フォルムは黒豆の艶やかさ?!大ヒット中の「トヨタ ヤリス」
《画像提供:Response 》トヨタ ヤリス
初代は欧州風味の革新的国産コンパクトカーとして話題を呼んだものの、代を重ねるごとに実用的コンパクトとしてのキャラクターも強まっていき、なんとなく地味な存在になっていたトヨタ ヴィッツ。そんなヴィッツが4代目としてモデルチェンジする際に、海外仕様車と同一の「ヤリス」という車名を掲げて2020年に登場したことはまだ記憶に新しいですよね。
親しみやすさを感じさせた3代目ヴィッツの印象からガラッと一転、シャープなスポーティさとふくよかな曲線のフォルムで登場したヤリスは、これまで以上に「見た目買い」したくなるような魅力的なデザインで話題を呼びました。そんなフォルムは、艶やかでふくよかな面を持つ「黒豆」がモチーフのひとつとのことです。
大きくイメチェンを果たしたヤリスは、ヴィッツのオーナーだけではなく、他車種・他メーカー車のオーナーをもググッと引き込む高い人気を獲得しており、2020年7月から2021年7月まで登録車の車名別販売台数ランキングではヤリスシリーズとして首位を独占し続けています。
世界最高峰のラリー競技、WRC(世界ラリー選手権)にも参戦し、活躍を続けているヤリス。2000年の初代ヤリスに続いて2021年欧州カーオブザイヤーを獲得するなど、ヤリスは国内だけでなく世界的に高い支持を得ています。
■ヤリスシリーズは3姉妹に拡大!ヤリスクロスとGRヤリスにも注目
《画像提供:Response 》トヨタ ヤリス(右)、GRヤリス(中央)、ヤリスクロス(左、すべて海外仕様車)
海外仕様としては4ドアセダンも存在するものの、ヤリスという車名は基本的には5ドアもしくは3ドアのコンパクトハッチバック車に付けられていた名前。しかし2020年からは、コンパクトSUVの「ヤリスクロス」と、本格ホットハッチの「GRヤリス」というシリーズ展開も始まっています。
ヤリスクロスは、車名とプラットフォームを共有するものの、開発の大部分をヤリスと並行して行なっていたという本格設計のクロスオーバーSUV。ヤリスよりも余裕のある室内空間と、充実の装備、独特なデザインなどが好評となっており、SUVブームも相まって本家のヤリスを超える売れ行きだそうです。
またGRヤリスは、WRCに参戦するためのホモロゲーションモデルという役割を与えられた「ガチ」な仕上がり。3ドアの専用ボディに専用のターボエンジンに専用の4WDシステムを備えるGRヤリスの動力性能は、プロドライバーも唸るほどの高性能です。お求めやすく扱いやすい1.5リッター FF仕様の「RS」グレードが設定されている点も注目ポイントでしょう。
残念ながらコロナ禍の影響で、当初予定されていたGRヤリスによる2021年のWRCデビューはなくなってしまっていますが、「純トヨタ」のスポーツカーとしてGRヤリスは大きな注目を集めており、販売も好調とのこと。街中でも見かける頻度が上がってきていますね。
トヨタ ヤリスの魅力をおさらいしておこう
■凝縮感のあるスポーティなエクステリア
《画像提供:Response 》トヨタ ヤリス
一目で釘付けになるダイナミックでシャープなエクステリアデザインこそ、ヤリスの大きな魅力でしょう。これまでの歴代ヴィッツ以上に鮮やかなボディカラーを華麗に着こなすヤリスは、コンパクトカーだからと妥協するのではなく、ヤリスが欲しい!と思わせる魅力を備えています。
大きく寝かされたフロントガラスと、存在感のあるフェンダーの膨らみとの組み合わせで、実用的なハッチバック車としては意外なほどのスポーティさは、毎日の気分を盛り上げてくれることでしょう。
■使い勝手抜群!ユニーク装備も多数のインテリア
トヨタ ヤリス ターンチルトシート
スポーティなエクステリアに感心してから車内に乗り込むと、そこはドライバー中心の便利装備が数々揃えられた落ち着ける空間。上級グレードとなるZグレードやハイブリッドZグレードでは合成皮革とツィード調ファブリックのシートも選べるなど、手触りでも高級感が感じられます。
また、ヤリスの前席には驚きがたくさん。まるでメモリー機能付きパワーシートのように前後スライド位置を覚えていてくれる「運転席イージーリターン機能」や、シートが車両外側に回転するので乗り降りがしやすい「ターンチルトシート」を運転席と助手席に設定するなど、トヨタ初となる便利装備が目白押しです。
■ハイブリッドの燃費は世界トップクラス!高い効率性
《画像提供:Response 》トヨタ ヤリス ハイブリッド エンジンルーム
新たな軽量かつ高剛性のプラットフォームの採用など、ボディの軽量化が進められたことや、パワートレイン全体での効率向上が進んだこともあって、ヤリスのハイブリッド仕様車は、世界でトップレベルの低燃費性能を実現。最も低燃費なグレードではWLTCモード燃費で36.0km/Lと、ハイブリッド専用車のプリウスを大幅に超える驚異的な環境性能は、ヤリスの大きな魅力のひとつです。
ガソリン車の1.5リッターエンジン車、1.0リッターエンジン車でも力強さと低燃費が追求されており、ヤリス全体としてドライブの楽しさと環境性能の両立が図られています。
■充実の安全装備が幅広いグレードで標準装備
《画像提供:Response 》トヨタ ヤリス アドバンストパーク機能
最廉価仕様となるX“Bパッケージ”を除いた全車で、充実の予防安全・運転支援機能パッケージ「トヨタセーフティセンス」が標準装備されている点も注目です。今や廉価な車でも自動ブレーキなどはもはや標準装備で当たり前となっていますが、ヤリスでは交差点右折シーンでの対向直進車や対向方向からの横断歩行者の検知にも対応するなど、トヨタとしても最先端のシステムを採用しています。
全車でSRSサイドエアバッグとSRSカーテンシールドエアバッグを標準装備するなど、万が一の衝突事故時にも乗員をしっかり守る安全性能も確保。コンパクトなボディとはいえ、安心感があります。
■エンジンや駆動方式で選択肢が超豊富!
《画像提供:Response 》トヨタ ヤリス
お好みやご予算に応じた選びやすさもヤリスのポイントで、最も廉価な1.0リッターガソリンエンジン車、より伸びやかな加速の1.5リッターガソリンエンジン車、世界最高峰の高効率性を誇る1.5リッターガソリンハイブリッド車と、パワートレインの選択肢がかなり豊富。
さらに1.5リッターガソリン車とハイブリッド車では4WDも選択できるほか、なんと1.5リッターガソリン車には6速MTの設定もあるなど、さまざまなユーザーニーズに1台の車で丸ごと対応できる懐の深さが、ヤリスの特徴です。
トヨタ ヤリスのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,940mm×1,695mm×1,500mm | |
---|---|---|
ホイールベース | 2,550mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,060kg | |
燃費 | WLTCモード:35.8km/L | |
エンジン種類 | 直列3気筒ガソリンハイブリッド 1,490cc | |
エンジン最高出力 | 67kW(91PS)/5,500rpm | |
エンジン最大トルク | 120N・m(12.2kgf・m)/3,800-4,800rpm | |
モーター種類 | 交流同期電動機 | |
モーター最高出力 | 59kW(80PS) | |
モーター最大トルク | 141N・m(14.4kgf・m) | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | 電気式無段変速機 | |
新車価格 | 1,936,364円(消費税抜) |
【2021年5月一部改良】最新のヤリスはどこが変わった?
もとより好調のヤリスですが、2021年5月には主に安全装備をさらに充実させる一部改良を受けており、魅力がさらに向上しています。
どのような改良が加えられたのか、詳しくご紹介していきます。
■レーダークルーズコントロールに全車速追従機能が追加
《画像提供:Response 》トヨタ ヤリス インテリア
改良前でも1.5Lガソリンエンジン車とハイブリッド車で「ブレーキ制御付」のレーダークルーズコントロールを標準装備していたヤリスですが、2021年5月の改良の目玉として、1.5LガソリンエンジンのCVT車とハイブリッド車において、前走車に続いて停止にまで対応する「全車速追従機能付」にグレードアップがなされました。
ここ最近の新型車では、軽自動車でも全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールがひとつのベンチマークとなっているようなところがあり、最新の安全装備を備えるヤリスだけに30km/h以下では追従制御が止まってしまう「ブレーキ制御付」のシステムにとどまっていたことは、懸念の声も大きく聞かれた部分でした。
上位車種との兼ね合いやコスト面の制約もあってかヤリスクロスで採用されている電子制御パーキングブレーキはヤリスでは引き続き非採用のままであり、今回追加されたヤリスの全車速追従機能付きレーダークルーズコントロールには停止保持機能がつかないので、前走車に追従して停止した後はドライバーがブレーキ操作をする必要がある点には注意が必要です。
■プリクラッシュセーフティに緊急時操舵支援機能が追加
《画像提供:Response 》トヨタ ヤリス ステアリングホイール
また、こちらもトヨタセーフティセンス関連の機能の拡張ですが、プリクラッシュセーフティを装備するヤリスには新たに「緊急時操舵支援機能」が追加されています。プリクラッシュセーフティは、トヨタセーフティセンスとしてX“Bパッケージ”以外の全車に標準装備されています。
この機能は、進行方向に歩行者を検知していて、そのまま進むと歩行者と衝突してしまう可能性が高い時に、自車線内で回避するためのスペースが十分に取れるとシステムが判断した場合、ドライバーの回避操舵に対して安定的な回避をアシストしつつ、かつ車線内に止まれるようなハンドル操作をサポートしてくれるもの。
同様の機能としては、2017年にレクサス LSに「アクティブ操舵回避支援」が世界初として搭載されており、価格帯も性格もまるきり違うヤリスにもこのような先進安全機能がほぼ標準装備されるというのは、安全技術の進化の早さを感じさせますね。
■専用キーで安心の「プラスサポート」をオプション設定
また、トヨタ車で対応車種が拡大している、ペダル踏み間違いによる急加速を抑制する「プラスサポート」機能が、2021年5月の改良でヤリスにもディーラーオプション設定が始まったこともトピックです。
2020年7月に登場したこのプラスサポートは、専用のキーで車をアンロックすると自動的に起動するもので、起動中は障害物等を検知していなくてもペダルの踏み間違いによるものと思われる急加速を抑制してくれるものです。
プラスサポートは障害物等を検知していなくても、ペダルの踏まれ方や車両の状態、ウインカーレバーの操作などによって、本当に急加速を意図しての操作なのか、踏み間違いによって誤ったアクセル操作なのかを判断し、踏み間違い時には加速を抑制してくれるところがポイント。
小型なボディサイズで扱いやすく、老若男女が利用するヤリスだけに、この安全装備による安心感を待っていた方も多くいらっしゃることでしょう。
■安全装備をより幅広いグレードで標準装備化
《画像提供:Response 》トヨタ インテリジェントクリアランスソナー作動イメージ(画像はトヨタ プリウス)
改良前ではX“Bパッケージ”以外の全車でオプション設定となっていた「インテリジェントクリアランスソナー」がハイブリッドZグレードとZグレードのCVT車で標準装備となったほか、こちらもハイブリッドZグレードとハイブリッドGグレード以外の全車でオプション設定となっていた「バックガイドモニター」がガソリン車のZグレードとGグレードでも新たに標準装備となるなど、2021年5月の改良では安全装備がさらに幅広いグレードで備わるようになっています。
中でも車両周辺の障害物との衝突回避をブレーキ制御も含めて支援してくれる「インテリジェントクリアランスソナー」は、駐車場などの低速時の取り回し時のうっかりミスまでしっかり回避支援してくれる優れもの。
作動時には急激にブレーキがかかるのでちょっぴりびっくりしてしまいますが、駐車スペースなどで車をこすってしまったりぶつけてしまったりといったトラブルを予防するのに大いに役立ってくれるので、オプション設定にとどまっている他のグレードでもぜひ選択しておきたい機能です。
■快適性向上!エアコンのナノイーX化やT-Connectリモートスタート
《画像提供:Response 》トヨタ ヤリス ディスプレイオーディオ
改良前は「ナノイー」がハイブリッドZグレードとZグレードのみに標準装備されていましたが、2021年5月の改良ではこれがOHラジカルを含む微粒子イオンをナノイーの10倍量も放出する「ナノイーX」にグレードアップ。また新たにハイブリッドGグレードとGグレードでも、メーカーセットオプションの「コンフォートシートセット」を選択することでナノイーXが装備できるようになりました。
また、コネクティッドカーであるヤリスはDCM(車載通信機)を全車標準搭載していますが、そのコネクティッド機能も進化を遂げており、スマホアプリ「MyTOYOTA」を利用して、離れた場所から車のエンジン始動とハイブリッドシステム起動をすることでエアコンを稼働させ、乗り込む前から快適な室内空間を準備しておける「リモートスタート」を、ハイブリッドZグレード・ハイブリッドGグレード・ハイブリッドXグレードのE-Four仕様車で、別途利用料のかかるオプションサービスとして利用できるようになりました。
まとめ
《画像提供:Response 》トヨタ ヤリス
ヤリスに2021年5月適用された一部改良内容をご紹介してきました。
デビューから瞬く間に人気のコンパクトカーの地位を確立したヤリスですが、きめ細やかな改良によってさらに敵なしの仕上がりになった印象ですね。
特にレーダークルーズコントロールの全車速追従機能は、デビューから待望していた方も多いのでは。この改良によって、ヤリスを選びたくなる理由がますます増えたといえそうです。
よくある質問
■トヨタ ヤリスはいつ発売になって、いつ改良を受けたの?
現行型のトヨタ ヤリスは、2020年2月に国内で発売が開始されました。直近では、2021年5月に一部改良を受け、装備の充実化などが行われています。
■どうしてヴィッツはヤリスになったの?
ギリシャの神々の名前をベースとした造語とされるヤリスは、ヴィッツの海外仕様の車名として初代から用いられてきた、20年以上の歴史がある伝統の名前。フルモデルチェンジに際してヴィッツから大きく雰囲気が変わることや、WRCにヤリスの車名で参戦していることもあってか、国内においてもヤリスへの車名統一が行われたようです。