サスペンションとは何なのか?
サスペンションとは
■サスペンションとは懸架装置と呼ばれる重要部品
サスペンションとは別名、懸架装置(けんかそうち)と呼ばれる部品です。
車を語る上では外すことのできない部品となっていて、車の見た目や走行性能に大きな影響を与えるものとなっています。
■サスペンションの歴史は非常に長い
サスペンションの歴史は非常に長く、サスペンションの語源であるサスペンドという言葉は、14世紀には登場しています。
世界最古の自動車と言われているメルセデス モトールヴァーゲンが誕生したのは1886年ですから、サスペンションの歴史は自動車のそれよりも長いというわけです。
なお、愛知県長久手市にあるトヨタ博物館にレプリカが展示されています。
■サスペンションの構成部品
サスペンションの構成部品は様々です。
大きくまとめると、次のようなものになります。
独立懸架式サスペンション:コイルスプリング、ダンパー(ショックアブソーバー)、ロアアーム/アッパーアームほか
リジッドアクスル式サスペンション:アクスルビーム、トレーリングアーム、リンク、ラテラルロッド、ダンパー、コイルスプリングほか
サスペンションの役割
■衝撃からボディを保護する
ジムニーシエラ
サスペンションの役割の1つは、衝撃からボディを保護することです。
サスペンションが車両に取り付けられていることによって、路面からタイヤに伝わる入力がサスペンションを経由することとなります。
サスペンションを経由することにより、ボディへ直接衝撃が伝わることを防ぎ、ボディへの負担軽減に貢献しているのです。
ボディを保護するという観点では、スズキ ジムニーやメルセデスのGクラスといった車種に採用されているラダーフレームを採用する車両が最も優れています。
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■車の客室の快適性を保つ
もう1つの役割は客室の快適性を保つことです。
タイヤが拾った衝撃がサスペンションでまず緩和させるということは、客室へ伝わる衝撃が軽減されるということにもなります。
衝撃が軽減されれば移動中の車内はより静かで自然な状態となるので、快適性が向上するというわけです。
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■走行性能を高める
走行性能を高めるという点でも重要な役割を果たすのがサスペンションです。
スポーツタイプの車種では通常グレードとは違った専用チューニング済みのサスペンションが採用されることはよくある話ですし、より高いレベルになると数ミリ単位でアライメントや車高を調整することは多々あります。
サスペンションの種類
■独立懸架式
左右それぞれが独立して運動するサスペンションのことを独立懸架式サスペンションと呼びます。
独立懸架式サスペンションのメリットは、以下で紹介するリジッドアクスル式と比較して軽量である点、そしてアライメントの調整範囲が広く設定されていることです。
独立懸架式サスペンションにも種類がいろいろあります。中でもマクファーソン・ストラット式、ダブルウィッシュボーン式、マルチリンク式は広く知られている独立懸架式サスペンションです(詳しくは後述)。
その他、スイングアクスル式サスペンションやトレーリングアーム式サスペンションといった独立懸架式サスペンションも存在します。
■リジッドアクスル式
左右輪(平たく言えばタイヤ・ホイールのこと)を車軸と呼ばれるビームで連結させたサスペンションがリジッドアクスル式サスペンションです。
左右輪がつながっているという点が、独立懸架式サスペンションとの決定的な違いとなっています。
リジッドアクスル式のメリットをいくつか挙げると、部品点数が少ないため省スペースでサスペンションを取り付けることができ、荷室スペースを広く取ることができる点、同じく部品点数が少なくなおかつ耐久性が高い点、わかりやすい構造(つまりは簡単な構造)で整備性が良い点、などです。
リジッドアクスル式のデメリットも挙げておくと、重量が重たい、左右それぞれの車輪に入った入力がもう片方へ影響する、アライメントの調整範囲が狭い、といったことがあります。
独立懸架式サスペンションの形式の種類と特性の違いは
■マクファーソン・ストラット式サスペンション
マクファーソン・ストラット式サスペンションは独立懸架式サスペンションの中でもコストパフォーマンスに優れているサスペンション形式です。コンパクトカーのフロントサスペンションに採用されることが多く、一部の車種ではリアサスペンションにも採用されています。
独立懸架式サスペンションの中でも比較的構造がシンプルになっているのがポイントの1つです。独立懸架式サスペンションのしなやかな性能はもちろんのこと、製造コストを抑えることにも貢献しています。
ダブルウィッシュボーン式サスペンションやマルチリンクのような独立懸架式サスペンションと比べると、固定部品が取り付け・取り外しも容易です。加えて、調整が必要な場所も少なくなっています。
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■ダブルウィッシュボーン式サスペンション
市販車であれば高級車やスポーツ系の車種に採用されている機会が多い独立懸架式サスペンションの1つがダブルウィッシュボーン式サスペンションです。多くのレーシングカーでもダブルウィッシュボーン式サスペンションが使われています。
ダブルウィッシュボーン式サスペンションの良いところは、調整幅が広いこと、そして走行中のアライメント変化が小さいこと、の主に2つです。基本性能のが高く、なおかつチューニングで弄ることのできる箇所が多いということになります。
調整幅が広いというのは、具体的にはトー角、キャンバー角、キャスター角、キングピン傾角、というアライメント要素全てを調整することが可能になるということです。なお、よほどのことがない限りアライメント調整をすることはないでしょう。
■マルチリンク式サスペンション
ダブルウィッシュボーン式サスペンションと並んで高い性能を誇るのがマルチリンク式サスペンションになります。
マルチリンク式サスペンションはFF車のリアサスペンションや後輪駆動車のリアサスペンションに採用されることが多いです。三菱が過去に販売していたミラージュ サイボーグというFF車や、現行ロードスターのリアサスペンションは、マルチリンク式となっています。
リジッドアクスル式サスペンションの種類の形式の種類と特性の違いは
■リンク式サスペンション
リンクと呼ばれる部品で取り付けや位置出しを行なっているのがリンク式サスペンションです。コイルスプリングやダンパーといった部品も取り付けられています。
取り付けられているリンクの数や、サスペンション横方向の位置決めおよび横からの入力を受け止める役割を持つラテラルロッドの有無などでいろいろと名称が変わります。
リンクが3つ使われているものは3リンク、4つ使われているものは4リンク式です。
リンク式サスペンションを採用する車を1つ挙げると、スズキ ジムニーが挙げられます。オフロード走行を念頭に設計された車での採用事例が多いです。
■トーションビームアクスル式サスペンション
FFコンパクトカーのリアサスペンションに採用されることの多いリジッドアクスル式サスペンションといえばトーションビームアクスル式サスペンションです。
左右がアクスルビーム(単にビームとも)で繋がれていて、アクスルビームの両端にトレーリングアームが取り付けられ、さらにはラテラルロッドも合わせられています(タイプによってはラテラルロッドは無い)。
構成部品が少なくて低コストで生産できる点や、コイルスプリングやダンパーの配置的に車両のフロアを下げて荷室を広くとることができる点、といった点がメリットの一部です。
サスペンションの性能を引き出すにはアライメント調整が必須
■アライメントとは
サスペンション本来の性能を発揮するためには、アライメント調整を確実に行うことが大切です。
タイヤがどういう状態で路面に設置しているのかを示すものがアライメントで、別名ホイール・アライメントとも呼ばれます。
英語のalignmentに由来する言葉で、この単語は配置、整列・位置合わせと言った意味を持つものです。ホイールの整列具合という表現でも表すことができます。
【アライメント調整とは】掛かる料金・時間からDIYでの調整方法を解説 | カーナリズム
https://matome.response.jp/articles/2845こちらの記事ではタイヤのアライメント調整について、そもそもアライメントとは何なのかの説明から、アライメント調整のメリットと必要性、DIYでの調整方法と業者に依頼する場合に掛かる料金や時間について、また事故を起こしてしまった場合の調整についての説明をしています。
■アライメントを構成する4つの要素
トー角
直進方向に対して付けられているタイヤ先端の角度がトー角です。車両の直進安定性・操縦性に影響を与えます。
タイヤの先端角度が内側に向いているものがトーイン、反対に外側に向いているものがトーアウトと呼ばれます。
キャンバー角
車に対面した時にわかるタイヤの傾き具合を示すのがキャンバー角です。
タイヤが地面に接している時、タイヤ上部がボディ側に向かって傾いている状態がネガティブキャンバー、反対にタイヤ上部がボディ反対側に向かって傾いている(つまりタイヤ下部がボディ側に入り込んでいる状態)状態をポジティブキャンバーと言います。
キングピン傾角
キングピン軸と鉛直線のなす角はキングピン傾角と呼ばれています。キングピン軸はタイヤを左右に動かす際に軸となる部分のことです。最近ですと、KPI角やSAI角などで呼ばれています。直進安定性や操舵力に影響を与える、実は重要な要素です。
キャスター角
サスペンションを車体側面側から見た時の鉛直線とキングピン軸のなす角がキャスター角です。トー角と同様に直進安定性に影響を与え、さらには操舵力にも影響を与えるなど、こちらも重要な役割を果たします。
まとめ
スバル WRX
今回紹介したように、車のサスペンション形式の種類は多岐に及びます。
その車両の用途や価格帯、駆動方式に合わせて、適切なサスペンション形式が採用されていると考えてよいです。
サスペンション形式ごとに性能差はあれど、車体に入力される衝撃を緩衝させること、客室の快適性を保つこと、少なくともこれらはどの形式でも重きを置かれています。
また、高級なサスペンションならそれで良いというわけでもなく、アライメント調整を行なってトー角からキングピンに至るまでキッチリ合わせることが、サスペンション本来の性能発揮へと繋がるのです。