オープンカーはクルマの華!
「オープンカーはクルマの華」という言葉に議論の余地はないでしょう。屋根を開け放ち、自然の風を直接感じて走る気持ちよさは、他の車では得られない魅力です。
例えば、海辺をドライブする時、オープンカーならではの魅力を体験できます。海の香りや風、青空と一体になりながらのドライブは、まさに至福のひとときです。また、星空の下で音楽を聴きながら過ごす夜のドライブも、オープンカーだからこそ楽しめる体験です。
オープンカーは、クルマの作り手でもある自動車メーカーも魅了していたようで、一昔前にはホンダ S2000、トヨタ MR-S、フィアット バルケッタのように、各メーカーからさまざまなオープンカーが発売されていました。
しかし、オープンカーは、その多くが2人乗りである事からマーケットが限られてしまい、最近では各メーカーからラインアップが消えつつあります。
ただし、今回紹介するのは、そんな時代であってもメーカーが頑張って作り続けているクルマたち。いずれも自信をもっておすすめできるクルマです。
メルセデスAMG SL
Mercedes-AMG SL
今まで、「SL」と言えばメルセデス・ベンツブランドのトップスポーツモデルにして、オープンモデルでした。
しかし、7代目SLは、ブランドをメルセデス AMGに変更しての登場となりました。このブランドの変更は、スポーツモデルを「メルセデス AMG」ブランドに集約するという意図があるのでしょう。
ハードウェア面では、先代SLがバリオルーフと呼ばれる複雑な機構をもった格納式の金属製ルーフだったのに対し、今回のメルセデスAMG SLでは、より軽量なソフトトップを採用。ソフトトップ化による軽量化は21kgにも及びます。
また、今回からSLは2人乗りではなく、狭いながらもリアシートを持つ4人乗りとなりました。実際に人が座るかどうかはともかく、運転席・助手席の後方に何らかのスペースがあるのとないのでは、実用性が大きく違ってきます。ライバル車であるポルシェ911ターボ カブリオレもリアシートを持っていることから、それに対抗するためかもしれませんね。
Mercedes-AMG SL
スタイリングは、直線基調だった先代とは異なり、より丸みを強調しています。これは、初代300SLをオマージュしたもので、グリルのフィンが横から縦になったのも、初代300SLのパナメリカーナグリルが由来となっています。
パワーユニットは、純ガソリンエンジンの直噴4.0リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジンを搭載。最大出力は476hp/5,500~6,500rpm、最大トルクは71.4kgm/2,250~4,500rpmを発生します。トランスミッションはトランスミッションは9速の「AMGスピードシフトMCT 9G」で、0~100km/h加速は3.9秒、最高速は295km/hとの情報も。
また、ドイツ本国では新開発の「電動ターボ」を搭載したエントリーモデル「SL43」も発表されています。2リットル直噴ガソリン「電動ターボ」エンジンは、381hp /48.9kgmを発揮し、ベルト駆動のスタータージェネレータが14hpのエクストラパワーを引き出します。電気駆動式ターボの採用は、F-1直結のテクノロジーで、ターボラグを解消する画期的なソリューションであるとメルセデスAMGは主張しています。
このように、ハードウェア的には大きく変化した「SL」ですが、メルセデス AMGブランドとなったことで、ラグジュアリークーペではなく、「スポーツカー」としてのアピールを強めています。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | - | |
---|---|---|
ホイールベース | - | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | - | |
燃費 | - | |
エンジン種類 | 4.0リットル V型8気筒ガソリンツインターボ | |
エンジン最高出力 | 476hp/5,500~6,500rpm | |
エンジン最大トルク | 71.4kgm/2,250~4,500rpm | |
駆動方式 | 全輪駆動 | |
トランスミッション | 9速オートマチック | |
新車価格 | 15万8240ユーロ(ドイツ本国) |
レクサス LC500 コンバーチブル
レクサス LC500 コンバーチブル 北海道エディション
「メルセデスにSLがあるなら、日本にはLC500コンバーチブルがある!」と、胸を張って言える美しいコンバーチブル。それが、LC500コンバーチブルです。
レクサスLC500コンバーチブルの一番の特徴は、5.0リットルV型自然吸気エンジンを搭載していることでしょう。最新のメルセデス AMG SLが4.0リットルV型8気筒ツインターボエンジンを搭載しているのに比べ、LC500コンバーチブルは自然吸気エンジンにこだわっています。
SLやポルシェ911ターボカブリオレがターボエンジンを搭載する中で、なぜ、自然吸気エンジンにこだわったのでしょうか。それは、5リットルという大排気量の自然吸気エンジンが生み出すフィーリングと音が、他の何ものにも変え難いからでしょう。
レクサス LC500 コンバーチブル 北海道エディション
エンジン回転上昇に伴って「自然と」、パワーもトルクも出てくる大排気量自然吸気エンジン特有のドライブフィールには、制御技術が進んだ最近のターボエンジンも敵いません。さらに、自然吸気エンジンは排気系にターボという介在物が存在しないおかげで「音」もいいのです。
LC500コンバーチブルのエンジンは、普段は5リットルの排気量の余裕を活かして低回転でゆるゆる回っていますが、いざスロットルを開けると脳天に響くような甲高いエクゾーストノートを響かせて豪快に加速します。LC500コンバーチブルは、この二面性が大きな魅力なのです。
LC500コンバーチブルは4人乗りとしてデザインされていますが、2人乗りにすれば、クーペモデルと同じようにハイブリット車もラインアップ出来たとのこと。
しかし、あえてハイブリッドを設定しなかった背景には、このレクサス入魂の5リットルV8エンジンをオープンで楽しんで欲しいという、武藤チーフエンジニアの想いがあるのです。
日本車は一般的に個性が薄く、組織でクルマを作るというイメージがあります。しかし、このLC500コンバーチブルは例外で、武藤チーフエンジニアの熱い想いが詰まった、こだわりと個性のつよいコンバーチブルとして、日本車のなかで燦然と輝くモデルになっています。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,770mm×1,920mm×1,350mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,870mm | |
最大乗車定員 | 4名 | |
車両重量 | 2,060kg | |
燃費 | WLTCモード:8.0km/L | |
エンジン種類 | V型8気筒ガソリン 4,968cc | |
エンジン最高出力 | 351kW(477ps)/7,100rpm | |
エンジン最大トルク | 540N・m(55.1kgf・m)/4,800rpm | |
駆動方式 | 後輪駆動 | |
トランスミッション | 10速オートマチック | |
新車価格 | 13,427,273円(消費税抜) |
BMW Z4
《photo by BMW》BMW Z4 ロードスター 新型
BMW Z4は、BMWのオープン2シータースポーツとして、2002年に発売されました。BMWには4シリーズや8シリーズにもカブリオレと呼ばれるオープンカーが用意されていますが、2人乗りのロードスターはZ4だけ。
BMWのコーポレートアイデンティティである「駆け抜ける歓び」を、ピュアに表現するモデルとなっています。ロングノーズ・ショートデッキのエクステリアは、正にロードスターとしての伝統的なスタイリングで、このクルマが正しくスポーツカーであることをアピールしています。
現在発売中の3代目Z4は、コンポーネントの多くをトヨタ GRスープラと共有しており、姉妹車の関係となっています。生産も両車共にオーストリアのマグナ・シュタイアの工場で行われており、トヨタ GRスープラはトヨタブランドでありながら、輸入車となっています。
Z4は2リットル直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載したsDrive20iと、3リットル直列6気筒ガソリンターボエンジンを搭載したM40iの2つのグレードを用意。2リットル直列4気筒ガソリンターボエンジンは197ps /320Nを発生し、3リットル直列6気筒ガソリンターボエンジンは387ps /500Nを発生します。
《photo by BMW》BMW Z4 ロードスター 新型
パフォーマンスでは3リットル直列6気筒ガソリンターボエンジンが2リットルエンジンよりも2倍近いパワーを発揮しており、3リットルモデルのM40iでは、サスペンションも電子制御タイプの「アダプティブMサスペンション」が、デフも同じく電子制御の「Mスポーツデファレンシャル」を標準で装備しています。
3リットルモデルのM40iのエンジンのパフォーマンスと、シャシーの電子制御デバイスの充実度を考えると、2リットルモデルのsDrive20iとの価格差が約164万円しかない事が割安であるように思えてきます。
Z4 M40iのライバルは、価格的にもパフォーマンス的にもポルシェ718ボクスターSでしょう。ポルシェ718ボクスターSが2.5リットル水平対抗4気筒ガソリンターボエンジンをミッドシップに搭載するのに対し、Z4 M40iは3リットル直列6気筒ガソリンターボエンジンをフロントに搭載します。
エンジンの搭載位置ではポルシェ718ボクスターSにアドバンテージがありますが、エンジンではZ4 M40iの6気筒エンジンのフィーリングが有利なように思えます。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,335mm×1,865mm×1,305mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,470mm | |
最大乗車定員 | 2名 | |
車両重量 | 1,580kg | |
燃費 | WLTCモード:11.6km/L | |
エンジン種類 | 直列6気筒ガソリンターボ 2,997cc | |
エンジン最高出力 | 285kW(387ps)/5,800rpm | |
エンジン最大トルク | 500N・m(51.0kgf・m)/1,800-5,000rpm | |
駆動方式 | 後輪駆動 | |
トランスミッション | 8速オートマチック | |
新車価格 | 8,109,091円(消費税抜) |
マツダ ロードスター
《写真提供 マツダ》マツダ・ロードスター 特別仕様:ネイビートップ
マツダ ロードスターが真に偉大な理由は、「ロードスター」と呼ばれるクルマのジャンルを復活させたことにあります。もともと「ロードスター」とは車名ではなく、クルマの種類を表す言葉です。オープンの状態がデフォルトで、屋根は雨露を避けるための最低限度のソフトトップを装備した、軽量小型のスポーツカーを指します。
1960〜70年代には、フィアット124スパイダーやMGミジェットなど、さまざまなメーカーから数多くのロードスターが発売されていました。しかし、2回のオイルショックやアメリカでの安全基準の強化によって、ロードスターと言うジャンル自体が衰退していきました。
その流れを変えたのが、1989年に発売されたマツダ ロードスター(当時の名称はユーノス ロードスター)。初代ロードスターは、5ナンバーサイズのコンパクトなボディに、車重は約1トンと「ロードスター」の名前にふさわしい軽量小型のスポーツカーとして登場しました。
現代的でキュートなデザインのロードスターは、日本だけでなく世界中で人気を博し、デビュー翌年の世界販売台数が10万台を記録しました。そして、2016年には累計生産台数が100万台を記録するなど、世界中で根強い人気を誇っています。
マツダ ロードスターの成功は、「BMW Z3」「ホンダ S2000」「フィアット バルケッタ」などの多くのフォロワーを生み出し、世界的に「ロードスター」というジャンルのクルマを復活させたのです。
《写真提供 マツダ》ロードスター990S
「軽さ」が命の「ロードスター」に、2021年12月に追加されたのが「990S」。その名の通り、車重が990kgという超軽量モデルになります。990Sは、ただ装備を取り去って軽量化したモデルではなく、RAYS製の超軽量鍛造16インチアルミホイールと、フロント大径ベンチレーテットディスク+ブレンボ製対向4ピストンブレーキキャリパーが標準で搭載されています。
そして、キネマティック・ポスチャー・コントロール(KPC)と呼ばれる、コーナリング中のクルマの内側の後輪にブレーキをかけることで、ダイアゴナルロールを抑制するブレーキ技術を使ってクルマのスタビリティを向上させています。
KPCの採用によって、リアスタビライザーを持たない990Sでも、連続するコーナーでのリアの安定性が向上。スタビライザーで動きを制限されないリアサスペンションのナチュラルな感覚を楽しみつつスタビリティも確保されました。
徹底的に軽量化にこだわり、KPCという重量増加ゼロの飛び道具も装備した990Sは、6速MTモデルのみの設定で税抜き2,630,000円。スポーツカーを高価で限られた人のためのクルマにするのではなく、誰にでも買える価格で販売する。これも、マツダ ロードスターのポリシーなのです。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,915mm×1,735mm×1,235mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,310mm | |
最大乗車定員 | 2名 | |
車両重量 | 990kg | |
燃費 | WLTCモード:16.8km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒ガソリン 1,496cc | |
エンジン最高出力 | 97kW(132ps)/7,000 | |
エンジン最大トルク | 152N・m(15.5kgf・m)/4,500rpm | |
駆動方式 | 後輪駆動 | |
トランスミッション | 6速MT | |
新車価格 | 2,630,000円(消費税抜) |
ダイハツ コペン
コペンは軽自動車のオープンカーとして、孤高の存在です。ダイハツは初代コペンが2002年に発売され、若干の中断を挟みましたが、2022年までの20年間にわたって「軽自動車のオープンカー」という極めて特殊なジャンルのクルマを作り続けています。
つい最近の2022年3月に、ホンダ S660が生産終了となったことで、コペンは新車で買える軽自動車のオープンカーとして唯一のクルマとなりました。
《写真提供 ダイハツ工業》ダイハツ・コペン・ローブ
2014年から発売されている2代目コペンは、「アクティブトップ」と呼ばれる金属製のオープントップを持つオープンカーで、軽自動車のオープンとしては異例のこだわったメカニズムを持ったクルマになっています。また、「D-Frame」と呼ばれる、樹脂製の外板を取り替えられる技術を採用するなどユニークな点も。
《撮影 太宰吉崇》ダイハツ・コペン XPLAY
コペンは現在、ダイハツブランドの「Robe」「XPLAY」「Cero」、GRブランドの「GR SPORT」の4グレードが発売されています。それぞれ異なる外板のデザインとしながら、シャシーは共通になっており、コペンを買うときはデザインが異なる4つのクルマの中から、自分の好みのクルマを選ぶというおもしろい選択ができるのです。
ダイハツ コペン セロ
GR SPORTは、専用のエクステリアを与えられており、ブレースなどの補強材をつかってボディ剛性も強化。サスペンションも専用チューンとなっています。その足回りの性能は、標準型コペンのレベルを完全に上回り、とても軽自動車とは思えないスタビリティと回頭性が両立しています。
ダイハツ コペン GR SPORT
発売が2014年と、デビューからやや時間の経過したコペンは、最近の軽自動車では当たり前になってきた先進運転支援システムがまったく搭載されていないなど、技術的には時代遅れになりつつあります。
しかし、軽自動車のオープンカーという世界唯一の輝きは、未だに色褪せていません。価格も税抜き1,717,000円からと比較的お求めやすく、維持費も安くて燃費も抜群というオープンカーは、世界でもコペンしかありません。
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,395mm×1,475mm×1,280mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,230mm | |
最大乗車定員 | 2名 | |
車両重量 | 850kg | |
燃費 | WLTCモード:18.6km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリンターボ 658cc | |
エンジン最高出力 | 47kW(64ps)/6,400rpm | |
エンジン最大トルク | 92N・m(9.4kgf・m)/3,200rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動 | |
トランスミッション | 5速MT | |
新車価格 | 2,215,636円(消費税抜) |
まとめ
販売価格が約2,000万円を予想されるメルセデスAMG SLから、170万円ほどのコペンまで、おすすめのオープンカーを紹介しました。
価格は10倍以上の差がありますが、「屋根を開けて走る」というオープンカーの気持ちよさは、コペンでもAMGメルセデス SLでも変わることはありません。あなたもぜひ、オープンカーのオーナーになりませんか?人生が変わる体験になるかもしれませんよ!
■車をローンで購入するなら?カーローン申込ランキング
よくある質問
■オープンカーって、快適性は大丈夫なの?
格納式のハードトップを持つクルマは、屋根を閉めてしまえば普通のクルマと変わらない快適性があります。
しかし、最近のソフトトップも、外皮と内皮の間に吸音材を挟む3層構造等の技術が発達したことで、格納式のハードトップのクルマとそれほど変わらない快適性を身につけていますので、屋根を閉めたらうるさいのではないか?等の心配はいりません。
■オープンカーって、青空駐車で保管しても大丈夫なの?
最近のオープンカーは、ソフトトップの品質が大幅に向上したので、ほとんどのモデルが青空駐車で保管しても問題ない耐候性があります。ただし、台風などの暴風雨が来襲した後は、できるだけ早めにクルマをチェックして、雨漏り等がないかを確認することをおすすめします。