ホンダN-VAN/ダイハツハイゼットキャディ
N-VANの概要
Nシリーズ第6弾となる「N-VAN」は、働く人々の生活を見つめ、さまざまな仕事での使いやすさや優れた走行性能、安全性能を追求した新世代の商用軽バン。
軽乗用車「N-BOX」で新規開発したプラットフォームをベースとし、商用向けに専用設計し、FFと独自技術「センタータンクレイアウト」による低床化で、高さのある荷物も積載できる大空間の荷室を実現しました。
また、リアシートに加え、助手席シートにもダイブダウン機構を採用。助手席からリアシート、テールゲートにかけてフラットにつながる、広々とした空間を実現しています。
新ジャンルの軽商用車を目指した「ハイゼットキャディ」の狙い
新たな商用ニーズに対応する新ジャンルの軽商用車として登場した「ハイゼットキャディ」は、軽乗用車「ウェイク」をベースとし、その広さと高い室内高や低いフロア高そして使い勝手の良さを追求したFFレイアウトパッケージを採用し、ゆとりのある運転空間を創出。さらに、クラストップとなる荷室フロア高など、使い勝手の良い荷室を実現しています。
「N-VAN」そして「ハイゼットキャディ」は、ともに軽トールワゴンをベースにしている点と、新しい軽商用バンを目指したところは共通なのです。先に登場した「ハイゼットキャディ」は、同社のタントを始めとする他の軽ハイトールワゴンよりもさらに高い全高を備え、レジャーユースなどに対応する革新的な軽乗用車でした。
そこで、その高さを活かした荷室容量を活かす方法として、後部座席を排除した商用バンとなったのが「ハイゼットキャディ」です。主流のキャブオーバーバンより低い荷室フロアは、腰に負担がかからず、背の高い荷物を載せられることから、小売店での配達などの用途に便利とされました。
「ハイゼットキャディ」の荷室容量メリットは大きなものですが、乗用タイプの「ウェイク」から後部座席を取り去っただけの仕様であり、荷室容量は大きくても最大積載能力は乗用車と同じ150㎏のまま。そのため軽バンの主力ユーザーである宅配や、重い道具の多い建設業などでは350㎏積みのキャブオーバーバンには取って変わることは出来ず、おのずと利用できる用途は制限されてしまう事になります。
しかし、悪いことばかりではありません。「ウェイク」と変わらないということは、乗り心地も使い勝手も乗用タイプとかわらず、e:Sテクノロジーの採用で25.0km/リットル(JC08モード)の低燃費を達成したほか、軽商用車で初めてカメラとソナーセンサーを搭載した衝突回避支援システム「スマートアシストII」を一部グレードに採用するなど安全性能も高めています。
重たい荷物をのせる必要がないのなら、乗用車と同じ性能を持っていることで、仕事用との兼用が可能であることは大きな、メリットとなるはずです。
ハイゼットキャディの荷室
最大積載量が150kgに留まる「ハイゼットキャディ」に対して、「N-VAN」はキャブオーバーバンと同様に350kgとすることで、本格的な軽貨物としての利用を考えていることがわかり、3倍にもなる積載量の差は両車の根本的な性格の差を表しているのです。
また、センタータンクレイアウトを採用する「N-VAN」は、ダイブダウンされたシートはフラットな荷室となり、さらにFF化することで荷室長がキャブオーバーバンより短くなるという欠点も、助手席もダイブダウンさせることでクリアしています。
レジャー仕様としての汎用性も高い「N-VAN」
そして、「N-VAN」でもっとも特徴的な助手席側センターレススライドドアは、荷物の出し入れというよりも、アウトドアなどでの利便性や解放感というレジャーでの利用に活躍しそうです。「ハイゼットキャディ」はその室内の高さが売りですが、「N-VAN」もバイクや自転車の積載に十分な高さがあり、シートバックを超えて荷物を積み上げる必要がない限り、その高さの差は影響がないはずです。
そして、燃費は「ハイゼットキャディ」にはかないませんが、クラストップレベルの低燃費23.8km/Lを実現し、安全面では、安全運転支援システム「ホンダ センシング」をホンダ軽バンとして初めて全タイプに標準装備。衝突軽減ブレーキをはじめとする8つの機能に加え、後方誤発進抑制機能とオートハイビームも搭載しており、「ハイゼットキャディ」以上の安全装備を備えているのです。
まとめ
ドライバーの高齢化や女性ドライバーの増加などにより、荷物の積み込みと積み下ろし時の負担軽減につながる低床フロアや、開口部の拡大は必須条件。また、一日の走行距離が乗用車の日ではないほど多い軽商用バンにとって、居住性能と安全性能の向上は不可欠になります。この点では「N-VAN」、「ハイゼットキャディ」ともに条件を満たしていますが、積載量3倍の差は大きく、商用バンとしての性能は「N-VAN」が圧倒します。
また、レジャーでの利用においてはその目的によってどちらが適しているかが分かれますが、多様性という点において上回る「N-VAN」の優位が目立ちます。