ダイハツのベーシック軽セダン「ミラ」 なんと40年越えの歴史!
ダイハツ ミラクオーレ
近頃でこそ軽自動車といえば背高ノッポのモデルのイメージが定着してきてはいますが、ひと昔前なら、軽自動車といえばベーシックなセダンを思い浮かべたものでした。
驚くほどの室内の広さはなくとも4人が乗れて、背が低い分軽量低重心なボディでキビキビ運転でき、燃費性能も充分と、バランスの取れた車型である軽セダン。
スペース効率が最優先されがちな近年の車選びでは影が薄くなっていますが、そんな軽セダンの中でも最も有名な車名のひとつこそ、ダイハツの「ミラ」でしょう。
現在でもミライースなどで見ることができるミラという車名は、ダイハツの軽自動車の中でも最も成功したもののひとつで、1980年の登場から40年以上にわたる高い知名度があります。
その長い歴史の中で、非常に豊富なバリエーションが作られてきたこともミラの特徴のひとつ。そこでこの記事では、歴代のミラシリーズの主なバリエーションを、詳しくご紹介していきます。
ミラのバリエーションを画像付きでまとめ!好みのミラを探そう
■⦅現行⦆ミライース:低燃費番長!でもベーシックなだけじゃない
「ミライース」は、もともとはミラから派生したエコカーとして登場したのですが、現在ではベースの「ミラ」が販売終了となったこともあって、シリーズのメイン車種となっているモデル。
初代モデルでは「第3のエコカー」という印象的なキャッチフレーズが用いられたことからもわかるとおり、ハイブリッドシステムなどを持たない純ガソリン車ながら究極的な低燃費を実現している点がミライースの特徴です。
もちろんベーシックカーとして価格の安さも重要視される車ではありますが、安いだけではない魅力を誇ります。
現在は2017年にフルモデルチェンジした2代目モデルが販売されており、軽量化・空気抵抗の低減・パワートレインの高効率化とさらに改良が加えられた結果、WLTCモード燃費で25.0km/Lという低燃費とさらに軽快な走行性能を両立しています。
ダイハツ ミライースのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,500mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,455mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 670kg | |
燃費 | WLTCモード:25.0km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 658cc | |
エンジン最高出力 | 36kW(49PS)/6,800rpm | |
エンジン最大トルク | 57N・m(5.8kg・m)/5,200rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | CVT | |
新車価格 | 1,120,000円(消費税抜) |
■⦅現行⦆ミラトコット:肩の力を抜いて付き合える空気感
ダイハツ ミラトコット
ベーシックさを信条としたミライースに対して、現行ミラシリーズの中での遊び心担当と呼べそうなのが「ミラトコット」です。
キリッとした目つきや彫刻的なキャラクターラインなどがやや威圧的とまで呼べそうなミライースに対し、ミラトコットはそのリラックスしたキャラクターが持ち味。水平基調で角が丸められたボディデザインや、パッチリとした丸目が愛らしいその表情は、気取っていないのにどこか上質感がありますね。
2代目ミライースをベースとしていることで、ミラトコットも高効率性ではトールワゴン系を寄せ付けない実力の持ち主。低燃費はもちろんですが、ロングドライブも疲れずにできてしまう安定した走行性能もミラトコットの持ち味です。
軽初となるSRSサイドエアバッグとSRSカーテンシールドエアバッグを含めた6エアバッグを全車で標準装備するなど、プレミアムベーシックとして抜かりのない装備内容も魅力的ですね。
ダイハツ ミラトコットのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,530mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,455mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 720kg | |
燃費 | WLTCモード:22.6km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリン 658cc | |
エンジン最高出力 | 38kW(52PS)/6,800rpm | |
エンジン最大トルク | 60N・m(6.1kg・m)/5,200rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | CVT | |
新車価格 | 1,200,000円(消費税抜) |
■ミラ(1980〜2018年):ダイハツの主力を長年担ってきた軽セダン
ダイハツ ミラ(7代目)
ここからはミラシリーズの中でも生産が終了している過去のモデルをご紹介していきます。
当初はクオーレという別車種の商用バリエーションとしてミラクオーレという車名で1980年に登場した「ミラ」は、先述の通り軽自動車の中でもベーシックラインとなるセダンとして、長期間にわたってずっと支持され続けてきたモデルです。
時代に応じてどんどん進化してきたミラですが、2006年に登場した7代目モデルが衝突安全基準の強化に伴って2018年に販売終了し、ベーシックカーとしての座はミライースに引き継がれています。
5代目までははっきりと全高が低くセダンらしさが色濃かったものの、6代目や最終型である7代目ではトールワゴン的な使い勝手の良さも追求されており、室内の広さも充分備わっていた点が印象的でした。
■ミラココア(2009〜2018年):ほんわかフェイスのかわいいヤツ
ダイハツ ミラココア
2009年に登場したミラココアは、ややレトロさもありつつ、かわいさを追求したルックスが特徴的なモデル。丸目基調である点は現行のミラトコットとも共通しますが、トコットよりもグッとキュートさが感じられますね。
ココアを飲んだときのほっとする気持ちのような落ち着く車、ということで名付けられたミラココアですが、ほんわかした外観ながら中身はミラをベースとした堅実な仕上がりで、一部改良後にはミライースの低燃費技術も応用されるなど、見た目だけで選んでも後悔しない性能となっていました。
まだまだ年式が新しいこともあって、街中で見かける頻度も高めかもしれませんね。
■ミラアヴィ(2002〜2006年)/ミラカスタム(2006〜2013年)
ダイハツ ミラ(7代目) カスタム
6代目ミラの「ミラアヴィ」、7代目ミラの「ミラカスタム」は、トールワゴン系で人気となっていたカスタムシリーズをミラにも導入したものでした。
どちらも基本のボディをミラと共有しながら細かな内外装の差異でより上質なイメージを得ており、ベーシックがゆえにやや味気なさもある無印ミラと比べ、よりプレミアムでアクティブな印象を与えていました。
ミラカスタムでは、トップグレードのRSにレーダークルーズコントロールがオプション設定されていたなど、先進的な装備も特徴的でした。しかしオプション価格は高めだったので、現在では装着している中古車を探すのは至難の業かもしれませんね。
■ミラジーノ(1999〜2009年):欧州の風薫るハイセンスデザイン!
ダイハツ ミラジーノ(2代目)
1999年に5代目ミラのバリエーションとして登場した初代、2004年に登場した2代目と、2代にわたってクラシカルデザインで好評を博したミラのバリエーションが「ミラジーノ」です。
丸目のヘッドランプに繊細な印象のメッキグリルとメッキフロントバンパーが備わるだけで、ベースのミラの面影を感じさせない完成度の高いデザインとなっていたミラジーノは、本家のミラに劣らないほどの大人気車種となっていました。
特に2代目モデルではより独自化が進み、滑らかな曲線フォルムを持つ専用ボディや上質なインテリアなど、プレミアムコンパクトとしての性格づけが強まっていました。モデル廃止後も根強い人気があり、中古車市場でも活発に取引されています。
■ミラ ウォークスルーバン:前はミラ、後ろは箱?!個性派デザイン
ボンネットから前はミラなのに、後ろにカクカクの箱型キャビンをくっつけた特装車が、「ミラ ウォークスルーバン」です。
その名の通り立ったまま車内を移動できるウォークスルーが可能な点が特徴的で、なんと乗員用のドアは助手席側にしかついていない、助手席すらオプションという、非常に割り切った仕様でした。
どこかの世代で1代だけ短期間で設定された変わり種でしょ、と思いきや、なんと初代ミラから4代にわたって連綿と設定され続けた長寿グレードでもありました。
小回りの利く荷物運搬車として、移動販売車として、はたまた一風変わった乗用車としてカルト的な人気が出たことで、現在でも中古車は比較的高値で取引されています。見方によっては、現代のスーパーハイトワゴンのご先祖さまのような存在ともいえるかもしれませんね。
■ミラ RV-4:軽クロスオーバーSUVのご先祖様だ
《画像提供:Response 》ダイハツ ミラ RV-4
ウォークスルーバンがスーパーハイトワゴンのご先祖なら、こちらは軽クロスオーバーSUVのご先祖となる「ミラ RV-4」。
もちろんしっかり4WDで、最低地上高が上げられたほか、ゴツめのバンパーガードなどを装着したことで、ミラの面影もありつつ一気にSUVへと変貌していました。
バックドアにスペアタイヤを背負っていた点や、キャンバストップの設定があった点なども注目ポイントですね。
しかし、あまりに時代を先取りしすぎていたのか販売は苦戦したため、現在ではミラシリーズの中でもトップクラスの稀少車となってしまっています。
■ミラ TR-XX:ターボのカッ飛びミラはラリーにも出場
《画像提供:Response 》ダイハツ ミラ 3代目(参考画像)
今でこそミラという車名には低燃費とかベーシックといったイメージがついていますが、ミラにはカリカリチューンのターボエンジンを搭載したスポーツグレードが設定されてきており、モータースポーツシーンでも活躍する軽ホットハッチとしても定評がありました。
中でも印象的なのが、2代目から4代目のミラに設定されていた「TR-XX」グレードでしょう。エアロパーツも勇ましいこれらのグレードは軽量ボディにターボエンジンを組み合わせ、ライバルのアルトワークスとともに軽スポーツを大いに盛り上げました。
5代目ではスポーティなTRグレードが設定されたり、6代目以降もアヴィやカスタムにはターボエンジンが搭載されたりしてはいましたが、モータースポーツに直結するような過激な動力性能を誇るグレードは4代目で終了してしまいました。
【2021年最新】現行ミラシリーズの新車・中古車価格まとめ
《画像提供:Response 》ダイハツ ミライース
ミライースのグレード構成は、最廉価なB、乗用グレードらしい装備が加わるL、上級のX、近代的装備が一通り揃うGが主なグレードとなっており、2021年3月現在の税抜新車価格帯としては78.2〜124.8万円となっています。LとBにのみ、スマアシ非装着車が設定されています。
ミラトコットのグレード構成は、最廉価なL、キーフリーなど便利装備が加わるX、上級装備満載のGが主なグレードとなっており、2021年3月現在の税抜新車価格帯としては99.5〜132.0万円となっています。Lにのみ、スマアシ非装着車が設定されています。
どちらも100万円を下回る税抜価格となっている点が特徴的ですが、やはり安さが際立つのはミライース。装備はかなり厳選されてしまうものの、ドアが4枚、タイヤとシートが4つで屋根付きの移動手段としては破格の安値といえそうです。
ダイハツ ミラトコット
また中古車としては、2代で販売が続くミライースの豊富な在庫台数が印象的。2021年3月現在なんと5,000台近い在庫が確認でき、お好みの仕様も探しやすそうです。現行モデルの税込車両本体価格平均は81.3万円とかなり安くなっていますし、先代モデルも含めれば1万円台から探すことも可能です。
対するミラトコットは、まだまだデビューから日が浅い車種ということはあり、在庫台数は700台あまりとやや少なめ。平均価格としても104.7万円と、価格が下がってくるのはこれからといった印象ですので、思い切って新車を選んでしまうのもよいかもしれませんね。
まとめ
《画像提供:Response 》ダイハツ ミライース
奥が深すぎるミラシリーズの歴史とバリエーションについてご紹介してきました。
このミラあったなあ!とか、こんなミラがあったなんて知らなかった!という驚きの車種もあったのではないでしょうか。
軽自動車というだけでも低廉なのに、ミラは車両価格が抑えられてきた点も美点ですので、新車のミライースで低燃費を楽しむもよし、旧型の個性派ミラを中古で探してみるもよし。お財布に優しいミラは、毎日のパートナーにぴったりですね。