リセールバリューの高い車はお得?
《画像提供:Response》〈photo by Mercedes-Benz〉メルセデスAMG G63 エディション55
近年、軽自動車やコンパクトカーであっても、新車販売価格が200万円近くするものが少なくありません。日々進歩する先進安全技術により、運転支援機能や快適装備をはじめとした自動車に標準で搭載される装備が増えていることが主な要因のひとつでしょう。
本当は乗りたい車があっても、値段が高いという理由で車自体買うのを躊躇してしまったり、妥協してより安い車や中古車を選んだりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、車を手放すときのことを考えてみましょう。車には、リセールバリューがある…売るときに高く売れる車とそうでない車が存在します。その違いには、モデルチェンジや海外における中古車の需要などさまざまな事象が影響しています。
たとえ新車販売価格が高くともリセールバリューの高い車であれば、新車販売価格が安くリセールバリューが低い車を買うよりも、結果的に「お得」になることもあるのです。基本的に車は「消費財」ですが、リセールバリューが高く安定していれば「資産」としての価値も望めます。
ここでは、2023年1月現在、新車で販売されており、今後高いリセールバリューが見込める車をタイプ別に5車種紹介します。
リセールバリューが高いおすすめの新車5選
■ミニバン:トヨタ アルファード
《画像提供:Response》〈写真提供 トヨタ自動車〉トヨタ アルファード 特別仕様車 S タイプゴールドIII(7人乗り・2WD・ホワイトパールクリスタルシャイン)
トヨタ アルファードは、トヨタの製造する高級ミニバンです。現行モデルは、2015年にモデルチェンジした3代目です。
エンジンや内装パッケージの違いにより、新車販売価格は359万円から775万円ほどと幅広く設定されています。中古車相場は3年落ちで新車時の90~95%前後、5年落ちで75~80%前後と高値を保っています。
現在、2023年のモデルチェンジを控え受注停止との情報がある影響か、未登録車や低走行の中古車は、新車時以上の価格で販売されているものもあります。
来年のモデルチェンジ後には、現行(3代目)モデルのリセールバリューは変動する可能性がありますが、アルファードというクルマはファミリー層の個人オーナーのみならず、ハイヤーや社用車等で広く需要があるため、今後も比較的安定したリセールが見込める車種といえます。
■軽自動車:スズキ ジムニー
《画像提供:Response》〈撮影:中村孝仁〉スズキ ジムニー(AT車)
スズキが1970年から製造販売している軽自動車ながら本格的なオフロード性能を持つ車です。
コンパクトな車体ながら、ラダーフレーム構造等により高い悪路走破性能を持ちます。現行モデルは2018年に登場した4代目です。
新車販売価格は155万円から190万円ほどです。メーカーの予想を大きく上回る台数の受注が入っており、現在でも新車の納期に1年近くかかる場合もあるようです。
そのため中古車相場は非常に高騰しており、3年落ちで新車販売価格の98~110%前後と、新車同等か新車以上の価格で販売されていることもある状況です。
新車が手に入りにくい状況の中、現行モデルより前の世代のジムニーも、中古車相場が上昇傾向にあります。
また、ジムニーは歴史的にひとつひとつのモデルライフが長いことで知られています。メーカーの生産スピードは一定ですし、次期モデルが出るのはしばらく先のことと予想されますので、現行モデルのリセールバリューは今後も安定していると考えられます。
■SUV:トヨタ ランドクルーザー
《画像提供:Response》〈写真提供:トヨタ自動車〉トヨタ・ランドクルーザーZX
トヨタの本格オフローダーであるランドクルーザーは、昨年モデルチェンジを発表、300系となりました。
14年ぶりのフルモデルチェンジとなり、注文が殺到。現在はいったん受注を停止している状況です。
新車販売価格は510万円から800万円ですが、中古車として販売されているものは新車時の1.5~2倍ほどの価格がつけられています。
なお、先代の200系でも、3年落ちで95%前後、5年落ちで105%前後と、国産車トップクラスのリセールを誇ります。これだけリセールが高値安定しているのは、主に2つの理由があります。それは、「壊れにくいこと」と「海外需要が大きいこと」です。
本格的な悪路走破性能と品質の高さが保証されたランドクルーザーは、日本のみならず、中東やアジア等で絶大な人気があります。輸出規制の関係から、年数が経過していたほうがリセールバリューが高いケースもあります。
ただし、ランドクルーザーを購入するうえで気をつけたいのは「盗難」です。日本損害保険協会の調べによると、2021年の調査で最も盗難事故や車上狙いの被害にあっている車はランドクルーザーである、という結果が出ています。
購入する場合には、しっかりと盗難防止対策を行いたいものです。
■コンパクトカー:トヨタ ヤリス クロス
《画像提供:Response》〈写真撮影:中野英幸〉トヨタ ヤリス クロス(プロトタイプ)
トヨタが新開発したコンパクトクロスオーバー「ヤリス クロス」は2020年に登場しました。
駆動方式はFFと4WDが選択でき、砂地や雪道での走行を想定した3つの走行モードを備えるなど、コンパクトカーながらアウトドアユースにしっかり対応できる設定になっています。
新車販売価格は189万円から293万円ほどですが、中古車の平均価格は276万円、未登録車は新車以上の価格で販売されている個体も。新発売された車種に注文が集中し、納期を待てない人々の需要がリセールを上げていることが要因のひとつとして考えられます。
現在は好調を保っているヤリス クロスのリセールですが、発売からの経過年数が短いことからまだデータは少なく、今後の動きが気になります。
■電気自動車:テスラ モデルS
《画像提供:Response》〈photo by Tesla〉テスラ・モデルS 改良新型
テスラ モデルSはアメリカの電気自動車専門メーカー「テスラ」が製造・販売しているラグジュアリーセダンです。
2012年に登場し、日本では2013年から販売開始となりました。2021年に内装が大幅刷新され、航空機の操縦桿のようなステアリングや高解像度ディスプレイによる操作パネルなど、近未来的なデザインが採用されました。
新車販売価格は1,199万円から1,799万円ほどです。リセールは3年落ちで90%前後。5年落ちでは下は70%前後から、上は距離が少ないと90%近く残っている個体もあります。中古車として市場に出回る台数が少ないためか、平均して良好なリセールが期待できます。
今後発展が予想される電気自動車の市場において、テスラが現在のリセールを維持できるのか、今度の動向をチェックしておく必要がありそうです。
長納期化により中古車相場は全体的に上昇傾向
現在、長期化するウクライナ危機や新型コロナウイルスなどの影響により、世界的に物流が滞る状況にあります。また、半導体不足に伴い、新車の注文に生産が追いつかないという状況も。
このような状況の中で、新車の納期が長期化する傾向が続いています。そのため、今すぐに車を購入したいというユーザーは即納車可能な中古車を求め、結果として中古車市場は今、全体的に高騰しています。
特に、近年人気の高いSUVやクロスオーバーのようなモデル、またモデルチェンジ直後の車種は、中古車価格が高値を維持しやすい傾向にあります。その反面、頻繁にモデルチェンジが行われる車種などは、中古車価格の下落するスピードが速くなります。
新車を購入後どのくらいの期間乗るつもりなのか、また、どのような環境で使用するのかによって、車ごとのリセールバリューは変わりますが、中古車の価格は相場によってある程度決まってくるものです。
短期間での乗り換えを検討している方や、高い買い物で損をしたくないという方には、ぜひ一度、購入を考えている車のリセールバリューを調べてみることをおすすめします。