「車中泊」を検索するユーザーは春に増え、冬に減る傾向
今回の調査は、毎月更新されるWeb行動ログデータを用いて、競合サイト分析やトレンド調査ができるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて行っています。
まずは、「車中泊」と検索する人がどれくらいいるのかを見ていきます。
「車中泊」と検索した人の数
調査期間:2023年3月〜2024年2月、2022年3月〜2023年2月
デバイス:PC、スマートフォン
2023年3月から2024年2月の1年間に「車中泊」と検索する人は、115万人いましたが、1年前の同期間の検索者数は136万人でした。
コロナ禍の影響もあり、人と接触しなくてもできる趣味として車中泊やキャンプ・アウトドアの需要が高まりましたが、その傾向は落ち着いてきたようで検索者数にも現れています。
「車中泊」と検索した人の数
調査期間:2023年3月〜2024年2月
デバイス:PC、スマートフォン
各月の検索者数の推移をみると4月、5月は検索者数が多くなっており、12月は少なくなっています。気温が暑すぎず、寒すぎない春は車中泊の需要が高まるのでしょう。逆に寒い冬場は需要が少なくなるようです。
どんな人が「車中泊」と検索する?
続いて「車中泊」と検索する人がどんな人物像なのかを見ていきます。
■「車中泊」と検索する人は男性が過半数を占める
まずは、「車中泊」と検索する人の性別を、同じアウトドア関連のワードでもある「キャンプ」と比較しながら見ていきます。
「車中泊」「キャンプ」と検索した人の性別
調査期間:2023年3月〜2024年2月
デバイス:PC、スマートフォン
男性が68.2%と過半数を占めています。アウトドアの関連のワードということもあり、男性の関心が高いのでしょうか。
「キャンプ」と検索する人の性別も57.3%と男性が過半数を占めているものの、「車中泊」と比べると女性の割合が高くなっています。
同じアウトドアでも「車中泊」は「キャンプ」と比較すると男性が検索するワードのようです。
■40代、50代ミドル世代の割合が高い
続いて、「車中泊」と検索する人の年代を見ていきます。
「車中泊」「キャンプ」と検索した人の年代
調査期間:2023年3月〜2024年2月
デバイス:PC、スマートフォン
30代から検索ニーズが高まり、40代、50代のミドル世代が特に多いです。「キャンプ」は30代で割合が高まり、50代では低くなっていることから同じアウトドア系でも各年代での需要が異なるようです。
ミドル世代の中でも、特に50代はテントを設営するなどアクティブなキャンプよりも、車で寝泊まりができてゆっくりとできる車中泊を好むのかもしれません。
■「車中泊」の関心に子供の有無は関係性が薄い
「車中泊」と検索する人の子供の有無を見ていきます。
「車中泊」と検索した人の子供の有無
調査期間:2023年3月〜2024年2月
デバイス:PC、スマートフォン
上のグラフをみると子供なしと子供ありの割合はほぼ同じです。細かい数字を見ると、子供なしは49.4%、子供ありは50.6%。その差は0.6%と誤差程度しか違いがありません。
子供の有無で車中泊の需要は変わらないようです。
■中部地方が「車中泊」の関心が高い
「車中泊」と検索する人の居住地域を見ていきます。
「車中泊」と検索した人の居住地域
調査期間:2023年3月〜2024年2月
デバイス:PC、スマートフォン
中部地方の関心が高くなっており、関東地方、関西地方の関心が低くなっています。
都心部である関東地方、関西地方はそもそも車の所有者が少ないため「車中泊をしよう」と検索をする人が少ないのかもしれません。
■世帯年収が600万円〜1,000万円の人が「車中泊」の関心が高い
「車中泊」と検索する人の世帯年収を見ていきます。
「車中泊」と検索した人の世帯年収
調査期間:2023年3月〜2024年2月
デバイス:PC、スマートフォン
特に世帯年収が600万円〜1,000万円の人の関心が高く、400万円未満は低くなっています。
一般的には、車を所有していれば車中泊はそれほどコストがかからないと考えられがちですが、快適な車中泊を楽しむためには、マットやカーシェードといった車用アクセサリーのほか、寒い季節には冬用寝袋や暖房器具が必要です。
ホテルやキャンプに比べ宿泊費は不要ですが、快適な体験のためにはある程度の初期投資が必須です。そもそも車を持つためにもお金がかかるため、ある程度、可処分所得に余裕ができる世帯年収600万円〜1,000万円の関心が高くなるのかもしれません。
車中泊と検索する人は「軽自動車」「マット」に関心がある
続いて、「車中泊」と検索する人はそのほかにどんなワードに関心を持つのかを、掛け合わせ検索から見ていきます。
「車中泊」と掛け合わせ検索されたワードネットワーク
調査期間:2023年3月〜2024年2月
デバイス:PC、スマートフォン
注目なのは、2階層目の「軽自動車」と「マット」。この2つは頻出ワードのようで3層目にも「車中泊 おすすめ マット」「車中泊 車 軽自動車」のように出現します。
「マット」はすでに車を所有していて、現実的に車中泊をしたいと考えてる人が検索するワードのようです。「マット」の3階層目をみると、「NBOX」「フィット」「プラド」など具体的な車種名があります。
「軽自動車」は車中泊をするならどの車がいいか調べることが主目的のワードと考えられます。3層目には「おすすめ」「ランキング」「中古」のように、車中泊できる軽自動車を調べるようなワードがあります。
車中泊は大きな車の方が広々使えて快適ですが、軽自動車で車中泊をするニーズは増しているようです。 特にホンダは、「車中泊」に適した車種を積極的にアピールしています。
公式サイトで「車中泊ができる車」としてアピールしていたり、
ディーラーがYouTubeで車中泊について発信をしています。
「車中泊」の検索者は男性、ミドル世代が多かったですが、YouTubeでは演者に若いインフルエンサーや女性を起用しており、今後は若い世代や女性も注目するワードになっていくのかもしれません。
■「おすすめの車」「グッズ」「道の駅」について解説するページに訪問
続いて、「車中泊」と検索する人がどのようなページを訪問しているか見ていきます。
「車中泊」と検索した人が訪問したページ
調査期間:2023年3月〜2024年2月
デバイス:PC、スマートフォン
上位10ページを見ると閲覧されたページは大まかに以下の3つの傾向に分かれるようです。
・おすすめの車
・車中泊ができる道の駅
・車中泊に必要なグッズ
車中泊におすすめの「車」を紹介しているページ
車中泊におすすめの「道の駅」を紹介しているページ
車中泊におすすめの「グッズ」を紹介しているページ
先述した関心のあるワードにも言えますが、一言に「車中泊」といっても複数の検索ニーズがあり、検索者が求めている答えが異なるようです。
まとめ
今回は「車中泊」の検索需要の変化や検索者の人物像、関心を調査しました。
その結果、男性、40・50代、中部地方に在住している人の関心が高く、一言に「車中泊」といってもさまざまな意図とニーズがあることがわかりました。また、車中泊の検索需要はピークよりも少し減少しているものの、メーカーが車中泊について紹介することで今までとは違う層からも集客を試みていることもわかりました。
「車中泊」を含めアウトドアブームは落ち着いたと言われていますが、終焉ではなく市場が多様化している最中なのかもしれません。
「マナミナ」とは
「マナミナ」は“まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン”をコンセプトに、 市場動向や消費者インサイトを調査して発信。 インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングを提供している 株式会社ヴァリューズが運営しています。