定番コンパクトのホンダ フィット、最新型はどう?
ホンダ フィット ホーム
ホンダを支える屋台骨のひとつである、定番コンパクトカーの「フィット」。初代は2001年に登場しており、現在では2020年に4代目モデルがデビューして販売されています。
初代から一貫して高いユーティリティ性とキビキビした走行性能を両立していたフィットは、さらに価格のお求めやすさも特徴のひとつ。
もちろん現行モデルの4代目でもその特徴は引き継がれており、2021年もホンダ普通車としてトップクラスの売り上げが続いている人気車です。
そんな4代目、ぱっと見の印象でフィットらしさは残されているものの、何やら先代からは大きく変化した印象もあります。広告などでも「心地よさ」の追求が謳われており、フィットらしさに新たな魅力が加わっている様子です。
この記事で、最新型フィットの魅力をご紹介していきますので、どんな進化を遂げたのかを改めて確認してみてください。
ホンダ フィットの魅力を5個厳選してご紹介!
■広すぎる室内、まるで四次元ポケット?
《画像提供:Response 》ホンダ フィット リュクス インテリア
なんといってもフィットの特徴であり魅力でもあるのが、5ナンバークラスのハッチバック車とは思えないほどのゆとりを持つ室内空間でしょう。
ホンダ車でおなじみの「センタータンクレイアウト」などによる空間効率の高さは、4代目でも健在。
前席は新たに疲れにくさを追求した構造とし、肩口を細めに造形することで後席乗員の見晴らしを向上させています。
その後席は、座面だけをはねあげて高さのある荷室としたり、ワンアクションで格納してフラットな荷室を拡張したりと、状況に応じた使い分けができる点もフィットの魅力です。
■優れた燃費性能
ガソリン車とハイブリッド車「e:HEV」の2シリーズで展開される4代目フィットですが、そのどちらもで優れた低燃費性能を実現している点も、フィットらしい効率の高さを感じさせる部分です。
特に注目なのは1.5リッターエンジンと2つのモーターからなる先進のハイブリッドシステム、「e:HEV」です。こちらは日常の走行ほとんどをモーター駆動で行うものの、高速域ではモーターよりも効率に優れるガソリンエンジン直結駆動も可能と、シーンに応じて最適な切り替えを行ってくれる賢いハイブリッド。
EVのようなレスポンスとトルク感に優れた運転感覚と、ガソリン車の安心の航続可能距離を兼ね備えた、ホンダご自慢のパワートレインです。
■充実の先進安全装備
《画像提供:Response 》ホンダ フィット リュクス インテリア
もちろん2021年の新車ですので、予防安全機能が全車で標準装備なのはもはや当たり前。フィットはさらに上を行き、コンパクトカーの常識から外れた充実の先進機能が揃っています。
衝突軽減ブレーキや車線維持支援システムなどからなるHonda SENSING(ホンダセンシング)に、4代目では新たにアダプティブクルーズコントロールが渋滞追従機能付きに進化したほか、誤発進時のブレーキ制御まで可能になるなど、さらに完成度を高めています。
また、これまで広い車種に用いられてきたHonda SENSINGはミリ波レーダーとカメラ、それに近距離用の超音波センサーの組み合わせでしたが、今回のフィットからはレーダーを使用せず、広角化した単眼カメラと超音波センサーのみを活用するシステムに変更されています。
広角化したことで性能を上げつつ、高価なミリ波レーダーを用いないことでコストも下がっているそうで、いいことづくめですね。
■愛着のわく内外装デザイン
ホンダ フィット ネス
先代モデルはエッジの効いたシャープなエクステリアデザインが特徴的で、やや子どもっぽいと評されることさえありましたが、4代目ではイメージを刷新。キャラクターラインを減らしたシンプルで親しみやすいデザインとなりました。
フィットらしいワンモーションのつるんとしたフォルムはそのままに、柔らかい表情が印象的ですよね。デザイナーの方は柴犬のような心地よさを目指したとのことで、愛嬌はあっても精悍な印象が、なんとなく柴犬を思わせるかもしれません。
またインテリアも見晴らしのよさや心地よさが重点とされたモダンなデザイン。特に極限まで細められたAピラーによる開けた前方視界の開放感は、フィットならではの魅力です。
■5バリエーションから選べる充実のラインナップ
ホンダ フィット クロスター
おおまかなデザインは共有しつつ、細部の仕上げにこだわることで、それぞれ個性的な仕上がりとなっている5バリエーションが用意されている点も、4代目フィットの新しい魅力です。
特に注目なのが、流行のSUVルックを手に入れたクロスター。フリードに続いての設定となる同グレードは、なんとホイールアーチプロテクターなどの装着で全幅が広がったことにより3ナンバー化するという、こだわりのデザインです。
ベース車の環境性能はそのままなので、ほかのフィットとは一味違う特別なエクステリアを楽しみつつ、エコカー減税などの優遇はしっかりゲットできる点がうれしいポイントですね。
ホンダ フィットのスペック
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 3,995mm×1,695mm×1,515mm | |
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ホイールベース | 2,530mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,070kg | |
燃費 | WLTCモード:20.4km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒ガソリン 1,317cc | |
エンジン最高出力 | 72kW(98PS)/6,000rpm | |
エンジン最大トルク | 118N・m(12.0kgf・m)/5,000rpm | |
駆動方式 | 前輪駆動(FF) | |
トランスミッション | CVT | |
新車価格 | 1,416,000円(消費税抜) |
ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,090mm×1,725mm×1,545mm | |
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ホイールベース | 2,740mm | |
最大乗車定員 | 5名 | |
車両重量 | 1,280kg | |
燃費 | WLTCモード:24.0km/L | |
エンジン種類 | 直列4気筒ガソリンハイブリッド 1,496cc | |
エンジン最高出力 | 72kW(98PS)/5,600-6,400rpm | |
エンジン最大トルク | 127N・m(13.0kgf・m)/4,500-5,000rpm | |
モーター種類 | 交流同機電動機 | |
モーター最高出力 | 80kW(109PS)/3,500-8,000rpm | |
モーター最大トルク | 253N・m(25.8kgf・m)/0-3,000rpm | |
駆動方式 | 四輪駆動(4WD) | |
トランスミッション | 電気式無段変速機 | |
新車価格 | 2,260,000円(消費税抜) |
あなたはどれがお好み?フィットの5バリエーション徹底比較
カラーバリエーションの豊富な車は数あれど、グレード数が5バリエーション、パワートレイン別で10通りもの選択肢があり、さらに2WDと4WDまで選べるという怒涛の選択肢を誇る4代目フィット。
あまりにバリエーションが多すぎて、ちょっと圧倒されてしまいますよね。
しかし、特徴を押さえれば、あなたにぴったりのグレードがすぐに見つかるはず。詳しく見ていきましょう。
■ベーシック
《画像提供:Response 》ホンダ フィット ベーシック
名前の通り、フィットの中でベーシックラインとなるのが「ベーシック」です。加飾の少ないシンプルな仕上がりが特徴で、フィットの魅力を最もお得に体感できるグレードでもあります。
最廉価グレードとはいえ、サイドエアバッグとサイドカーテンエアバッグなどの安全装備、電子制御パーキングブレーキ、Honda SENSINGなどはしっかり備わるので、引け目を感じることなく選べる点がうれしいですね。
「ベーシック」のガソリン車は、フィットで唯一のハロゲンヘッドライト装備車である点は要チェック。機能性はLEDヘッドライトに劣りますが、目つきがより柔らかくなる印象もありますので、ぜひ確認してみてください。
■ホーム
《画像提供:Response 》ホンダ フィット ホーム
ベーシックからワンランクアップしたのが「ホーム」です。外観の違いは少ないものの、インテリアではより上質な装備が増えており、毎日のドライブで特別感を感じられそうです。
具体的には、シート表皮に手触りのよいプライムスムースを用いたコンビシートや、e:HEV車では本革巻のステアリングホイールやセレクトレバーなど、普段触れる機会の多い部分がグレードアップしています。
また助手席シートバックポケットやリアセンターアームレストも加わるので、後席にお迎えするお客様の使い勝手も大きく向上。プレミアムベーシックと呼びたくなるような完成度ですね。
■ネス
ホンダ フィット ネス
「ネス」は、それ単体では意味が伝わりにくい名前ですが、あふれるアクティブ感で健康的な「フィットネス」ライフを提供してくれるという、ダジャレのようなユーモラスさで楽しくなるグレードです。
撥水ファブリックが用いられたシートは、ライムグリーンの差し色が鮮やかな2トーン仕様も選択可能で、乗り込むだけで気分がアガりそう。「ネス」専用装備としてエアコンにプラズマクラスター技術が搭載される点も注目です。
「ネス」を外観で特徴づける、ライムグリーンをルーフラインやドアミラーなどに用いたポップな2トーンカラーはまもなく生産終了となってしまうとのことで、お求めの場合は早めに販売店に確認したほうがよいでしょう。
■クロスター
《画像提供:Response 》ホンダ フィット クロスター
先ほどもご紹介しましたが、SUVルックのアクティブさで他のグレードとは一線を画すのが「クロスター」です。2代目シビックシャトルに設定されていた人気グレード「ビーグル」を思わせるそのアクティブ感は、SUVブームの現代でこそ輝く、最新トレンドのグレードかもしれませんね。
ボディ下部がゴツめの造形にごっそり変化しているだけでなく、細かな部分では他グレードとは扁平率が異なる分厚めのタイヤを履いているなど、かなりこだわりのSUV仕様。もちろん4WDも他グレード同様に用意されます。
メーカーオプションのルーフレールを装着すればもはや雰囲気は満点で、都市にもアウトドアにもぴったりの万能選手となってくれることでしょう。
■リュクス
ホンダ フィット リュクス
細やかな差異化で、シリーズ随一の高級感が醸し出されるトップグレードが「リュクス」です。基本造形はクロスター以外のグレードと同様なものの、専用デザインのアルミホイールやプラチナ調クロームメッキが輝くドアミラーで、さりげなく違いを主張していますね。
インテリアでは、なんとフィット唯一となる運転席&助手席シートヒーターを備えた本革シートが標準装備されるという奢った仕上がり。このシートも含め、インテリアカラーとして華やかなブラウンも選択できます。
フィットは実用車という決めつけを取り払った「小さな高級車」であるリュクスは、e:HEVのスムーズな走行性能もぴったりマッチすることでしょう。
フィットとライバルを比較検討してみた
■【フィット vs ヤリス】対照的なキャラクターがおもしろい!
トヨタ ヤリス
同時期にデビューした新型コンパクトとしてよくフィットと比較されるのが、トヨタのブランニューモデル「ヤリス」でしょう。
ヴィッツの後継となるこちらは、これまで海外向けに用いられていた車名を国内でも使うことでイメージを一新。実用車っぽさが色濃かった先代のヴィッツに比べて、一気にスポーティに進化しています。これは、癒し系であるフィットとは対照的なキャラクター付けですね。
思い切ったイメチェンの結果、キャビンがグッとコンパクトに凝縮されたこともあり、ヤリスの後席のゆとりや荷室の使い勝手はフィットには及びません。
しかしヤリスの強みは熟成が進んだそのハイブリッドシステム。なんと実燃費で40km/Lをマークすることもあるという効率性は、フィットがやや霞んでしまう部分でしょう。
ホンダもトヨタも、幅広い価格帯の車へ先進機能の標準装備化を進めていますが、ヤリスの弱点はクルーズコントロールが全車速追従タイプでないこと。フィットもヤリスもロングドライブも楽々な動力性能を備えるだけに、ヤリスの惜しさが際立ちます。
余談にはなりますが、ヤリスのエクステリアデザインは艶やかな「黒豆」がモチーフになっているそう。フィットともども、自動車デザインとしては異例のイメージがあるからこそ、どちらも新鮮な印象のエクステリアになっているのかもしれませんね。
■【フィット vs ノート】実は似ているパワートレイン
日産 ノート
2020年11月デビューでまだまだ新鮮味の強い新型車が、日産「ノート」です。こちらは先代までのガソリンエンジンモデルをバッサリ切り捨て、新たにe-POWER専用車となったことが話題を呼びました。
そのこともあって、ノートのエントリー価格は大幅に上昇しており、1.3リッターガソリン車もあるフィットのエントリー価格と比べると税抜価格で40万円以上も割高になっている点は要チェックですね。
ノートに搭載されるe-POWERは、ガソリンエンジンを搭載しつつモーター駆動を主にするという点で、フィットのe:HEVにも似ていますが、フィットは高速域でエンジン直結駆動が可能なのに対し、e-POWERは全速度域でモーター駆動のみとしている違いがあります。
カタログ上のWLTCモード燃費ではあまり差がないか、ややノートが優位となっていますが、使用シーンによっては差が出る可能性もあります。じっくり試乗して確かめてみたいところですね。
また、4WDの設定がある点はフィットと同様ながら、ノートの4WDは前後にモーターを備える電動式4WDとなっている点がポイントです。
これまでのものよりも後輪用モーターの出力を向上させ、さらに前後独立で緻密なモーター制御を行うことで、快適性や安心感だけでなくエネルギー回生時の安定感まで実現している同システムは、ノートの大きな強みですね。
【2021年最新】ホンダ フィット 新車・中古車価格まとめ
《画像提供:Response 》ホンダ フィット ホーム インテリア
ホンダ フィットは5バリエーションもの幅広い設定であることはご紹介した通りです。そのため、パワートレイン別と、各バリエーション別で、それぞれ2021年3月現在の税抜新車価格帯をご紹介します。
まずガソリン車は、最も廉価なのがベーシック FF仕様の141.6万円、最も高価なのがリュクス 4WD仕様の198.8万円となっています。e:HEV車では、最も廉価なのがe:HEV ベーシック FF仕様の181.6万円、最も高価なのがe:HEV リュクス 4WD仕様の230.6万円となっています。
ガソリン車とe:HEV車の約40万円ほどの差は、燃料代の差で回収するのは難しそうですが、e:HEV車でしか選べない装備があるほか、走行性能もe:HEV車のほうが余裕がありますので、e:HEVは上級グレード扱いと見ておくとわかりやすいかもしれません。
また各バリエーション別の価格帯では、ベーシックが141.6万円から199.6万円、ホームが156.2万円から206.0万円、ネスが170.7万円から220.5万円、クロスターが176.2万円から226.0万円、リュクスが179.8万円から230.6万円となっています。
価格帯の幅としてみるとやや大きいものの、同じパワートレインと駆動方式のもの同士で比較すれば、5バリエーション間での価格差はあまり大きくない印象ですね。個性に合わせて選びやすくなっています。
ホンダ フィット(3代目) RS
2021年3月現在の中古車市場では、フィットはもちろん大人気の車種。4代あわせて8,000台近い中古車在庫が確認できます。
その中でも現行モデルは税込中古車本体価格平均で196.9万円とまだまだ高めの価格帯。デビューからまだまだ間もないですし、走行距離なども少なめの車両が多くなっているので仕方ないですね。
しかし、3代目なら平均価格は93.7万円、2代目なら31.6万円、初代なら19.9万円まで下がるので、コスパ重視ならばこれらを選ぶ選択肢もあります。
初代モデルから4代目まで室内の使い勝手の良さはお墨付きですので、各世代の外観の好みなどで選んでしまうこともできそう。ただし初代はそろそろ20年選手の車両も出てくる時期ですので、程度の確認はしっかり行いたいところです。
まとめ
《画像提供:Response 》ホンダ フィット ホーム
ホンダ フィットの最新情報とその魅力についてご紹介してきました。
5バリエーションでそれぞれ個性が光るフィットは、これまで以上に様々なユーザーのニーズに細かく対応しようとしている努力がうかがえます。
使い勝手や燃費だけでなく、オーナーの個性にも寄り添う心遣いこそ、「心地よさ」を追求した4代目ならではの魅力かもしれませんね。