自動車保険の等級を引き継ぎたいとき、まず気になるのは「自分のケースは引き継ぎできるのか」、そして「手続きを間違えて等級がリセットされたら損をするのではないか」という2点だと思います。
この不安には理由があります。等級引き継ぎはルールが細かく、同居か別居か、6親等か3親等か、いつ手続きするか──このどれかひとつが欠けるだけで結果が変わるからです。
条件をひとつ満たせなかっただけで新規6等級扱いになり、本来の高い等級を引き継げた場合と比べて、保険料に大きな差が出ることがあります。
そこでこの記事では、代表的な4つのケース(他社乗換/結婚改姓/親子間/中断証明書)に分けて、引き継げる条件と手続きの流れをひとつずつ整理しました。
先に全体像をお伝えしておくと、押さえるべきポイントはふたつだけです。
等級引き継ぎは「親族関係・同居・タイミング」の3条件で決まること(ただし配偶者だけは別居でも引き継げる例外があります)。
そして、車を手放す・海外赴任する・しばらく車に乗らないなど、保険を一時的にやめるときに等級を守る方法が、10年間有効な「中断証明書」だということ。
この2軸さえ頭に入れておけば、どう動けばいいかが見えてきます。
自動車保険の等級引き継ぎは「できる条件」と「できない条件」がある
等級を引き継げるかどうかは、ケースによって大きく分かれます。細かい話に入る前に、まず可否だけを一覧にしました。自分がどこに当てはまるかを確かめてから、本文でケース別の手順を読み進めてください。
| 同じ人が他社へ乗り換える | できる |
| 配偶者へ引継ぐ | できる(別居でも可) |
| 同居の親・子・兄弟へ引継ぐ | できる |
| 別居の親・子・兄弟へ引継ぐ(配偶者以外) | 原則できない |
| 車を手放す・海外赴任で一度やめる | 中断証明書で保持できる場合あり |
この表をふまえて、ポイントを3つに整理します。
まず、保険会社を変えるだけの「他社乗換」は、原則として等級を引き継げます。
契約者が同じで、車も同じ、または車両入替にあたる一般的な自動車保険同士の乗り換えであれば、条件を満たすことで等級をそのまま持ち越せます(共済や一部の特殊な契約では扱いが異なる場合があります)。実際、引き継ぎでいちばん多いのがこのパターンです。
次に、家族のあいだで等級を譲る「家族間引き継ぎ」は、誰に譲るかで条件が変わります。
判定の基準になるのは、契約者ではなく「記名被保険者(おもに運転する人)」を誰に変更するかです。引き継げる相手は、①記名被保険者の配偶者、②記名被保険者またはその配偶者と同居している親族──のいずれかに限られます。
ここで間違えやすいのが「同居」の扱いです。配偶者は、別居していても引き継げます。一方、子・親・兄弟などの配偶者以外の親族(6親等以内の血族・3親等以内の姻族)は、同居していることが必須です。つまり「別居の配偶者はOK、別居の子はNG」。ここが最初のつまずきポイントになります。
そして、車を手放す・海外赴任する・しばらく車に乗らないなど、保険を一時的にやめるときに等級を守る方法が「中断証明書」です。
解約のタイミングで発行しておけば、10年以内に再開する際に等級を復活できます。発行にはいくつか条件がありますが、いざというときの備えとして覚えておく価値があります。
数字で見ると、引き継ぎの有無は決して小さくありません。等級は1(割増)〜20(割引)まであり、等級が上がるほど割引は大きくなります。新規スタートの6等級は割引がほとんどなく、契約条件によっては割増になることもある一方、無事故で上の等級まで進めば保険料は下がっていきます。
そのため、引き継ぎに失敗して新規6等級に戻ると、同じ補償内容でも保険料に大きな差が出ることがあります。実際の差額は等級区分・年齢条件・車種・補償内容・保険会社によって変わります。
※割引・割増率は等級区分や年齢条件、保険会社によって異なるため、正確な金額は見積りで確認してください
タイプ別早見表:あなたのケースで引き継げるか
自分のケースが当てはまるかを表で確認してみてください。あなたの状況に近い行を探せば、引き継げるか、どの手続きを使うかが一目でわかります。
| 同じ契約者で保険会社を変える | ◯ 可能 | 他社乗換手続き |
| 結婚・改姓で名義変更 | ◯ 可能 | 名義変更+戸籍謄本 |
| 同居の親から子へ譲る | ◯ 可能 | 名義変更+住民票など |
| 同居の子から親へ譲る | ◯ 可能 | 名義変更+住民票など |
| 配偶者へ譲る(別居でも可) | ◯ 可能 | 名義変更(同居要件なし) |
| 別居の親・子・兄弟へ譲る(配偶者以外) | ✕ 不可 | 同居中に手続きするか新規契約 |
| 海外赴任・廃車で一時休止 | △ 中断証明書で10年保持可 | 条件を満たせば中断証明書を取得 |
| 配偶者の親(同居の姻族) | ◯ 可能(3親等以内) | 名義変更+住民票+戸籍謄本など |
| 配偶者の親(別居の姻族) | ✕ 不可 | 同居中に手続きするか新規契約 |
※「引き継げる相手」は記名被保険者(おもに運転する人)を誰に変更するかで判定されます。契約者の名義とは別物なので注意してください。
■自分のケースだけ確認したい方へ
該当する手続きから読み進めてください。
・保険会社を変えるだけ → 「ケース1:他社への乗換」
・結婚・改姓で姓が変わった → 「ケース2:結婚・改姓に伴う名義変更」
・親子・夫婦など家族で等級を譲りたい → 「ケース3:家族への引き継ぎ」
・車を手放す/海外赴任で一度やめる → 「ケース4:中断証明書を使った復活」
■早見表の読み方
この表は、3つの軸で「○か✕か」が決まっています。
まず、親族関係です。対象になるのは6親等以内の血族か、3親等以内の姻族まで。友人・恋人・知人には、どれだけ親しくても引き継げません。
次に、同居要件です。配偶者以外の親族(子・親・兄弟など)に譲る場合は、原則として同居していることが求められます。同居の確認には、住民票など住所を確認できる書類の提出を求められることがあり、必要書類は保険会社によって異なります。ただし配偶者だけは例外で、別居していても引き継ぐことができます。
最後に、タイミングです。等級を引継ぐには、旧契約の満期日(解約した場合は解約日)の翌日から7日以内に、新契約の保険開始日を設定する必要があります。ここが8日以上空くと新規扱いになってしまいます。
なお、配偶者なら別居でも引き継げますが、別居の子や親には原則として等級を渡せません。中断証明書を使っても、再開時に名義を引き継げる相手は「本人・その配偶者・本人または配偶者と同居の親族」に限られるため、すでに別居している子へ自由に渡すことはできない点に注意してください。譲りたいなら、同居しているうちに手続きを済ませておくのが確実です。
等級引き継ぎの基本条件と必要書類
ここからは、引き継ぎを実際に成立させるための条件と書類を、ケース別に細かく見ていきます。「自分は何を用意すればいいのか」がはっきりするはずです。
■引き継ぎ可能な親族範囲
等級を引き継げる相手は、損害保険業界の共通ルールで決まっています。基準になるのは「記名被保険者(おもに運転する人)」を誰に変更するか。引き継げるのは、①記名被保険者の配偶者(内縁を含む)、②記名被保険者またはその配偶者と同居している親族──のいずれかです。
「親族」の範囲は、6親等以内の血族と3親等以内の姻族まで。血族なら、本人・親・子・祖父母・孫・兄弟姉妹・おじおば・いとこ・甥姪など。姻族なら、配偶者の親・祖父母・兄弟姉妹などが含まれます。
ここで押さえておきたいのが「同居」の条件です。配偶者は同居・別居を問わず引き継げます。一方、配偶者以外の親族は、記名被保険者か配偶者と同居していることが必須です。範囲内の親族でも、別居していると引き継げないため、まず「同居しているか」を確認するのが先決になります。
■共通で必要な書類
どのケースでも、土台として必要になるのが次の書類です。
・現在の保険証券(または契約内容を確認できるもの)
・新契約の申込情報・申込書類(保険会社、または比較サイト経由で案内されます)
・等級確認のための同意書(保険会社が用意します)
■ケース別に追加で必要な書類
共通書類に加えて、ケースごとに用意するものが変わります。
| 他社乗換のみ | 共通書類のみで対応可能 |
| 結婚・改姓 | 戸籍謄本(旧姓と新姓が同一人物である証明) |
| 同居家族への引き継ぎ | 住民票(同居の証明) |
| 配偶者の家族への引き継ぎ | 戸籍謄本+住民票(姻族関係と同居の両方を証明) |
| 中断証明書からの復活 | 中断証明書(旧保険会社で発行) |
※必要書類は保険会社によって異なる場合があります。申込前に各社の案内で確認してください。
戸籍謄本は本籍地の市区町村役場、住民票は現住所の市区町村役場で取れます。マイナンバーカードを持っていれば、コンビニ交付で当日中に入手できるので、役場の窓口に並ぶ手間も省けます。
■書類を揃える順序と所要時間
書類は、次の順番で動くとムダがありません。
1. 現在の保険証券を確認する(5分)
等級・契約者・記名被保険者・補償内容をチェック
2. 必要書類を市区町村役場で取得する(30分〜半日)
戸籍謄本・住民票はコンビニ交付なら即日
3. 新しい保険会社に申し込む(10〜20分)
比較サイトを使えば複数社へ同時に申込
4. 等級確認の照会(保険会社が実施・1〜3営業日)
旧保険会社へ等級を照会
5. 新契約の成立(書類確認後)
通常は1週間以内に完了
全体ではおよそ1〜2週間。旧契約の満期日から逆算して、1ヶ月前には準備を始めておくと余裕を持てます。
とくに3月や9月の更新ラッシュ時期は照会に時間がかかりやすいので、早めに動いた人ほどスムーズに終わります。
■書類不備でよくあるパターン
ここでつまずく人が多いので、書類で起きがちな不備を3つ挙げておきます。先に知っておくだけで、二度手間を防げます。
1. 戸籍謄本の発行から3ヶ月以上たっているケース。多くの保険会社は発行3ヶ月以内のものを求めるため、古いものは取り直しになります。
2. 住民票に同居家族全員が載っていないパターン。「世帯主のみ」で取ってしまうと同居の証明にならないことがあるので、発行時に「世帯全員」を指定してください。
3. マイナンバー入りの書類を出してしまうケース。保険手続きにマイナンバーは不要なので、発行時に「記載なし」を選んでおくとプライバシーの保護にもつながります。記載ありのまま提出しても手続きは進みますが、書類の扱いには気をつけたいところです。
ケース別手続きの流れ(他社乗換/結婚改姓/親子間/中断証明書)
ここでは代表的な4つのケースについて、実際の手続きを順を追って解説します。
■ケース1:他社への乗換
いちばん多いのがこのケースです。契約者も車も同じ(または車両入替)で、保険会社だけを変えるパターンですね。
手順は次のとおりです。
1. 現在の保険証券を手元に用意する
2. 乗り換えたい保険会社に申し込む(複数社をまとめて比べると効率的)
3. 申込時に「他社からの等級引き継ぎ」を選ぶ
4. 新保険会社が旧保険会社へ等級を照会する
5. 新契約の保険開始日を、旧契約の満期日に合わせる(遅くとも満期日・解約日の翌日から7日以内に開始する)
カギになるのはタイミングです。旧契約の満期日に新契約の保険開始日をぴったり合わせるのが、いちばん安全な進め方。旧契約の満期日・解約日の翌日から数えて8日以上空くと、新規6等級扱いになるリスクが出てきます。
もうひとつ気をつけたいのが、空白期間です。7日以内なら等級を引き継げる場合でも、旧契約と新契約のあいだに空白期間があると、その間は補償を受けられません。等級を守るだけでなく、無保険の期間をつくらないためにも、旧契約の満期日と新契約の開始日は同じ日にそろえるのが安全です。
なお、引継がれるのは等級だけではありません。事故で等級が下がっている場合や、事故有係数適用期間(事故後に割引が小さくなる期間)が残っている場合は、その条件もそのまま新契約に引継がれます。乗り換えの際は、等級とあわせて事故有係数適用期間も確認しておきましょう。
■ケース2:結婚・改姓に伴う名義変更
結婚で姓が変わったら、保険契約の名義変更が必要になります。
1. いま加入している保険会社に名義変更を申し込む
2. 戸籍謄本(旧姓と新姓が同一人物だとわかるもの)を提出する
3. 新姓で契約を継続する(等級はそのまま維持されます)
名義変更そのものは等級引き継ぎとは別の手続きですが、放置しておくと更新時に旧姓と新姓の不一致でつまずくことがあります。姓が変わったら、早めに済ませておくと後々スムーズです。
■ケース3:家族(親子・夫婦)への引き継ぎ
家族のあいだで等級を譲るケースです。子どもが独立する前に、親の高い等級を譲っておく──といった使い方がよくあります。
1. 同居の親族へ譲る場合は、同居を証明できる書類(住民票など)を用意する(配偶者へ譲る場合は別居でも可で、同居の証明は不要)
2. 親族関係を戸籍謄本で証明する(必要に応じて)
3. 保険会社に記名被保険者(おもに運転する人)の変更を申し込む
4. 新しい記名被保険者のもとで等級を引き継いで継続する
ポイントは、配偶者なら別居でも引き継げる一方、子・親・兄弟など配偶者以外の親族は同居が条件になることです。子が就職や結婚で家を出る予定があるなら、別居になる前に手続きを終えておきましょう。
そして、もうひとつ注意があります。引き継ぎが完了した時点で、譲った側は等級を失います。
もし譲った親があらためて別の車で保険に入る場合、その契約は新規6等級スタートになります(条件を満たせばセカンドカー割引で7等級から始められることもあります)。
家族の中で「誰がどの等級を持つのが得か」を、先に話し合っておくと後悔がありません。
■ケース4:中断証明書を使った復活
海外赴任・廃車・長期休止などで保険を解約するとき、中断証明書を取得しておけば、最大10年間は等級を保持できます。ただし、誰でも・いつでも発行できるわけではない点には注意が必要です。
まず、発行には次のふたつの条件があります。
・中断後の等級が原則7等級以上になること(ただし、無事故で満期を迎える6等級契約などは、保険会社の条件によって扱いが異なる場合があります)
・廃車・譲渡・一時抹消・車検切れ・盗難・災害による滅失、または海外渡航といった「中断事由」に該当すること
つまり「念のため取っておく」にも、車を手放すなどの具体的な事由が必要になります。逆にいえば、車を廃車・譲渡するタイミングは中断証明書を取る絶好の機会なので、見送らないようにしたいところです。
取得の手順(解約時)は次のとおりです。
1. 解約する保険会社に中断証明書の発行を依頼する
2. 廃車証明書(廃車の場合)や出国を証明する書類など、事由に応じた書類を提出する
3. 中断証明書を受け取り、なくさないよう保管する
使うとき(新契約時)の手順はこちらです。
1. 中断証明書を新しい保険会社に提示する
2. 中断時の等級を新契約に引継ぐ
3. 有効期限(10年)内であれば等級が復活する
発行手数料は基本的に無料です。後で使わなくなっても損はないので、対象になるなら取得しておくのがいいでしょう。
ただし、中断証明書は「誰にでも渡せる万能ツール」ではない点に注意してください。
再開時にその等級を使える記名被保険者は、①中断証明書の本人、②その配偶者、③本人または配偶者と同居の親族 に限られます。
配偶者なら別居でも使えますが、すでに別居している子へ渡すことはできません。また、新契約は「車を新たに取得した日の翌日から1年以内(海外中断なら帰国日から1年以内)」に始める必要があるなど、再開時にも条件が付きます。
再加入を考え始めたら、早めに保険会社へ確認しておくと、再開時に慌てずに済みます。
ありがちな失敗ケースと回避策
等級引き継ぎの失敗は、そのほとんどが「契約前のちょっとした確認不足」から起きています。よくある5つのパターンを、回避策とセットで見ていきましょう。
■例:満期から10日経過して新契約、等級リセットされたケース
旧保険の満期日から手続きが後ろ倒しになり、新契約の開始が満期の10日後になってしまった。本来15等級だったのに新規6等級扱いとなり、年間の保険料が数万円も上がってしまった──というケースです。
回避策はシンプルで、満期日の1ヶ月前から準備を始めること。候補を絞り、満期日に合わせて新契約を始めれば、等級を引き継ぎやすくなります。
■例:別居の親から子に引継ごうとして失敗したケース
独立して別々に暮らす子に、親の20等級を譲ろうとした。ところが「別居家族間の引き継ぎは不可」とわかり、断念。結局、子は新規6等級スタートとなり、初年度から高い保険料を払うことになりました。
回避策は、引き継ぎたいなら「同居しているうち」に記名被保険者を変更しておくこと。子が独立する前がチャンスです。
すでに別居してしまっている場合、別居の子は中断証明書を使っても引き継げません(中断証明書で名義を引き継げるのは本人・配偶者・同居の親族に限られるため)。残念ですが、その場合は新規契約として、保険料が安い会社を選ぶのが現実的です。
なお、相手が別居の配偶者であれば、別居のままでも引き継ぎは可能です。
■例:中断証明書を取らずに海外赴任、帰国後に等級が消滅していたケース
5年の海外赴任にあたって車を廃車。中断証明書を取らないまま帰国し、いざ保険に入ろうとしたら、15等級だったはずの等級が消えていて、新規6等級スタートに戻っていた──というケースです。
回避策は、解約・廃車のタイミングで中断証明書の発行条件を確認し、対象になる場合は取得しておくことです。発行は無料で、必要なくなれば処分するだけです。
「もう車には乗らないかもしれない」と思っても、対象になる場合は取得しておくと、将来の選択肢を残せます。
■例:結婚後の名義変更を後回しにしてトラブルになったケース
結婚で姓が変わったのに、保険の名義変更を先延ばしにしていた。1年後の更新時に旧姓と新姓で書類が一致せず、手続きに余計な時間がかかった。後から、事故時の補償にも影響しかねなかったと知り、ヒヤッとしたそうです。
回避策は、結婚や改姓があったらすぐに保険会社へ連絡し、名義変更を進めること。戸籍謄本など、保険会社が指定する書類を提出すれば手続きできます。
■例:他社乗換で「引き継ぎ」を選択し忘れて等級リセットされたケース
ネットで新規申込をする際、「他社からの引き継ぎ」のチェックボックスを見落とし、申込が新規契約として処理されてしまった。本来の等級で契約し直すのに、余計な手間がかかってしまった──というケースです。
回避策は、申込画面で「等級引き継ぎ」の選択を必ず確認すること。万一、申込後に誤りに気づいたら、すぐに保険会社へ連絡しましょう。契約状況によっては訂正できる場合もありますが、対応が遅れると本来の等級で契約できないおそれがあります。
比較サイトでも、引き継ぎを前提に見積りを取るオプションが用意されているので、最初からそれを選んでおくと取りこぼしを防げます。
等級引き継ぎの可否がわかる「3問診断」
「結局、自分のケースは引き継げるのか」。それを3つの質問で絞り込みます。上から順に答えていってください。
■ステップ1:誰の等級を、誰に引き継ぎますか
・同じ契約者で保険会社を変えるだけ → 引き継ぎ可能(ケース1へ)
・結婚・改姓で名義変更したい → 引き継ぎ可能(ケース2へ)
・配偶者へ譲りたい → 同居・別居を問わず可能(ケース3へ)
・同居の親・子・兄弟など配偶者以外の親族へ譲りたい → ステップ2へ
・別居の親・子・兄弟など(配偶者以外)へ譲りたい → 不可(同居中の手続きが必要だったケース)
・友人・知人へ譲りたい → 不可(親族ではないため)
■ステップ2:親族関係はどれですか
・6親等以内の血族(親・子・孫・兄弟など) → 同居なら可能
・3親等以内の姻族(配偶者の親など) → 同居なら可能
・上記以外の親族(はとこ・配偶者のいとこなど) → 不可
■ステップ3:手続きのタイミングは
・旧契約の満期日・解約日の翌日から7日以内に新契約を開始 → 問題なし
・翌日から8日以上が経過 → 新規扱いになる可能性が高い。要相談
・中断証明書を持っている → 10年以内なら復活可能
■診断結果別の次のアクション
「引き継ぎ可能」と出た人は、必要書類を準備し、複数社の保険料を比べてから新契約に進めば、引き継ぎの確認と保険料の見直しを同時に進められます。
「不可」と出た人は、まず中断証明書を取得できるか(中断後7等級以上になるか、中断事由に該当するか)を確認しましょう。難しい場合は、引き継ぎはあきらめて新規契約とし、そのうえで保険料が安い会社を選ぶのが現実的な落としどころです。
引き継ぎを機に保険を見直す手順+まとめ
等級引き継ぎのタイミングは、自動車保険そのものを見直す絶好のチャンスでもあります。同じ補償内容でも、保険会社によって保険料に差が出ることは珍しくありません。複数社で見積りを取って比べれば、「引き継ぎ」と「見直し」の両方で節約につなげられます。
■引き継ぎ+見直しの4ステップ
1. 現在の保険証券で等級・補償内容を確認する(5分)
2. 比較サイトで車両情報・運転者情報を入力する(5〜10分)
3. 「等級引き継ぎあり」で複数社の見積りを比べる(15分)
4. 保険料と補償内容のバランスが最適な会社を選んで新契約する(30分)
合計で1時間ほど。これだけで、保険料の見直しと引き継ぎの確実化を、まとめて進められます。
■引き継ぎ時に確認したい3つの補償ポイント
せっかく見直すなら、補償の中身もこの機会にチェックしておきましょう。とくに見ておきたいのが次の3点です。
・対人・対物賠償が無制限になっているか。
古い契約のまま放置していると、上限ありのままになっていることがあります。万一の高額賠償に備えて、ここは無制限が基本です。
・人身傷害保険が3,000万円以上になっているか。
重大な事故が起きたとき、自分や同乗者を守るための補償です。少なすぎると、いざというときに足りません。
・弁護士費用特約が付いているか。
年間数千円程度の追加保険料で付けられることが多く、もらい事故などの示談交渉に大きな力を発揮します。金額は保険会社や補償範囲によって異なるので、見積り時に確認しておきましょう。
■まとめ:3条件と中断証明書を覚えれば等級は守れる
自動車保険の等級引き継ぎは、「親族関係・同居・タイミング」の3条件で決まります。配偶者だけは別居でも引き継げる例外がありますが、子・親・兄弟など配偶者以外の親族は同居が条件です。この基本さえ押さえれば、他社乗換も名義変更も家族間引き継ぎも、本来の割引を保ったまま進められます。
そして、3条件を満たせないときに頼れるのが中断証明書です。中断後の等級が原則7等級以上で、廃車・譲渡・海外赴任などの中断事由があれば発行でき、最大10年間は等級を保持できます。解約・廃車のときに取っておけば、将来の再加入で等級をよみがえらせられます。
最後に、やることはふたつだけです。
まず、自分のケースをこの記事の早見表と3問診断で判定し、引き継ぎ条件を満たしているか確かめること。
次に、引き継ぎを機に複数社を比べ、保険料と補償内容を最適化すること。同じ等級でも、保険会社によって保険料に差が出ます。この一手間が、そのまま家計の差になって返ってきます。
よくある質問(FAQ)
■別居の家族にも等級を引き継ぎできますか
配偶者なら別居でも引き継げます。一方、子・親・兄弟など配偶者以外の親族は、記名被保険者またはその配偶者と「同居」していることが条件で、別居していると引き継げません。中断証明書を使う場合も、名義を引き継げる相手は「本人・その配偶者・本人または配偶者と同居の親族」に限られるため、すでに別居している子へは渡せません。配偶者以外に譲りたいなら、別居になる前に手続きを済ませておきましょう。
■中断証明書はいつまで有効ですか
中断日(解約日または満期日)の翌日から10年以内です。海外赴任の場合は、記名被保険者の出国日の翌日から10年以内になります。10年を超えると失効し、等級の復活はできなくなります。引っ越しなどで住所が変わっても、有効期限そのものは変わりません。なお、発行できる期間を解約後13ヶ月以内などに区切っている会社もあるため、解約時に取り忘れないことが大切です。
■等級引き継ぎに費用はかかりますか
引き継ぎの手続き自体に費用はかかりません。戸籍謄本や住民票といった必要書類の発行手数料として、合計1,000円ほどかかる場合があるくらいです。中断証明書の発行も基本的に無料です。
■他社乗換のタイミングはいつがベストですか
旧契約の満期日に合わせて新契約の保険開始日を設定するのが、最も安全です。等級を引き継げるのは、旧契約の満期日・解約日の翌日から7日以内に新契約を開始した場合まで。8日以上空くと新規扱いになってしまうため、満期の1ヶ月前から準備を始めておくと余裕を持って動けます。
■等級ダウンした事故有係数期間中でも引き継ぎできますか
引き継ぎできます。ただし、事故有係数期間もそのまま引継がれるため、新契約でも事故有係数が適用された保険料になります。事故有係数期間は事故の内容によって変わり、たとえば3等級ダウン事故なら3年間が加算されるのが一般的です。
■廃車後すぐに新しい車を買う場合も中断証明書が必要ですか
廃車後すぐに新しい車へ乗り換える場合は、いまの契約で車両入替ができるか、または新しい契約へ等級を引き継げるかを保険会社に確認しましょう。旧契約の満期日・解約日の翌日から7日以内に新契約を始められる場合は、中断証明書を使わなくても通常の等級引き継ぎで対応できることがあります。一方、8日以上空く場合や、しばらく車を持たない期間がある場合は、中断証明書を取得しておくと等級を守れます。
■親の高い等級を子に譲って、親も新車で保険を続けたい
これは同時には成り立ちません。親の等級を子に引き継いだ時点で、親の等級は失われます。親があらためて保険契約を結ぶ場合は、新規6等級スタートになります(条件を満たせばセカンドカー割引で7等級から始められることもあります)。誰がどの等級を持つのが家計全体で得になるかを、家族構成や保険料負担をふまえて決める必要があります。


