オイルシールとは?
《写真提供:response》モンキー ステーターコイルASSY用オイルシール
オイルシールとは、機械部品の中にあるオイルが漏れないようにしながらも、機械がスムーズに動くようにするためのものです。
エンジンなどの機械部品には、オイルが使われている部分が多くあります。たとえばイメージしやすいのはエンジンオイルでしょう。エンジンがスムーズに動くためには、金属同士の摩擦を減らしてくれたり、温度を下げてくれたりするオイルが欠かせません。
回転したり交互に連続して動いている部分では、一度油をさすだけでなく、充填したオイルが漏れださないようにしなければいけません。機械部品が回転したり、動いている部分にあるのがオイルシールです。
車の部品としてのオイルシールは、主にオイルが漏れないように防ぐ役目を負っていますが、他にもさまざまな機械において、液体やガスの漏れ防止などにも利用されています。他の役割として、エンジン内に空気やホコリが入らないように防ぐ役割もあります。
オイルシールの構造
《写真提供:response》オイルシールの構造
オイルシールは、金属とゴムが主な材料になっています。リングの中にコイルばねが入っていて、ゴムを押し出す力が加わっています。機械部品の摩擦する部分にオイルが充填されており、その部分にオイルシールを取り付けて、オイルが漏れないように、そして部品がスムーズに動作するようにしてくれます。
回転部に押し付けるばねや、回転部に直接触れるリップ、またオイルシールを本体に固定するはめあい部などに分かれています。
部品とオイルシールが接している部分は、シールリップと呼ばれる部位です。部品と接触しており、内部のコイルスプリングが機械部品に押し当てて、隙間をなくしてくれます。リップ部分の弾力性とコイルの圧力のバランスで、摩擦を減らしながらオイルが外に漏れないようにします。
ダストリップと呼ばれる部分は、リップ先端を密封する役割を持っており、ホコリが中に入ってこないようにする役割もある部分です。
オイルシールの役割
《写真提供:response》NOK(イメージ)
車の部品で使われているオイルシールは、主に回転用のものが多いです。オイルシールは軸と穴を組み合わせるときに使います。オイルシールと機械部品は、部品にわずかな隙間が空いており、ここにオイルが入るのです。
わずかな隙間にオイルが入っていることで、金属とゴムが食いついて動かなくなるのを防ぎます。薄い膜が回転などによって、潤滑するので摩耗を防いでくれるのです。
これらの作用は、オイルシールのばねが部品を押し出す力と、リップのたわみ反力によって構成されています。エンジン内部からのオイルの漏洩防止と、エンジンの潤滑性の確保にオイルシールの役割は欠かせません。
車でオイルシールが使われている部位と修理費
《写真提供:response》キャデラック オイルシール
ここから車のエンジンでオイルシールが使われている部分の例と、交換した場合の費用の目安を見ていきましょう。
■カムシャフトオイルシール
カムシャフトの部分にあるオイルシールからオイル漏れを起こした場合に交換します。
ピストンの上下方向の動きを回転運動に変換しているのがクランクシャフトで、クランクシャフトの動きに合わせてバルブの開閉をしているのがカムシャフトです。エンジンの中でも重要なシャフトの接続部分にあるオイルシールが劣化すると、オイル漏れを起こします。
カムシャフトはタイミングベルトを外す必要があるので、一般的にはタイミングベルトの交換と同時に交換すると工賃の節約になります。10年、もしくは10万kmを目安に交換するとよいでしょう。
部品自体は小さなもので金額も高くないですが、たくさんの部品を外す必要があるので、費用は3万円~となります。タイミングベルトの交換と同時にすることをおすすめします。
■クランクフロントオイルシール
クランクシャフトのオイルシールでも、タイミングベルト側にあるものです。こちらもタイミングベルトを交換するタイミングであるなら、工賃を節約できます。
また部品を外すので、工賃も高くなるのが特徴です。交換費用は、タイミングチェーンを使用しているのか、それともタイミングベルトなのかによっても異なります。工賃の目安は1万円~です。
■クランクリアオイルシール
クランクシャフトのオイルシールですが、これはミッション側のオイルシールです。ミッションを取り外してから交換するものなので、手間もかかりますし、工賃もかかる部品交換になります。
AT車でもMT車でもミッションを下ろしてから作業しますので、工賃も3万円~の高い費用です。さらに同時にミッションのオーバーホールをするなら、追加で費用が必要です。
■オイルポンプのオイルシール
オイルポンプのオイルシールですが、車種によってはタイミングベルトを外さなければアプローチできません。交換する部品は安いのですが、工賃が高くなります。
タイミングベルトを交換したタイミングで、同時に交換するとよい部品です。
オイルシールって絶対に交換が必要なの?
オイルシールが使われている部分と交換費用の目安をご紹介しました。10年10万kmを超えている車体などで、少しだけオイル滲みがある場合には、交換すべきなのか迷っていることもあるでしょう。
たとえば、今回の車検は通しても、次回の車検までに買い替えを検討しているなどのケースです。オイルシールは小さな部品ですが、交換のために取り外さなければならない部品が多くなることもあり、工賃まで含めると負担は小さくありません。
もし近いうちに乗り換えも検討しているなら、添加剤を入れてみるのもよい方法。添加剤には、オイルシールの弾力を回復させる効果があり、オイル漏れを止めることも期待できます。
もちろん、根本的な解決はオイルシールの交換です。しかしとりあえずの処置をしたいのであれば、添加剤を検討してみることもできるでしょう。
まとめ
オイルシールは、オイルがエンジンから漏れるのを防ぎ、スムーズに回転するのを助けてくれる部品です。交換するときには、タイミングベルトを外す必要があるものが多く、部品代は安くても工賃が高くなるケースが多いです。場合によっては添加剤を利用するなどして、オイル漏れ対策をするとよいでしょう。