排出ガス規制 概要
排出ガス規制によりバイクの国内需要が低くなる、というのを語る前にまず、「排出ガス規制」とは、どういった規制の内容なのかを説明します。
2015年7月1日、国土交通省はディーゼル重量車と二輪車の排出ガス規制を強化するため、道路運送車両の保安基準等を改正し、公布・施行しました。
バイク、二輪車は、排出ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)について、これまでの規制値と比較して最大約6割低い水準に引き下げる規制強化となります。その他、新たに駐車時等の燃料蒸発ガスに対する規制及び車載式故障診断装置の装備の義務付けを行います。原付1種に関しても主にクラス1に該当となるため、一酸化炭素、窒素酸化物を50%程押さえなくてはいけません。
この排出ガス規制、新型車が2016年10月1日、継続生産車および輸入車が2017年9月1日から適用開始となります。
こちらの画像はディーゼル重量車排出ガス規制値一覧
簡単にまとめると上記の排出ガス規制をクリアするためには、車両(バイク含み)を生産する際のコストが上がってしまい特に50ccバイク、原付1種などは現行モデルを継続して生産するのが困難な状況になっています。
50ccバイク大きく落ち込む見込み・・・排出ガス規制が課題
2017年3月16日、日本自動車工業会から発表された「自動車国内需要見通し」を見ると、2016年度のバイク国内需要は37万5000台(前年度比94.2%)、2017年度の需要見通しは、2016年度の見込みと比べると36万9000台(前年度比98.4%)と、前年割れが続く見通しとなっていて排出ガス規制の影響が顕著に現れる結果となっています。
特に落ち込みが激しいのは排気量50cc以下のバイク、原付1種で、2016年度見込み16万5000台(91.7%)、17年度見通し15万3000台(92.7%)となっています。原付2種(125cc以下)、軽二輪(250cc以下)、小型二輪車(251cc以上)については、16年度見込み比では前年度割れだが、17年度見通しは前年度を上回る見通しを出しています。
2016年度の見込みには同年4月に発生した熊本地震の影響で熊本の生産がストップした分が反映されていますが、地震の影響がなかった2015年度と2017年度の見通しを比較すると、2015年度実績を上回るのは原付2種だけとなっていて、バイク離れは年々深刻化しています。
■排出ガス規制が2017年度のバイク需要を左右
2017年度の国内バイク需要を左右すると考えられるのは、9月1日から継続生産車にも拡大されることとなている排出ガス規制です。
ホンダの原付50ccバイク「モンキー」が2017年8月末に生産終了することが明らかになりました。こちらの記事では生産終了に至った経緯や、過去のモデルからモンキーの歴史を振ると共に今後のモンキー復活の可能性についてもまとめます。
排ガス規制影響により2017年8月で生産終了が決まったホンダ モンキー
日本自動車工業会は、生産終了となるモデルへの駆け込み需要や、規制に対応したニューモデルの新車需要に期待し、上期の需要は底堅いと予測しているようですが、排ガス規制に適応した車両の価格はどうしても上がってしまい、価格上昇もバイク需要の減少要因として作用しています。
ホンダ モンキーを始め、各メーカーの50ccバイク、原付1種の数が減っていく可能性がかなり濃厚となっていますが、逆に125ccの原付2種の発表が増えているのも確か。
今後のバイク市場が大きく変わっていくこととなるのは間違い無さそうです。