カムリ従来モデルとWSの違い
カムリWS
■好評のカムリもスポーティさは希薄
カムリ標準モデル
フルモデルチェンジされたカムリの、エクステリアにおいての最大の特徴でもあった、ロアグリルいっぱいに広がる「ヒダヒダ」。これが低重心でワイドな印象を与え、クラウンに劣らない堂々としたスタイリングになり、ある一定の年齢層以上のユーザーには大好評だったのです。しかし、スポーティとは程遠いものに映っていました。
今回設定された「WS」では、そのロアグリルを一新。最新モデルである「カローラスポーツ」のようにフォグランプ周りを分割して大型化。加えて、グリルのふちをブラック塗装とすることでスポーティさを表しています。カムリ本来のワイド感は若干薄まりましたが、標準グレードと並べて比較すると、その存在感はより大きくなっています。
■初のスポーティモデルWS
カムリWS
新設定の「WS」のエクステリアは、エッジの利いたスポーティなデザインとカムリ本来の上質感を両立。低重心のワイドボディにスポーティなパーツを装着し、走りの良さを感じさせるデザインとしています。また、スポーティタイプのフロントグリルやリヤスポイラーをはじめ、ブラック塗装の18インチアルミホイール、左側2本出しのマフラーカッターを設定されています。
ボディカラーではWS専用色としてアティチュードブラックマイカ×ダークブルーマイカメタリックを含む3種類のツートーンカラーを新規設定しました。
フラッグイップセダンでもスポーティなアテンザセダン
マツダアテンザセダン
2018年6月に、マツダブランドを牽引するフラッグシップモデル「アテンザ」も大幅改良を受けています。今回も近年のマツダの例にもれず、他メーカーのフルモデルチェンジに匹敵する大幅改良となっています。
フロントグリルのデザインは、ヘッドランプは薄くワイドな造形と線表現の発光でより精悍な表情を演出させ、立体感、骨格の強さ、重心の低さ、そして広がり感を強調させています。また、セダンのリアエンドパネルとガーニッシュを水平基調の造形とし、穏やかさと落ち着きを表現。新デザインを採用したアルミホイールとソウルレッドクリスタルメタリックを採用したことで、よりいっそうの高級感も備えました。
いわゆるスポーツグレードは存在していませんが、アテンザセダンそのものが高級セダンであっても走りにこだわるマツダらしいモデルといえます。
スポーツセダンとしての走行性能
■カムリWSの場合
カムリWS
「カムリWS」はスポイラーなどでスポーティーな印象を与えていますが、「カムリ」自体はハイブリッドパワーを活かしたゆったりとした乗り心地が特徴のプレミアムセダン。現行モデルは新しい開発されたTNGAプラットフォームにより、歴代モデルよりは走行性能にもかなり注力していますが、スポーツセダンとして設定されたモデルではありません。
カムリWS主要スペック
全長/全幅/全高:4,910/1,840/1,445(mm)
ホイールベース:2,825(mm)
エンジン:2.5L直列4気筒ハイブリッド
最高出力:131kW(178PS)/5,700r.p.m
最大トルク221N・m(22.5kgf・m)/3,600 ~ 5,200r.p.m
モーター最高出力:88kW(120PS)
モーター最大トルク:202N・m(20.6kgf・m)
JC08モード燃料消費率:28.4km/L
■アテンザセダンの場合
アテンザセダン
これまでもマツダは車種を問わず走行性能にはこだわってきました。歴代のアテンザもその例にもれず、高級感だけではなく、優れた走行性能を兼ね備えていました。そして、現行モデルのアテンザもまた、人間工学に基づく運転姿勢や、自然なクルマの挙動を実現する「G-ベクタリング コントロール」など、「人馬一体」を実践しています。
さらに、6月の大幅改良においては、従来から設定のあるエンジン3機種すべてを進化させ、さらにシートおよびサスペンションシステムの構造を一新。ボディ剛性を高め、ドライバーとの一体感ある操縦安定性で、「走る歓び」を体現しています。
アテンザセダン主要スペック
全長/全幅/全高:4,865/1,840/1,450(mm)
ホイールベース:2,830(mm)
エンジン:2.5L直列4気筒ガソリン
最高出力:140kW(190PS)/6,000r.p.m
最大トルク252N・m(25.7kgf・m)/4,000r.p.m
JC08モード燃料消費率:14.8km/L
エンジン:2.0L直列4気筒ガソリン
最高出力:115kW(156PS)/6,000r.p.m
最大トルク199N・m(20.3kgf・m)/4,000r.p.m
JC08モード燃料消費率:16.6km/L
エンジン:2.2L直列4気筒クリーンディーゼル
最高出力:140kW(190PS)/4,500r.p.m
最大トルク:450N・m(45.9kgf・m)/2,000r.p.m
WLTCモード(総合)燃料消費率:17.8km/L
まとめ
カムリは、「WS」であってもサスペンションやパワーユニットの制御には手を付けておらず、「GR」モデルでも設定されない限りはスポーツセダンとはなり切れない。つまり、「カムリ WS」は、日本においては最良のプレミアムセダンであり、「アテンザ」と同じ土俵でスポーツ度を競う事は異種格闘技に近いのです。
「アテンザ」にとっては「カムリ WS」よりスポーツセダンに相応しい内容となっていますが、このクラスのスポーツセダンを求めるユーザーがどれだけいるのか、その求める姿はひょっとして「カムリ WS」程度のスポーツ度でいいのではないのか。販売台数を見ればその総合的な評価は「カムリ」が圧倒していることからも、現実的には数少ない「アテンザ」ユーザーでさえ、「カムリWS」でもって奪ってしまう可能性さえあるのです。