しされた者は一回目で合格させない」というウワサはありますが、そういうことは決してありません。
全国的には技能試験の採点基準がありますので、ちゃんと安全運転やルールに従った運転ができれば、一回目でも十分に再取得できる可能性はあるのです。
例え、運転がうまくても正しい運転の仕方や道路上でのルールが分かっていないと一発合格は厳しいでしょう。細かなミスや過ちでさえ不合格になりますので、しっかりと正しい運転を身に付けて合格への道を広げましょう。
免許取り消しの通知がこない場合の対応
免許取り消し処分を命じられたにも関わらず、通知がこないことや通知が届いたことに気付いてない場合に運転をしてしまうと、無免許運転と扱われ逮捕されてしまう恐れもあります。
免許取り消しについてSNSで質問があるのですが、通知書が届く前に免許証を返しても犯した罪が消えることはありません、
法令に従い、しっかりと処分を受け真面目に反省し欠格期間が終えてから再スタートすることが一番の近道なのです。
まとめ
事故や交通違反による免許取り消しだけではなく、持病の悪化や病気の種類によっても運転免許の取り消しを命じられることもあります。
再取得する場合は、取消処分者講習や試験をもう一度受ける必要があります。
くれぐれも、日々の安全運転を徹底してくださいね。