ロードキルとは?
ロードキルとは、車で動物に衝突してしまったり、轢いてしまったりすることで動物を死なせてしまうことをいいます。
山間部などをはじめとする野生動物が飛び出しやすい地域では、標識を設けて注意を促していますが、国土交通省がH14年に調査した結果では年間にして約36,000件にも及ぶロードキルが発生しています。
本記事ではロードキルを起こしてしまった場合の対処方法や、保険の適用についてご紹介すると共に、野生動物ではなく犬・猫をはじめとしたペットをひいてしまった場合などについての情報をまとめて掲載しています。
■法律上の扱いは自損事故
まず、ロードキルを起こした場合、事故の区分はどのようにされるのかについてです
前提として、動物は法律上「モノ」であると判断されているため、ロードキルは物損事故という扱いになります。
そしてもちろんですが、動物は事故に対して責任能力などを持たないため「自損事故」としての扱われ方になります。
■点数加算や反則金、罰金などは無い
動物をひいてしまい、その動物が亡くなってしまうような場合でも基本的に交通違反点数や反則金、罰則等はありません。
しかし、事故後に警察への連絡を怠り「報告義務違反」となると違反の対象となります。
動物をひいてしまい車が損傷。保険は使える?
先ほど、動物をひいて事故が起きてしまった場合は自損事故と区分されることをご紹介しました。
下記では、この場合の保険適用についてご紹介します。
ロードキルを起してしまった動物が小動物であった場合は、自身、車両、同乗者が負う被害は大きくありませんが、対象が鹿などの大型動物であった場合、自身が負う被害も大きくなる可能性があります。
自損事故の場合、自賠責保険は補償対象外となるため、その際の補償は任意保険からの補償となります。適用される保険は損傷を受けた対象により異っていて、下記のようになります。
・車がダメージを受けた場合…車両保険
・ドライバー、同乗者が負傷した場合…人身傷害、搭乗者障害
・他人が負傷した場合…搭乗者傷害または対人賠償
また、任意保険の受取りには後述する警察からの事故証明が必要になります。
■自損事故のため保険プランによっては対象外
車両保険の補償に関して注意していただきたいのが、自損事故であっても補償がおりない保険プランがあることです。
前述の通り、ロードキルは自損事故という扱いのため、車両保険の適用範囲内ではありますが、エコノミープランなど保険のプランによっては適用されない場合があります。
気になる方はご自身が加入している保険の補償内容を確認しておくと良いでしょう。
動物をひいてしまった場合取るべき行動は?
動物をひいてしまった場合は、まずは落ち着いて安全な場所に車を停車し、以下に掲載する対応を行うようにして下さい。
■必ず警察に連絡
野生動物をひいてしまった場合は必ず警察に連絡が必要です。
警察に伝えるべきことは下記の通りです。
・動物に衝突した場所
・車両の損壊の有無及び状況
・ドライバー、同乗者の負傷の有無及び状況
・ガードレールや電柱などの損壊の有無及び状況
交通事故が起きた際、警察に報告をしない場合は道路交通法72条に反した「報告義務違反」となります。
また、自身(車両、同乗者含む)の損害に対しても警察に連絡をし、事故証明をもらわないと任意保険からの補償はされないため、必ず連絡をするようにしてください。
■道路緊急ダイヤル #9910に連絡
そして、警察への連絡後に道路緊急ダイヤルである「#9910」にも連絡をするようにしてください。
野生動物、特に大型動物であるシカなどは道路において後続車の追突など二次被害を引き起こす可能性があります。道路緊急ダイヤルに電話をすることで二次被害を防ぎ、道路を安全に復旧してくれます。
道路緊急ダイヤルは、道路利用者が道路上の異状等を発見した場合緊急通報をし、道路上の異状への対応をとり、安全を確保することを目的とした通話料無料の携帯電話からも連絡可能なダイヤルです。
場所の特定のため、道路名、進行方向、キロポスト、周辺の施設等を確認のうえ連絡をするようして下さい。
■動物が生きている場合は動物病院へ連絡
動物がまだ生きている場合は、近くの動物病院や保護施設に連絡をし、どう対応するべきか指示を仰ぎましょう。搬送が必要な場合、感染症を防ぐためも血液に触れないようビニールなどで手を覆い、段ボールやタオルなどにくるむ等して動物病院、保護施設に運んでください。
動物の治療費に関しては基本ドライバーが負担をすることとなりますが、病院、施設によっては野生動物の治療費は無料としているところもあるので気になる場合は治療費についての確認もすると良いでしょう。
野生動物ではなくペットの場合はどうなるか?
ロードキルでひいてしまった動物が野生動物ではなく、犬や猫をはじめとしたペットだった場合はどのような扱いになるのでしょうか。
■ペット・家畜にたいする慰謝料(損害賠償)
慰謝料は人の場合であっても本人のみが請求権を持っており、引き起こされた障害が死と同程度の苦痛を伴う場合は近親者にも慰謝料の請求権が発生します。
動物(ペット)は、法律上「モノ」と判断されてしまうので、道理的に慰謝料の請求は発生しませんが、飼い主からペットが死亡・傷を追ってしまい飼い主が「精神的被害」を被ったということで慰謝料、損害賠償請求が発生するケースがあります。
ペット・家畜が死亡した場合
上記記載のとおり、ペットが死亡した場合は、飼い主が被った精神的被害などを論拠に慰謝料が請求される場合があります。
慰謝料の金額は、飼い主が受けた精神的苦痛の程度やペットの購入時の価格、年齢等を加味した死亡時の時価、飼い主の過失割合が考慮された上で決定されます。
過去の裁判事例をみると金額は数万円から多くても数十万円となっているようです。
ペットに障害が残った場合
ペットに障害が残った場合は、本来必要のなかった病院の治療費などを論拠に治療費が請求される場合があります。
これも同様に、飼い主が受けた精神的苦痛の程度や購入時の価格、年齢等を加味したペットの時価、飼い主の過失割合、治療費が考慮された上で決定されます。
まとめ
本記事では道路で起きるロードキルについてご紹介しました。ロードキルを起こしてしまった場合は、警察への連絡や道路緊急ダイヤル、動物病院や保護施設等に連絡を必ずしてください。