リセールバリューが高い車の特長
《画像提供:Response》〈写真提供:日産自動車〉日産 フェアレディZ 新型
中古車は限界が来るまで乗りつぶして終わり、と考えている方も多いかもしれませんが、車は他の一般消費財とは異なり、国内だけでなく国外からも購入したい人が常にたくさんいるため、いつでも売却することが出来ます。
そのため車を買う時には、購入時の価格だけでなく売却時の価格まで考えて、車を選ぶのがよいでしょう。
例えば、300万円で買って5年乗って150万円で売れる車と、500万円で買って5年乗って450万円で売れる車は、どちらが得でしょうか。
購入価格が安くても、売却価格との差が大きければ、たくさんのお金を使う事になります。
購入価格が高くても、売却価格との差が小さければ、一時的にはたくさんのお金を使いますが、売却時にほとんど戻ってくるため結果的にはあまりお金を使わずに乗れた事になります。
長い目でなるべくお金を減らさずに車に乗るには、購入価格と売却価格の差が小さい、リセールバリューの高い車を選ぶ必要があります。
では、リセールバリューの高い車の条件とは一体何でしょうか。
車に限らず、モノの価値は需給バランスで決まります。需要に対して供給が少なければ、取り合いになるので価値は上がって価格が高くなり、多ければ余るので価値は下がって価格が安くなります。
リセールバリューの高い車は、人気(需要)に対して玉数(供給)が少ない車です。
人気がある車とは、その車しか持っていない独自の魅力や特長があり、価格が高かったり新型モデルがあったり年式が古かったりしても、その車を欲しがる人が常に一定数いるような車です。
玉数が少ない車とは、既に生産終了して新たな供給がなく、元々生産台数が少なかったり、海外輸出や事故や廃車で台数が減ったりして、市場にある台数が限られていて今後も減っていくような車です。
特にスポーツカーは実用性よりも趣味性が高いため、新しさや安さではなくデザインやスペックの面でモデル固有の魅力があり、人気に繋がります。また、購入層は一部に限られるため大量生産されず、希少性が保たれます。
多くの車は、新車販売時は人気で需要が多くても、新型モデルや競合車種の登場により年数の経過と共に需要が減って価格が下がっていきます。年式が古くなると、価格の安さ以外であえてそのモデルを選ぶ人が少なくなり、供給が余るので価格は下がる一方で、最終的に売却価格は0円になります。
一方リセールバリューの高いスポーツカーは、新車が販売されている間は年数の経過と共に価格が下がっていきますが、安定した人気があるのである程度の価格で下げ止まり、さらに年数が経過して台数が減ってくると今度は価格が上がっていきます。
人気は一定で、玉数は減っていくので、自然な流れで価値が上がっていくのです。
では、リセールバリューの高いスポーツカーとは具体的にどのような車なのでしょうか。
一例として、需要>供給の条件に当てはまるスポーツカー10台を紹介します。
リセールバリューの高いスポーツカー10選
■日産 シルビア
《画像提供:Response》〈写真提供:日産自動車〉日産シルビア(S13)
初代モデルは1965年まで遡る歴史の長いシルビアですが、歴代の中でもデザインとスペックの両面で若者の心を掴み絶大な人気を得たのが、1988年に登場した5代目(S13)でした。
1993年に6代目(S14)、1999年に7代目(S15)が登場し、2002年に生産終了したシルビアですが、現在は最終モデルであるS15の人気が特に高くなっている印象です。
デビュー時の新車価格は、最下グレードで177万円、最上グレードで260万円でした。
2022年10月現在の中古車は全国で208台、平均価格は291万円となっています。
■ホンダ S2000
《画像提供:Response》ホンダ S2000
1999年から2009年まで生産されたホンダ29年ぶりのFRスポーツカーです。
ボディはオープンのみ、ミッションはMTのみという、徹底的に走りの楽しさを追求した本格スポーツカーでした。
エンジンは2L自然吸気直列4気筒DOHC VTECで250psを発揮し、許容回転数が9000rpmという超高回転型エンジンで、多くの車好きの心を踊らせた名車です。
デビュー時の新車価格は、最下グレードで338万円、最上グレードで356万円でした。2022年10月現在の中古車は全国で306台、平均価格は397万円となっています。
■マツダ RX-7(FD)
《画像提供:Response》マツダ RX-7
マツダのアイデンティティを象徴するピュアロータリースポーツカーです。
1991年から2002年まで生産された3代目RX-7(FD)は、現在は絶滅してしまった伝説のロータリーエンジンをツインターボで武装した孤高のモデルで、ロータリー特有のサウンドとフィーリングで多くの車好きを虜にしました。
12年で5回のマイナーチェンジを受け、軽量化や出力向上など徹底的にリファインを重ねて進化させ、特別仕様車「スピリットR」を最後に生産を終了しました。
デビュー時の新車価格は、最下グレードで324万円、最上グレードで421万円でした。2022年10月現在の中古車は全国で133台、平均価格は487万円となっています。
■日産 フェアレディZ(Z32)
《画像提供:Response》日産 フェアレディZ(Z32)
日産を代表するフラッグシップスポーツカーです。
歴代Zの中でも1989年から2000年まで生産された4代目Z(Z32)は、新型Z(RZ34)のテールランプのモチーフにもなっている通り、今でも人気の高い特別なモデルです。
搭載していた3LのV6ツインターボは国産車で初めて280馬力を達成し、日本の280馬力規制のきっかけになった車でした。
デビュー時の新車価格は、最下グレードで330万円、最上グレードで440万円でした。2022年10月現在の中古車は全国で102台、平均価格は222万円となっています。
■トヨタ スープラ(JZA80)
トヨタを代表するフラッグシップスポーツカーです。
1993年から2002年まで生産された2代目スープラ(A80)は、映画ワイルドスピードで主人公の愛車としても起用され、日本のみならず海外でも絶大な人気があります。
名機「2JZ」として有名な3L直列6気筒ツインターボを搭載し、カタログ値の280psをゆうに超えるポテンシャルを秘め、フェアレディZやスカイラインGT-Rと最速を争いました。
デビュー時の新車価格は、最下グレードで290万円、最上グレードで472万円でした。2022年10月現在の中古車は全国で48台、平均価格は573万円となっています。
■日産 スカイラインGT-R(BNR32)
《画像提供:Response》日産 スカイラインGT-R
日産が生み出した日本を代表する伝説のスポーツカーです。
GT-Rはどのモデルも不変の人気がありますが、中でも日産が技術開発に全力を注いだ901運動の集大成として圧倒的な人気を誇るのが、1989年から1994年まで生産された3代目GT-R(BNR32)です。
2.6L直列6気筒ツインターボ(RB26DETT)を搭載し、圧倒的な速さでレースを総なめにした最強のマシンでした。
デビュー時の新車価格は、445万円でした。2022年10月現在の中古車は全国で79台、平均価格は661万円となっています。
■ホンダ NSX(NA1)
《画像提供:Response》ホンダ NSX
NSXは、日本が世界に誇る国産スーパーカーです。
1990から2005年まで生産された初代NSX(NA1)は、フェラーリやポルシェに対抗できるスーパーカーを生み出そうと、ホンダが最先端技術を結集して開発した渾身の一台でした。
量産車として世界初のオールアルミモノコックの軽量なボディに、3Lの自然吸気V型6気筒DOHC VTECをミッドシップに搭載し、圧倒的なパフォーマンスと操縦性を両立した国宝級モデルです。
デビュー時の新車価格は、MTが800万円、ATが860万円でした。2022年10月現在の中古車は全国で65台、平均価格は1,023万円となっています。
■BMW M3(E46)
《画像提供:Response》BMW M3
BMWがF1で培った技術を注ぎ込んで開発したハイパフォーマンスモデルである「M3」。その中でも伝説的名車として圧倒的人気を誇っているのが、2000年から2006年まで生産された、最後のシルキーシックスを搭載する3代目M3(E46)です。
シルキーシックスとは、絹のように滑らかな回転フィーリングを持ったBMWの直列6気筒エンジンで、その集大成かつ最高峰の3.2Lの自然吸気直6エンジンを搭載したE46は、速さだけでなく唯一無二のフィーリングで多くの車好きを魅了します。
デビュー時の新車価格はMTが800万円、SMGIIと呼ばれるセミATが843万円でした。2022年10月現在の中古車は全国で22台、平均価格は396万円となっています。
■マセラティ グラントゥーリズモ
《画像提供:Response》マセラティ グラントゥーリズモ
2007年から2020年まで生産された、マセラティのフラッグシップクーペ、グラントゥーリズモです。
ピニンファリーナによる美しいデザイン、マセラティらしい上質で妖艶なインテリア、フェラーリ製の自然吸気V型8気筒エンジンによる圧倒的なパフォーマンスと官能的なサウンドが特長の、ラグジュアリーとスポーツを両立したグランドツーリングカーです。
エンジンは4.2Lもしくは4.7L、ミッションは6ATもしくはセミAT(MCシフト)、ボディはクーペもしくはオープン(グランカブリオ)から選べます。
デビュー時の新車価格は、最下グレードで1,530万円、最上グレードで2,125万円でした。2022年10月現在の中古車は全国で113台、平均価格は840万円となっています。
■アストンマーティン DB9
《画像提供:Response》アストンマーティン DB9
2003年から2016年まで生産された、007の愛車として有名なアストンマーティンのフラッグシップモデルです。
歴代DBシリーズの中でもこの上なく流麗で迫力のあるスタイリングを持つDB9は、ハイパフォーマンスと快適性を兼ね備えた、グランドツーリングカーの最高峰。
イギリス本国で職人の手で一台ずつ丁寧に手作りされる、オールアルミ製の軽量ボディや伝統の6L自然吸気V型12気筒エンジン、オーダーメイドのインテリアなど、最高級の素材とクラフトマンシップで生み出された至高の一台です。
デビュー時の新車価格は、タッチトロニック2と呼ばれるパドルシフト付ATモデルが1,848万円でした。2022年10月現在の中古車は全国で15台、平均価格は705万円となっています。
魅力にあふれる車は、購入金額より高く売れることも
《画像提供:Response》〈写真撮影:雪岡直樹〉ホンダ シビックタイプR 新型
昨今は新型コロナウイルスやウクライナ情勢、半導体不足、円安など様々な要因で中古車の需要が高まり、中古車の価格が全体的に上がっています。
しかし今回紹介したような一部のスポーツカーは、市況に関わらずモデル自体の魅力によって、今後も価値が上がり続ける事が予想されます。
リセールバリューの高い車を選べば、購入価格とあまり変わらない金額か、場合によっては購入価格より高い金額で売却できる可能性も十分あります。
このような車の購入と売却を繰り返してうまく乗り替えていくと、あまりお金を減らさずに色々なスポーツカーを乗り継いでいく事ができ、より自由で充実したカーライフを実現できるかもしれません。