クリープ現象とは?
クリープ現象の“クリープ”とは英語で「creep(クリープ)」や「creeping(クリーピング)」という意味で「ゆっくり動く」という意味があります。
オートマチック車でエンジンがアイドリング状態で、ギアがパークキングかニュートラル以外のときにアクセルが踏んでいなくてもブレーキから足を離すと前進やバックする、時速数キロほどのスピードで車両が動く現象のことを言います。
普段、オートマチック車に乗っている方は必ずといっていいほど、このクリープ現象を体験していると思います。
クリープ現象が起こるのはオートマチック車のみ
クリープ現象は、オートマチック車のみに起こる現象で、マニュアル車ではクリープ現象は起こりません。
オートマチック車の場合は、エンジン~トランスミッションの間にトルコンバーターという部品があります。
この部品を介してエンジンから動力がトランスミッションに伝わり、伝わった動力をトランスミッションが変速してタイヤに伝えます。

このトルコンバーターがクリープ現象を起こしている重要な部分になります。
トルコンバーターの原理としては、扇風機を向かい合わせに置いている様子をイメージして下さい。
ONになっている扇風機(エンジン)として考えて、OFFになっている扇風機(ミッション)として、ONになっている扇風機(エンジン)を回すと、OFFになっている扇風機(ミッション)も風を受けて回転します。
この原理を利用したのが、トルコンバーターと呼ばれる装置で実際には密閉された中でオイルを介して伝達します。
オートマチック車では、エンジンが動いている限り、オイルを介して伝達するので、アクセルを踏まなくても、エンジン側はオイルをトルコンバーター内でかき回すだけなのでエンストはしません。
そのためエンジンが回転している限り、トルコンバーターを介して動力がトランスミッションに伝わるので、アクセルを踏めば当然、車は動きますがアイドリング状態でも動力は動力なので車は動きます。
アクセルを踏まないことで、動力の伝達を止めることはできますが、完全に切断することはできないのでクリープ現象が起こります。

一方、マニュアル車の場合は、動力をクラッチで伝えるため、クラッチを離すと動力の伝達を切断することができるので、クリープ現象が起こりません。
■クリープ現象の速度は?
アクセルを踏まずにクリープ現象で車が動いている場合は、おおよそ5km~10kmの速度が出ます。
しかし、エンジンがアイドリング状態で回転数が上がっていると、クリープの速度も上がるため場合によっては20kmほどになることもあります。
ただ、車種によってクリープ現象の速度は異なり国産車と輸入車でも違いがあり、
ドイツ車は特に安全ということを第一に考えて作られているので、人間の意志で車を停める&進めることに重点を置いています。
そのため、最低速度もとても遅く設定しているため、BMWやベンツ、フォルクスワーゲンなどのクリープ現象は5kmほどと言われています。
高年式の日本車の場合は、最低速度が高く設定してあることも多いのでクリープ現象の速度が速い場合があるので注意が必要です。
クリープ現象のメリット・デメリット
クリープ現象が起こることによって考えられるメリット、デメリットを挙げていきます。
■クリープ現象のメリット
まず、クリープ現象のメリットとして一番にあげられるのが「駐車」をするときです。
アクセルを踏まなくても車が動くので速度を出す必要がない駐車時には運転とブレーキに集中することができます。
また、渋滞時など低速走行を行うときにクリープ現象は重宝します。
他にも坂道発進するとき、車が後退するのを防いでくれるというメリットもあります。

■クリープ現象のデメリット
反対にデメリットとしては、運転手が意識しないうちにクリープ現象で車が動き出してしまう場合があるので、追突事故などを引き起こす可能性があるということでしょう。
とくに、エンジン始動直後やエアコン作動時など、アイドリングが高い状態では、通常のクリープ現象よりもスピードが出てしまいます。
また、シフトをドライブやニュートラルに入れているのにパーキングに入れたと勘違いし、ブレーキから足を離してしまうクリープ現象によって車が動きだし近くにある車や歩行者などに追突してしまう危険性があるので、駐車時は必ずシフトがパーキングに入っていることを確認してブレーキから足を離すようにしましょう。
まとめ

近年ではマニュアル車よりもオートマチック車の方が市場に出回ってる台数も多く、運転が簡単なため、AT限定の免許証を取得している方の割合が多くなっています。
オートマチック車のメリットともいえるクリープ現象は、マニュアル車のようにエンストを起こすことなくスムーズ発進やギアチェンジが出来るので女性や車に慣れていない方にでも安全に車に乗ることができます。
車種によっては10kmほど速いスピードでクリープ現象が起こることがあるので、車の癖を把握して、クリープ現象の扱いに注意しながら安全運転を心がけましょう。