自転車も「車」の一種!交通ルールはしっかり守ろう
自転車の種別は、道路交通法において「軽車両」に位置付けられています。ですので、自転車は「車」として道路を通行する上でのルールを遵守すると同時に、交通マナーを理解し、行動に繋げていかなければなりません。
警察庁の統計によると、自転車に関連する事故は、第1当事者もしくは第2当事者となった交通事故で9万407件です(平成29年度)。この数値は減少傾向にあるのですが、全交通事故に占める割合で見ると、約20%前後と横ばいが続いている状態です。
自転車を運転する人がルールを守るだけではなく、車のドライバーや歩行者も自転車のルールを理解して、道路の安全を守っていきましょう。
■違反を繰返した場合「自転車運転者講習」の受講が必須に
自転車利用者の運転マナーを向上する目的で、平成27年6月1日からは自転車運転における一定の違反行為(危険行為)を繰り返す運転車に対しては、「自転車運転車講習」の受講が義務付けられています。
危険行為とは、一時不停止、酒酔い運転、整備不良の自転車運転など14項目にわたっています。
1. 信号無視【道路交通法7条】
2. 通行禁止違反【道交法8条1項】
3.歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反)【道交法第9条】
4.通行区分違反【道交法第17条第1項、第4項または6項】
5.路側帯通行時の歩行者の通行妨害【道交法第17条の2第2項】
6.遮断踏切立ち入り【道交法第33条第2項】
7.交差点安全進行義務違反等【道交法第36条】
8.交差点優先車妨害等【道交法第37条】
9.環状交差点安全進行義務違反等【道交法第37条の2】
10.指定場所一時不停止等【道交法第43条】
11.歩道通行時の通行方法違反【道交法第63条の4第2項】
12.制動装置不良自転車運転【道交法63条の9第1項】
13.酒酔い運転【第65条第1項】
14.安全運転義務違反【第70条】
これらの違反行為を3年以内に2回以上検挙された場合には、自転車運転者講習の受講が都道府県公安委員会より命じられます。命令を無視し、自転車運転者講習を受けなかった場合は、5万円以下の罰金が科されます。
【知らなかったでは済まされない】自転車の交通ルール5大安全則
自転車の交通ルールには知っているものから意外と忘れがちなものまで様々あります。今回は特に覚えておきたい交通ルールの5大原則を記載します。
このルールを破ると、罰金又は科料が課されます。
「罰金」とは、対象となる人物から強制力を持って金銭を徴収することで、その額が「原則として1万円以上」と決められています。それに対して「科料」も同じく強制的に金銭を徴収するものですが、その金額が「1000円以上1万円以下」であることが「罰金」との差になります。
「知らなかった」では済まされない罪になりますので、しっかりと押さえておきましょう。
■自転車は歩道を走らない!車道を走る!
自転車は歩道を走らずに、車道を走ることが原則です。
道路交通法上、自転車は「車両」と位置付けられていますので、歩道と車道の区別がある道では車道を通行するのが原則です。
もしこれに違反した場合は、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されることがありますので注意が必要です。
ただし、例外として、以下のような場合であれば、自転車が歩道を通行出来ます。
・道路標識や道路標示で指定されている場合
・自転車の運転者が13歳未満の子供、もしくは70歳以上の高齢者、身体の不自由な方の場合
・車道や交通の状況からみてもやむを得ないと判断出来る場合
「やむを得ない場合」とは下記の通りです。
・道路工事や連続駐車などにより、車道の左側部分を通行することが困難な場合
・自動車などの交通量が著しく多く、車道の幅の狭さ故に接触事故の危険がある場合
■歩道を走る際は歩行者優先で車道寄りを徐行
自転車が歩道を走る際に忘れてはいけないことは、歩道は歩行者が優先であるということです。
自転車が歩道を通行する際には、車道寄りの部分を徐行で走行しなければいけません。
さらに、歩行者の通行を妨げる可能性がある場合には、一時停止しなければなりませんので覚えておきましょう。
歩道を走っている際に、自転車のベルを鳴らして歩行者に道を空けて貰ったり、スピードを落とすことなく歩道で歩行者を追い越したりすることはルール違反になります。
さらに、そのような危険運転は歩行者にけがをさせてしまう危険もありますので、歩行者に配慮した安全運転を心がける必要があります。
また、このルールに違反した場合には、2万円以下の罰金又は科料が課せられることがあります。
※保護者の方へ
13歳未満のお子さんであれば歩道を自転車で通行することが可能ですが、13歳未満の子供が乗車する自転車でも歩道ではあくまでも歩行者優先です。安全運転を徹底しましょう。
■車道は左側通行
自転車は走行の際、車道の左側に寄って通行しなければならず、右側通行は禁止されています。
さらに、自転車が通行することが可能な路側帯は、道路の左側部分に設けられたものに限定されています。
右側通行をしていると、ルール通り左側通行をしている自転車や、バイクなどと衝突の可能性もありますし、自転車やバイクとすれ違う際に車道に飛び出して、正面から来る自動車と接触してしまう危険もあるので、絶対にやめてください。
このルールに違反した場合には、3か月以下の懲役、または5万円以下の罰金が課せられることがあります。
■安全ルールを守る
自転車運転上の安全ルールは多々ありますが、どれも当たり前なものばかりです。
知ってはいるものの、ついやってしまいがちなルール違反をいくつか列挙していきます。
飲酒運転禁止
自転車も車両に入りますので、もちろん飲酒運転は禁止です。酒気帯び状態で自転車を運転してはいけませんし、酒気帯びの状態の人に自転車を提供したり、飲酒運転を行うおそれがある人に酒類を提供したりしてはいけません。このルールに違反した際には、5年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金などが課せられることがあります。
夜間帯のライト点灯
夜間に自転車を運転する際には、前照灯と尾灯(反射器材も可)を必ずつけなくてはいけません。ライトをつける事は、前方を照らすという目的でだけではなく、前方や後方から来るほかの車やバイクなどに自分の存在を知らせるものにもなります。もし、このルールに違反した際には、5万円以下の罰金が科されることがあります。
交差点における一時停止と安全確認の徹底
自動車の運転時同様、「止まれ」の標識がある場所では必ず、一時停止をしましょう。見通しの悪い交差点に差し掛かった際には必ず徐行して、左右の安全を確認してから通行するようにしましょう。このルールに違反した際には、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金等が科されることがあります。
並進禁止
基本的には自転車は並んで走ってはいけません。道路を自転車が並んで走っていると、道路に広がるため、他の通行の妨げにもなりますし、車との接触事故を招きかねないので危険です。「並進可」の標識があるところ以外では、並進は禁止になります。このルールに違反した際には、2万円以下の罰金または科料が科されることがあります。
二人乗り禁止
自転車の二人乗りは、6歳未満の子どもを幼児用座席に乗せるなどの場合を除き、原則禁止となっています。このルールに違反した際には、5万円以下の罰金等が科されることがあります。
■子供はヘルメットを着用
お子さんを自転車に乗せる際には、子供用のヘルメットを装着するようにしてください。
統計によると、自転車同乗中の幼児の怪我の約4割が頭部損傷の怪我を負っています。
ヘルメットは事故の衝撃を吸収し、子どもの頭部を怪我から守る役割を果たしています。
13歳未満の子どもが自転車を運転する際や、幼児を幼児用座席に乗せて自転車を運転するときは、安全のためにも乗車用ヘルメットを子どもに着用させるようにしてください。
■他にも守らなくてはいけないルールは多数!
この他にも自転車を運転してる人が守るべきルールはたくさんあります。ここでは、その一例を掲載しています。
信号機のない横断歩道におけるルール
自転車が横断歩道に近づいた際には、明らかに横断歩道を横断しようとしている歩行者(自転車含む)が居ない場合を除いて、横断歩道直前、または停止線で停止出来るような速度で走らなくてはいけません。
そして、横断歩道を横断している、または横断しようとしている歩行者がいる場合には、横断歩道の前で一時停止をして、その進行を妨げてはいけないというルールがあります。
このルールに違反した際には、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金もしくは、過失の場合であれば、10万円以下の罰金が科さられることがあります。
側方通過前の一時停止
自転車は、横断歩道やその手前で停止している車両がいる場合に、その停止している車両の側方を通過して前方に出る前には、必ず安全のために一時停止しなければいけません。これは、信号が青で問題なく走行できる場面を除いています。
横断歩道等の手前での追抜き禁止
自転車乗車時に、横断歩道等またはその手前の側端から30メートル以内では、前方を進行している他の車両等(軽車両を除く)の側方を通過してその前方に出てはいけません。
上記のように細かなルールもありますので、しっかりルールを守って安全運転を心がけましょう。
自転車が守らなくてはいけない標識は?
自転車を運転する人が最低限守らなくてはいけない標識がいくつかあります。もちろん今回ご紹介出来ない標識も全て重要ですが、最低限押さえておくべきものをピックアップしてみます。
歩行者専用道路
この標識は、道路交通法上「歩行者の通行の安全と円滑を図るため車両の通行を禁止する」(交通法第9条)という意味を持っています。
ですので、この標識が掲げられている道路では、歩行者しか通行することが出来ません。自転車も自動車(軽車両)扱いになるので、この標識の道路を通る際には、自転車を押して通行しましょう。
一方通行
この標識の出ている道では、車両矢印の方向のみ通行が可能です。もちろん自転車も軽車両扱いになるため、進行方向を守らなくてはなりません。
車両進入禁止
この標識は、車両の進入を禁止すためのもので、それ以上進入する事は出来ません。この標識は「一方通行」の出口などに設けられていることが多い標識になります。
自転車通行止め
この標識は、自転車通行が出来ない道路を示していて、大型トラックなどの、大車両が通る道路で見かけることがあります。この標識が掲げられている道路は自転車の走行が危険な場合が多いので、指示に従ってください。
ながらスマホや傘差し運転、イヤホン装着もNG
携帯電話、スマートフォン使用の交通事故はこの5年間で以前の1.5倍にまでなっています。
スマホ操作をしながらの運転は、片手運転となり自転車の安定を欠く行為ですし、スマホの使用により視野が狭くなるため事故に遭ったり、歩行者にぶつかりケガをさせたりする恐れがあります。
また、傘差し運転は、 道路交通法の71条でに規定されている違反事項になっています。
これは、バランスを崩しやすくする原因となるだけでなく、傘をさすことによって前方の視界が遮られてしまい、前方不確認となるおそれがあるためです。
さらに、イヤホンやヘッドホンで音楽などを聴きながらの運転も違反事項になります。イヤホンで音楽を聴きながらの運転は、注意散漫になるだけなく、後ろから近づいてくる他の車の音が聞こえなくなってしまうなど、事故に遭う危険性が非常に高まります。
過去には、イヤホン装着の自転車が実際に人をはねてはいないものの、ひき逃げの罪に問われた事例等もありますし、危険な行為である事は間違いありません。
事故に遭った場合、事故を起こしてしまった場合は?
もしも事故に遭ってしまった際には、以下の手順を取るようにしましょう。
1.警察へ通報、必要であればと救急車への通報
2.目撃者の確保
3.連絡先の交換と所持品の確認
4.破損個所の記録
5.保険会社への連絡
また、事故を起こしてしまった際には以下の手順です。
1.怪我人の救護と安全確保
2.警察へ通報、必要であれば救急車への通報
3.連絡先の交換と所持品の確認
4.搬送先の病院に向かう
5.保険会社への連絡
自転車で事故を起こしてしまい、他人にケガを負わせてしまったり財物を壊す、損害を与えるなどして、加害者となると高額の損害賠償を請求されることもありえます。
自転車事故のリスクに備えて、自転車保険に加入しておくことはとても大切です。
まとめ
自転車の交通事故のリスクは常に存在します。
事実、平成29年度における自転車関連事故の約84%が自動車との交通事故という調査結果も出ています。自分は大丈夫と思わずに、日々注意出来る事を実践し、安全な走行をしていきましょう。
そして、もしもの際にも冷静に対処出来るようにしておくことが重要です。