ベビージャガーのターゲットは若者と女性
ジャガーの新型コンパクトSUV「E-PACE」が2月22日より発売されました。
この新型のベビージャガーを30~40代の、特に女性をターゲットに定めているようですが、同時期に発表されたフィアット500の特別仕様車「500プーラ」もターゲット層は同じ女性層。はたして日本の女性陣は、どちらを選ぶのでしょうか?
ジャガーと言えばルマン24時間レースを過去7回優勝したスポーツカーメーカー。そして、送り出される車種は、高級スポーツカーの名に恥じない性能と、装備を備えたものばかり。
同じスポーツカーでもフェラーリやランボルギーニのような派手なものではなく、格式のあるスイス製高級時計と同じような存在。入り度は所有してみたい、男性陣のあこがれでもあります。
■「F-PACE」より小さくなった「E-PACE」
F-PACE ファーストエディション
E-PACE
しかし、ジャガーとて量産車メーカーですから台数を売りたい。そのためにはブームのSUV、それも安価で小型でなければならないということで、登場したのが「F-PACE」。これが大ヒットし、さらに小さな「E-PACE」の登場とあいなったわけです。
欧州市場の思惑は置いといて、ジャガーの日本法人、ジャガーランドローバージャパンでは、これをこれまでのジャガーユーザーより若い年代に売り込み、ファン層を広げたいとしています。そしてなおかつ、キーとなるのは女性だとも考えたのです。発表会でも、女性が好みそうな深紅のルージュのような赤いボディが目を引きました。
■これで女性向けなのか?
車幅1,900mmのE-PACE
たしかに、輸入車に限らず、女性に人気のある車種は良く売れます。しかし、ジャガー最小、最安のベビージャガーではありますが、その車幅は1.9m、価格は451万円からといずれもランクル並み。1.9mの車幅は、これまで大きなジャガーにのっていた女性なら気にしないでしょうけど、そもそもそのような女性が今更小さなジャガーに乗り換えるとは思いません。
となれば、これまでジャガーには縁のなかった女性に買ってもらわなければなりません。はたして、この戦略は成功するのでしょうか?
ジャガーE-PACE
車両価格:451万円~
全長/全幅/全高(mm):4,410/1,900/1,650
最小回転半径(m):5.6
フィアット500という選択
500 Pura(プーラ)
時期を同じくして登場したのが、すでに女性を中心に大人気の「フィアット500」に設定された特別仕様車の「500」。そのキュートなデザインとかわいらしい佇まいは、国産車にはない個性が満載で、人気となっています.
加えて、限定車をこれほど次々と投入する車種はないだろうというほど、毎月のように様々な仕様のモデルが発売されています。
■女性の心をわしづかみ限定車「Pura(プーラ)」
ということは、常にニュースとして扱われ、常に女性の興味を引き続けられるのです。今回登場した「500 Pura(プーラ)」もそのひとつで、温かみのある「アイボリー」のボディカラーを基調として、華やかなエクステリアパーツが加わり、さらに、クローム仕上げのエクステリアミラーハウジングや15インチダイヤモンドフィニッシュアルミホイールを装備。
そして、ベース車が上級装備の「Lounge(ラウンジ)」なので、バイキセノンヘッドライトやフルオートエアコン、アラーム式リアパーキングセンサーも標準。電動サンルーフまで付いてきます。
これで価格は2,470,000円ですから、「ジャガーE-PACE」のほぼ半値です。車幅は1,655mmと、5ナンバー車としても小さく、「E-PACE」との差は275mm、つまり左右14㎝近くも小さいのですから、狭い路地も駐車場での切り返しもラクラクなのは言うまでもありません。
フィアット500 Pura
車両価格:247万円
全長/全幅/全高(mm):3,570/1,625/1,515
最小回転半径(m):4.7
■まとめ
春らしいアイボリーの「500プーラ」と、情熱的なレッドの「E-PACE」。1,900mmと1,515mm、451万円と247万円。
正反対にある両車ですが、ターゲットとなるのは同じく女性陣。気になるのが、500がすでにそうであるように、あまりにも女性を気にしすぎると、本来のファンである男性ユーザーが離れてしまう事。
500はもともと、男性ファンが多かった車種であったのに、日本に限れば女性の乗るクルマとして見られています。
500はそれでいいとして、「E-PACE」をギリギリ手の届く、輸入クロスオーバーSUVとして見ていた若い男性立ちが離れてしまっては元も苦もないのですから。