当て逃げとひき逃げの違いは?
当て逃げとひき逃げは何が違うのでしょうか?交通事故が起きた際に、物に対して交通事故を起こしたにも関わらず事故現場から離れることを「当て逃げ」、人に対して交通事故を起こしたにも関わらず事故現場から離れることを「ひき逃げ」といいます。
事故の対象 | |
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当て逃げ | 物が対象 |
ひき逃げ | 人が対象 |
ちなみに、犬やネコ等のペットを轢いてしまった場合は物損事故に該当します。
■当て逃げ・ひき逃げの論拠となる法律
当て逃げ・ひき逃げの論拠となる法律は、下記にご紹介する道路交通法第72条です。本記事では当て逃げに焦点をあててこの法律に関してご紹介します。
第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
道路交通法72条では、
・損壊した物と損壊の程度
・車両等の積載物
・交通事故が起きてから行った措置
を警察官が付近にいるときには警察官に、警察官が現場にいないときには直ちに最寄りの警察署に知らせる必要があると書いてあります。上記のように警察に報告をすることなく交通事故現場を離れてしまった場合は、当て逃げにあたります。
■交通事故現場を10分離れたら当て逃げにあたる?
上記では物損事故があったにも関わらず、警察への報告義務を怠ると「当て逃げ」にあたることをご紹介しました。では、5分事故現場を離れた、10分事故現場を離れた場合はどのようになるのでしょうか?
物損事故であっても警察への報告義務を怠たったまま事故現場を離れると、事故現場を離れていた時間に関わらず当て逃げにあたります。
【被害者】当て逃げの被害にあったらすぐに取るべき行動とは?
駐車場に戻ったら、自分の車に凹みやキズが付いていたという経験はありませんか?
下記では被害者の方が当て逃げに気がついた際、すぐに取るべき行動をご紹介します。
■警察に連絡し、被害届を出す
当て逃げをされたことに気がついたら、まずはじめに警察に連絡し、被害届けを出しましょう。被害届けを出す理由は2つあります。
1. 加害者が見つかった場合に警察から連絡を受けられる
警察に被害届を提出することで、加害者が警察に出頭、自首した場合に連絡を受けることができます。
加害者が判明した時点で任意保険の「車両保険」を使用していなければ、加害者の「対物賠償保険」で損害を賠償してもらうことができます。
2. 保険金の受取りの際に必要になる
後ほどご紹介する保険金に関してですが、被害届けを出していないと保険金の支払いを受けられない場合があります。
■2. 駐車場の管理者や付近のコンビニに連絡をする
当て逃げが起こった際に重要になるのが、加害者の乗っていた車のナンバー等の情報です。
理由は、車のナンバーから加害者をつきとめることで、後ほどご紹介する保険金の支払いや示談の手続きに入ることが出来るからです。
駐車場やコンビニには防犯カメラが設置されており、加害者の車のナンバーや車の特徴が特定できる可能性があります。また、走行中であった場合はタクシーなど周囲の車にドライブレコーダーが搭載されている場合がありますので警察に連絡をしましょう。
【被害者】当て逃げの被害にあった場合、保険はおりる?
加害者が特定できないかぎり、加害者側の「対物賠償保険」を利用することはできません。
そこで利用できるのが被害者自身が加入している任意保険である「車両保険」です。車両保険であれば、加害者が分からなくても保険の適用範囲になります。
ただし、自身が加入している車両保険を使用した後は、「損害が回復した」と考えられるため加害者が特定されても、加害者が加入している「対物賠償保険」を受け取ることはできません。また、車両保険の利用をすると保険の等級が下がるため注意が必要です。
【ドライバー】当て逃げの罰則・交通違反点数・行政処分
当て逃げをした加害者に対する罰則、交通違反の点数加点と交通違反点数にともなう行政処分についても合わせて紹介します。
■罰則…1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
物損事故を起こしたにも関わらず、警察への報告や道路上の危険防止措置を怠った場合は道路上交通法72条の違反にあたり1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。
■交通違反点数…7点
当て逃げをした場合は、
安全運転義務違反…2点
当て逃げによる付加点数(危険防止措置義務違反)…5点
で合計7点となります。
■行政処分…免許停止
道路交通法では、違反時の行政処分の内容が基準点数ごとに定められています。7点は過去3年以内に1度も交通違反がなくても免許停止30日が科されます。
過去3年以内に交通違反をしている方は下記の警視庁のリンクをご覧ください。
まとめ
本記事では、当て逃げに関して被害者、加害者側の観点から対処法をご紹介しました。交通事故や、かすり傷などを他の車につけてしまった場合は、必ずその場を離れず警察に連絡をしましょう。
また、加害者特定のためにもドライブレコーダーは大変有用です。ドライブレコーダーの取り付けをしていない方は是非ご検討下さい。