アバロンとは?
《写真提供:response》《撮影 宮崎壮人》トヨタ アバロンハイブリッド(ロサンゼルスモーターショー12)
アバロンとはクラウンよりも大きいビッグサイズのセダンになります。アメリカ合衆国のTMMK:Toyota Motor Manufacturing, Kentucky, Inc.(トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ケンタッキー)で製造され、北米向けに販売されています。
初代(1995年~1999年まで)と2代目(2000年~2004年まで)は日本にも輸入され販売されていました。ちなみに、2代目だけプロナードという車名で販売されていたので、覚えている方もいるのではないでしょうか。
3代目(2005年~2012年まで)はアメリカやカナダで販売されていました。このモデルは全長5,000mmを超える大きさで、グレードも増えました。
4代目(2012年~2018年まで販売)は3代目に比べ軽量化されサイズがコンパクトになり、ハイブリッドモデルが追加され、カムリやレクサスESと同じユニットが搭載されていました。
2018年にフルモデルチェンジされたのが、5代目で現行モデルとなります。TNGA思想に基づくGA-Kプラットフォームをベースに造られ、ハリアーやカムリなどと共通になり、北米以外では現在は中国でも生産され販売しています。
2021年モデルとして追加されたカスタムグレードXSE Nightshadeモデルは顔が迫力満点となっています。
トヨタの北米戦略車
《写真提供:response》トヨタ・アバロン・ハイブリッド
世界的にも有名な日本の自動車メーカートヨタは、世界を視野に入れビジネスを行っています。
良い車は国を選ばずと言いますが、現実は国によって車に対する法律・道路の環境・要求などが異なります。その地域に合わせ車両を最適化するため、車種の名前は一緒でも中身は全く違うという車両もあり、ユーザーのニーズに合わせ最適な車を提供しています。
日本ではあまり人気のない4ドアセダンですが、海外ではまだまだ人気があります。そこで登場するのがトヨタの北米戦略車「アバロン」となります。北米の方のニーズに合わせ前輪駆動にすることで、広大な室内空間を確保し快適な後席の居住性を誇ります。
上記でも述べた通りクラウンよりも大きいサイズのため、日本特有の入り組んだ道路にはあまり適しておらず、まさに北米戦略車と言えるでしょう。
アバロンの動力性能
《写真提供:response》トヨタ アバロン
パワートレインは北米仕様のカムリと同様となっており、V6モデルのアバロンでは3.5リッターガソリンエンジンから最高出力301hp、最大トルク267lb-ftを発生させ、EPA複合モード燃費は最高で26MPGとなっています。
さらに、直列4気筒 2.5リッターフルハイブリッドでシステム出力215hp、EPA複合モード燃費は最大で44MPGとなります。ハイブリッドのシステムは、プリウスにも搭載されている前輪駆動車向けのTHS IIを改良しています。
2021年のモデルからは、直列4気筒 2.5リッターで最高出力205hp・最大トルク185馬力のエンジンが搭載された全輪駆動(AWD)仕様が追加されています。
アバロンのグレード
アバロンは大きく分けると、ガソリンエンジンとハイブリッドの2つに分けることができます。
●ガソリンエンジンタイプ
XLE・XSEナイトシェード・ツーリング・リミテッドの4つのグレードが用意されています。
●ハイブリッドタイプ
XLEハイブリッド・XSEハイブリッド ・リミテッドハイブリッドの3つのグレードが用意されています。
その他にも専用エアロなどがスポーティなTRDグレードも用意されており、NASCARシリーズ(アメリカのモータースポーツ)の常勝レーシングイメージを与え、若い人たちにもアピールしています。
グロスブラックの精悍なエアロパーツとマットブラックのアルミホイールが装着され、専用チューンのサスペンションでローダウンされたエクステリアのデザインは、フロントとリア両方ともスポーティーで、インテリアのデザインは黒のベースに赤いステッチがアクセントになっています。
■アバロンの装備
《写真提供:response》トヨタ アバロン 新型、最新セーフティセンス標準
バックガイドモニター付きバックカメラ・リアクロストラフィック警告機能付きブラインドスポットモニター・自動ハイビームが標準で装備されています。
最新のADAS(先進運転支援システム)を採用しており、トヨタ・セーフティセンスPの最新のバージョンになります。プリコリジョンシステム(歩行者検知機能付き)をはじめ、ステアリングアシスト付きレーン逸脱警告・全速度域対応のダイナミックレーダークルーズコントロールがセットされています。
オプションで、リアクロストラフィックブレーキシステム・インテリジェントクリアランスソナー・パノラマビューモニターなどを装備することができます。
アバロンのエクステリア、エクステリア
■アバロンのエクステリア
トヨタ アバロン 新型
5代目のボディサイズは、全長4,975mm×全幅1,850mm×全高1,420~1,440mm、ホイールベースは2,870mmとなり、クラウンよりも長く幅広いサイズとなります。
釣り目のヘッドライトと、広く大きく張り出したフロントグリルが特徴で、視線を集めるデザインとなっています。グレードによってグリルのデザインは変わりXLEとリミテッドが横ライン基調でワイド感のあるデザインなのに対し、XSEとツーリング、それにTRDではメッシュ基調でスポーティなデザインとなっています。
■アバロンのインテリア
《写真提供:response》トヨタ アバロン、新型のハイブリッド
インテリアのデザインはブラックを基調にしておりこだわりが感じられ実用性を重視しています。さらにヤマハ製の本木目トリムが用意されるなど、北米トヨタにおけるフラッグシップ車らしい上質な印象です。
その大きいサイズを活かし後部座席の足元の空間は余裕があり、まさにアメリカンセダンで日本車なのに異国情緒すら感じることができます。
シート表皮もグレードごとに性格分けされており、スポーティなXSEやツーリング、TRDでは滑りにくいウルトラスエードが用いられるのに対し、リミテッドでは高級感のあるコニャック色のレザーシートが用意されます。
シンプルで品があり高級感のある車内空間はゆっくりと落ち着け、短距離はもちろん長距離のドライブも楽しむことができるしょう。
アバロンは日本でも購入できる?購入する際の注意点は?
《写真提供:response》トヨタの最上級セダン、アバロン
アバロンを日本で購入するには2通りの方法があります。1つは日本の中古車市場にある車両を購入する方法ですが、数が少なく見つけること自体が難しいといえるでしょう。
もう1つは、並行輸入という方法になります。この方法は正規代理店とは別のルートで車両を輸入することになります。簡単に説明すると専門業者に依頼し、海外で車両を購入し輸入してもらう形になります。
しかし、正規代理店とは違うので注意が必要な点があります。
■メンテナンスの手間がかかる
車検・定期検査・故障の際に専門の業者が必要となり、修復する箇所のパーツが国内になければパーツを輸入することになり、さらにお金と時間が掛かってしまいます。
購入先の国でリコールが出ても、情報が日本に入ってこない可能性があり、リコールに気づかずに乗り続けるといった最悪の事態も考えられます。
■任意保険は一苦労
事例が無く保険料自体を決めるのが難しく、インターネットで申し込もうとしても並行輸入車の設定自体が無い場合があります。
引き受けてくれる会社が仮にあったとしても、同等の車両に比べ割高になる可能性があります。
■オドメーターの巻き戻し
日本では考えられないことで、ごく一部ですが海外ではオドメーターを平気で巻き戻す業者がいると言われており、表示よりも遥かに上回っている距離を走行している可能性があります。
■一般道を走行するための手続きが多い
車に対する法律は国によって異なります。
正規に輸入された車両は日本で走行できるように改造・最適化・登録をしてから販売されていますが、並行輸入車は専門業者に改造・最適化・登録を全て依頼することになり、費用が100万円近くするとも言われています。
■納車まで時間がかかる
並行輸入車は一般的には依頼があってから作業を始めるので、納車までに時間が掛かるという問題があります。
アバロンの中古車価格
XLE:210万円台からとなっています。
XL:140万円台からとなっています。
中古車市場に出回っている数が少なく、中古車情報自体があまりありません。
※情報は車情報サイトresponse中古車価格より(2021年3月現在)
まとめ
《写真提供:response》トヨタ アバロン
日本では販売されておらず、トヨタの北米戦略車として北米などで販売されています。クラウンよりも大きく車内はゆったりしており高級感があります。
環境に配慮したハイブリッドモデルやスポーツモデルもあり、自分の好みに合った1台が見つかるでしょう。