愛車のタイヤサイズ、把握してる?
《画像提供:Response 》トーヨータイヤ OPEN COUNTRY R/T
タイヤは、自動車が停まっている間も動いている間も、常に支えてくれている力持ちな存在。車や乗員などの重さを支えてくれるだけでなく、加減速やハンドル操作の力を地面に伝えてくれたり、細かな振動を吸収して乗り心地を向上させてくれたりと、さまざまな役割を担ってくれている重要な部品です。
そんなタイヤ、普段あまりメンテナンスはできていないよ、という方も実は多いのではないでしょうか。
走行距離ごとに交換頻度が定められているエンジンオイルなどは交換の目安がわかりやすいのに対し、タイヤは使用される状況によって交換頻度が変わりますし、意外と放置しっぱなしでも乗り続けられてしまうこともあって、タイヤの状態はあまり把握できていないという方もいるかもしれません。
しかし、先ほどご紹介したように、タイヤが担う役割は非常に多く重大なものばかりなので、タイヤの状態を点検して把握し、必要ならば交換をすることは、安全運転のためにも非常に大事なこととなります。
愛車のタイヤの健康状態がだんだん気になってきたのではないでしょうか。
■タイヤサイズはタイヤ側面に表示あり、しかしまるで暗号!
《画像提供:Response 》タイヤサイズ表示の例
そろそろタイヤ交換かなあとお思いの方なら、タイヤの価格相場を調べてみたくなることでしょう。タイヤの価格を調べる際に必要となるのが、装着されているタイヤサイズの情報です。
タイヤは車種ごと、グレードごとに装着されるタイヤサイズが異なりますし、タイヤメーカーも製造しているサイズが商品ごとに異なりますので、ご自分の愛車のタイヤサイズを把握しておかないと、どのタイヤが付けられるのかさえ分からないままです。
なんとなくタイヤの側面にタイヤサイズが表示されていることは知っていても、数字とアルファベットの羅列はまるで暗号のようで、どういう意味を示しているのかが最初はわかりにくいもの。
もちろんタイヤサイズ表記の示す意味が分からなくても、カー用品店やタイヤショップなどに赴けば、愛車にぴったりのタイヤをちゃんと探してもらえます。しかしタイヤ交換時は、タイヤサイズの見方を勉強するのにもよい機会ではないでしょうか。
暗号を解読し、愛車にぴったりのタイヤサイズをしっかり把握していきましょう。
【タイヤサイズの見方】暗号解読!それぞれの数値の意味は
《画像提供:Response 》トヨタ ヤリスが装着する185/55R16 83Vのタイヤ
タイヤサイズは、タイヤの側面に表示されています。文字の大きい小さいはあるものの、一定の基準に沿った表示がされているので、気をつけて探せば確実に見つけられるはずです。
タイヤが製造された時期や取り付けられる車種によっても表記が異なる場合もありますが、現在一般的なISO(国際標準化機構)による表記方法のものをご紹介していきます。
タイヤの側面に表示されている項目のうち、「185/55R16 83V」のように、数字とアルファベットが組み合わされたものがタイヤサイズです。
例に挙げたタイヤサイズをベースに、それぞれの数字やアルファベットの示す意味を、詳しく解説していきます。
■最初の3ケタの数字:タイヤの断面幅(mm単位)
タイヤサイズの最初の3ケタの数字は、タイヤの幅をmm単位で表したものです。例に挙げたタイヤサイズでは、断面幅が185mmであることが分かります。この断面幅とは、リムガードと呼ばれるタイヤで最も外側に出っ張った部分は含まれない幅となります。
最初の3ケタを見れば、そのタイヤが太いか細いかが直感的に分かるというわけです。
コンパクトカークラスでは200mmよりも小さい幅のものも多いですが、大型のセダンやSUVなどでは250〜300mm前後のものが多くなるほか、スーパーカーなどでは350mm前後といった極太のタイヤが用いられる場合もあります。
■次の2ケタの数字:偏平率(%)
幅の後は、スラッシュを挟んでからタイヤの偏平率が2ケタの数字で偏平率が表されます。これはタイヤの幅に対する高さの比率を表したもので、簡単にいえばタイヤを横から見たときに、分厚いか薄いかを示しています。
例に挙げたタイヤサイズでは、偏平率が55%であることが分かります。
偏平率はタイヤの厚みを指すので、そのタイヤサイズが厚みがあってクッションがよい快適性重視なのか、薄めでダイレクトな操作レスポンスをもたらすパフォーマンス重視なのかが分かります。近年では偏平率の低い薄いタイヤが流行しており、最も薄い部類では25%といったものもあります。
■ローマ字1文字:タイヤの構造
タイヤサイズで真ん中あたりのローマ字1文字は、タイヤの構造を示しています。基本的に現代の乗用車はほとんどすべてラジアルタイヤを採用していますので、例に挙げたタイヤサイズと同じく「R」と1文字で表示されていることがほとんどです。
ラジアルタイヤ以前に広く使われていたバイアスタイヤはサイズ表記の方法が異なる場合がほとんどですが、バイアス構造では「-」、ベルテッドバイアス構造では「B」と記載される場合もあるようです。
ラジアルタイヤの「R」が主流とはいえ、別の表記も見られます。パンクしても一定条件のもと走行を続けられるランフラットタイヤでは「RF」とFが加わりますし、速度カテゴリーが240km/h以上のタイヤでは「ZR」と示されたりする場合もあるので、注意が必要です。
■続く2ケタの数字:リム径(インチ)
タイヤの構造を示すアルファベットの後は、タイヤのリム径がインチで示されています。リム径とは、タイヤの内径のことで、タイヤとホイールとでリム径を揃える必要があります。
例に挙げたタイヤサイズでは、リム径は16インチであることが分かります。
幅はmm単位なのに、リム径はインチという日本人が普段あまり用いない単位を使用している点には注意が必要ですが、自動車の世界ではタイヤの径の大きさはインチで表現されることが一般的ですので、慣れる必要がありますね。
こちらも近年大径化が進んでおり、高級大型SUVなどでは22インチといった巨大なサイズのタイヤが標準装着されている場合も増えてきています。大きいタイヤとホイールはかっこいいものの、タイヤ交換時には莫大な出費になりますので、その点も考慮しておきたいところでしょう。
■末尾:ロードインデックスと速度記号
ここまでご紹介したサイズと違い、普段はあまり意識されない末尾の数字2ケタとアルファベット1文字は、それぞれ規定条件下でのタイヤ1本あたりが支えられる負荷能力を示した「ロードインデックス」と、ロードインデックスで示された質量が規定の条件で負荷された状態での最高速度を示す「速度記号」です。
例に挙げたタイヤサイズでは、ロードインデックスが「83」、速度記号が「V」となります。
このうちロードインデックスは注意が必要で、2ケタの数字は「指数」でしかなく、そのものがタイヤ1本あたりで支えられる負荷能力を示しているわけではありません。そのため、ロードインデックスが60ならば負荷能力は250kg、80ならば450kg、120ならば1,400kgと、タイヤメーカーなどが公表している表に基づいて読み解く必要があります。先ほどの「83」は、1本あたりの負荷能力が487kgであることを示します。
速度記号もややわかりにくくなっており、アルファベット順が大まかな基準にはなっていますが、「G」が90km/hを示すのに対して「H」が210km/hを示すなどイレギュラーもあるので、こちらも換算表を確認することが必要でしょう。先ほどの「V」は、最高速度が240km/hであることを示します。
また、最高速度が240km/h超に達するタイヤは、先述したタイヤの構造を示す「R」が「ZR」という速度カテゴリー表記になるほか、特に300km/h以上に達するタイヤではロードインデックスと速度記号Yをカッコ書きで表示するなどのルールもあります。
タイヤサイズの見方が分かれば、車の性能も検討がつく
■偏平率が小さいほどパフォーマンス指向が多い
テスラ モデルS
タイヤサイズが分かると面白みが増すのが、偏平率によってその車がどういう狙いのタイヤを装着しているかの想像がしやすくなる点です。
先ほどご紹介したように偏平率が高い=横から見たときに分厚いタイヤは、その分厚さを活かして衝撃をしっかりと吸収してくれるので乗り心地に優れているものの、ハンドル操作などのレスポンスはややダルになりがち。
反対に偏平率が低い=横から見たときに薄いタイヤは、車がよりダイレクトでクイックに動くレスポンス重視となり、その分乗り心地やよりハードな方向になりがちです。
近年では大型の乗用車などを中心に低偏平率の薄いタイヤが流行しています。車種によってはハンドル操作などのレスポンスを最優先している場合もあるでしょうが、見た目がかっこいいからという理由も少なからずあるようです。
■ロードインデックスや速度記号で、キャラクターがわかる
《画像提供:Response 》ベントレー ベンテイガ 22インチのカーボン製ホイール
普段タイヤサイズの中でも気にすることが少ないロードインデックスや速度記号でも、そのタイヤを装着している車の大まかな性格が分かります。
特に速度記号はその車の性能を如実に示します。最高速度が300km/h超のタイヤでは速度記号が(Y)と表記されるので、筋金入りのスポーツカーやスーパーカーであることが一目で分かるというわけです。
■インチアップ・インチダウンの計算もサイズが分かれば可能
《画像提供:Response 》ルノー カングー アシエ ホイール
純正装着されているタイヤから外径を変えずに、リム径を大きくしたり小さくしたりする「インチアップ」「インチダウン」をする際も、タイヤサイズを詳しく把握しておくことが必要になります。
タイヤの外径は、リム径にタイヤの厚み分の数値を足すことで求めることができます。そのため、タイヤの断面幅と偏平率、それにリム径を用いることで、タイヤの外径を計算するというわけです。
インチアップ、インチダウンとも、タイヤ外径が変わらないことからスピードメーターの誤差が出ない、フェンダー内部への干渉などがないので、お手軽なドレスアップです。
インチアップによって偏平率が低く薄いタイヤに変わるとスポーティな印象ですし、インチダウンによって偏平率が高く分厚いタイヤに変わると乗り心地が向上することもあるほか、タイヤ代が安上がりになるメリットもあります。
まとめ
《画像提供:Response 》スズキ ジムニーに装着されたBFグッドリッチ オールテレーン T/A
タイヤサイズの見方や、それぞれの意味する内容を解説してきました。お乗りの車のタイヤサイズがどんな意味を示しているのか、ご理解いただけたのではないでしょうか。
どういう意味なのかが分かってくると、タイヤサイズを見るのも楽しくなってくるもの。街中で見かける車のタイヤサイズを観察すれば、その車がどんな性格づけなのかが分かってくることでしょう。
よくある質問
■タイヤサイズってタイヤのどこに書いてあるの?
タイヤサイズは、タイヤの側面である「サイドウォール部」に表示されています。「数字3ケタ」/「数字2ケタ」「R」「数字2ケタ」のように表示されていることがほとんどです。
■タイヤサイズって純正から変えてもいいの?
純正のタイヤサイズから無理な変更をすると、スピードメーターの表示がズレてしまったり、フェンダー内部に干渉してしまうおそれもあるので、慎重に行う必要があります。よりお手軽な方法として、タイヤ外径を変えずにホイール径を変える「インチアップ」「インチダウン」があります。
■タイヤ交換時は太さやリム径だけ見とけばいいの?
タイヤ交換の際は、交換しようとするタイヤのロードインデックスが、交換前のタイヤよりも下回らないことも気をつける必要があります。純正タイヤでは、その車の車重だけでなく乗員や荷物の重さまで含めて問題のないロードインデックスが選ばれていますので、それを下回るタイヤを選択すると、最悪の場合はタイヤの損傷につながることも考えられます。