ミシュランとは
GMとミシュランが共同開発した次世代エアレスタイヤ『アプティス』のプロトタイプ
ミシュランが創業したのは1889年で、本社はフランスの「クレルモン=フェラン」にあります。最近では飲食店を格付けするミシュランガイドなどでも有名ですが、元々はタイヤメーカーとしてよく知られており、タイヤ業界でトップの売上高を誇ります。
扱っているタイヤの種類は多岐にわたり、自動車やバイク、自転車をはじめとして農業用や工業用の重機、航空機のタイヤなど、あらゆる乗り物のタイヤを製造・販売しているメーカーです。
最近では自動車や航空機にラジアルタイヤが組み込まれるのは一般的になりましたが、世界で初めてラジアルタイヤを流通させたのもミシュランであり、古くから世界の自動車産業の発展を支えてきたメーカーのひとつであるといえるでしょう。日本にも研究所が設置されているなど、フランス国外でも意欲的に企業活動を続けています。
ミシュランタイヤの種類
ミシュランタイヤ パイロット ロード4
ここでは、ミシュランが発売している代表的な4種類のタイヤをご紹介します。
■PILOT SPORT(パイロットスポーツ)
PILOT SPORTは高級車に用いられることが多いタイヤで、地面と触れる部分がフラットに作られており、密着性を確保できることから高いグリップ力を発揮します。
レース用のタイヤに使われていた技術に着想を得て誕生した製品です。
■X-ICE(エックスアイス)
X-ICEは雪が降る地域に欠かせないスタッドレスタイヤで、凍った道路や雪が降り積もった悪路でもスリップしにくくしてくれます。日本でもよく選ばれているため、降雪地域にお住まいであれば馴染みがある方もいるでしょう。
さまざまな車種と相性が良いのも特徴で、SUVやコンパクトカー、セダン、クーペ、ミニバンなど、ボディサイズやデザインを問わずに使いやすいタイヤといえます。
■LATITUDE CROSS(ラティチュード クロス)
LATITUDE CROSSはSUVを対象としたタイヤで、雨などでぬかるんだ悪路を走行する際でも制御しやすいのが特徴です。
丈夫に作られているためオフロードにも適しており、走破性の高い車と相性が良いタイヤです。
■ENERGY SAVER+(エナジー セイバー プラス)
ENERGY SAVER+はフルシリカを取り入れて耐久性の向上と走行時の抵抗の軽減を実現したことにより、燃費性能を高めたタイヤです。
排水処理の効率化が施されているため雨の日でも制御が乱れにくいのも特徴のひとつといえるでしょう。
ミシュランガイドの発行でも有名
ミシュランガイド北海道2017特別版の表紙
「三つ星」で飲食店やホテルを格付けするミシュランガイドが初めて発行されたのは1900年のことで、当初は現在のように世間一般に向けたものではなく、ドライバーを対象とした冊子として制作されていました。
当時は車の普及率も高くなく、性能も決して高いとは言い難いものでした。故障やパンクなどの車両のトラブルが頻繁に起こり、ドライバーにとって「ドライブ」とは必ずしも楽しいものとは言い切れなかったのが実情です。
そんな当時の環境を見たミシュラン兄弟が、「楽しみながら快適なドライブができるように」という願いを込めて作ったのがミシュランガイドです。ガソリンスタンドや整備工場を一覧にしたり、ドライブ中に立ち寄りやすいレストランや宿泊施設を紹介したりしました。
さらにタイヤのメンテナンス方法を掲載するなど、ドライバーにとって運転が少しでも楽しく快適なものになるような情報を提供したのがはじまりでした。
ミシュランガイドの役割
ポール・ペリニオ社長
ミシュランガイドのポリシーはドライバーのためのガイドとして発行された当初から大きく変わりはなく、その対象が旅行者に変わっても、「あらゆる人が大切な人と素晴らしい外出や宿泊をするための指針になるガイドでありたい」という方針は常に一貫しています。
「ミシュランガイドを使うすべての人に素晴らしい時間を過ごしてもらう」というのがミシュランガイドが目指す役割といえるでしょう。
イメージキャラクターのミシュランマンも有名
reproducibleミシュランガイド東京08
近年では企業や自治体などが独自のイメージキャラクターをデザインしたり起用したりするのが一般的になりましたが、ミシュランガイドでは「ミシュランマン」を100年以上前から広報に活用しています。
ミシュランマンが誕生したのは1894年のリヨンの万国博覧会がきっかけで、「積み上げられた展示用のタイヤに腕を生やす」というコンセプトでデザインされました。
長い歴史の中でミシュランマンは何度かモデルチェンジしていますが、現在でもミシュランの広報として愛され続けています。
ミシュランガイドの店舗選定基準
キャンピングカー専用タイヤAGILIS
ミシュランガイドに掲載する店舗を決める際は、書籍や雑誌、WebサイトやSNSの口コミ、専門家の評価などさまざまな情報を総合して検討しているといわれています。
最終的には集められた候補の中から「使用している素材の品質」「料理のオリジナリティ」「調理技術と味付けのレベル」「コストパフォーマンス」「提供されるメニューの一貫性」の5つの審査項目を匿名調査員が複数回にわたって審査し、結果を持ち寄って掲載する店舗を決定します。
ミシュランガイドの星はどのように決まっている?
ミシュランガイド東京2010
ミシュランガイドの「星」は3種類あり、「飲食店で提供されている料理がどのレベルにあるか」を示しています。それぞれの基準は次の通りです。
一つ星☆:同じカテゴリー内で特に質の高い料理
二つ星☆☆:旅行ルートに入っていなくてもあえて訪れる価値のある料理
三つ星☆☆☆:その店に訪れることを目的に旅行する価値がある料理
また、他にも快適さとサービスのランクが5段階で表記されており、「ストリートフード」や「シンプルショップ」などの指標もあります。近年のミシュランガイドは「星に選ばれると名誉」という共通認識が持たれており、掲載を夢見て研鑽を積む料理人も少なくありません。
■ビブグルマンとは?
ミシュランガイドには星の付いた店舗を紹介する以外にも「ビブグルマン」というマークの付いた「おいしい料理をリーズナブルに楽しめるお店」が掲載されています。
東京、大阪、京都であれば5,000円程度、地方であれば3,500円程度が基準になっているため、星の評価を受けたレストランに比べると気軽に足を運べるでしょう。
まとめ
ミシュランマンとデルマス社長
ミシュラン社の基礎知識やタイヤの種類、ミシュランガイドやキャラクターなどについて広くお伝えしてきました。一般乗用車だけでなく、航空機や農業製品などさまざまな場面で活躍しているミシュランのタイヤは、日々進化を続けながら世界の自動車産業の発展に寄与しています。
ミシュランガイドも当初はドライバーのためのものでしたが、現在でも「旅行者に旅を心から楽しんでほしい」という願いは変わっていません。世界のタイヤメーカーとして、おいしいお店を紹介する企業として、ミシュランはあらゆる人を支えています。