横断歩道での一時停止。実態調査の結果は・・・
2016年6月にJAFが実施された「あなたのお住まいの都道府県の交通マナーについて、どう思いますか?」というアンケート。
設問は10問用意されており、そのうちの1つに「信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしているのに一時停止しない車が多い。」という質問がありました。

その問いに対し、全国平均では86.2%もの方々が、とても思う・やや思うという回答結果となり、物議をかもしていました。その結果を受け、同年2016年の8月15日から9月1日の期間にかけ、JAFは全国の「信号機のない横断歩道」における歩行者優先についての実態調査を行っています。
※同実態調査は2017年8月、2018年8月にも行われています。
■「あなたのお住まいの都道府県の交通マナー」についての記事
「信号機のない横断歩道」における実態調査は、全国合計94ヶ所(各都道府県2ヶ所ずつ)の信号のない交差点を通過する車両、10,026台を対象とし、下記の調査方法にて実施されました。
調査期間
2024年8月7日~8月28日のうち、月曜日から金曜日の平日のみ
調査時間
上記期間のうち10時~16時の間
調査場所
各都道府県2箇所ずつ(全国合計94箇所)の信号機が設置されていない横断歩道
※センターラインのある片側1車線道路で、原則として、調査場所の前後5m以内に十字路および丁字路交差点がない箇所で、道路幅員が片側2.75m~3.5m、交通量が3~8台/分(目安)とし、制限速度が時速40~60km程度の箇所
※詳細の調査場所は非公表
調査対象
上記の横断歩道を通過する車両
※横断歩行者側の車線を走行する自家用自動車、自家用トラック(白ナンバー)
調査方法
横断歩行者はJAF職員(横断歩道の立ち位置や横断しようとするタイミングを統一)
調査回数は1箇所50回の横断(合計100回の横断)
調査台数
全国合計 6,647台
天候条件
小雨を含む雨天時以外に実施
【信号のない横断歩道】3年連続で9割以上がルールをらない…

実態調査の結果が上記の画像になりますが、なんとも言えない驚きの事実が。全国平均で、歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車はわずか7.6%の757台という結果。逆に言えば「93.4%」もの車両・ドライバーが「信号のない横断歩道にて、歩行者や自転車が居ても譲らない。」という悲しい結果になっています。
また2018年8月にも、全国合計94箇所の信号のない横断歩道を通過しようとする車両を対象に調査を行ったところ、一時停止した車はわずか8.6%という結果になり、2016年の調査から3年連続で90%以上のドライバーが一時停止をしないという結果となっています。

もちろん、1都道府県につき2ヶ所で全国94ヶ所での観測ため、この数値が全てという分けではありませんがやはりこの「信号のない横断歩道」についての交通ルールが浸透していない・遵守されてないという由々しき問題がさらに浮き彫りとなる結果になりました。
横断歩道の一時停止。罰則内容は?自転車も違反対象?
信号機のない横断歩道において、改正道路交通法では下記のように定められています。
【車両等は横断歩道(自転車横断帯含む)に接近する場合、横断しようとする歩行者(自転車含む)が居ないことが明らかな場合を除いて、横断歩道直前、又は停止線で停止することができるような速度で進行しなくてはならない。横断している、若しくは横断しようとしている歩行者が居る場合は横断歩道直前で「一時停止」し、その進行を妨げてはならない。】
となっています。ちなみに上記に違反した場合の罰則としは
【罰則】3か月以下の懲役または5万円以下の罰金 過失:10万円以下の罰金
【違反点】2点(横断歩行者等妨害等)
となります。再度認識し、充分注意し思いやりをもった運転を宜しくお願いします。
■自転車も対象なので注意!
「信号のない横断歩道での一時”不”停止」は、道路交通法にて禁じられている行為なのでもちろん罰則対象となっています。

が、上記にて記載した道路交通法にも記載のあるように、上記の道交法が適用されるのは【車両等】です。乗用車や、自動車という表現ではありません。
免許の取得時、学科でもよく取立たされますが、道交法においての「車両」は、軽車両も含まれていて、軽車両は「自転車」も含まれます。
法律やルールは「知らなかった」という理由であっても違反した場合、もちろん罰せられてしまいます。また、免許の取得時にも必須で習う事項ですが、免許を取得していない自転車を運転する方も注意が必要です。
■横断歩道に関連する交通ルール(道路交通法)まとめ
免許を取得してから、暫く経ち教習所などで習った道交法も忘れてしまった…。という方も多いかと思います。
そんな方々に今回は「横断歩道」に関連する道路交通法をまとめましたので、参考にしてルールと思いやりを持った運転を心がけてください。※下記は警視庁ホームページより抜粋して記載
横断歩道等に接近する場合の義務(道路交通法第38条第1項前段)
車両等は、横断歩道等に接近する場合は、その横断歩道等の直前(停止線の直前)で停止できるような速度で進行しなければならない。※横断歩道等を通過する際に、その進路の前方を横断しようとする歩行者等がいないことが明らかな場合を除く。

側方通過前の一時停止(道路交通法第38条第2項)
車両等は、横断歩道等や、またはその手前の直前で停止している車両等がある場合、その停止している車両等の側方を通過してその前方に出る前に一時停止しなければならない。※信号のある横断歩道等の場合で、その信号が歩行者や自転車の横断を禁止している場合を除く。
横断歩道等の手前での追抜き禁止(道路交通法第38条第3項)
車両等は、横断歩道等およびその手前の側端から30メートル以内では、前方を進行している他の車両等(軽車両を除く)の側方を通過してその前方に出てはならない。
全て免許の取得時に習った内容のはずですが、今一度ルールを守り思いやりのある運転をしていきましょう。
最も「思いやり」がある都道府県は、長野県?
2016年8月に実施された「信号機のない横断歩道」における実態調査ですが、調査の結果、最も信号のない横断歩道で、一時停止を行っていた都道府県は長野県長野市という結果になったようです。

長野県長野市にて8月に実施された調査結果は、48.3%と全国平均の7.6%を非常に大きく上回っており、2ヶ所での調査では少ないという理由から長野市の市内6ヶ所にて、追加調査が行われました。
追加調査の6ヶ所と前回調査時の2ヶ所での合計8ヶ所での平均は41.0%とやや下がる結果となりました。
2018年8月の調査時もやはり同様で58.6%の一時停止率を誇ります。
40%を超えるドライバーが一時停止をしている、というのは良い表現ですが裏を返せば一番良い地域でも6割のドライバーが一時停止をしないという結果のため、手放しに喜べる状況ではないといえます。
■過去調査時の全順位はこちら
2016年6月に実施されている、「あなたのお住まいの都道府県の運転マナー」についてのアンケートでは、10の問いが用意されており、そのうちの質問の1つが「信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしているのに一時停止しない車が多い。」という質問となっていました。この調査結果が発端で、同年8月~9月の実態調査、2017年6月のアンケートへと発展しています。

こちらの画像の順位は、上記の横断歩道で、一時停止をしない車が多いと思うか?という質問に対し、とても思う・やや思うの合計値が高い順に、順位付けしたものとなります。ワースト3は香川県、愛知県、埼玉県という結果になっています。

香川県は不名誉な結果…。運転マナーが悪い都道府県ランキングはこちら
http://matome.response.jp/articles/1032016年の6月15日から30日の16日間、JAFのホームページ内で実施されたアンケート結果です。お住まいの都道府県の運転マナーランキングは・・・!?

こちらの過去のアンケートを見ていると、1位の香川県の「あまり思わない・まったく思わない」の合計が、8月の実質調査時の全国平均値とほぼ同様といえる結果となっています。

また、一番一時停止を行っていたとされる長野県は、6月のアンケートでは8位という結果。運転マナーに対する意識がやはり高いといえるのではないでしょうか。
【アンケート結果】一時停止しない理由は?再調査結果
「信号機のない横断歩道」での一停止。2017年8月15日(火)~9月14日(木)までの期間に渡り2回目となる実態調査が実施されました。
今回の調査も前回と同様、各都道府県2ヶ所ずつ、合計で94ヶ所の信号機ない横断歩道を通過する車両を対象に実施。(調査台数10,251台)
信号の無い横断歩道で、全く一時停止をしなかった箇所が前回の8ヶ所から2ヶ所に減少したようです。
が、一時停止する割合は、2016年調査時の7.6%から約1%上昇し8.5%という結果に。依然90%を超える割合となっています。
やはり長野県は「思いやり」がある…?
ちなみに、「思いやりのある都道府県」として前述した長野県(前回調査時の一時停止率:48.3%)ですが、今回の調査でも64.2%と非常に高い思いやりを見せています。
■ドライバーが一時停止しない理由・・・。アンケート結果
2017年6月9日~23日にかけて行われた「信号機のない横断歩道に関するアンケート調査」にて、なぜ一時停止をしないのか?という理由も集計されました。
アンケート調査の結果、一時停止しない(できないを含む)理由として、最も声が多く挙がった理由が、「自車が停止しても対向車が停止せず危ないから」となっていて、44.9%もの回答に。
※有効回答者数:4,965名
一時停止しない・できない理由の回答として選択可能だったのは下記13項目。
※( )内は回答割合
1.「自車が停止しても対向車が停止せず危ないから」 (44.9%)
2.「後続から車がきておらず、自車が通り過ぎれば歩行者は渡れると思うから」 (41.1%)
3.「横断歩道に歩行者が居ても渡るかどうかわからないから」 (38.4%)
4.「一時停止した際に後続車から追突されそうになるから(された含む)」 (33.5%)
5.「横断歩道に歩行者が居ても譲られることがあるから」 (19.9%)
6.「自車が停止した際に後続車から煽られる(クラクション鳴らされる等)」 (12.6%)
7.「自車が停止すると後続で渋滞が起きてしまう等、後続車等に申し訳ない気持ちがある」 (12.0%)
8.「一時停止が面倒だから」 (8.9%)
9.「先に横断歩道があることがわかりにくいから」 (7.6%)
10.「何も考えていない」 (5.2%)
11.「そもそもこのような場面で歩行者優先だったことを知らなかった」 (4.2%)
12.「警察が取締りしていないから」 (3.7%)
13.「その他」 (6.4%)

また、もう1つ取り上げたいのは、下記の質問です。
「あなたが歩行者の立場になって、お考えください。信号機のない横断歩道を渡ろうとしたところ、車が来て、どのような不快や危険な思いをしたことがありますか?特に思うものを選択してください(最大2つまで)」
この質問に対しての回答項目が下記となっています。
※( )内は回答割合
1.「通過する車が途切れるまで渡れなかった(一時停止してくれる気配が無かった)」 (67.9%)
2.「いつも車が通り過ぎるまで待つので、不快や危険な思いをしたことが無い」 (21.8%)
3.「車が一時停止せず衝突しそうになった(または衝突したことがある)」 (19.0%)
4.「ドライバーが歩行者と意図的に目を合わせない(こちらを見ない・確認しない)」 (15.3%)
5.「子供が手を上げて渡ろうとしていても無視されていることが多い」 (13.8%)
6.「横断歩道を渡ろうとしたら、クラクションを鳴らされた」 (13.1%)
7.「車が停止するのではなく、逆に急加速してきた」 (9.8%)
8.「その他」 (3.0%)
根本的な意識改善、若しくは手段が必要・・・?
一時停止しない理由として、「面倒だから」「何も考えてない」「警察が取り締まりしてないから」などの回答は論外ですが、気になったのは歩行者の立場での回答の「いつも車が通り過ぎるまで待つので、不快・危険な思いをしたことがない」という回答が21.8%集っていること。
「歩行者優先だとしらなかった」という回答が、4.2%ということは95%の方々は、信号機の無い横断歩道では「歩行者優先」だと知っているということです。
にも関わらず、歩行者の立場であっても21.8%の方々は車の走行を優先させるという回答の結果になっているのです。

免許の取得時には必ず習うことですが、ドライバー(歩行者も含め)の根底に歩行者優先という概念が根付いてないという実情です。
個人個人の根本的な意識改善はもちろんですが、取締り・罰則の強化であったり、信号のない横断歩道手前の「ひし形マーク」の路面表示を変更するなど、何かしらの手段が必要なのかもしれません。
歩行者にもっと「思いやり」を。
思いやりのある交通社会を目指す「Omoiyalty Drive」
JAFでは思いやりのある交通社会を目指し、「Omoiyalty Drive(思いやりティドライブ)」キャンペーンを実施しています。

思いやりティドライブに賛同し、メッセージを入力するとナンバープレート型のThanks card(上記画像)がプレゼントされます。
是非ご参加下さい。

JAF 思いやりティ ドライブ(Omoiyalty Drive) 【優しい運転で、みんなが笑顔に。】
https://omoiyalty.jp/entry/町をゆく全てのクルマが「思いやり」いっぱいだったら、もっと素敵な交通社会が成り立つはず。そんな想いを込めたJAF(一般社団法人・日本自動車連盟)の「思いやりティ ドライブ(Omoiyalty Drive)」プロジェクト。
■【おまけ動画】幽霊も怒る!?危ない運転特集
上記のキャンペーンサイトにて掲載されている動画となります。幽霊もビックリしてしまうような危険な運転がドラレコなどの映像と共に納められています。
JAFの「Omoiyalty Drive」でも言っているように、1人1人が思いやりをもって運転すれば交通事故はもっともっと少なくなるはず。こちらの記事を読んだあなたも是非、思いやりをもった運転を心がけてくださいね。